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書庫ノーモア・フクシマ

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要はやる気

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 前回の記事を書いたら、yon**bbさんから質問を頂きました。コメント欄には書ききれなかったので、以下、記事にしました。

 まず、今の産業を維持したり、発展させたりすることと原発の問題は切り離して考えないといけないと思います。なぜなら、人間は放射能には太刀打ちできないからです。放射能人間みたいな適応新人類が登場したり、スプレーひと吹きで放射性物質を無毒化する技術ができない限り、原発はもうつくるべきではないです。今回の事故で、ぼくは完全にそう考えるようになりました。

 以前、福島第二原発を取材したとき、万々が一、緊急炉心冷却装置と電源まで失った場合でも、それに備えた訓練は定期的に行っていると、責任者が言っていました。でも、結局なにもできなかった。

 原発事故対策の三原則は、「止める、冷やす。閉じ込める」と言いますが、福島で出来たのは「止める」だけです。しかもあれは自動停止が働いて止まったわけだから、正確にいえば「止まった」です。人間が能動的に行うあとのふたつはぜんぜん出来ていない状態です。故障したら、人間は放射能で近づけなくなるというのが、ほかの装置や施設にはない原発の一大特徴です。そんな不完全な機械って、ありですか。

 たとえ正常に運転していても、御存じの通り、原発からは核のゴミが出続けます。それは冷却して永久に地中で管理しないといけない。究極の“先送り”です。
 潜水艦や空母のような戦争の道具は、百歩譲ってそういうダーティ・フューエルに頼らざるをえないかもしれないけど、普通の人が日々使う電気が、何かあったら被ばくして命を賭ける作業員や、確実に汚染される周辺住民の犠牲のもとに生まれている。それでも産業が発展するんだから仕方ないとか、我慢してよとかいう話ではないと思います。

「脱・原発」というのは、今の原発をすぐ止めろという話ではありません。今あって使っている原発をなくす方向に舵をきっていこうということです。
 幸い日本の原発依存率は3割に届いていません。代替エネルギーが、太陽光なのか、風力なのか、いまアメリカが供与を申し出ているガス・タービンなのかわかりませんが、戦後これまで原子力発電に投下されたお金や知恵と同等の資本が振り向けられるなら、絶対になんとかなりますよ。

 CO2の削減ではつまづくかもしれませんが、今度の事故は皮肉にも放射能よりCO2のほうがマシだ、ということを世界に知らしめたと思います。

 自動車産業についていえば、日産マーチがタイ製になったことでもわかるとおり、日本が国内で価格競争力の高いクルマを大量生産する時代は終わりました。そっち方面はこれから中国やインドや東南アジアにかないません。日本の自動車産業は、もはや発展産業ではないと思います。
 食べ物でいえば、おいしいものをちょっといただくような、そういうクルマを日本がクリーンエネルギーでつくる。そんな自動車産業に転じていければいいと思います。                  

世論調査か世論誘導か

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 桜も咲き、今週末は東京都知事選だ。
 大手メディアの調査によると、4選を狙う現職が優勢らしい。
 てことは、新銀行東京問題や、東京オリンピック誘致失敗や、築地の移転や、アニメ規制などに都民は「NO!」と言わないのだろうか。直近では「津波は天罰」と言っちゃった石原都知事の失言という名の本音にも、ことごとく異議なしなのだろうか。

 たしかに、今回は対抗馬が弱すぎる。宮崎から、そのまんま東に帰ってきた人。何度も天下りを重ねる役人のことを“渡り”というらしいが、知事って、渡りでやるものか。

「わたみ」が、渡辺美樹の略だと知ったときはびっくりした。どれだけ“自分好き”なんだ。会社の経営者は、会社の経営をやるべきだ。だって、「和み亭」って、おいしくないもん。ジャパネットの社長はホントにえらいと思う。自分の会社の利益にしか自分を使わないもの。

 今回は、原発に反対している候補に入れようと思う。都民に電力を供給している原発がこんなことになっているのに、いま原発にNO!と言わないでいつ言うのだ。

 でも、今月初めに読売新聞がやった原発の今後に関する世論調査では、「現状維持」が最多の46%、「減らすべき」が29%、「すべてなくすべき」が12%だったという。本当かよと目を疑う。

 しかしまあ、電話の世論調査なんて、質問の立て方と“前説”次第である。「説明責任はあるか」と質問されて、「ない」と答えるのはむずかしい。なぜなら、“説明”という言葉そのものがポジティブな言葉だからだ。説明? そりゃ、なんだって説明するに越したことはないだろうとだれでも思う。説明を「釈明」や「弁解」に替えて質問したら、責任が「ある」と答える人はグッと減ると思う。

 新聞やテレビのような大手メディアにとって、電力会社は大クライアントである。たとえおわび広告だって、これからも立派な広告主である。そういう関係にあるメディアが、そもそも電力会社の今後に関する世論調査をする資格があるのか。世論調査なのか、世論誘導なのか、よく見極めないと。
                                          

