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ファットバイクで和田峠に上った。東京都八王子市と神奈川県相模原市の都県境にある激坂峠だ。 1本北側にあって和田峠に下りてこられる醍醐林道はファットで何度か走ったが、和田峠を上るのは初めてだ。陣馬高原下バス停から峠まで3500m走って、364m上がる。つまり平均勾配10%以上。きついところは18%とか20%とか言われる道を、車重16kgの自転車で走ろうとはフツー思わない。でも、2015年の締めくくりだあ! と思って走った。土曜日は天気もよく、気温も高めだったし。 ファットバイクだと、入口の茶屋まで上がって来るのがすでにひと仕事である。途中、ロードバイカー数人に追い越される。和田峠は相模原市側の路肩が崩落して、1年以上前から通行止めだったが、この日は峠入口にその旨の看板が見当たらない。開通したのだろうか。 ホントにのぼんのかよ……。自問自答しながら峠道に入る。当然ながら、最初からギアはインナーロウエスト。坂に気づかれないようにコソコソのぼる、の境地でひたすら脚を回す。そうやって体には負荷をかけない作戦だから、問題は「心が折れるかどうか」だけである。 最後に八王子側のキツイ和田峠をロードバイクで上ったのはいつだろうか。思い出せないくらい前だ。長い自転車人生でも、全部で5回は上っていないと思う。 序盤から壁みたいな急勾配が現れる。全面舗装だが、クルマはすれ違い困難な幅員だ。しかし、どんな超スローペースでもファットバイクはフラつかないのがありがたい。転がり抵抗の大きさといったら、ロードバイクタイヤの何倍か何十倍かだろうが、そのかわり、超低速直進安定性のよさは何倍か何十倍かだろう。損もあったら、必ず得もあるのが原動機の力を借りない自転車のフェアなところである。 終盤は多少、ゆるくなるが、終わりそうで終わらないのがこの峠道のイヤなところだったよなと思い出しながら、匍匐前進を続ける。 クルマはまったく来ないが、ハイカーがごくたまに下りてくる。ふたり連れの山ガールに「あっ、カッコイイ自転車!」と言われて、元気をもらう。 その後、すごい速度差で追い抜いていったヤングライダーにも励まされる。立ちこぎしてやんの。タイムアタックだろう。坂バカのあいだでは“和田る”という言葉があるらしい。 心は折れなかった。しかしほうほうの態で標高692mの頂上に出る。そのまま横倒しになりたかったが、陽だまりのなかにロードバイカーが何人かいたので我慢する。 やはり通行止めは解除され、ゲートは開門していた。12月8日に復旧したそうだ。 ゲート前で足を着き、息を整えていると、向こうからロードバイクが上がってきた。相模原市側から上るのは初めてという若者で、災害の傷あともなく、道はきれいだったという。道路管理者に感謝のテレパシー、ピッ。 完登できたのに気をよくして、帰りは醍醐林道を行く。和田峠からはまたちょっと上らないといけないが、今年の締めくくりだ。 新宿の副都心まで見通せる醍醐峠(と勝手に命名)で自転車から降り、写真を撮ろうと歩き出したら、脚が痛くて、動けなくなった。両脚の付け根の筋肉と股関節が固まってしまった感じで、言うことをきかない。 やっぱりものすごく体に負担がかかっていたのだ。あたりまえか。 ●●●● サーリー・パグスレーを手に入れてから、まる2年経った。衝動買いして、納車を待つあいだは、実際どんな使い方をしたらいいのだろうと思ったが、どんなもこんなも、ぼくはファットバイクをフツーに使っているし、使えている。 こんなタイヤでも、とくにむずかしいことはない。なにしろ1kg入れなくていいわけだから、空気圧の管理なんかもズサンで大丈夫だ。もちろんパンクはまだ一度もない。 そういういかにも“アメ車”的におおざっぱな自転車でも、今回のように心拍上がりっぱなしのエクストリームな使い方をすると、また一段、愛着がわく。連れてきてくれて、ありがとなと思う。
1月15日に「ポルシェよりも、フェラーリよりも、ロードバイクが好き」という本を出すのだけど、羊頭狗肉かなって気もするが、最後にはファットバイクの話もちょっと書いたからいいか。 ではみなさん、よいお年を! |
今日はファットバイクで行こう
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コメント(1)
