|
ツール・ド・フランス取材歴二十数回の自転車ジャーナリスト、山口和幸が書いたのがこの本だ。 この人、ぼくがロードバイクに乗り始めて、「サイクルスポーツ」誌をいつもカバンに入れて持ち歩くほど熱心に愛読していたころ、サイスポの編集部員だった。フランス語学科卒業ということから、ツールの担当を命ぜられ、取材に出るうちにその魅力にハマり、結局、フリーランスの記者としてツールを追っかけるようになったらしい。 ツールのレース本ではない。たとえばスポンサー、オフィシャル、広報、取材クルー、ギャラリー、ヘリ、ポリス、フェンス設営部隊、チームカー、マヴィックカー、補給食、マッサー、悪魔のおじさん、路面のペイント、宿事情、などなど、ツールを取り巻くさまざまなことが、見開き一話完結のフォトエッセイふうに綴られている。こんなツール本はかつてなかったと思う。 冠スポンサーになるためのスポンサー料が意外に安いんで、驚いた。ツールを招致するには自治体が主催者にお金を払わないといけないが、ゴール地よりスタート地のほうが安い。スタート地はスタートしたらハイそれまでよだからだ。なんていう話は、中野浩一の解説じゃぜったい聞かれない。 単に長くツールを見てきただけでなく、フランス語をしゃべれる筆者ならではの取材力が生きている。むかし何度かルマン24時間レースを取材したことがあるけれど、フランスのお祭りはフランス語がわからないとダメだこりゃ、と思った。
|
ロードバイク熱中生活
-
詳細
コメント(2)
|
暑くて7時前に起きたら、メールが入っていた。6時48分送信。Kさんがこれからスタートするところだった。新潟県内で行われるグランフォンドの、そういえば今日が本番だったのだ。盛夏のグランフォンドはいやなので、ぼくはパスしたが、3人申し込んで、彼だけが先着順エントリーに受かった。今は夜10時だが、まだ結果は聞いていない。新潟の内陸部なので、さぞや蒸し暑かったんだろうなあ。 こっちも朝から夏空。予報では雷雨もなさそうなので、以前から狙っていた養沢(ようざわ)へ行く。多摩川の支流、秋川に流れ込む養沢川沿いの道だ。クルマで見つけて、こんど自転車でも走ってみようと思っていたのだ。 武蔵五日市駅前を檜原村方向へ進み、十里木で右折したところが、秋川と養沢川の合流ポイント。お盆休み最後の日曜日とあって、近くの駐車場は満杯。秋川は水遊びの人たちで湘南みたいになっていた。 養沢川はここからずっと管理釣り場になっている。その渓流沿いを舗装路が8km続いている。基本、上りだが、激坂はない。なにより川沿いだから涼しいのがうれしい。上流に向かうにつれて、階段状に整備された人工の滝が繰り返し現れると、さらに涼しくなる。流水の雰囲気冷却効果は本当にスゴイ。逆に、冬の川沿いは寒いわけだ。橋の上はすぐ凍結するし。 道路はときどきすれ違い困難になるが、自転車なら問題ない。走りながら川がよく見えるし、瀬音も聞こえる。奥多摩まで行かない近場に、こんないい道があるとは。東京都ですよ。 ただし、せっかくの渓流のあちこちに「有料釣場 4500円」の看板が100枚くらい出ていて、美観を損ねること甚だしい。しかし、渓流釣り場って、こんなに高いのか。 養沢川沿いに上った道は、途中からダートに変わる。そこまでウチから40km。 事前にルートラボで調べたら、十里木の合流ポイント付近から東側へクネクネ延びる細い道があった。帰りにそこもアタックするつもりでいたが、すでにそうとうヘタバっていた。涼しいといったって、暑い。一応、林道の入口まで行ったが、前方、炎熱の日射しに照らされた最初の右コーナーでグイッと急坂になっているのを見て、即、あきらめる(写真下)。涼しくなったら、来よう。 |
|
「夢のロードバイクが欲しい」という本を読んだ。世界中を自転車で旅したイギリス人ジャーナリストが、表題どおり、理想のマイ・ロードバイクを手に入れるまでのお話だ。 で、ピナレロ・ドグマの電動デュラエース付きを買いました。という結末ではもちろんない。なにしろ、歴史好きのイギリス人の自転車おたくだ。“選び”はパーツごと。レイノルズ953のチューブを使った英国製スチールフレームから始まって、理想のパーツを求め、ヨーロッパ大陸はもちろん、アメリカにまで足を延ばす。 変速機は基本、カンパニョーロにするのだが、本社まで行ったところで、チェーンリングやクランクは別のものにしたいと言い出して、それではデザイン上、おかしいからとカンパニョーロの重役にいさめられ、結局、レコードのフルコンポを選ぶ。 そんなふうに、好みのパーツを選んだら、つくっている現場へ足を運び、つくっている人に会い、話を聞いているのが、この本のすごいところだ。 