ここから本文です

書庫チェロ好き達の宴

記事検索
検索

自爆チェロ

イメージ 1

  今日は八王子の北野ホールで磯野正明チェロ教室の発表会。トリのアンサンブルにまた参加させてもらう。

「浜辺の歌」は、ハイノートが続くメロディパートで、ついに親指ポジションが出てきて往生する。親指の側面で弦を押さえるのだ。で、残りの4本でさらに高い音を取る。指板の下端に近い高音に、いきなり飛ぶ難所もある。バイオリン属の楽器は、フレットがないので、そういうとき、とくにむずかしい。あてずっぽうでやると、ひどい音痴になる。いくらアンサンブル(合奏)とはいえ、メロディの音痴はバレバレだ。
 どうしたもんかと思っていると、いいことを発見した。指板についた松ヤニをあえて拭き取らないでおく。そうすると、最高到達音のところまでは指板がきれいになっている。それを目印にするのである。

 ところが、本番のとき、強い照明を受けたら、松ヤニの白い粉なんて、トンでしまって、なーんも見えなかった。でも、なんとかしのいで、事なきを得る。

 オオトリの定番は、30人による「星に願いを」の4重奏。毎回、違うパートをやらされるが、合わせるのはもう3回目なので、みんなそれなりに上達している。ぼくの場合、弾きながら磯野先生の指揮をチラ見する余裕が初めて生まれた。実は各パートにボディランゲージを送っていた先生の指揮が、夜のヘッドライトみたいにありがたいということも初めて知る。
 30台のチェロが出すパワーは、ちょっとしたものである。フェラーリやランボにだって負けていない。弾きながら、感動する。

カサド・コンクール

イメージ 1

 八王子でやっているカサド・コンクールの予選を聴きにいった。スペインのチェリスト、ガスパール・カサド(1897〜1966年)の奥さんが日本人ピアニストであったことから、八王子市が名乗りをあげて復活させた若手チェリスト発掘の由緒ある国際コンクールだ。

 前回より多い57人が一次予選に集まった。そのうち7割が海外からの参加だ。外国人には、最高1000米ドルの交通費と滞在中の宿舎が提供される。優勝賞金は150万円、2位80万円、3位50万円。審査員にはアルト・ノラス、アラン・ムニエ、堤 剛、倉田澄子といった国内外の有名チェリストが名を連ねる。つまり、お金のかかる文化事業をこんな苦しい時期によくやったと思う。八王子市、エライ! さすが荒井由実のふるさと。
 八王子はかつて織物産業で栄えた古い町である。荒井由実の実家も、甲州街道沿いの荒井呉服店だ。そういうところにはパトロン・メンタリティのエスタブリッシュメントが多く住んでいる。ぼくの知り合いにもいて、コンクールのお役やボランティアをやっている。

 聴きにいったのは、いちょうホールで開かれた予選初日。たぶん昼は休憩が入るだろうと考えて、1時ちょっと前に着いたら、お休みは1時半からで、75分も中断する。結局、1時からのひとりだけを聴いた。
 コンクールの予選を観たのは初めてだが、やっぱりコンサートとはひと味違う緊張感がみなぎっている。「演奏終わったんだから、手たたけよ、そこのガイジン!」と思ったら、アルト・ノラスではないか。あなたの「白鳥」、iPodで愛聴してますけど、審査員だから手たたかないわけね。といった雰囲気なので、ひとコマで引き揚げた。予選は入場無料の太っ腹だから、後ろ髪をひかれることもない。

 でも、たまたま行き当たった松尾宏隆さんの演奏はすごくよかった。「1981年以降の生まれ」が参加資格だから、トシいってても28歳。現在はアメリカで活動しているという情報しかないが、まずチェロの音がすばらしい。ホント、どうやったらあんな濁りのない音が出せるのだろう。いいチェロの音というのは、弾いているのではなくて、吹いているように聴こえる。サックスかなんかを。
 持ち時間35分のあいだに、課題曲(ピアノとのソナタと、チェロの独奏曲)の中から数曲を選んで弾くのだが、この人はバッハ無伴奏チェロ組曲4番のプレリュードとサラバンドをやった。4番のプレリュードなんて、プロだって滅多にやらない難曲なのに、鳥肌立った。いままで生で聴いたバッハ無伴奏のなかでもいちばんよかったかもしれない。まさか優勝したりして。

 天気がいいので、家から自転車で行った。ひとつわかったこと。たとえ予選でも、サイクルウェアで演奏会場にいると、浮く。そもそもホール入口に立っていた男の係員に「カサド・コンクールの予選ですか?」って聞かれたもん。カサド・コンクールの予選しかやってないだろ。

パッヘルベルのカノン

イメージ 1

 3連休の最後は、チェロの日。Mさんが来宅して、楽しくセッションする。合わせたのは、パッヘルベルの「カノン」と、ヴィヴァルディの「チェロ・コンチェルトRV531」。

