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書庫ロードバイク熱中生活

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 商標権の関係で、日本ではずっと「BD-1」を名乗っていたドイツ生まれの折り畳み小径車。その最新型が“バーディー・モノコック”。BD-1も改良を受けながら「BD-1クラシック」として継続しているが、すでにこちらが売れ筋だという。特徴的なリンク式のフロントサスペンションはBD-1譲りだが、メインフレームをアルミモノコックに一新して、すっかりイメージチェンジした。


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 このメーカーの自転車は、折り畳み機構のIQが高い。車体は、ボトムブラケット(クランク軸)を支点として、垂直方向にクルンと畳むのだが、反転させると、18インチの後輪がこうやって左側に少しずれて収まる。リアアームのピボットがオフセットしているのだ。このあと、前輪も反転させて横に並ぶが、そのときの厚みをセーブする工夫だ。


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 各所にある折り畳みのロック機構も作動感がカッチリしていて、さすがドイツものと思わせる。

 なによりもドイツっぽいのは、組み立てたときのサイズがデカイこと。フレームが低いから、だれでも跨げるし、こげるけど、ハンドルが遠い。ロードバイクでいうところの(架空の)トップチューブ長を測ってみたら、64cmもあった。XLサイズだ。

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 ハンドル幅も57cmあるから(ドロップハンドルは44cmくらい)、押し歩きしていても大きく感じる。ハンドルの高さは5段階に調整がきき、試乗時は下から2番目。これよりまだ10cm以上、高くできる。車体の適正身長は180cmくらいだろう。逆に言うと、どんな大型ライダーでも乗れる折り畳み小径車だ。

 昔、江戸東京博物館の近くでクルマの撮影をしていたら、ママチャリに乗った琴風関(現 尾車親方)が通りがかった。自転車もタイヘンだなあと思ったが、バーディーならそういう巨漢でも安心して乗れそうだ。
 とはいえ、オリジナルBD-1にあったショートリーチモデルも出してもらいたい。
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 山梨県大月市の大峠へ行く。標高1560m。高尾山の2倍以上ある文字通りの大峠だ。
 先日、復活させた折り畳みの24インチジャイアントで輪行しようと思ったが、日和って麓の大月まではクルマで行く。積めるから、ポルシェバイクにした。


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 大月の駐車場から22km。標高差1230mをこぎ上げて大峠へ着く。序盤がかなりきつい上りだったが、疲れている場合ではない。
 ここまでは過去に何度か自転車で来たことがある。今回のメインテーマは「向こうへ下りてゆくこと」である。大峠の道は、大月側の入口から峠を越えて深城ダムまで延びる全線27kmの「林道 真木小金沢線」なのだが、峠から北側はゲート封鎖で車両通行止めになっているのだ。


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 ゲートのロック度は低く、人と自転車は脇から通れる。といっても、自己責任の未踏林道ダウンヒルだ。ここから出口ゲートまでは15km。クルマは通らない。どっかへ突っ込んで動けなくなったって、ドクターヘリを要請するようなタワケたことは許されない。だいたい、とっくに携帯はつながらない。ひとつ、クマよけのベルを忘れたのが心残りだ。

 長袖のウインドブレーカーを着込んで下り始めると、すぐに数匹のサルに遭う。行く手の路上でなんか食べていた。「一応どいてやるけどな」という感じで林の中に移動するが、サルはメンチきってくるので、コワイ。
 なんで車両通行止めなのか、じきにわかった。道路がこんなことになっている。


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 落石防護ネットもご覧の通り。


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 なんかの骨とフン。


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 ほぼ100%舗装はされているものの、クルマで上がってこられる大月側と比べて、とにかく路面状況が悪い。このくらいの落石はあちこちにある。砕けた石は矢じりみたいに尖っているので、ロードバイクだと強行突破せず、下車してさっさと通り抜けるのがいい。
 
 落枝を拾ってリアブレーキにカラんだので、止まる。止まるとすぐに蚊やブヨやハチが飛んでくる。野生動物の声もする。ガサガサと何かが動く草音もする。今回は遭わなかったが、路肩には「猪塚」と刻んだ石碑が立っていた。こんなところでパンク修理なんて最悪だ。華奢な24インチロードで来なくてよかった。