矢貫 隆、被災地へ

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 ぼくらの業界も、震災後しばらくは自宅待機状態だった。新車の発表会や試乗会は軒並み中止。なんとかジャパンのようなインポーターの多くは、外国人の社長が地震と放射能を嫌って逃げ出した。国産メーカーも広報車の貸し出しをやめたところが多かったし、一時、スタンドは大行列だったから、借りたって“満タン返し”なんておいそれとはできなかった。

 地震後ほどなく、ジャーナリストの矢貫 隆さんから着信があった。こっちは無事だよとメールを送り返して、それっきりだった。
 そうだ、矢貫さんと一緒にクルマで東北へ行ってみようかと考えていたら、きのう電話があった。たった今、石巻から帰ってきたところだという。仙台と石巻にいる知人の安否を探りがてら、被災地を1週間歩きまわっていたそうだ。ウーム、行動力が違うわな。

 その生々しい話を今日、新宿アルタ裏の喫茶店で聞いた。隣でケーキ食べてるギャルの二人連れが、時折、固まっていた。

 被災者の、というか、被災者なのに心やさしい向こうの人たちに、心打たれるそうだ。自衛隊員の献身ぶりも目を見張るらしい。
 逆にムカつくのは、東京から来ているテレビや新聞の記者たち。東京ナンバーの黒塗りハイヤーで避難所に乗りつけて、被災者に「いま、足りないものはなんですか?」って。ならオメーら東京から何か運んでこいよ! と怒っておられた。

 津波で家がダメになった人はいるが、幸いにして知り合いはみな無事だったという。矢貫さんが持っていった支援物資は、挽いたコーヒー豆と水と、エスプレッソマシンとコーヒーミルとバーナー。以前、高尾山に登ったときに持ってきていたセットだ(写真)。まだ電気もガスも水道も来ていない避難所で豆を挽き、コーヒー好きに振る舞うと、ものすごく喜ばれたそうだ。
 矢貫 隆の震災ルポ、早く読みたいぞ。

地震後、初タマサイ

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 自転車で二子玉川へ行く。都内では桜が開花して、やっと春めいてきた。風もない。自転車日和だ。

 ニコタマは多摩川沿いの町だから、多摩サイを下る。中央道下から走ると、17km先の世田谷通りを渡るところで信号にぶつかるが、実はそこにも側道の人道トンネルがあるのを発見。それを使えば、二子玉川まで20数キロ、ノンストップで行けるのだ。そんなに長い距離、信号のない道路が東京にあるだろうか。多摩サイの価値とありがたみを再認識する。

 液状化した浦安の街並みを映像で見ると、今度の地震がたしかに“関東大震災”だったことがわかるけど、多摩サイの路上に地震の被害らしきものは見当たらなかった。河川敷に降りる区間は、台風の増水ですぐ冠水するが、地盤そのものは安定しているようだ。

 府中市内の河川敷で、一面、菜の花が咲いていた。去年はなかったよな。バラとカーネーションを見分ける能力はあやしいが、菜の花はわかる。鮮やかな黄色が心にしみた。
                                                                                                                                                                        

ヅラ広報官

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(黒部川第4発電所の発電機の軸。轟音を立てて回っているところへも立ち入れるのが、原発と違うところ)


 地震から2週間経った。早いなあ。
 大地震が起きて、津波が来たところはいくらでもあるが、そのあとに原発が壊れ、水素爆発を起こし、放射能被害を出している例は、歴史上初めてである。しかもそれが、世界で唯一の被爆国で起こった。その国の人間が、エジプトのエルバラダイに次いで、いま、IAEA(国際原子力委員会)のトップにいるというのも、神の啓示のような気がする。

 福島にある計10基の原子炉のなかで、唯一のプルサーマル運転、つまり最も凶悪なプルトニウムを燃料に使っている3号炉で、作業員ふたりが被ばくした。
 水たまりがあったという現場の放射性物質を分析したところ、原子炉から漏えいが起きている可能性が高い、と、原子力安全・保安院の広報官は言っていたが、ひとこともプルサーマルやプルトニウムという言葉を出さないのはなぜなのか。この期に及んで、記者の「被ばく」という言葉をいちいち「汚染」と言い換える神経。隠すのは、アタマだけにしなさい。だいたい、なんであの人、いつもニヤニヤしているのだろう。

 今日、防衛省からは大きなニュースがあった。米軍が大型の水タンク船の貸与を申し出たのだ。船から海上にパイプラインを延ばし、放水を海水から真水に切り換える作業を早急に始めるのだという。海水を使い続けると、原子炉が腐食する恐れがあるからだ。
 防衛大臣の記者会見のニュアンスだと、日本側から働きかけたというよりも、米国側から塩水の放水はやめるように強く要請があったように感じられた。

 現場の人たちの献身ぶりには頭が下がるが、長靴の人はOK、短靴だったので被ばく、といった事故の状況を知ると、一部現場の人たちのスキルは大丈夫なのか、当事者能力があるのだろうか、いや、ひょっとしたら、もう捨て鉢になってるんじゃないだろうか、なんて不安もよぎる。

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