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書庫「driver誌」峠狩り

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『寺内貫太郎一家』の樹木希林(悠木千帆)じゃないけど、「ジュリー〜〜、尊敬!」

 さて、『峠狩り』では毎回必ず“峠めし”を紹介する。旅先でおいしいものを食べるというのは、東海道五十三次のころから日本人の趣味だった。“食”は旅の大きなモチベーションになるし、早朝から動いているぼくらも当然、昼めしは食べたい。
 
 ところが、峠のてっぺんに食事処があるようなメジャー峠は滅多に取材しない。たいていは麓に下りてから探すのだが、となると、ランチの時間が終了していることが多い。

 今月号、長野県「高ボッチスカイライン」の回もそうだった。標高1600mから松本市内に下りて、目星をつけていた店に行くと、まさかの臨時休業(地方の個人営業ではありがち)。いちばん遅くまで開いているはずの店だったから、ほかにオプションがない。どうしよう。ここまで来て、ファミレスはないだろう。
 と思っていたら、カメラマンのダン・アオキがスマホで発見した店がこれ。


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 塩尻市に入った国道19号沿いの「食堂SS」。昔、ブルーバードSSS(スリーエス)っていうのはあったけど。
 午後の休みなしでやっているありがたいショーワ食堂だ。


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 入るなり、お品書きの数にびっくり。いま数えたら、最上段だけでもざっと60品はある。
 そこそこ広い店内は、そこそこ満席。店のおばちゃんは親切で、厨房は活気がある。



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 どんなにメニューがたくさんあったって、このトシになると、そんなに食べられない。焼肉定食をたのむ。いや、しょうが焼き定食だったか。とにかく両方ある。ともに860円。どっちかわからないけど、うまかった。

「普通定食」(590円)って、なんだろう。隣のテーブルで食べているカレーライスの器がラーメン丼みたいにデッカくて、うまそうだった。また来たい。
 でも、こういう食堂、ヨメさん連れてきてもぜんぜん喜ばないんだよなあ。あたりまえか。

松姫峠の偉人

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 前連載「ニコニコドライブ」の取材で山梨県の松姫峠を越えたとき、峠をアンダーパスする松姫トンネルの工事がたけなわだった。
 峠の北側を管轄する小菅村役場に話を聞きにいって、トンネルが出来ても旧道を廃道にしないで下さいねと役場の若い人に言ったら、「ハイ、村長に伝えておきます」と笑いながら答えた。
 よーし、本当に伝えるんだな、村長に。じゃあ、何月何日、何時何分に伝えるんだ!? というネタを昔、ウッチャンナンチャンがやっていたっけ。


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 あれから6年、今月号の「峠狩り」でまた松姫峠を訪ねた。そう、2014年秋に長さ3kmのトンネルが完成したあとも、旧道が残っているのです。
 ただし、小菅村側だけ。大月市が管理する南側はロックアウトされ、車両通行止めになっている。村長に伝えてくれたんですね(笑)。
 まじめな話、山梨県北都留郡小菅村にとって、武田信玄の娘、松姫が織田信長の軍勢に追われて越えたとされる松姫峠は、数少ない観光資源なのである。


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 旧道を上っていくと、ユーノス・ロードスターを止めて、掃き掃除をしている男性を発見。なんだなんだ!?
 話を聞いたら、松姫峠が好きで、40年前から通っているという人だった。自宅は湘南。片道100km。圏央道が出来てからも下道(したみち)を走ってくる。
 狭い峠道を気持ちよく、安全に走るために、毎回、持参のホウキでこうして落石や落ち葉を掃いている。
「松姫峠の偉人ですねえ」と言ったら、「いえ、私利私欲ですから」。でも、地主さんには感謝されているそうだ。


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 大月方面から松姫峠へ向かう国道139号は、平将門の時代からの古い街道らしい。
 道もローカルでイイカンジだ。とくにこのS字カーブはスパ・フランコルシャンのオールージュ・コーナーみたいで、いつも見惚れます。

峠の橋

 夏休み中に出る10月号なので、今月号は観光峠の日光霧降高原へ行った。


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 出発前に、JR日光駅を表敬訪問。大正元年(1912年)につくられた大正ロマンな駅舎。

 駅舎の保全だけでも大変そうだが、太っ腹にも2階のホールを無料開放(入場券不要)している。御記帳もできます


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 かつては一等客の待合所だったという“ホワイトルーム”。磨き込まれたフローリングにガラスのシャンデリア。斧持ったジャック・ニコルソンが階段を上がってきそう。


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 霧降(きりふり)高原へ向かう栃木県道169号は、2006年まで有料道路だった。料金所の遺構は残っていないが、突然、路肩が広くなっているので、すぐわかる。終点の大笹牧場までは16km。


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 旧霧降高原有料道路でいちばん高いところに架かる六方沢(ろっぽうざわ)橋。有料道路開通の1976年に出来たきれいなアーチ橋だ。
 標高1433m。峠のトンネルならぬ、“峠の橋”ですね。

