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書庫「driver誌」峠狩り

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仙台の牛タン

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 今回の「ニコニコドライブ」は、仙台から蔵王まで走った。朝イチの東北新幹線で仙台へ行き、レンタカーを借りて、半日、市内をウロウロした。

 市街地を見下ろす青葉山があんなにデッカくて、自然の濃いところだとは知らなかった。てっぺんに仙台城跡がある丘陵地帯だ。
 東京駅から数kmのところにあんな山があったら、とっくに開発されてぜんぶ住宅地になっているだろう。朝から観光客で賑わっている仙台城の駐車場の下で、2日前に熊が出たそうだ。青葉山の西側には東北大学のキャンパスが贅沢に広がっている。今度生まれたら、ぜったい東北大に行こう! と思った。

 名物の牛タンを食べた。サンドウィッチマンお薦めの店とか、探せばいろいろあったのだが、時間がない。レンタカー屋のおにいさんが薦めてくれたチェーン店「利休」へ行く。開店10分前に着いたら、もう行列ができていた。

「利休」は最近、東京駅構内にも店を出して、昼夜を問わず賑わっている。牛タン弁当を買って、家で食べたことはある。

 でも、やっぱり本場の焼きたてはウマかった。こんなに分厚くても、牛タンにありがちな臭みがまったくない。量もオヤジには多すぎるくらいだが、肉類なのにヘルシーに感じるのが牛タンのいいところだ。脂身がないからだろう。
 人間もどんなに食いしん坊で太っていても、舌に脂肪はつかない。不思議だ。                                                                                                                                                        
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 尾瀬の入口、群馬県片品村のU旅館に泊る。「日本秘湯を守る会」の宿だ。金精峠で有名な国道120号沿いにあって、秘湯というムードでもないが、さすがにお風呂はよかった。
 館内は清潔だが、創業は明治末期。登山やハイキングの客が多いためか、サービスが、いい意味でビジネスライクでよかった。ベタベタしていないというか。

 予約サイト「じゃらん」でこの旅館を見ると、「ワケあり和室」という格安プランが載っている。普通の部屋は1泊2食付き1万円ちょっとだが、ワケありだと8000円台。民宿とそう変わらない。かといって、“出る”わけじゃなく、部屋の眺望が悪く、トイレが和式と、ワケありの理由も明記されている。
 取材はネタが命。ぼくひとり、その部屋に泊る。

 たしかに眺望はないが、なにしろ国道沿いだから、「driver」編集部班のノーマル部屋だって大したことはなかった。
 昔、長野県美ヶ原温泉の旅館に泊って、夜中、寝苦しくて目を覚ましたら、甲冑をつけた武士が畳にジッと座っていて驚いたが、そうしたOBK類も出現することなく、無事、朝を迎える。ただし、こっちのエグゾースト系がワケありだったため、用足しだけは洗浄便座付きトイレを借りにゆく。

 ちなみに、宿のホームページやパンフレットではこの「ワケあり和室」についてまったく触れていない。こういう企画を提案して、部屋の稼働率を上げてさしあげるのも予約サイトの仕事なのかと感心した。


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(とはいえ、写真で見ると、“ちょうちんOBK“が……)                                                                                                                                                           
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(「たくさんの失われた窓のために」内海昭子作。カーテンがからまっていたのが残念。)

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(「日本に向けて北を定めよ」リチャード・ウィルソン作。鳥居は作品じゃないけど、立派な現代アートに見える)

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「driver」誌の「ニコニコドライブ」で、新潟県の小千谷(おぢや)から長野市まで走る。
 取材車はミニ・クロスオーバーのジョン・クーパー・ワークスの4WD。ミニの“全部のせ”とはいえ、460万円もするのにビックリ。218馬力のハイパワーとはいえ、1泊2日のロングツーリングでリッター9kmいかなかったことにもビックリ。そりゃ速いけど。
 
 ジョン・クーパー・ワークスだから、足まわりはガチガチ。リアシートに座っていると、高速道路の継ぎ目でたまにお尻が宙に浮く。この硬さ、何に似てるって、ラバーコーンのクラシック・ミニにそっくり。やっぱり、血は争えない?

