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「峠狩り」の取材で、関西にあるものすごい峠を訪ねた帰り、京都からのぞみに乗ろうとしたら、新幹線がパニくっていた。「姫路駅で“しょくしゃ”があり」、運転を見合わせているという。

 結果として、そのおかげで、ぼくらは予定より早く帰ることができた。安いパックツアーチケットは列車の変更ができないのだが、乗るはずだった博多からののぞみが姫路以西で止まっていて、新大阪始発便に振り替えてもらうことができたからだ。大混乱の始まる直前だったため、30分遅れでやってきた700系のぞみもガラガラだった。

 京都駅のホームでも、のぞみの車内アナウンスでも、幾度となくその“しょくしゃ”という言葉を聞いた。
「触車」。こんな鉄道業界用語があるんですね。通過する電車にうっかり手が触れて、「痛ェ!」みたいな語感だけど、まさにそうした事象の最小化を目論んだような言葉である。こっちはフツーに走ってますけど、なにか問題でも? みたいな、ものすごい鉄道側目線の言葉でもある。

 でも、ツイッターで見たら、駅構内の線路にうずくまった人間に通過列車が衝突するという、新幹線史上初の明確な、いわゆる人身事故だったらしい。姫路駅の通過線といえば、フラットアウトの新幹線をホームから拝めるビューポイントとして有名なところだ。
 ホームドアだって、乗り越えようという人には無力である。新幹線に飛び込める、なんて思われちゃたまらないJRとしては、口が裂けても「人身事故」という言葉を使いたくないという気持ちもわかる。新幹線のホームドアに有刺鉄線新設、なんて悪夢だもんな。

 しかし、いまさらながら、乗る人にとって、新幹線は快適この上ない。元祖クールジャパン、初代0系の乗り心地を思い起こすと、スピードもさることながら、格段に足まわりがよくなっている感じがする。シャシー剛性が上がった。

 京都では30分遅れだったのに、東京駅着は16分遅れまで回復していた。それだけ飛ばしたんだ。この車両とインフラで、まだまだ速く走れるのか。スゴイ。

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下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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