「峠狩り」の取材では、峠(頂点)がトンネルの場合、可能な限り自分の足で歩いて通り抜けることにしている。
 天気もいいし、ぼくは火野正平ではないし、景色を楽しみながら峠の橋をさあ渡ろう。


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 と思ったら、見てのとおり“忍び返し”までついた後付けの転落防止柵が眺望を台無しにしている。
 工事のおにいさんに「これ、邪魔ですねえ」と言ったら、待ってましたとばかり、いろいろ教えてくれた。
 数年前に茶色の部分を増設したものの、それまで毎年平均20人だった飛び降りの数は、まったく減らないそうだ。


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「あれ、なんだかわかりますか?」と言って、橋の真ん中3ヶ所にある観音開きの鍵付き扉を指さした。
 事故の際、130m下の沢からボディを引き上げる収容ドアだという。峠の橋もタイヘンだ。


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 観光道路だから、道は悪くない。大笹牧場エリアに入ると、視界が広がって、快適なダウンヒルになる。
 
 この沿線の勾配標識は、パーセンタイルの数字がコンマひと桁まで記されている。一般道ではまず見た記憶がない。
 クルマやバイクなら関係ないだろうが、自転車だと「8%」と出ていても、8.0%と8.9%では歴然と違うので、サイクリストフレンドリーな表記かも。
 登るときは登るっきゃないんだから、何パーセントだろうが関係ないよ、という見方もありましょうが。

塩尻峠再発見

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 今月号は、長野県の真ん中、諏訪湖を見下ろす塩尻峠へ行った。東京 日本橋から塩尻へ延びる国道20号の最後の峠だ。


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 諏訪湖は天竜川の源流である。その蛇口になっているのが、釜口水門。ブルドーザーのブレードのような構造物6基で流出量を調節している。


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 生まれたての天竜川の水面と、諏訪湖の湖面との差は、最大で3.5mにもなる。膨大な諏訪湖の水を、人工の水門が堰き止めている。人間って、畏れ多くもスゴイことやるもんだなあと、見てて感心する。諏訪湖に来たら、ぜひもんのお薦めスポットです。


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「東京〜糸魚川ファストラン」に出ていたころ、毎年5月末に自転車で上ったのが塩尻峠だ。
 正味3kmあまりと、長くないし、道は広いし、勾配はゆるい。“坂柄”(さかがら)のいい峠なのだが、麓の諏訪湖ですでに150km走っているため、暑い年はけっこうツラかった。朝の3時4時にスタートすると、このあたりが真昼なのだ。

 だから、峠の眺望なんて、考えたこともなかったのだが、今回、初めて歩道橋に上がり、来た方向を振り返ると、なかなかの絶景が広がっていた。
 湖を含めた諏訪盆地が一望できる。ふだんだれも通っていない立派な歩道橋は、そうか、展望台だったのか! 8月の諏訪湖花火のときなんか、見物客で鈴なりになるんでしょうね。
 標高1014mの塩尻峠は分水嶺で、てっぺんの南側に降った雨は太平洋、北側は日本海へ注ぐ。


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 塩尻へ下りて、峠めしは名物の山賊焼。名前は「焼き」だが、鶏モモを骨付きで揚げたもの。地元居酒屋の名物メニューが広がったらしい。
 名前に合わせて、“焼き”で出す店もある。ワタシはもうそっちでいいです。

トーキョーの村の峠

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 梅雨時の「峠狩り」取材は悩ましい。雨だと、誌面が暗くなってしまうし、最悪、峠がガスに包まれていたら、取材不能である。

 天気予報が冴えなかったので、あまり高くない峠。しかも、そこがだめでも、近くにスペアがあるところ、というわけで、今月は、東京都唯一の村、檜原(ひのはら)村の時坂峠へ行った。


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 標高573mの頂上までは、ウチから45km。クルマでも自転車でも何度か出かけたことがある。
 絵に描いたような「峠の茶屋」や、祠(ほこら)がある頂上には、人の気(き)を感じるし、狭い峠道には古めかしい石垣の土留めが多いし、初めて訪れたときから「ムムッ、デキる!」と思っていた。
 それもそのはず、今回、檜原村役場で話を聞いたら、なんとこの道、かつて武蔵府中から甲斐へ抜ける甲州古道の一部だった。

「峠」というのは、人工物である。人が切り拓いた山越えルートの頂上が、峠だ。天然自然に出来た峠なんてない。だから、峠はウソつかないのだ。


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 今回の峠ぐるまはプリウスPHV。420万円もするのか。
 総ヒノキ張りのトイレがある檜原村役場には急速充電器がある。しかも、役場の人に声をかけると、充電代はタダ。つまり、檜原村民がオゴってくれる。

 観光協会で時坂峠の話を聞いているあいだ充電させてもらう。
 機械は動いていたが、30分の一充電が終わって、クルマのバッテリー残量計を見ると、なぜかひとコマたりとも増えていなかった。
 プラグインハイブリッドだから、笑い話ですむけど、電欠寸前で辿りついた100%EVだったら、オーマイガ!だな。
 でも、EVってまだこれくらいかも。
下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
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