私の相談室

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27歳の時、勤めている学校内に相談室を開設しました。その時の経緯と、様々な相談事例を載せていきたいと思います。この事例報告等が何かのお役に立てればと思います。
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   (佐久市猿久保の国道141号、運転台から冬の浅間山)

 広島の中学生の自殺は大きな反響となっていますが、どんなにそれで社会が反応しようとも亡くなった生徒は帰ってこない、取り返しのできない事態であることを思うといたたまれません。遅ればせながら各紙が扱っていますが、どれも的を得た指摘ではあります。


 何といっても情報の扱いについての杜撰さが上げられているのは当然でしょう。特に人違いということを見過ごして記録に残したという過誤は許せません。パソコンが都合の良い機器として取り入れられてのちょっとしたミスが大きな犠牲を生んでいます。生徒の顔を見るより、パソコンのキーと向かい合うことに汲々としている現場人には教育という分野で必須な余裕を奪われてしまっているのでしょう。個人情報の扱い方については社会問題となっている中での出来事です。学校という閉じられた社会では世間の動きも通じないとしたら、教育界の閉鎖性にメスを入れるべきです。


 非行歴を3年時から1年時まで拡大して確認しようとした点についても、この進学の押し詰まった時期になぜというのが率直な疑問です。非行というものを教育という現場でどう扱っていくかという根本が問われて然るべきでしょう。

 「資料の修正や閲覧の仕方は、各教員の裁量に任されていた。非行行為の記録という重要な個人情報の取り扱いについての検証が求められる。」「進路の選択に重要な影響を与える変更をなぜ入試直前に強行したのか。解明が必要だ」(毎日新聞)


 非行の扱いについても取り上げています。非行があれば入試で推薦しないという基準を設けていることへの疑問です。過ちがあればいくら頑張ってももとに戻せないというのでは、指導とは言えません。自分の担当生徒に過ちがあれば、何としてもその更生のために尽力しようとするのが教育者魂というものであるはずです。目の前に生徒を見る現場人の独特な感覚が、人を活かし、また自分をも高めるという教育思想が従来からあったはずなのにと思えずにはいられません。

 「罰則を定め生徒指導することもルールの大切さを学ぶ効果はあるだろう。だが、罰則を一律に当てはめるだけでは、問題の基本的な解決にはならない。学校教育で大切なのは、先生が生徒と一対一の人間関係を築くことだ。そのためには子どもを個人として尊重することが欠かせない。」(朝日新聞)


 中学頃の生徒からすれば、先生とはとてつもなく対抗できる存在ではありません。先生に言われることは、発する先生以上に生徒には響くものです。だからこそまた教育者の使命感も燃え立つものなのでしょう。しかし一方では、先生の一言で生徒の行動を決めきってしまうこともあるのです。教師の指導で子どもが死に追いやられることを「指導死」と言うそうですが、それほどに大きな力があることを教育に関わる人たちは自覚しなければなりません。

 「子どもが教師に反論できないこと、教師の何気ない言葉に深く傷つく場合があること、子どもは苦しんでいることを親に知られたくないと思っていることー。子どもに接したことがある人ならだれでも知っている。まして教師は子どもに関する専門職のはずだ。自殺をなぜ防げなかったのか、学校と教師は厳しく省みてもらいたい。」(信濃毎日新聞)


 今度のことで学校が公にした報告書では、今後へ向けてのところに、生徒に生命の大切さについて教育することが大切だと言っているとのこと。大変な違和感を感じます。まるで自殺した生徒に責任があるというような表現です。自己責任論がこんなところまで蝕んでいることは驚きです。そして、こんな事態になっても、学校当局は反省の根本に立ち至らないことに憤怒と絶望を感じてしまいます。



