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低音の魅力

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 昨晩はコントラバスの無伴奏ソロコンサートを聴きに行った。読売日本交響楽団の石川滋さんという人。オーケストラで通奏低音を弾くコントラバシストが主役をとる演奏会、しかもピアノなどのお連れさまなしで無伴奏曲のみ、というのはたいへん珍しい。演奏会をやること自体がチャレンジングで、尊敬に値すると思う。

 コントラバスのソリストとして世界的に有名なのは、アメリカのゲーリー・カーだが、米国生活18年というこの人もカーのお弟子さんだという。さらに最初の自己紹介で会場がざわめいたのは、大叔父がスズキメソードをつくった鈴木鎮一。叔父さんはジャズベースの大御所、鈴木良雄だそうだ。

 バッハ無伴奏チェロ組曲の1番と5番を中心に、ひとりでたっぷり1時間半以上弾いた。コントラバスでメロディラインを弾くわけだから、親指を使うハイポジションばかり。立っているけど、下を向きっぱなしだ。楽器を弾くというより、ずっと“作業をしている”感じである。
 アンコールの前に「もうヘトヘトです」とおっしゃっていた。ふつう演奏家がステージでは言わない言葉だが、本当にそうなのだろう。バイオリン属の弦楽器は、木の箱の中の空気を振動させることが演奏家の仕事なわけだけど、7リッターエンジンみたいなコントラバスだと、それがどれだけ重労働か。おつかれさまでございました!

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下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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