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奥只見へ行った。新潟/福島県境の秘境だ。 「奥只見シルバーライン」というおもしろい道を走る。奥只見ダムまで22kmの県道なのだが、そのうち18kmがトンネル(計19本)の中。有料道路っぽい名前だが、無料化されたのは1977年。正体は1957年に完成した奥只見ダムの建設工事用道路、という珍しい生い立ちの道である。 8割以上が土中とあって、雪にも水害にも強いのはいいのだが、なにしろ半世紀以上前の基本設計だから、トンネルの中は狭いし、暗いし、水も出ている。素掘りの岩にコンクリを吹きつけただけの雰囲気からしてものものしい。石原裕次郎主演「黒部の太陽」のころの時代感だ。若葉マークの人にはお薦めしないが、“道路好き”なら一見の価値ありです。 自動車専用道路で、バイクも自転車も歩行者も通行禁止。ただし、見張りはいないため、確信犯的に入ってくるバイクがたまにいる、と、バカでっかい大型テレビがある管理事務所の人が言っていた。 観光バスやダンプも通る。バイクはともかく、自転車での横紙破りは自殺行為だと思うが、でも、昔の「東京〜糸魚川ファストラン」の終盤って、こういう青の洞門的トンネルの連続だったんだよなあ、ということを走りながら思い出した。 |
「driver誌」峠狩り
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外房180kmを完走した。部分的に走ったことはあるが、房総半島の先っぽまで一気にドライブしたのは初めて、というか、そこが洲崎(すのさき)という場所であることも今回のニコドラ取材で初めて知った。 洲崎はすばらしいところだった。断崖ではなく、海面に近い低い土地が最後はのどかな岩場で終わっている。対岸は三浦半島、空気が澄んでいれば大島や富士山や伊豆半島が見える。何人かが磯で静かに釣りをしていた。 なんたってすばらしいのは、これほど有名な半島の最果てで、しかも首都圏から近いのに、堤防も柵も遊歩道も土産物屋もないことだ。人はもちろん、クルマだって、波しぶきをかぶるような水ぎわまで行ける。 今まで全国各地、いろんな岬を見てきたが、これほどほったらかしになっている岬も珍しい。あれするなこれするなの日本にあっては、奇跡みたいな場所である。 なんでこんなに平和で美しい岬が残されているのか!? それはここが私有地だからである。そこを海浜庭園として一般に開放している。ひとり100円、クルマ1台200円を取られるが、よほど太っ腹な地主なのか、平日のこの日は、入口に料金箱が置いてあるだけだった。 海岸を見下ろす位置に建つ二階屋の大きな住宅は貸別荘。1泊(5名まで)4万円より。 しかし、岬の一帯なんぞを私有できるものなのかと思うが、国境の島を私有している人もいるのだから、問題ないのだろう。 洲崎だって、これが公の土地だったら、とっくに開発の手が延びて整備され、どこにでもあるつまんない観光岬になっていたと思う。 自然のままの洲崎よ、永遠なれ。 |
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伊豆大島へ行った。大島は何度目かだが、今回は初めて調布飛行場からの新中央航空に乗る。 緯度でいえば伊豆半島の下田とほぼ同じ位置にある島に空路で行くのは贅沢だが、この離島便なら羽田からのエアーニッポンより安い。往復割引で1万7800円。しかも調布からだと距離が短いので早い。往路などは滞空時間わずか25分だった。調布飛行場はウチからクルマで20分。ぼくの場合、いちばんディープな大島アクセスがいちばん便利なのだ。それになんたって、日本じゃこの航路でしか飛んでいない双発ターボプロップのドルニエに乗れるのである。ドイツ機だぞ。前の晩は遠足前の小学生みたいに興奮して、よく眠れなかった。 都心スタートの「driver」編集部班は竹芝桟橋からの高速船。それだと1時間45分かかる。 大島便は1日3往復。機体は19人乗りで、朝9時初の始発便に乗ったのは13人。平日だから観光客はいない。乗り慣れたサラリーマンふうばかりだった。 荷重にシビアな小型機とあって、搭乗カードに体重を書かされる。荷物は5kgまで無料。それ以上は1kgにつき170円とられる。乗客の体重制限はないから、太っている人ほど運賃は割安な理屈だ。お金さえ払えば、自転車も載せてくれる。これからの季節、大島サイクリングはお薦めだ。 チェックインしても搭乗券は出ない。自由席かなと思ったら、乗り込む前にひとりずつ名前を呼ばれて席を指定される。