転載元転載元: 信州小諸論壇

 彼女は、家庭内での人間関係が彼女のリストカットの直接の原因だと、私は彼女との交換ノ−ト

 読んで感じた。家庭のことは、私にはどうすることも出来ない。彼女には自分の将来に目線を持

 つことで学校への継続も可能だろうと思った。だから、ノ−トの返事は、もっぱら将来の進路に

 ついて書いた。なんとかしてつなぎ止めてノ−トでの会話を続けたい、それが私の願いだった。

 しかし、残念なことに彼女は次の授業を欠席した。授業日数はアウトだ。私の学校の卒業規定に

 おける単位認定に必要な時数に届かなくなった。それでも回復する手段はある卒業認定会議で卒

 業延期の形で卒業させる方法がある。私は、この最後の望みにかけた。

  授業の翌日、私は担任に青葉がきているか尋ねた。担任はきていると応えた。そこでノ−トを

 茶封筒に入れ担任に手渡しした。

  ノ−トを彼女に渡してほしいとお願い下のだ。担任は快く引き受けてくれた。

 次の週、私は勢い美術室へ向かった。彼女が来ていることに望みをかけて・・。

  出席をとる。青葉は居なかった。ある生徒が言った。

 「青葉さんは、辞めたよ。」

 私は、全身力が抜ける気がした。

  彼女と私の物語は、とても短い物語で唐突もなく終わった。私の心に残ったのは無力感だけだ

 った。彼女はついに卒業しないで中退という形で学校を去って行った。

  年があけての5月、私は美術室に行くために玄関を横切ろうとしたとき、白いワンピ−スを着て

 学校に入ってくる青葉と出会ったのだ。びっくりだった。

 「おう、青葉じゃ〜ないか。今日はどうした?」

 「成績書をもらいに来たの。」

 「えっ、それでは・・。」

 「そう、通信教育を受けるつもり・・。」

  彼女は、静かに笑った。

  私は、そのまま授業のため美術室に向かった。

   以前私は、私が1年のクラスを受け持った時、学校の規則になじめず辞めていった生徒がいた。

  その生徒も突然、白いワンピ−スを学校に来たことがあった。その生徒の家庭は再婚家庭ではな

  ったが、下の妹とは一回り以上も年が離れていた。この生徒は活動的で元気があった。青葉は、

  ほっそりとした体型で色白で消極的なタイプだった。その2人が期せずして白のワンピ−スを着

  ていた。私は全く違った2人なのに、実は共通しているものがあった。青葉はリストカットする

  ことで自分の気持を落ち着かせ、もう一人は、タバコを吸うことで自分の何かを落ち着かせてい

  たんだ。下の子と大きく年が離れ、親はその子にかかり切り。絵は、牢屋如き閉ざされた大胆な

  作品。タバコの生徒は、絵の具のカスをキャンバスに盛り上げて大胆な紫陽花を描いた。そして、

  期せずして着た白のワンピ−ス。二人はきっと同じ世界に生きていたのだと思います。

   短い授業を通しての触れ合いだったけれど、とにもかくにも学校に再チャレンジをすることに

  した彼女にホッとしました。彼女の腕にはもう白い包帯はありませんでした。人生に再チャレン

  ジを何かのきっかけで掴んだのでしょう。とても短い触れ合いでしたが、白いワンピ−スのよう

  に未来が明るいものになるよう祈っています。


                               〜この項終わり〜

 

