母の人生を訪ねて

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 次のページ ]

 ここでかつて私のブログの書庫にある『イエスとともに』から再度、大学時代の私と母のことをここに再録したいと思います。と言うのも私にとって大学時代の母との思い出がとても大きく、忘れられないことだったからです。というのも大阪を離れて東京で学生生活を過ごす中で、いつもホームシックにかられ、長期休みに入ると母に会いたくて急ぎ帰省したからです。それが結婚をし、子供を持ち結婚生活にウエートが移る中で次第にそのホームシックも失せていき、帰省の機会もめっきり少なくなっていきました。
イメージ 1
上が瓦粘土で作った母の胸像です。茶の間の卓袱台の上に台を据えて作りまた。
K
イメージ 2

 上が私の中学時代からの友人k君の胸像です。母の胸像と同じ年の夏休みに瓦粘土を使って作りました。
 
  私が東京に出てきたのは高校を卒業して直ぐの18歳の春のことでした。私は兄弟五人の一番末っ子。親から見て末っ子ほど可愛いと言われますが、私も例外ではなかったようです。頭も悪く幼い頃から注意力散漫と先生から指摘され、だらしなく根気にも欠け、成績も思わしくなかった私。そして大学に入っても下宿代・授業料・生活費と親のスネをかじりにかじって・・。

そんないわば放蕩息子とでもいえる私を末っ子ゆえに両親は目を瞑ってくれたのです。特に母は私が可愛かったのだろうと思います。
高校受験の時は「美術高校」、大学受験の時は「東京の美大」と能力もない私の願いを聞き入れたのでした。幼い頃から愛情深い母が大好きでした。どんな時でも母が気がかりでした。

ですから少しでも母の手伝いをと幼い頃から率先してした私。日曜学校に通うことになったのもそなん母への愛情の繋がりからでした。
私が特に母の健康を気遣ったのは私が大学一年の時でした。祖母が「脳軟化症」になったのです。確か祖母が78歳の時だったかと思います。
  母親の手紙に脳軟化症になってから、その看護の日々に追われ疲れ切った母の姿が浮かび。いてもたったもおれず、夏休みに入って飛ぶように故郷に帰ったのです。
  帰ってみれば、祖母は私のことが誰なのか分かない状態の症状を呈していましてた。祖母は離れの六畳一間にいましたが、症状が進み糞尿は垂れ流しでした。毎朝、母と一緒にバケツに井戸水を汲むと、祖母の体についた糞尿を拭き、部屋の襖や畳に付いた糞尿を消毒液で洗い落としました。これが夏休暇の毎日の日課になりました。そして、つくづく母の看護の大変さを痛感したのです。私は何としてでも力にならなくてはいけないと思ったのでした。

その祖母が私の誕生日八月七日に亡くなりました。その日、朝の介護に疲れ、夏の暑い日、私と母がうとうと寝入っている時、祖母は私たちをおいて旅立ったのでした。

母との思い出で特に印象的だったのは祖母の介護と死ということもあってこの大学一年での夏休みでした。

さて、大学の四年間、春・夏・冬と、長期休暇での帰省の一番の楽しみは「母」と会えることでした。それだけに休暇を終えて東京に戻る日は逆に心が塞がりました。母がフラットホームまで送りに来てホームから之が今生のお別れとばかり涙ぐみ手を振り続ける母をみて、何か「恋人」としばしの別れの時を持つかのように胸が締め付けられような思いになったものでした。

東京行きの列車の中ではずっと胸が塞がったままだったのを覚えています。そのこともあってか下宿に戻った私は長い長い手紙を母にしたためたものでした。此の頃、私が愛読していた本に哲学者森有正の本がありました。「はるかなるノートルダム」「バビロンのながれのほとりにて」等々でした。それで森有正の日記風の手紙を書いたのです。それも出来るだけホームシックの気
持ちを出すのは抑えてことさら芸術的・哲学的に書いたのです。文章はおのずとダラダラしたとりとめもないものになったのですが、母はガマンして読んでくれたのでした。

大学三年の時、帰郷した私は茶の間で大学生活や私が読んだ本の感想を話しながら母の胸像を作ったのです。故郷の友人K君と自転車に乗り町の外れにあった瓦屋まで瓦用の粘土を買い込んで作ったのです。母の「顔」の他、その友人「K」の胸像も作ったのです。

母はモデルになりながら私の話を嬉しそうに「うんうん」とうなづいて聞いてくれたのです。

そんな母の嬉しそうな姿を見ながら胸像を仕上げたのです。この写真が母の胸像と友人K君の胸像です。母との会話では「聞けわたづみの声」の感想や無教会の政池先生の集会の話し等々でしたが、その都度、母は涙ぐみながら、うなづきながら聞いてくれたのでした。この時の母の姿が今でも鮮明に思い出されてきます。大切な大切な私の母への思い出です。