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 後半になると、絵になるトンネルがたびたび現れる。コンクリのかたまりを見ると、ホッとする。
 いくつ目かのトンネルの手前で写真を撮ろうとしたら、路肩にこんなものがいた。


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 なんだろう。タヌキか、いや、まさか、アリクイ!? はいないだろ、日本に。あとで調べると、アナグマのようだった。
 向こうは10秒くらいこうして動かず、ズームしながらシャッターを4回押させてくれた。湘南動物プロダクションか。
 やがて防護ネット沿いを逃げていったが、向こうではなく、距離が近づくこっち側に逃げていくのが女子中学生の初恋みたいで可愛かった。落語に出てくる“ムジナ”は、アナグマのことらしい。警戒心がこの程度なので、昔から人間との接点がけっこうあったのだろう。


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 後半はトンネルが多いが、どれも短いからコワくない。
 5本目のトンネルが、小金沢トンネル。出たところに深城ダムの駐車場があり、クルマのロケやニコニコドライブの取材で何度か来たことがある。このゲートもおなじみだったが、まさかここが大峠への上り口だとは知らなかった。

 標高1560mから連続15km、地底に下りてゆくようなグランドダウンヒルだった。しかも、ちょっとしたジュラシックパーク気分が味わえる。久々に心が震えるサイクリングをした。今度はファットバイクで来たい。
 ただし、こっち側から上るのはナシである。足場の悪い道は、重力エンジンの力を得て、さっさと下るに限る。匍匐前進スピードで上ると、サルに追っかけられそうだし。


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 深城ダムから、来た方向を振り返る。あの山塊を越えてきたかと思うと、感慨深い。自転車って、スゴイ。
 ダムの駐車場には、よくスバルの実験部隊が実走試験に来ている。だいぶ前、明らかにディーゼルエンジンのアイドリング音をさせるレガシィを見たことがある。

 ダムから大月までは、国道139号で15km。こっちからだとやはり基本下りっぱなしのローカル道なので、苦にならない。いいクールダウンになった。

ルイガノ闘牛自転車

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 ルイガノのTRC1というクロスバイク。NAVI CARS誌の「自転車試乗記」で乗せてもらった。これ、乗りたくなるでしょ。

 強くスローピングしたトップチューブから面一(つらいち)でステム(ハンドル継ぎ手)とブルホーンバーが突き出す。bull(猛牛)のhorn(ツノ)。ステムとハンドルは溶接の一体モノ。フルサイズの27.5インチホイールに、幅約4センチと太目のタイヤを履く。プロポーションはまさに自転車の闘牛だ。


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 ロードバイクは、見るならドロップハンドル、乗るならブルホーンバー。というのが個人的意見。ブルホーンの最大のメリットは、握手するような自然な角度でブレーキレバーが握れること。

 乗鞍のヒルクライムに出ると、帰り道は標高2700mから20km以上ブレーキレバー握りっぱなしになる。自転車にはエンジンブレーキがないですから。もともと握力が弱いので、ドロップハンドルで下山するのはツラかった。

 それに懲りて以来、ブルホーンを使うようになり、持っていたロードバイクを次々にブルホーン化した。ダウンヒルのとき、ブレーキの引きが軽くて手がぜんぜんラクだし、グリップ位置とブレーキレバーが近いから、街なかでのパニックストップにも対応しやすい。

 ただ、この自転車はツノを伸ばしすぎでしょ。グリップを握ると、キャスター角が実質上マイナスになりそうなくらいのロングホーンだ。
 そのためか、ちょっと不安定な、癖の強い操縦性だった。カナダのオリンピックロード選手だったルイ・ガノー(Louis Garneau)さんがテストライドしているわけじゃなさそうだ。

 アルミフレームのデザインや色はカッコイイし、シフトもブレーキワイヤも内蔵と凝っているし、シマノの新型コンポ、メトレアのクランクも似合っている。でも、カッコにひと目ぼれして買う前に、自分に乗りこなせるか、試乗したほうがいい。

ジャイアントMR4復活

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 長いこと部屋に放置していた折り畳み24インチロードバイク(ジャイアントMR4-R)を久々に復活させた。どれくらい久々かというと、昔、輪行用に買って、最後に使ったのは標高2360mの大弛(おおだるみ)峠に上ったときだから……、ガーン、もしかして、10年ぶりか。