 彼女の描いた風景画は、紛れもなく彼女の心の世界そのものだ。かくまでも彼女をここまで
 
 追いやったものは何か、私は彼女からの返事が待ち遠しかった。

  でも、次の授業には彼女は出てこなかった。

 どうしたのだ。やつぱり学校は続かないのか。いっそのこと担任に聞いてみるか。そんな焦り

 にも似た気持ちで担任に彼女のことを聞いた。

 「彼女?もう辞めるんじゃない?」

 素っ気ない返事が返ってきた。

  ああ、やっぱりか・・。じゃ〜、ノ−トの返事も見込みないなっとため息をついた。

 しかし、その次の授業に彼女は出てきたのだった。美術室を覗くと彼女が座っていた。

 「おいおい、先週はどうしたんだ。授業時数もうアウト寸前だよ。」
 
 授業が始まった。みんなは例によってイ−ゼルを抱えて描きに出ていく。彼女は、2時間ずっと

 机にうち伏せたまま。気にはなったがそのまま、生徒達の制作状況を見るために教室を後にする。

 おいおい、授業だ!そんなところで寝るのはダメだ!つて云いたかったがどうしても云えなかった。

 授業が終わり私は準備室に引き返す。すると、彼女が準備室に入ってきておおきな茶封筒を差し出

 した。

 「おっ、これはノ−ト?」

 「そうよ。先生から渡されたノ−ト」

 「おお、そうか、そうか・・」慌てて手を差し出す。

 「でもね。先生、何もかくことないんだ。ごめんね。」

 「そうか、いいよ、いいよ」動揺する気持ちを抑えてノ−トを受け取る。

 「じ〜やね。先生。」

 彼女は教室を出て行った。ガッカリした気持ちで職員室に戻った私は、確認のために茶封筒に入

 ったノ−トを取り出した。

 開いてみると、書くことないと云っていた彼女が乱暴な字で2枚にわたって書いているではないか。

 ほっとした。彼女のノ−ト2枚にわたって書かれてある文章を読みながら、また、彼女の描いた絵

 が頭をかすめた。

  主な内容はこうだ。



  私の家族は、いてもいなくても同じ。としの離れた子どもがいるが、再婚の母に新しく生まれた

 子どもだ。早く家を出たい。早く家を出たい。学校を辞めて・・。でも、自分のやりたいことがな

 い。出口が見あたらない。毎日、つまらない。毎日、つまらない。つまらない。つまらない。

 今日も切ってみるかな。フフフ。



  こんな内容のノ−トだったかと思う。あの鉄格子のようなベランダのフェンスは、彼女の家だ。

 そして八方ふさがりになった自分の心だ。そして、分厚く塗られた紫色のバックは、彼女のある

 意味での精神障害の現れだ、あの絵は危険を告げるシグナルだ。

  私は、すぐぺンをとって返事を書いた。急がなければならない。

 彼女の残された学校での時間は僅かだ。

 (続く) 