  
 母が今から二十二年前、父が亡くなった年に詠んだ句です。句全体に亡き夫への思慕があふれている句です。 
さみしい響きを感じます。この句の中では実家の座敷が目に浮かぶ「春の座敷になる ひとり」の句と「すかんぽ 折れば ぽんと 音する」に漂う母のさみしさと空虚感が出ていて好きな句です。



○ 開け放ち 春の座敷になる  ひとり



○すかんぽ折ればぽんと音する



○幼い日の写真の母であり子であった




○蝉  虫の音に代わり 一人きいている



○ただ一人 この世に残された  秋空
  母は、生前短歌を作り、俳句を作り、俳画をたしなみました。
  このシリーズに私の拙歌を何首が載せましたが、私が一時母の勧めで歌誌『はしばみ(波之波美)』の会員になったのは、主に高校から大学にかけてでした。この歌誌『はしばみ』を主宰しておられた方は、私の次姉と結婚した本田圭氏のお父様で、大正五年に陸軍士官学校に入られシナ事変に参戦、太平洋戦争では陸軍大佐まで上り詰めた気骨ある軍人でした。大正十年に内村鑑三のもとで聖書を学んだ古池さくさんと結婚。奥様の感化を受けて内村鑑三に入れ込みクリスチャンになります。とてもいろいろな面での才能にあふれた方で殊外、画才にあふれ、同時に文才もあって短歌の同人誌『はしばみ』を主宰することになります。
 
 この歌誌は昭和三十四年に発刊。昭和四十九年に亡くなられるまで続きます。母はこの間、短歌の投稿を続けました。この内、何首かはこのシリーズにも載せました。合わせて私の拙歌も載せてみました。
 
 森造氏が亡くなられて『はしばみ』は廃刊になりましたが、母は父が主宰していた自由律俳句誌『白嶺』に父の指導で自由律句を載せるようになります。
 
 しかし、その父も平成三年に病死。
 
 この同人誌のもう一人の主宰者吉田冬樹氏が父のあとを継いで全面的に『白嶺』を出すことになります。母は、父が亡くなった後、父の大切にし続けた自由律俳句の世界を極めたいと思ったのでしようか。この句誌に俳句を送り続けました。投稿は亡くなる年の平成八年まで続きます。
 
 今回から、母が作り続けた自由律俳句からその何句がこのシリーズで取り上げてゆきたいと思います。
 
 
平成 三年
 
 遺影に 今日も 一日のこと 話す
 
 
 思い出のもの みな 捨てずにおく
 
 
今朝 うぐいすが あなたの句の うぐいす
 
 何時の頃からか、母は俳画を始めた。町の趣味の会に入って俳画を始めた。父が自由律俳句をやっていて、絵心が少女時代になかった姉(次女)が結婚して間もなく水墨画に入れ込み、日本画にはまります。母は、私が美術教師であり、父が俳人であり、加えて姉の水墨画に刺激を受けたのでしょう。色紙に自作の俳句を描き、俳画を添えました。私の長男が誕生の時、祝いの色紙を送ってきてくれました。
 
    私たち五人の子供に対して深い愛を持って育て上げて母。子供たちがそれ ぞれに家庭を持ち、老夫婦二人の生活。夫婦の旅を楽しんだり、孫を思うこ とで日々に楽しみと幅を作ったのでしよう。
 
イメージ 1
 
 
              父との旅先で一句詠んだのでしよう。
 
      いで湯入り年寄うれし秋の旅
 
 
イメージ 2
 
              星まつり 孫の字 大きく願いごと
 
イメージ 3
 
 
              鯉のぼり見上げ母子に空碧し
 
イメージ 4
 今から二十数年前、私の長男が二歳の時、母が高価な絵本を送ってくれました。年金暮らしの私の両親。母は、僅かばかりの小遣いを貯めて孫のために買ってくれた絵本全集。年金の大半は、父の俳句の同人誌や俳句の本に使われていて母の手元には食費を切り詰めた僅かばかりの小遣い。それで買ってくれた絵本と思うと、心がきゅーっと締め付けられるようでもっぱら神棚に飾るようにして大切にしてきた絵本。
 
 
 
イメージ 1
このケースには五冊の絵本がCDとともに入っています。絵もしっかりしていて、なかなかの絵本集です。
 
イメージ 2
 
 
イメージ 3
 
イメージ 4
 
 
この絵本は、孫にと送ってきたものですが、どうしても孫より私に対して送ってきたように感じてしまうのです。私に孫が出来た時、この絵本集を亡き母の思いとして語り継いでゆきたいと思います。

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 次のページ ]


.
kabanotakara
kabanotakara
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

標準グループ

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事