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醍醐林道で和田峠へ

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 春だ、桜だ、自転車だ! 週末はファットバイクで山へ行く。
 タイヤを触るとだいぶブヨブヨだった。テキトーにフロアポンプで60回ポンピングして出発。

 久しぶりの700Cチューブラーもよかったけど、久しぶりのファットバイクはもっとよかった。 
 なんといっても、路面のことを気にしないで走れるのがいい。路肩や側溝の縦の段差も、排水溝のグレーチングも、追突事故で残ったプラやガラスの破片も、ファットタイヤならおかまいなしだ。

 車重は重いが、クルクル回せる軽いギアで走れば問題なし。重いから、一旦スピードに乗っちゃえば、落ちない。ファットバイクに乗っていて、車体や“こぎ”を重いと思ったことがない。ただ、セスナのライカミングエンジンみたいなロードノイズに0.03馬力くらい取られている気はするが。

 ぼくの乗り方だと、細い700Cタイヤのロードバイクにディスクブレーキの必要性を感じたことはないが、ファットバイクのディスクブレーキはスゴイ。タイヤの接地面積、つまりブレーキの作用点がデカイから、ドカン!という感じで減速する。落石や落枝が散らばったダウンヒルなどでこんなに安心してかけられる「自転車のブレーキ」をほかに知らない。


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 多摩川を遡って五日市の梅野木峠へ行くつもりが、間違って浅川沿いを走ってしまい、結局、陣馬街道から醍醐林道を上った。
 相変わらずの激坂だが、微速でもフラつかないファット様にしがみついて登らせていただく、という感じで標高700mの頂上に着く。和田峠まで下りると、ハイカーのクルマで賑わっていた。
 和田峠はまたしても去年から災害通行止めだが、頂上のゲートは開いていた。途中までは下りていけるのだろうか。茶屋の人に聞こうと思ったが、答え賃をとられそうなのでやめる。


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 上ってくる途中、黄色い小さな旗を手にした若者ふたりとすれ違った。林道入口はチェーンロックされているのに、2tトラックが上がってきた。醍醐林道は山岳耐久マラソン「ハセツネ30km」のコースで、24時間後に迫ったレースの準備をしていたのだ。大会のシンボルマークは、ムササビですか。


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 山から舗装の林道に出るところに簡易トイレを置くらしい。「ハセツネ30km」は、6月に行われるハセツネカップ(71km)の前哨戦というか予選というか、グレートレースの登竜門だ。
 テープでマーキングされた山の斜面を見上げると、笑っちゃう。ここを駆けおりてくるの!? 馬鹿じゃないの。いや、鹿じゃないの。でも、あと3回くらい生まれ変わったら、出てみたいかも。

 
 帰りに夕焼け小焼けの里でトイレを借りようとしたら、駐車場にオールドサーブが駐まっていた。


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 気さくなジェントルマンのオーナーと20分くらいお話をさせてもらう。
 長年お乗りかと思ったら、サーブ96が好きで、数年前に74年型をスウェーデンから個人輸入したそうだ。
 航空機メーカーが60年前につくった水滴型ボディーは、クルマの車体というより、スウェーデンの民芸品という感じ。見ているだけで目の保養になる。


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 和田峠ゴールで80km近く走ったのに、今日はあまり疲れないなと感じたのは、空気圧を上げたせいだろうか。久々に最後まで気持ちいいサイクリングでした。

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下野康史(かばた・やすし)
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