教育(先生にタバコあげる!)

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高校1年で退学して行った生徒。絵が好きで形にはまらない生徒。それだけに輝いていた。
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k子は、その年の10月学校を去っていった。私にとっては担任としての自信というより美術部顧問としての自信がぐらついた事件だった。翌年のことです。確か5月だったと思うがある晴天の日、職員室で仕事をしていたら、突然、わたしの肩をたたくのがいる。「誰?」と言って振り向いてみたら、びっくりそこには退学したK子が笑いながら立っていた。「やぁ〜、びっくりだなぁ〜。どうした?」と聞き返してよくよく彼女を見てみると、白いス−ツを着ているのだ。「どうした!そんな可憐な服装をして?それにしてもびっくりだな。」
 彼女は、以前河川敷で見せたあの意地悪そうな笑いを見せてこう言った。
 「先生!私ね、結婚したの。」
 「えっ!結婚。冗談言うなよ!」この子には今まで幾度驚かせられたか。あまりにも突飛な言葉に彼女の姿を上から下まで、改めて見た。
 「本当よ。私、幼妻よ。」
私には、それでも信じられない。「あのときの彼か。」彼女は首を横に振り
 「う、う〜ん。別の彼よ。先生は知らないわ。」
 「おいおい、なら住所教えろよ。」
 「また、すぐ住所変わるから、今度連絡するわ。」
授業があるので、彼女とのこの突飛な会話は、ここまでだった。
 しかし、それっきり彼女からの音沙汰はなかった。風の便りに聞くと、彼女はその彼氏とは、続かず別れたと言うことだった。嵐のように私の前に現れて、嵐のように立ち去ったK子。でも、私の記憶の中に鮮烈な影を落とした残っている。彼女の自由でくったくのない明るさは一体どこからきたのだろう。月日は流れてこの思い出も遠い日のことになったが、私の生徒との思いで宝の一つである。(続く)

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美術部の夏期合宿に参加したのK子は、二学期に入るなり私に「学校を辞めたい。」と言い出した。理由を聞くと「勉強が嫌いで、いろいろな校則に縛られたくないから・・。」と言うことだった。担任としては、この言葉はショックである。クラス全員進級されたいものである。特にK子は、私が顧問をする美術部の部員でもあった。絵画といい、言動といい全てが特異な生徒であったが、その特異性にキラキラと光る魅力的なものを感じていた。この予想はしていたが、突然の申し出にショックを受けた私は、早速、彼女の家庭を訪問した。二度目の家庭訪問であった。一度目は、その年の6月半ば、彼女の家はビリヤ−ド場を経営していた。彼女の下には年の離れた幼い妹が一人。父親には母親公認の二号さんがいて母親はビリヤ−ド場経営に懸けていた。その時、彼女の部屋はタバコの臭いが漂っていて彼女の喫煙が常習化しているのがすぐ分かった。注意こそしたが、このことを学校には知らせなかった。彼女の複雑な家庭状況を合わせ考えると、そのことを知らせると彼女は処分対象(停学)になるからである。彼女の逃げ場はクラブであると感じたのだ。だから、とにもかくにも夏期合宿に参加し部員たちと交流を持てたことで逃げ場としてのグラブが確保されたと安心していた。それがこうである。家庭訪問にかすかな望みを抱きながらの訪問である。訪問をしたとき、彼女は男の子とビリヤ−ドをしていた。
 「この人、担任のカバ先生って言うのよ。」彼女は笑いながら彼氏に向かって言った。その様子には、学校を辞めることを決断したサバサバ感があった。案の定、私が説得しても彼女の決意は変わら無かった。さらに最後の砦だった母親も「本人の好きなようにさせたい。」とすでにサジを投げていた。
 彼女は説得する私の言葉を遮るように言った。
 「ビリヤ−ドしない?先生出来るでしょ?」
私は、複雑な思いでビリヤ−ドに参加した。彼氏を含めての3人で・・・。
 ビリヤ−ドをしながら、私のヘタクソかげんに終始、彼女は高笑いだった。明るかった。
 この明るさと高笑いがせめてもの慰めだった。しかし、この明るさと高笑いが彼女との生徒としての最後のものとなった。10月彼女は退学届けを提出、学校を去っていった。(続く)

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愛すべきもの人間(4)