  
 わくわくして美術室の階段を下りて美術室に入ると、なんと彼女すでに来ていたのだ。だれよりも早く

 私は、他に誰も来ていないのを確認すると、A4の封筒に入れたノ−トを美術室の工作台に置いた。

 「先生、これ?」

 「ノ−ト。ノ−トだよ。」

 「ああ、あれ」

 彼女は、表情一つ変えずに彼女キャンバスの下に隠した。

 いけなかったのかな。余計なことしたかな。私の心に不安がよぎる。しかし、しばらくすると生徒達 

がドタドタっと美術室に入って来る。

 出席をとる。

 「おい、大きな声で返事しろ。おしゃべりで聞こえないぞ!」と言いながら出席をとる。毎度のこと

だ。

 「良いか。今日は、ここで下書き見てもらいたい者は先生の所へこの後持ってきなさい。そうでない人

は、後で先生が巡回するからその時見せてもらうよ。良いか。分かったか。」これも毎度の事。

 「今日は、何をどのように描くか。ねらいをはっきりもって色塗りしろよ。例えば、うっとうしい梅雨

の空気を描くか、洗濯物に人々の生活感を描くか。ビルの建物の冷たさを描くか。嬉しい感じか、悲しい

感じか、息苦しい感じか、のどかな感じか、さわやかな感じか、幸せ感か・・。色々だね。ここをしっか

り決めて画けよ。上手に画こうと思うなよ。下手に描け!それより自分の気持ちやねらいを素直に出すこ

とだ。」

 生徒達は、聞いているのか、聞いていないのか、イ−ゼルを抱えて美術室をぞろぞろと出て行く。その

間、私は準備室にもどり、絵の具を忘れた生徒用の絵の具セットを棚から取り出す。2から3人の生徒が

準備室に絵の具を借りに来る常連だ。

 「なんだ。又か!」怒ったように言うと、生徒達は素直に謝る。おいおい、お前達絵の具本当はないん

じゃないか、といいたいところだが、まあ、いいかと貸し出す。

 しばらくして美術室に行くと、彼女が一人ポツンと工作台の前に黙って座っていた。

 「先生。ここで描いてもいいでしょ」

 「本当は、現場で描いてほしいけれど、いいよ。」

 「だって、もう色も決まっているもん。」

 「そうか、絵の具足らないときは言えよ。先生、これから巡回してくるから・・。」

 「大丈夫、絵の具のチュ−プは使う分だけ持ってきているもん。」

 彼女は、タオルに巻き込んだ絵の具と筆を机の上に並べた。紫・白・黒の3色だ。

 それを横目でみながら、「じゃ〜。巡回早めに済ませてくるから頑張って画けよ。」

 「分かってる。」

 私は、そのまま、えんま帳を抱えて、学校の外に出た。

 しばらくして美術教室に戻ってくると、彼女は机にうつ伏せていた。

 「どうした?」

 言葉をかけると、彼女ムックリ顔を上げて

 「先生、完成!」

 「えっ、もう完成か。あと8時間もあるよ。」

 「う、うん。これで完成よ!」

 なんだか期待はずれで作品をのぞき込む。

 作品は手すりが黒っぽい色で分厚く塗られ、バックは白と紫でこれまた分厚く塗り込められていた。

 バックの景色も緑の木々もそこにはなかった。

 「面白い作品だね。」

 「そうでしょ。面白いでしょ。」

 そういう彼女は、寂しそうに笑った。

 それは紛れもなく彼女の心の中の世界だ。紫は、彼女の追いつめられた心の不安定さを表現し、黒々と

した手すりは、てすりではなく、鉄格子なのだ。彼女をここまで追いやっているものは一体何なのだ。

私の目がきになるのか、包帯の手首を長袖の下に隠そうとするのだ。か細い青白い手がいたいけに見え

た。(続く)   

 「私と交換ノ−トしない?」

 「ああ、いいよ。」

 その日の会話は、それで終わった。生徒達が次々とイ−ゼルを抱えて美術室に戻ってきたからです。

 美術の授業は、週二時間続きで1回でした。学校の周辺の町並みを描くことがテ−マです。

 ですから、導入としてユトリロの町並みの風景やホッペマの田園風景を画集で見せて、描写技術と

 して透視画法での遠近の出し方、空気遠近法での遠近の出し方等々を事前学習させました。

  加えて作品は何よりも「何ををどのように表現するか」、その「ねらい」が大切だから、「必ずしも

 見えた通りに描く必要はないよ。」とも言い添えておいたのです。下書きの段階だった彼女の作品は

 手すりが全面に大きく描かれていました。遠近や構図は無視でした。そこに私は、彼女の今の心の状態

 を見たのです。鉄格子のように大きく描かれている手すり・・。それは彼女の閉ざされた心に見えたの

 です。
 
  早速、次の授業までにと、ノ−トを買ってきました。彼女との「交換ノ−ト」のためです。私は、そ

 の頃すでに「相談室」は引退していたのです。ですから、相談室での彼女との接触は出来ません。この

 ノ−トに私の思いを託したのです。

  書き出しの私の文章は、よく思い出せませんが、次のような内容だったかと思います。

    青葉君(仮名)、元気かな。この前、君とちょっぴりだったけれど美術室で話を

    交わせてよかったよ。実は、最近欠席が多いだろう。気になっていたんだ。だっ

   て高校は単位制だろ。必要な時間数は出ないと単位落とすもんね。だから、話しが

   出来てとても良かったと思っているんだ。それに交換ノ−ト快くOKしてくれたし・・。

    僕なんか年寄りだし魅力ない人間だし、でもね。君がこのノ−トに書いてくれる

   と嬉しいな。一生懸命返事を書くよ。約束する。このノ−トは、何でも自由に書い

   ていいよ。あ、そうそう、職員室には持って来ずらいよな。授業の時でいいよ。

   授業が終わってみんながHR教室に引き上げる時、そっと渡してくれないかな。

   それにね。気が向いた時でいいんだよ。書きたくなければ書かなくてもいいんだよ。

   じゃ〜、又ね。

 
  こんな内容だったかと思います。果たして、次回の授業休まずに来るだろうか。そんなことが気に

 なりました。さて、彼女の美術の授業日が来ました。胸をワクワクさせて美術室への階段を下りまし

  た。(続く)


  http://members3.jcom.home.ne.jp/kabanotakara/

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