申告体重に基づいて、バランスを考えて座らせるのだろう。 座席は通路を挟んで縦2列。どなたさまも窓側であり、通路側だ。機内はなかなか居心地がいい。 4気筒のスポーツカーみたいな加速で離陸すると、景色の素晴らしさに圧倒される。低いところを飛ぶVFR(有視界飛行)フライトならではだ。そのかわり、低い高度に厚い雲があれば欠航。地上職員に聞くと、就航率は8割くらいだそうだ。 大島1周道路は約40km。クルマなら1時間もあれば1周できる。 調布からの始発便だと9時半には空港の外に出られる。最終の調布行きは搭乗手続き締切が15時40分。レンタカーで島をめぐって、おいしい寿司を食べて帰る、なんていう“旦那な”ワンデイトリップもできそうだ。ヨメさん孝行にいいかな、とも思ったのだが、翌日、調布に戻ってきたときにはそんな空想も消えかかっていた。 揺れるのだ。往きも帰りも、大島の近くではかなり揺れる。高翼機で安定しているはずなのに、「そうくるか!?」というような縦揺れをする。 これまで取材でいろんな空の乗り物に乗った。パラシュートを背負わされて、アクロバット機で宙返りやきりもみやハンマーヘッドも経験した。そんな体験をしていても、瞬間的に高度を失う小型機特有のあのヒュワッとした落下感を、ワタシは認めない。訴えてやる! ま、時間的には短いとはいえ。 調布に降りてから、同乗の中年男性に「いつもこれくらい揺れるんですか」と聞いたら、「子どものころは、あんなもんじゃなかったよ」とのこと。子どものころから調布〜大島便に乗っているのか……。昔はもっと小さな機体だったろうから、そりゃもっと揺れただろう。 知る人ぞ知る、乗る人ぞ乗る。実にディープな航路である。 |
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今月のニコドラは、伊豆半島一周。 熱海から沼津までグルっと巡ると、かるく260kmはある。漫然と走っても仕方ないので、可能な限りたくさん岬を見て回った。「岬イッキ見」だ。 いちばんきれいだった奥石廊崎「あいあい岬」の近くでは、漁港から渡し船に乗った。シュノーケリングの隠れた名所で、歩いては行けない浜があり、そこを小さな乗合船が往復しているのだ。片道5分。往復で1000円。暑かったこの夏は大忙しで、1日100往復したという。いろんな商売があるもんだ。儲かっただろうな。 伊豆半島の先っぽ、石廊崎周辺に行ったのは初めてだった。もっとド田舎なのかと思ったら、そうでもなかった。内陸の過疎地と違うのは、小さな子供をけっこう見かけること。しかもみんな元気がいい。 あちこちにやたら猫がいるのもおもしろかった。野良猫なのだろうが、漁港が多いせいか、エサには困らないらしく、さわれないけど、遠くへは逃げない。カメラを向ければポーズくらいとってくれる。 それで、勝手に決めた伊豆半島、岬ベスト3は、以下の3ヶ所でした。 |
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かつて自転車レースもやっていた四万温泉に行く。「しまおんせんに行った」と言うと、「エッ、四国に行ったの!?」と四万十川に間違われるが、群馬県の奥にあるひなびた温泉だ。 温泉街のなかでもいちばん古い「積善館」に泊まる。本館部分は元禄時代に建てられ、「千と千尋の神隠し」に出てくる何かの建物のモデルにもなったらしい。宮崎アニメを観ないのでわからないが。 その由緒ある本館に泊まった。古いと汚いは違う、と言うけれど、あまり古くなると“汚い”と変わらなくなることを痛感。壁のシミが怖かった。浴槽が5つもある大正ロマネスク風のお風呂はよかった。 四万温泉へは国道353号が延びるが、その先の新潟県境部分は道が途絶え、不通区間になっている。しかし、R353は苗場の裏手から再び出現し、柏崎まで延びる。分断国道のナゾを探る、というのが取材のテーマだった。 理由のひとつは、トンネルを掘るのに意欲的だった小渕恵三元首相が亡くなったことである。小渕は麓の町、中之条の出身だ。
中之条から吾妻川沿いに行くと、有名な八ツ場(やんば)ダムがある。中之条のガソリンスタンドで御主人と話していたら、「小渕サンは八ツ場で大儲けしたんだよ」と言っていた。建機のリース会社をつくって、その需要を独占したんだとか。自民党歴代首相のなかではクリーンなイメージがある人でも、やっぱりそんなもんかと思った。八ツ場ダム建設続行を掲げた中曽根元首相の息子が参院選で当選したが、まだまだおいしい食べ残しがあるってことなのだろうか。 |


