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柳沢峠はお早めに

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 真夏の柳沢峠をひとりで黙々とこぎ上げてくるサイクリストがいた。すれ違いざま、声をかけると、止まってくれて、気さくにしばらくおしゃべりに付き合ってくれた。それが忌野清志郎だった。という話を昔、『サイクルスポーツ』誌で読んだことがある。

 山梨県の北東部にある柳沢峠が、今月号driver「峠狩り」のテーマ。新宿の大ガードから青梅街道を西へ100km行ったところにある峠だ。

 東京から行くと、奥多摩のさらに奥にあり、かつては狭く曲がりくねった秘境の峠道だったが、訪ねるたびに広くてまっすぐな新道に変わっている。数年ぶりに塩山(えんざん)側から上った今回も、アレっ!? というまに頂上に着いてしまった。
 探したところ、旧道沿いに現存する人家は2軒だけ。そのため、新道が出来たら、即、廃道。残土を盛って立ち入れないようにしてある。

 高価な高架橋で谷をまたぎ、山には、だれが歩くんだろうという歩道付きの立派なトンネルを開ける。いにしえの昔は「甲州裏街道」と呼ばれた道だが、アベノミクスの国土強靭化政策で、本当に「第二国道20号」みたいな役割も持たされているのだろうか。

 でも、2月末の平日午前は、交通量絶無に近かった。トンネルで一度だけ、白いワンピースの女性を見かけたけど、アシなかったもんなあ。


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 高規格化工事は麓から上がってくるので、峠付近にはまだ昔の風情が残っている。
 標高1472mの頂上は切通し。はっきりした分水嶺を持ついい峠である。
 だから、柳沢峠を味わうなら、ASAPで。


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 どっちから上っても、峠の茶屋以外には食べ物処や商店はない。峠から奥多摩方面へ17km走った丹波山(たばやま)村の道の駅で峠メシ。鹿肉ソーセージカレー。

 ここの道の駅は小さいけど、地元のおばちゃんたちががんばっている。鹿肉ソーセージもおいしいが、カレーそのものがプロっぽい味で、うまい! これで750円はお値打ち。お薦めです。

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下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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