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寒中ライダー

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 この冬、都内でハンドルにこんなものを付けて走るロードバイカーをチラホラ見かけるようになった。昔からそば屋のカブにはよくこういう防寒カバーが付いているが、自転車のドロップハンドル用にも登場したのか。

 でも、末端冷え性ライダーには耳寄りだ。ネットで調べたら、ウェットスーツ用の素材で出来ていて、5000円ほど。ただし、その価格だと売り切れのショップが多い。在庫ありのアマゾンでは8000円近くする。エベレストでも使えそうな手袋が買えそうだ。

 さらによく調べたところ、ドロップハンドル両端のブラケット部分だけを覆うようになっている。ぼくの場合、ブレーキをかけながら走るダウンヒル時以外は、めったにそこは使わない。もっぱら内側のフラットな部分を握っている。

 だから、結局、個人的にはペケなのだが、ブラケットがレギュラーポジションの人にはよさそうだ。
 ぼくが見たロードバイカーはみんなメッセンジャーだった。手袋なしでもイケるくらいの防寒効果があるらしいから、素手で集配の細かい作業をしたい彼らにはうってつけなのかもしれない。

 2014年元旦。ドライバーのかた、ライダーのかた、みなさまの交通安全をお祈りします! って、安協か。                                                                                                                                                                                                         

入山峠余話

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 八王子市と五日市町の境にある入山峠の五日市側の麓に洋館がある。採石場へ通うダンプしか通らない田舎道で、まわりにはもう人家はない。なんでこんなところにこんな建物が!? とだれでもびっくりすると思う。煙突や屋根はけっこう壊れていて、廃屋に見えなくもないし。

 だがこれが、実は「メリダ」という地中海料理屋なのである。人里離れた五日市の山あいに地中海料理店とは!

 一応、ネットでチェックすると、評判はワルくない。自転車のブランド名にもあるメリダとは、スペインの町の名前だが、なんでも、あっちに住んでいた芸術家の夫婦がやっているレストランらしい。

 ランチの時間にパエリアのコースを食べに行った。
 うまかった。どれくらいうまかったかというと、これくらいだ。



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 パエリアの猫またぎ。鍋にこびりつたおこげをスプーンでガリガリ剥がしていたら、「すいません、やりましょうか」と女主人が気を使いにきてくれる。お気づかいなく。おこげは、自分で剥がして食べるからうまいのだ。

 メインのパエリアが出る前のサラダもボリウム満点でおいしかった。皿のまわりには鴨肉のスモークがたっぷりのっている。鴨がこんなにおいしいとは知らなかった。

 気のおけない店だから、サイクルウェアで入っても浮かないだろう。八王子側から入山峠を越えて、ランチという手もある。これからはブイヤベースでしょう。                                                                                                                                                                                                                                                                 

東京ベスト自転車峠

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 八王子市と五日市町をつなぐ盆堀(ぼんぼり)林道へ行った。頂上は入山峠だ。
 2度目の今回は八王子市側からのぼってみた。陣馬街道を和田峠のほうへ左折しないで直進。1kmほど行ったところに林道の入口がある。

 前回、反対側から下りてくると、八王子側からならラクそうに感じたが、そうでもない。10%を超すような急勾配はないし、ときどき平坦路も現れて休ませてくれる“坂柄”のいい峠道なのだが、意外やけっこうくる。なぜだ。体調悪いのかな。ウチから麓までは40km弱。ボトル忘れて、もう脱水状態なのか、なんて考えながらポルシェバイクをこいでいると、陽の当たる大きな谷に出た。雲ひとつない空の青さがまぶしい。八王子側はこのへんからのダイナミックな景色がすばらしい。

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 まさに小春日和。つまり、「晩秋のころのポカポカと暖かい日」である。谷の向こうに出るカーブのところでおじさんロードバイカーが自転車を止めて日向ぼっこしていた。「ちわーッス」って、あいさつも自然に出る。

 しばらく行くと、入山トンネル。短いが、楕円断面の絵になるトンネルだ。
 でも、トンネルは峠ではなく、その後もしばらくアップダウンが続く。

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 八王子の町が見えるビューポイントに軽のワンボックスが止まっていて、おじさんが中で爆睡していた。テールゲートが開いていたので、通りしなに覗くと、カゴにどっさり栗が入っていた。

 しかし、入山峠からこっちはクルマ進入禁止のチェーンロックがかかっていて、どっち側からも入れないはずなのに、どういうわけだ。地主なのか。地主がクルマで栗拾いに来て、昼寝するか。そもそも林道に地主っているのか、なんてことを考えながらこぎ進んで、入山峠に着く。