 カノンは最近やたらとテレビコマーシャルのBGMに使われている。今回の譜面はチェロ4重奏用なので、ふたりでやってもあまりパッとしない。というか、ぼくらのウデには、曲が難しすぎる。
 Mさんとは、ほぼ同じチェロ歴である。ぼくらが始めたころ、自動車業界にはもうひとりチェロのレイト・スターターがいて、ぼくはこの現象を「同時多発チェロ」と呼んでいた。自分が気に入った物事をやたら他人に薦める癖がぼくにはあるようで、そのころちょっと楽器ゴコロのある人に会うと、「チェロおもしろいよ」と吹聴していた。それは「カバタの無差別チェロ」と呼ばれていたらしい。

 ヴィヴァルディのチェロ・コンチェルトはもっと難しい。やったのは第一楽章のアレグロだから、ほぼ全編16分音符攻撃。カノンみたいに長い音でハーモニーを響かせる部分がない。しかし、技術は不自由でも、感動するのは自由だ。たまに和音が響いて「ヴィヴァルディ、スゴイ!」と、Mさんと感心する。

 クラシック音楽を演奏するというのは、時を経ても廃れなかったその作曲家の作品に触れさせていただくということである。アドリブいのち、つまり、その場でプレイヤーが作曲するジャズやロックと違って、クラシックの世界では、だからあくまで作曲家が主、演奏家は従である。音楽を聴くだけでも、もちろん作品に触れられるが、譜面どおりに演奏したり歌ったりすると、さらにもっと深く触れられる。クルマでいえば、助手席から運転席に移って、自分でハンドルを握る、みたいなことだろうか。

 夜まで、ほぼ4時間みっちり弾く。左手の人差し指に新しいタコができて、痛かった。

一橋のデュプレ

イメージ 1

 一橋大学の文化祭に行った。FC東京サポーターのヨメさんは、初日にあった倉敷保雄アナウンサーのトークショーを聞きにいった。昔から「一橋祭」は、地元住民がフラッと気軽に足を運べる文化祭である。

 クラシックの音楽サークルがやっている「名曲喫茶」に入る。学生の管弦楽団が入れ替わり立ち替わり出てきて生演奏を披露する。音大じゃないのに、みんなソコソコ以上にうまい。これでコーヒー150円は安い。

 3組目に出てきたのは、女子学生によるチェロの独奏だった。演目は、なんとあの「エルガー・チェロ協奏曲」の第一楽章である。
 
 協奏曲(コンチェルト)とは、独奏楽器がオーケストラと共同演奏することである。ピアノ・コンチェルトなら、ピアノ+オケ、バイオリン・コンチェルトなら、バイオリン+オケ、ホンダ・コンチェルトはクルマである。

 コンチェルトを、独奏楽器だけでやるというのは、聞いたことがない。しかも、エルガー作曲のチェロ・コンチェルトといえば、英国の天才女流チェリスト、ジャクリーヌ・デュプレが一躍有名にした難曲だ。なかでも出だしから圧倒される第一楽章を、チェロだけで演じるというのは、いったいどういう料簡なのか。

 キリッとした目をした女子学生のエルガーは、独奏用に何かアレンジしたわけではなく、チェロのソロ・パートをただ無伴奏で弾くというものだった。たぶん、この曲が大好きなのだろう。
 
 しかし、演奏ははっきり言って、ヘタっぴである。音程は悪いし、リズム感もあるとはいえない。休符も、ちゃんとカウントするわけではないから、演奏はブツブツ途切れる。いくら好きでも、ふつうは人前に出てきてやらないだろうなというレベルである。

 ただ、感心したのは、一音一音をはっきりと出すことである。音程は悪いけど、ごまかす気配はさらさらなく、けっして上滑りしない、実のある音を常に出している。とくに低音域のアタックはデュプレもニコッとしてくれそうだ。
 そうやって10分近く、堂々と最後まで弾ききった。ある意味、今まで生で聴いたどんなエルガーよりも印象に残る演奏だった。

 つくづく思ったが、演奏でいちばん大切なのは、“押しの強さ”なのである。「とにかくワタシの演奏を聴いてくれ」という気迫や情熱が、なにより肝心なのだ。それは“うまいへた”よりも、たぶん大事なことなんだろうな。
 一橋のデュプレに「ブラボー」一枚!                                                                                                                               

チェロ大アンサンブル

イメージ 1

 締切ど真ん中にあんまり大きな声では言えないが、きのうは八王子の北野ホールで発表会。チェロ35台の大アンサンブルに参加する。磯野正明チェロ教室発表会のオオトリ演し物で、ぼくは門下生じゃないのだが、知人の紹介で図々しくも去年から混ぜてもらっているのだ。

「おくりびと」と「星に願いを」の2曲だけだったので、練習不足をなんとかごまかしてしのぐ。隣の譜面メイトが市民オケの人で、いろいろ気を遣ってもらう。上手い人って、下手なやつがすぐわかっちゃうんだな。

 演奏終了後、来年5月30日にチェロ大アンサンブル祭りみたいなイベントをやると、先生から発表があった。なんといちょうホールの大ホールをおさえたという。いちょうホールといえば、八王子の“武道館”ではないか。タイヘンなことになってきた。まさかイトイガワとかち合わないよな。

下野康史(かばた・やすし)
下野康史(かばた・やすし)
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

過去の記事一覧

本文はここまでですこのページの先頭へ

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン

みんなの更新記事