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合掌

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 霊柩車の話を書いたら、犬が死んでしまった。
 5ヵ月前に獣医さんに駆け込んだ時とは別の病気だが、子宮蓄膿症というやはり婦人病。先代の柴は乳がんだったけど、今度はもっと進行が早く、普通にロングの散歩へ行ったのが、亡くなる10日前だった。長患いしなかったのはありがたいが、11歳を迎えられなかったのは、柴犬としては早死にだ。

 徹底したマイペースで、人に触られるのも、家に入れられるのも嫌いで、警戒心が強く、御近所の人にもよく吠え、拾い食いとなると必死で、後年、どんなにイヤなババアになるんだろうと思っていたら、最後はあっけなかった。
 
 本人は棲み慣れた犬小屋のなかで死にたかったようだが、苦しそうに鳴くので、無理やりひきずり出して、玄関のたたきにつくった寝床に寝かせると、まさかの数時間後に息を引き取った。
 土曜日の夕方で、看取ったのはぼくだけ。はっきり言って、人生でいちばん取り乱した。
 でも、犬のほうはいまわのきわに目が合って、次の瞬間、ガクッと息絶えた、ようなことはなく、じゃ勝手に死ぬからね的な幕切れで、それがハナらしかった。

 柴犬を2匹続けて24年にわたって飼った。性格がやさしくて、柴はメスがいいですよと最初に世話になったブリーダーさんに言われてそうしたのは正解だったが、一度も子どもを産ませないと、年をとってから婦人科の病気になりやすいという、あとで知った雌犬の弱点を思い知らされることになった。
 といっても、昔、犬はたいていフィラリアで死んだのだ。今は予防薬ができて長寿になったから、こういう病気が顕在化するようになったのかもしれない。

 しかし、長年一緒にいた犬が死ぬと、ヘコむ。親父が死んだときよりもヘコむ。前のときもペットロスになるのがいやで、家族の猛反対を押し切り、3ヵ月後に飼ったのがハナだった。

 ランニングコースの川沿いに動物愛護センターがあって、ときどき大勢の犬の鳴き声が聞こえる。こんどはあそこで運命の日を待っている犬の里親になろうか。相性が合えば成犬でもいいな。そう思ってサイトを見たら、60歳を越すと資格がないと知って、またヘコんだ。

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下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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