絵本・壺井明の世界

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  絵本   無主物 10
 
イメージ 1
 
おとこは、
 
三本目のうでを
 
はやして、
 
風船を配っていました。
 
すると
 
これまでのぼってこなかった
 
朝日が
 
ぴかぴかかがやき
 
のぼりはじめました。
 
おとこは、
 
じぶんの胃袋につながっていた
 
人造の血管を
 
すべて切りおとして
 
血の池をつくり、
 
その池の血から
 
風船をつくっていました。
 
風船は赤い色をしていました。
 
 
イメージ 2
おんなの
 
お父さんも
 
お母さんも
 
あかちゃんも
 
中学生も
 
高校生も
 
みなひっくるめて
 
おとこは
 
風船をわたしてゆきました。
 
朝日の中、
 
みんなみんな
 
飛んでゆきました。
 
イメージ 3
 
うまれそだった場所をはなれて
 
ゆくさきはわかりませんでした。
 
 
 
 
 
でも
 
 
 
 
 
このよごれてしまった場所から
 
はなれて。
 
 
 
〜おわり〜     
 
 
**********************
 
 今回で壺井明氏の絵本『無主物』は終わりです。美術学校や美術大学を出たわけではなく、福島原発事故の悲劇にショックを受け、現地でいろいろな悲しすぎるひどすぎる話を拾い集めこの絵本にしたのです。音楽も絵画も真実に根を降ろし、叫び続けると力を持ちます。私は、この絵本を通して彼の必死なひたむきな心にいたく共鳴し、10回にわたって彼の絵本『無主物』を取り上げてみました。(この絵本は私のデジカメで撮ったもので、艶紙のため照り返しがあり、よく撮れなかったことを彼に申し訳ないと思います。このページを借りてお詫びします。)
 
     絵本      無主物      9
 
イメージ 1
 
しかし毒とわかってしまうと、
 
いたるところにある巨大な心臓すべてが
 
あぶないということになるので、
 
毒のことを隠してきた
 
おとなたちがいたのでした。
 
みながそれまで信じていた
 
学者さん
 
政治家さん
 
国のしごとをするお役人さん。
 
えらい国のえらいひとたちは
 
これまでずっと、
 
ひそかに、
 
この巨大な心臓に
 
じぶんの胃袋をむすびつけて、
 
たくさんのあたたかさと栄養を
 
じぶんのからだに入れることで
 
生きてきたのでした。
 
イメージ 2
 
だから
 
毒がばらまかれても
 
毒のことを、
 
かくしました。
 
やはりみんなが
 
うそを言わないと
 
そう信じていた四角い箱に
 
しゃべらせて
 
「毒をあびても」
 
「だいじょうぶ」
 
そうくりかえさせて
 
みんなを
 
信じさせようとしました。
 
でもやはり毒は毒でした。
 
ふつうの子には
 
見られない病気が
 
あらわれるように
 
なったのでした。
 
 
みな、
 
あるうわさをきいて
 
 
この場所にきたのでした。
 
あるおとこが、
 
ふしぎな風船をくばっている、
 
というのです。
 
 
その風船には
 
地球上でもっとも軽い
 
ヘリウム
 
より軽いガスが入っていて、
 
風船をつかむと
 
この場所からとんでゆくことができる
 
というのです。
 
みなを、
 
このよごれた場所から
 
のがすために
 
そのおとこは風船を配っている、
 
というのです。
 
                           〜続く〜 
      絵本  無主物    8
 
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
血の池をながめる
 
おんなのこのこの同級生は
 
津波にのまれていました。
 
なかのよい
 
ともだちでした。
 
津波で
 
からだはなくしてしまいましたが、
 
おんなのこが
 
毒のある場所で
 
ふさぎこんでいるのをみて
 
心配して、
 
透けたからだで
 
その場所に
 
やってきたのでした。
 
 
 
 
「わたしたちの分を、げんきで生きて。」
 
 
 
ふたりは、
 
かぎられた人間にしかとどかぬ声で
 
声をあわせて
 
言いました。
 
 
 
 
毒が毒であることを
 
おおくの人間がしりませんでした。
 
目にも見えないし、
 
味がするわけでもない。
 
においもしない。
 
みなが急に死んでしまうわけでもない。
 
でも
 
それはやっぱり毒でした。
 
 
 
これまでずっと、
 
名も知られぬおとこたちは
 
この巨大な心臓から
 
汗のようににじむ
 
毒をふきとり、
 
ひそかに毒におかされ、
 
からだをぼろぼろにし、
 
ある者は
 
ひとしれず、
 
死んできたのでした。
 
イメージ 1
 
ふたりは、
 
六月に結婚するつもりでした。
 
でも
 
三月に毒がばらまかれた後に、
 
お婿さんの家族が
 
「やっぱり結婚はやめる」
 
そうとつぜん言いだしたのでした。
 
結婚はこわれました。
 
きれいなからだのこどもを産めない者とは
 
結婚させられない
 
そうお婿さんの家族は考えたのでした。
 
お婿さんは、別の土地の人間でした。
 
お嫁さんは
 
かなしんで、
 
みずからいのちを断とうとしたのでした。
 
イメージ 2
 
おとこのこのお母さんは、
 
その場所の水がよごれたのを心配して
 
きれいな水の入った水筒を
 
もってゆかせることにしました。
 
学校の先生はその水筒をみて、
 
やめるよう
 
おとこのこに、
 
そしてお母さんに言いました。
 
おとこのこは学校の仲間から
 
いじめられるようになりました。
 
「おくびようもの」
 
そう言われるのでした。
 
いつしか、みんな
 
毒が心配だと言うことも
 
毒から身を守ろうとすることも
 
できにくくなっていました。
 
おさななじみのおんなのこは、
 
心配なきもちをそのおとこのこだけに
 
ひそかにはなしていました。
イメージ 1
中学生のおんなのこも
 
きていました。
 
 
おんなのこは
 
その土地で
 
毒をあびていました。
 
お父さんにつれられて
 
その土地のお医者さんにゆくと、
 
ふつうはできないと言われていた病気が
 
のどに二つできている、と言われました。
 
その医者さんは
 
それでも心配することはない、
 
と言いました。
 
お父さんに連れられて
 
別の街のお医者さんにゆくと、
 
その病気が無数にあると言われました。
 
「わたしは、ひとりでしんでゆくんだ」
 
おんなのこは言うようになりました。
 
イメージ 2
 
およめさんと
 
おむこさんが
 
きました。
 
 
ふたりは、
 
6月に結婚するつもりでした。
 
三月に毒がばらまかれた後に、
 
お婿さんの家族が
 
「やっぱり結婚はやめる」
 
そうとつぜん言いだしたのでした。
 
結婚はこわれました。
 
きれいなからだのこどもを産めない者とは
 
結婚させられない
 
そうお婿さんの家族は考えたのでした。
 
お婿さんは、別の土地の人間でした。
 
お嫁さんは
 
かなしんで、
 
みずからいのちを断とうとしたのでした。
 
 

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