 下から4.8km。ここから下って五日市側の林道起点までは4.9kmだったから、峠はちょうど林道の中間地点にある。そんな律義さも好感がもてる。

 下りは一転、北斜面の狭い谷で、日当たりが悪い。しかも途中から渓流沿いになるため、小春日和でも寒い。真冬はさぞかし凍えるだろう。

 五日市側からは峠までクルマ通行可。おかげでカーブミラーが整備されていて、安心して下れる。といっても、道は狭いし、落石箇所もあるため、まずクルマは見かけない。

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 ダウンヒルの中盤にきれいなモミジが咲いていた。この秋に見たベスト紅葉かも。
 のぼってよし、下ってよし。こっち側とあっち側で風景がガラッと変わる入山峠も、これまで走った東京のベスト峠かも。                                                                                                             

ほったらかし温泉

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 甲府の「ほったらかし温泉」に行った。「東京〜糸魚川ファストラン」の新スタート地点の上にあるフルーツパークのさらに上にある日帰り温泉だ。露天風呂につかりながら、甲府盆地が一望できて、運がよければ富士山が拝める。

 なんで“ほったらかし”かというと、20年近く前、地元の名士が掘り当ててからしばらくは、お風呂ひとつだけで、お金も取らず、本当にほったらかしだったらしい。その後は整備されて「あっちの湯」と「こっちの湯」のふたつになり、男女も分かれ、それぞれに内湯もある立派な温泉になった。どっちの湯も700円。口コミで人気が高まり、今や甲府の名所になりつつある。

 年中無休。しかも大きいほうのあっちの湯は、日の出前から夜10時までやっている。御来光と甲府盆地の夜景の両方が見られるわけだ。この日は平日のお昼だったので、さすがに空いていたが、初日の出の元旦は予約制になるらしい。

 今日は富士山が見えないからこっちのほうがいいと言われてあっちの湯に入った。露天風呂は斜面の上下に2つあり、広くて清潔だ。天気がよかったので、気持ちいいのなんの。
 ニオイも色もないお湯に温泉感は乏しいが、熱すぎないのがなによりである。ぼくは極端な猫肌で、せっかくの秘湯へ行っても、足湯状態までで退散してきたことが過去、何度もある。先客が入っているとうめにくいし、ヘタすると怒られる。

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 いちばん近い中央線山梨市駅から5kmの山の上。ぼくはクルマで行ったが、未舗装の大駐車場には他県ナンバーのバイクも多かった。
 フルーツパークの中は気持ちいいし、格好のヒルクライムコースだから自転車で行くのもチェレンジングだが、これからの季節は湯冷めに注意。

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 BGMもかかっていないし、管理の人も少ない。いい意味でほったらかしにされている感じで、ゆっくりできる。あれするなこれするなと口うるさい温泉センターも多いから。                                                                                                                

健康なカメラ

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 こんなおもしろいカメラを手に入れた。
 Kenko(ケンコー)って、レンズとかフィルターとか三脚とか、カメラまわりのメーカーだと思っていたら、本体もつくっていたんですね。

 800万画素の安いコンデジなんだけど、なにがおもしろいかって、まず超広角の14mmなのだ。ふつうのコンデジだと、せいぜい24mmどまりだから、これはスゴイ。シャッターを押すと、とりあえず前にあるものは全部映っちゃう感じ。気をつけないと、カメラを握る自分の指が映ってしまう。反転させて持てば、簡単に「自分撮り」ができるため、前面にも小さな液晶モニターがついている。
 それともうひとつの芸は、こう見えて3mの防水である。

 そのかわり、できんもんはできん。なんと固定焦点。手ぶれ防止機構なし。連写やマクロ撮影なんて、とてもとても。機能の切り捨てぶりは、使い捨てフィルムカメラを彷彿させる。

 パソコンに画像を取り込むことはできるが、接続コードをつなぐには電池ボックス(単四2本)のフタを開けないといけないので、そのたびに日付がリセットされるというオマヌケ設計。ぼくのは買ったときからビープ音をON設定にしても出ない。

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 しかし、14mmの画角がまだ物珍しいせいなのか、撮った写真はとても新鮮に感じる。暗いところの画質はザラザラしているが、そのせいか、明るい空が妙にきれいに見える。味のある写真が撮れそうだ。

 機能が限られているのもうれしい。「なんでもできるのに、なんであなたは使わ(え)ない!?」とバカにされているようなカメラより心安らかに付き合える。クルマもこういうのでいいんだよな。

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下野康史(かばた・やすし)
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