ドイツのコンチネンタルタイヤを訪ね、工場を見せてもらい、たったいま出来たばかりの、まだ湯気が出ているコンチネンタル4000Sを前にして、「じゃあ、あなた用の2本、ご自分で取ってください」なんて言われる。同じ4000Sとはいえ、そりゃ格別だ。 そんな行脚を続けるなかで、日本製品は見事に無視である。「シマノ」も「日本」も、言葉としてそれぞれ1回出てくるだけ。それも、どうでもいい文脈のなかでだ。デュラエースのデの字でもない。最初につくった人しか認めないイギリス人。国産至上主義のイギリス人。 しかし、なんぼなんでもドロップハンドルのロードバイクにブルックスの革サドルはないだろ!? と思ったけど、その章を読んでいたら、座面中央が割れたアナトミックサドルが19世紀末にすでに販売されていたという記述があって、おもしろかった。イギリスではそのころから女性が自転車に乗り始めたのだが、当時、堅いサドルの乗り心地が、女性を欲情させるという説も流布されたのだそうだ。パーツごとのそうした歴史の話がすごくおもしろいし、ためになる。 世界中に足を運んで買い集めたパーツをプロに組み上げてもらい、いつもの道を走り出したところで、話は終わる。自転車愛あふれるエンディングは、感涙モノだ。文章(と翻訳)うめー。
|
|
アジ〜イ、のに、みんなで炎熱サイクリングへ。埼玉県の名栗(なぐり)からTカントクお薦めの有間峠に上る。 以前、秩父側から上ったことはあるが、逆ルートは初めて。秩父側から攻めたとき、下りながら、こっちから上るなんて、まっぴらごめんだと思ったが、「下るとき激坂に感じた坂は、上ってみるとそれほどでもない」の法則がある。スキーの上級者コースを上から見下ろしたときと同じで、自分の目の高さ分、斜度をきつく感じるからだ。 しかし、有間峠名栗ルートは、予想以上にキツかった。標高約1150mの峠まで、正味10kmも上る。秩父側からだと18kmあるが、短い分、こっちは勾配がキツイ。 しかも、終盤いちど上りきったかなと思わせておいて、その後もゆるい上りがだらだら続く。底意地の悪い峠である。 おまけに、頂上にはアブがいた。初めて刺されたが、あれ、追い払わないと、ずっと血ィ吸ってるんですね。フクラハギに虫が止まっていて、なんかチクッとしてるんだけど、見るのも気持ちわるいし、ハチだと振り払った瞬間に刺されると困るので放っておいたら、流血するほど吸われてた。 ただ、このコース、麓は渓流沿いの林道で、涼しいのが救い。日陰も多い。 だが、秩父側に下り始めると、どんどん蒸し暑くなる。盆地の秩父は、夏の暑さで有名なところだ。10kmの上りで筋肉があちこち痛かったので、長い下りもそれほど楽しめなかった。 最初の予定では、国道まで下りたら、三峰口方向に曲がり、理想的には35km先の雁坂トンネル手前まで走るはずだったのだが、T字路を左折するマインド、全員これっぽっちもなく、スタコラサッサとゴールの秩父駅へ向かう。家から85kmとは思えないほど疲れた。 でも、国道沿いの中華料理屋が当たりだったのは大きな収穫。 |
|
梅雨の晴れ間、ってほど晴れなかったけど、久しぶりの自転車日和。あと2ヶ月生きていると90歳になる父親の顔を見に、川崎の実家へ。 走り出してすぐ、サイクルコンピュータの電池が切れていることに気づく。バッテリー切れで液晶表示が死んだのは前々回に乗っている最中だったのだが、以後、電池を換えなきゃと思っては忘れている。20年もロードバイクに乗っていると、いろんなことがズサンになる。 でも、機材にこだわらないTiki Tikiの仲間には、自転車にメーターを付けていないメンバーもいる。 Tカントクなんか、先月のイトイガワ、新コースであるにもかかわらず、メーターなしで走った。「スント(高度計)だけで十分、距離なんか見ないほうがかえって気楽でいいよ」と言っていた。 それも一理あるかなと思う。リアルタイムで走行距離を知ったからって、300km走らなくてはいけないという事実が変わるわけでなし。ま、今年のTカントクは、残りあと何キロなんて皮算用をしなくてもいいほど調子がよかった、ということだとは思うけど。 基本、自分が弱いとモノや情報に頼りたくなるのだ、人間は。 帰り道、夕方の多摩サイは快適だった。きのうまで雨だったのに、意外や湿気がなくて、空気は爽やか。増水した多摩川が、あちこちでいつもと違う表情を見せている。多摩サイのマジックアワーだ。 脚もいつになく軽かった。ぜんぜん乗ってないわりにはイケている。快調ではないか、乗れてるではないか、と思ったら、追い風だった。 |