 後輪のタイヤは、車重を受けて潰れ、リムから外れかかっていた。ビードにカタがついていて、ちょっと空気を入れると、そこだけよじれている。こりゃダメかと思ったが、指で押さえながら入れ直すと、治った。
 いちばん小さく畳んでいたので、サドル+シートピラーもペダルもない。どこだっけ、というか、これの純正品がどれだったか、それも忘れている。ジャンク収納から適当にみつくろって付ける。

 パンクするかもしれないので、忘れずスペアチューブを持つ。片側がフラットなシマノSPDのビンディングペダルを付けたが、スペアチューブだってひと昔以上前のものだから、歩いて帰ってくる可能性もある。出る直前に歩きやすい普通のシューズに履き替える。

 ファットバイクに乗り慣れちゃってるので、走りだすと、最初は小さくて、細くて、おっかなかったが、だんだん慣れる。Oh、ちゃんと走るではないか。
 10年間、油のひとさしもくれていないティアグラは、スムースに変速する。MR4はロングセラーで、現行型は105にグレードアップしている。でも、いまの105より昔のティアグラのほうが堅牢なのではないか。

 台湾KENDAの乗り心地もなめらかだった。とはいえ、幅25mm×24インチのスリックタイヤだから、幅10cm近いファットタイヤみたいに野放図には走れない。側溝と舗装路との境目などは要注意だ。こぎは軽いが、気疲れする。

 エアは適当に7kg入れた。あとでチェックしたら、指定空気圧はマックス6.3kg。今年一番の暑さだったのに、よくもった。予定した目的地まで行って帰って30km、つつがなく走る。
 室内保管とはいえ、10年放っておいたのに、朝、発作的に思い立って、なんとか走れてしまうのだから、自転車はスゴイ。クルマだと、エンジンがかかりっこないし、まず車検が切れている。物理的にも社会的にも走れない。


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 ボトムブラケットを中心にアルミフレームが二つ折れになる。横にパタンじゃなくて、クルンと縦に折れる。MR4の折り畳みは、BD-1と同じ方式。前輪を外すと、後輪がフロントフォークの中に入る。
 
 戻ってからタイヤを拭きながらよく見たら、リアのサイドウォールが一部、おたふくかぜみたいに膨れていた。チューブはもうだめだ。
 でも、とりあえずそこだけ直したら、また輪行用に使えそうだ。放置自転車を復活させると、気分がいいなあ。

カギが開かない

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 クロップスという自転車用ダイヤル錠。好みの3桁数字を設定して使う式で、コイルワイヤは最長180cmくらいまで伸びる。これ以上ないほど小さくて軽いので、1年くらい愛用してきたのだが、ある日、吉野家で牛丼弁当を買うときかけようとしたら、開かなかった。いくつか頭にあった数列の候補をぜんぶ試したが、開かない。結局そのときは使えなかった。

 でも、いまはこうして開いている。なんであのときは開かなかったのか。峠の帰りで、疲れていて、数字を勘違いしていたのか。ボケたのか。
 アナログメカだから、バグってことはない。もともとダイヤルの操作感はチャチイから、ガタみたいなことで、正しい数字を入れても開かなくなることがあるのか。
 
 いまでも理由はわからないが、アマゾンの商品レビューを見たら、開かなくなるトラブルが複数報告されていた。「ぜったい買っちゃダメ!」という書き込みもあった。そりゃあ、出先で使って開錠できなくなったら、やっかいだ。こっちが泥棒と疑われるし。


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 ダイヤル錠+細いコイルワイヤ式は好きなので、レビューを参考にしつつ、ドッペルギャンガーというブランドのカギに買い替えた。カラビナを使った4桁錠。だいぶつくりもよくて、いまのところ、不満なし。

 でも、こんなに細いワイヤロックは、あくまで気休めですね。「犬」シール程度。本気で盗ろうとするワルモノの手にかかったらイチコロだ。
 昔、『ET』を観て衝動買いしたBMXを空き地のフェンスにもたせかけ、かなり太いワイヤ錠(キー式)で金網につないでおいた。
 戻ってきたら、忽然と姿を消していた。放置のカドで、市の自転車保管所送りになっていたのだ。あの人たちも、電線を切断するようなワイヤカッターを持っているのである。
下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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