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自転車で川崎の実家まで行く。 実家までは30kmあるが、自転車だとそのうち3分の2は多摩サイで行ける。 多摩川沿いのサイクリングロードは歴史が古いせいもあり、交差する道路のほうがたいていオーバーパスしてくれる。 二子橋に出るまでの20km、一度も信号に会わずに走れる。20kmに信号ゼロなんて道は、都内では高速道路以外にありえない。 それくらい自転車にとってはうれしい道なのだが、久しぶりに日曜日のこのルートを走ってみて、こりゃあかんと思った。混みすぎ。自転車も増えたが、そぞろ歩きの歩行者と、ランナーも増えた。 狭い一本道にこれだけ人口密度が増えると、ヘルメットかぶって走る自転車と、丸腰の人間が共存するのは無理である。 早歩きの健康ウォーカーだってせいぜい5〜6km/hだ。ロードバイクは20km/h以上で走っている。マイカーで高速道路へ入ったら、ブガッティ・ヴェイロンが400km/hの最高速でビュンビュン走ってるようなものである。 週末はもうウォーカーとランナーに道を譲る潮時かなと思った。 でも、ファットバイクだと、ダートの河川敷が走れる。豪雨や台風の増水で浸水するたびに河川敷は整備され、以前よりだいぶ走りやすくなっていた。 東名高速のそばにある警視庁の白バイ訓練所。週末は一般向けにライディングスクールをやっていて、人気が高い。二輪乗りは白バイが好きなんですね。ものすごく過密なクランクやスラロームが見られる。 ちなみに、子どもの頃、ここはセスナが降りられる飛行場だった。小学校の遠足で来た。 プリウスに乗っていた兄が突然、クルマを買い替えた。リフトアップした古いジムニーにひと目ぼれしちゃったらしい。 けっこうなビッグフットなので、85歳のオフクロを乗せるときは踏み台が必要で、めちゃめちゃ評判がわるい。 しかし、こうして見ると、似たもの兄弟だな。 |
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シルバーウイークの一日、自転車で浅川(多摩川の支流)を遡りにいった。 晴れ。朝は半袖だと涼しいくらいの気温。湿気もない。8月下旬からの悪天を一気に挽回するような自転車日和である。あちこちに咲く彼岸花がきれいだ。 北浅川の有名な勝手橋が、先日の豪雨による増水で壊されていた。撤去せよと書かれた警告看板のポール根元に漂着物が巻きついていたから、この川もそうとうヤバかったようだ。 しかし、鉄パイプでつくった橋脚も、ベニヤの床板も、ワイヤロープで近くの大木に繋がれているため、流失はしていない。 近くで釣りをしているおじさんに聞いたら、「またすぐ、村の人がつくり直すから」と言っていた。 走りたかったのは八王子の西、陣馬街道の一本北側にある「モリアオガエルの道」だ。夏休みに陣馬街道から脇道にそれた時に見つけて、取っておいたのだ。道路沿いを流れる小川が天然記念物、モリアオガエルの産卵場所になっているらしい。あとで調べると、川は北浅川の支流、小津川だ。 道そのものも、お寺やお宮さんが点在し、路肩に古い道祖神があったりで、実にのどか。小津安二郎の世界だ。観たことないけど。ロードバイカーもたまにやってくる。 大通りから数km入ると、モリアオガエルの道は終わり、そのまま小津林道になる。人家は完全に途絶えた。 林道スタート地点の標識には延長1514m、幅員3.6mとあった。少し走ると、鬱蒼とした杉林が立ちはだかり、チェーンロックが現れる。だいぶ手前にも「この先、行き止まり」の看板が立っていたから、どこかへ抜けられる林道ではなさそうだが、行けるところまで行ってみる。 この小津林道がすばらしかった。今まではほとんど見えなかった小津川の渓流がすぐそばを流れる。これが北浅川、浅川を経て多摩川に注ぐわけだから、そりゃ多摩川の下流でアユが釣れてもおかしくないな、と実感させる清流だ。 そうかと思うと、渓谷に太い倒木が折り重なっているようなワイルドなところもある。この林道が本線で、たまに枝分かれした別の林道が左手に駆け上がってゆく。 でも、「スズメバチのシーズンよ」と、出がけにヨメさんに脅かされたし、支線探索はまた今度にしよう。 激坂はないが、それでも渓流沿いを遡るにつれて勾配はきつくなる。 