 豪雪地帯で有名な十日町周辺では、道路脇や公園や田畑や山の中に、忽然と現代アート作品が姿を現す。「大地の芸術祭の里」として、町おこしをやっているのだ。東京23区くらいのところに約170の常設展示作品がある。地図を片手にクルマで巡るのにちょうどいい密度である。
 現代アートがなくたって、里山や田んぼや川がめちゃめちゃきれい。この夏休みにいかが。


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(「まぐろ中落ち定食」関越道・小千谷インター出口斜め前にある居酒屋「かんちゃん」作。うまいのなんの。しかもこのボリュームで800円)                                                                                                                                                                          

富士山、どうなる!?

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 80年代に相楽(さがら)なんとかという人が「富士山大爆発」という本を書いた。いっとき話題になってテレビに出たりしていたが、その後は一転、マスコミから総スカンを食って、消えてしまった。バブルに向かってイケイケドンドンのときに縁起でもない話、しなさんな、空気読めよ! ということだったのだろうか。

 同じような時期に、同じような扱いを受けたのが「危険な話」を書いた広瀬 隆だ。
 しかし、日本の原発は広瀬 隆の言っていた通りになった。富士山も、遠からぬ噴火を予測する学者がいまや白眼視されることはない。なにしろ(地球時間的には)たったの300年前に噴火している活火山なのだ。
 
 麓の住宅街で温泉が吹き出したり、箱根大涌谷で震度5の局所地震が起きたり、中腹で水蒸気が上がるのを撮影されたり、つい最近は立ち入り禁止の林道で大規模な地割れが発見され、先週は三宅島で大きな地震があった。
 でも、こういうのが火山のいいところだと思う。なんの前兆もなく、いきなり大噴火することはまずない。備えができるという意味では安心だ。

 謎の水量激減に見舞われている河口湖のお隣、山中湖から相模川沿いに河口まで走るというドライブをした。相模川の水源は山中湖だった、なんて、今回のニコドラ取材まで知らなかった。
 
 発見した相模川への流出ポイントは、仕事でよく通りかかるところで、ちゃんと看板も出ていた(写真上)。知ろうとしないと知らないことって多い。ていうか、知らないのは、知ろうとしないからである。
 河口湖と地下水脈でつながっているといわれる山中湖も以前より水は少なく、流出口は淀んでいた(写真下)。水量が増えるのは、この先の忍野八海(おしのはっかい)で富士山の伏流水をもらってからだ。
 忍野八海には初めて行ったが、土産物屋に占領されているような観光地だった。「隕石あります」には笑ったけど。


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(山中湖から生まれたばかりの相模川。ただし、相模湖までは桂川と呼ばれている。河口の平塚までは109km)

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(最後に平塚漁港近くの食堂で「港めし」を食べる。見ても食べてもうまい)                                                                                                                                               

もったいない図書館

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「driver」誌のニコドラ取材で、福島県の矢祭町へ行った。県の最南端。東北地方の入口にある小さな町だ。
 人口6000人。国道118号が直線で抜ける写真のところが町一番の繁華街。観光名所も冬場はとくに見るべきものがない。

 でも、「やまつり」の名は全国に知られている。国策の平成大合併に反旗を翻して、「合併しない町宣言」をした。住基ネットへの加入は今でも拒否している。
 10人の町議員は1日3万円の日当制で、年間でも100万円にしかならない。当然、みんな本業を別に持っている。その日たまたま泊った1泊6300円の旅館の若女将が、町でただひとりの女性議員だった。

 町に図書館がないので、要らない本を下さいと呼びかけ、武道場を改修してつくったのが、「矢祭もったいない図書館」。いわば古本の図書館なのだが、きれいな館内に古本のニオイはしない。開架書庫に7万冊といえば、ウチの近所の市立図書館と変わらない。

 ざっと書庫を見てきた「driver」編集部のS君が、ふつうの図書館より、読みたい本がたくさんあると言っていた。一度はお金を出して読みたいと思われた本ばかりが並んでいるからだ、というのが彼の分析。なるほど、たしかに古本って、そういう本である。

 古本屋で自分が書いた本をたまに見つけると、フクザツだ。見てはならないものを見てしまったような、落ち着かない気分になる。
 でも、S君理論に従うと、なにもそんなに恥ずかしがることはないわけである。きょうび、お金まで出して読んでいただけた本がそこにある。コソコソっと自分で買ってしまうようなことはもうせんとこと思いました。

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