k子が私の下宿に泊まっていった翌朝。私は眠い目をこすりこすりバスに乗り込んだ。私の学校寮は長野県の清里にあった。清里の「美しの森」には大きなスケ−ト場があってそこが合宿での制作場所だった。スケ−ト場はシ−ズンオフなので広いリングはガランとしていて落ち着いて制作出来るのだ。また、トイレもあり、制作としてうってつけのベンチもあるのだ。そこからは雄大な八ヶ岳が見えるのだ。部員たちはこの場所を拠点として三々五々制作場所を見つけ制作するのだ。4泊5日の合宿は、このスケ−トリングまで油絵の具をイ−ゼルを抱え往復2時間弱の山道を歩くのだ。でも空気は澄んでいるし、雄大な八ヶ岳が見えるし、少々荷物が重くても最高のハイキングだった。スケ−ト場では休憩時には部員たちは私のバカ話をとても楽しそうに聞いてくれた。K子もその一人だった。しかし、この合宿でのK子はほとんど制作はしなかった。友達たちとふざける毎日だった。でも、私にはK子が合宿に参加してくれたことだけで良かった。この合宿を契機に彼女は学校を続けられると思ったからである。それだけk子のことが気がかりだったのだ。合宿が終わり二学期が始まった。部活動では彼女は一風個性的な絵を描いた。例えば、油絵の具の削りカスをキャンバスに盛り上げ「紫陽花」を描いたりした。それは、可憐な花や優雅な花とはほど遠かった。まるで怪物のようにキャンバスの上にのさばっていた。しかし、それはまさしくk子の型にはまらない自由な自己主張であるばかりか、彼女の「心」の乾きを表現していたのだ。そんな彼女に恐れていたことがやってきた。学校を辞めると言い出したのだ。これはあの河川敷でのタバコ事件以来、私が抱いていた恐れでもあった。彼女には何としてでも高校は卒業してほしかったのだ。高校生活の中で人間の温もりを感じてほしかったし、部活動から自分の生き方を見つけてほしかった。(続く)

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 k子が合宿に行くためといって一晩私の家に泊まった。高校一年生の女子生徒が独身男性の下宿に泊まるなんぞ。一般的には決して許されることではない。けれど、私はあえてこのk子を泊めたのだ。合宿に出発する日、突然、ガラッと私の下宿のドアが開いた。私ははっとして飛び起きた。同僚のS先生が私を起こしに来たのだ。寝付かれぬ一夜を明かし、ウトウトと寝入っていた時、S先生が集合時間になっても来ない私を起こしに来たのだった。彼は、部屋いるK子を見てびっくりしたようだった。「詳しいことはあとで話すから・・。」と言って私はK子をたたき起きした。そして、バスの駐車している集合場所に一足先に走らせた。一緒には行くと誤解を生むかも知れないからだ。私は、彼女が走り出すのを見て、少し間をおいて下宿を出た。バスは、合宿参加の生徒を乗せて出発する寸前だった。k子がバスの座席に居るのを確かめた私は、バスの前席のS先生の隣に滑り込んだ。バスが走り出すと途端睡魔が襲ってきた。このようにしてこの特異で個性的で問題生徒との合宿が始まった。5月のタバコ事件といい、前々日の真夜中の下宿への訪問といい、前日の泊まりといい、K子には驚かされの連続だった。合宿では他の部員達との触れあいもあり、K子の印象は余りない。当時合宿先の川原で部員達と一緒に撮った写真が私のアルバムに貼られている。今ではその黄ばんだ白黒の写真の中で時を止めて天真爛漫なK子の屈託のない明るい姿が写っている。今、彼女はどうしているだろうか。そう思うのである。(続く)

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突然、夜中の2時に私の下宿にやってきたK子。驚かされたのはその翌日だった。夕方、明日に迫った美術部の合宿の準備をしていたら、私の下宿のドアを誰かが叩く。開けてみるとそこにはス−ツケ−スをさげたK子が立っていた。
 「先生!明日合宿に行くから泊めてよね。」これが第一声だった。いろいろと心配な生徒だっただけに私は即座にOKした。「銭湯はどこ?」彼女の第二声がこれだった。早速彼女を連れて近くの銭湯を案内。「食事どうする?」と尋ねると「いいの。どこかで食べてくるから・・。」部屋に戻った私は彼女が食事と入浴を兼ねて外出している間、散らかっている部屋を大急ぎで掃除。掃除をしている間、心中穏やかではなかった。だいたい如何にいろいろな理由があるにしろ独身の下宿に女の子を泊めるのだ。心中は穏やかならぬのは当然。10時頃、彼女は銭湯での入浴と食事を終えて私の下宿に戻ってきた。
 翌日は学校の近くからバスで早朝に出発だ。6畳一間の部屋に布団を並べ寝ることにした。でも、なかなか寝付かれない。そこで彼女の家庭のこと、友人達のこと、美術部等々をポツリポツリと話し出した。そんな中、突然彼女は布団から身を起こし座り直した。びっくりして「どうした?」と言うと「私の前髪揃えて切ってよ。」藪から棒のこの彼女の言葉に私も彼女に向かい合うように座り直した。「今、切りたいのか。明日早いから明日合宿所に着いたら友達に切ってもらいなよ。」と言い返したら彼女はだだっ子のように「ダメ!ダメ!」と言い張った。仕方なく布団に新聞紙を敷いて、ハサミを取り出して彼女の前髪を切った。彼女は意地悪そうに身振り手振りで色々注文をつけてくる。その仕草は高校一年生とはとても見えなかった。私は5〜6才程の女の子に見えた。その時、思った〈私は先生でなく今はこの子の親なんだ。この子は、親の愛情を求めているのだ。〉そう思ったら、途端張りつめていた気持ちが楽になったのだ。切り終わったら小さな手鏡を見ながら、彼女は嬉しそうに「まっ、いいか。」と呟いて「先生!今度は寝るから・・。」彼女はタオルケットを掛けると、そのまま私にくるりと背を向けて寝入ってしまった。うとうととしたら突然私の下宿のドアが開いた。(続く)

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