ひとっこひとりいない、と思ったら、上からおじさんと小型犬が楽しそうに下りてきた。帰りがけに追い抜くと、チェーンロックの手前に駐まっていた練馬ナンバーのプリウスの人だった。こんなところまで散歩に連れてきてもらえたら、室内犬も感涙ものだろう。 やがて軽トラの転回所が現れ、「大沢林道」という新しい標識が立っていた。 転回所の先は芝生のように見えたが、走り始めると雑草のすぐ下は尖った小石のフラットダートだった。勾配もきつくなる。ファットバイクの独壇場だ。 数100m進んで坂を上りきると、ヘリポートのようなフラットな舗装が現れて、そこがどん詰まりだった。 シンとした空気の中に瀬音だけが響いている。別世界感のある行き止まりだ。ああ、来てよかった。 |
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ヨメさんはスペイン旅行。留守番のお盆休み、日曜日は懸案だった「ににく沢林道」へ行く。 八王子市の外れ、醍醐林道の入口から二又ですぐ右手に上ってゆくのがににく沢林道だ。和田峠へ向かう醍醐林道も、このあとかなりの激坂になるのだが、ににく沢林道はここからいきなりきつい勾配で右コーナーへ消えてゆく(写真上)。スイッチバックの上りみたいなロケーションが鉄ちゃんゴコロをソソる。 ここまでウチから40km弱。近くにトレールランニング姿の中年カップルがいた。こんな山の中で!? という感じで、お互いびっくりしながら挨拶を交わしたが、ランニングには負けるぜ。自転車は所詮、座ってくるんだからね。ホント、今の日本の「走り人」はスゴイ。 上り始めて最初のコーナーを抜けたら、すぐダートになった。最初は草っぽかったが、勾配がきつくなると、鋭い石の多いガレ場に変わる。雨が降ると川になるらしく、掘れている。ファットバイクで来てよかった、のだが、上るうちに、気づいた。この道、来たことあるじゃん。 あとで調べると、2013年の暮れにファットバイクを買って、最初に走りに来たのがににく沢林道だった。ボケ老人ですね。 ただ、その時は、麓までクルマに積んできたのだ。そういうズルをすると、やっぱり印象に残らないんだな、と、言い訳。 30℃を超えるなかをここまで走ってきて、ヘタっていた。ゲリラ豪雨で路面の掘られ方もひどかった。結局、前回のように突き当たりまで上ることはできず、途中の草地でリタイアする。ま、1回のぼってるんだからいいか。 山を下りると、モワーッとした熱い大気に包まれる。夜はバケツをひっくり返したような雨が降った。降っても、ぜんぜん涼しくならないし。 もう東京の夏は、南洋の島だあ! と思っても、山の中にはしっかり秋が近づいていました。 |
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朝から30℃以上あると、自転車で遠くへ行こうって気にはなりませんね。奥多摩まで行けば、多少ラクかもしれないが、そこまでの舗装の照り返しがムリ。 こういうときはせめて、と考えて、日曜日はファットバイクでのんびりご近所の川を遡った。京王線 聖蹟桜ケ丘の先で多摩川に流れ込む大栗川だ。 コンクリ護岸の川でも、水を見ながら走っていると、やっぱりちょっと涼しい感じがする。熟年の夫婦が、かなり長い車間距離をとってサイクリングしていた。 途中で水路がYの字になり、左へ行くと大田川になる。以前、来たときは大栗川を遡ったので、今日は未踏の大田川へ進む。 といっても、川と並行する多摩ニュータウン通りはクルマで走り慣れた道だ。 合流点からほどなく、南大沢の丘陵が現れて道路は長い上り坂になり、その手前で川は地下水路になった。 遡上ライドもここまでかと思ったが、引き返すのも癪なので、坂を上り、ひと山越してから再探索してみようと考えながらこいでいくと、頂上に小山内裏公園(おやまだいりこうえん)という大きな自然公園があった。 給水もしたいので中に入ると、朽木が立つ沼があった。看板を見たら、これが「大田切池(おおたぎりいけ)」。なんと大田川の水源である。東京都町田市。オシャレなアウトレットパークの近くに、多摩川水系の源流があるとは知らなかった。 ゆるやかな丘陵に広がる公園は、緑が濃くて、涼しい。森の日陰で自転車をこぐと、こんなに涼しいのかと大発見。やっぱりご近所の川を遡るのはおもしろい。 |


