傾奇魂−かぶきだましい−

野外演劇出身のド・外道クルー『猫道一家』の猫道が日常の諸々を斬る!

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国境線上の作演 谷賢一

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皆さんは谷賢一をご存知だろうか?


谷賢一氏は千葉県柏市在住の24歳。
明治大学文学部 演劇学専攻の4年生である。

谷賢一氏は2005年に ※DULL-COLORED-POPという演劇ユニットを旗揚げし、
主宰としてこれまで7作品を演出してきた。作演歴は3年目と若い。
が、凄まじいスピードで学習を繰り返し、照明・音響プラン・舞台監督
制作・フライヤーデザインなど脚本・演出以外のスタッフワークでも
その能力を発揮している。


で、これを読んでいる皆さんに告知!
来年3月に上演されるDULL-COLORED-POPの新作、俺は役者として参加
させていただくことになった。激久しぶりに(実に約5年振りっっっ!)
役者としてマトモに演出を受け、真面目に芝居創りに参加することになる。
そこで、今回の傾奇魂は来年お世話になる谷賢一氏を皆さんに紹介する特集。
芝居人 谷賢一とは何ぞや?冷凍都市シンジュクにて4時間にわたり対談。
気になることをインタビューしてきた。話して感じたこと・思ったことを書く。






■国境線上の作演


そもそも俺が「国境線上の作演」と谷賢一を評するのは何故か?
それは彼が人種国籍不明の、少し変わった立ち位置で表現活動を
行っているからである。
(『国境線上の』という表現は、今年5月に上演されたDULL COLORED POPの
 第3回公演『国境線上の蕎麦屋』より拝借した。)


PC・哲学・下ネタ・ロック・古典文学・小劇場・社会問題・少女漫画…
まず、谷賢一は興味の幅(トークの幅)が広い。そのため、創る芝居の幅が広い。
彼が表現する人間ドラマには、いつもある一定の絶望や哀惜の香りが
漂っているが、世界観や表現方法は各作品ごとに違うカラーを持っている。
なんだか俺には文化の旅行者みたいに見える。だから、国籍不明。

また、「明るくないのにとっつきやすい作品」を創るのも谷賢一の特徴である。
劇団名にもPOPとあるが、何故「とっつきやすい」のだろうか?
それは、彼なりのユーモアのセンスや、彼が選ぶ俳優の可愛らしさの
成せる業だと思う。特に、DULL COLORED POPの常連俳優である菅野貴夫と
堀奈津美の笑顔・真顔には毎回引力を感じる。彼らが演じればどんな絶望も
不快でない。明るくてチャーミングな俳優を集めることができる悲劇作家。
だから、人種不明。


様々なジャンルや価値観を越境できるフットワークの軽さと情熱を
持っている谷賢一は、国連事務総長になったらいいと本気で思う。
国連事務総長は脚本・演出ができないと務まらないからだ。
脚本家・演出家を目指す本人には大変失礼だが、世界平和を頼みたい。






■ギャップ


谷賢一の経歴にはちょっとしたギャップがある。


 |羈愡代は学年トップの成績で、学年で一二を争う問題児。
    ↓
 △修慮紂高校演劇にのめり込む。
    ↓
 L逝臺験愽演劇学専攻に入学。
    ↓ 
 づ時明治大学公認の演劇サークルであった ※騒動舎に入舎。
    ↓
 ゥぅリスのケント大学に短期留学し、演出を学ぶ。
    ↓
 μ逝臺験愽演劇学専攻の ※文化プロジェクトを演出。
    ↓ 
 Ц什澆肋劇場で劇団主宰。(でもまだ大学生)


なんだかしっくりこない組み合わせである。まず高校演劇と騒動舎がつながらない。
しかし、「フレキシブルで実験的」なようでいて、実際は「幅が狭く、いびつな
社会不適合者の集まり」になってしまいがちな東京の小劇場シーンにおいて、
彼のミクスチャーっぷりは将来性が高い。
※動物電気に所属していた俳優でありながら ※青年団の演出部に籍を置く、
※多田淳之介という人がいる。彼が主宰する ※東京デスロックという
ユニットに知人がよく出ており、何度か観に行ったが、やはり将来性高かった。
俺が不勉強なせいもあるが、そういった「ギャップ」を持っていて
「国境線上の作演」といえる人物は東京に2人、谷賢一と多田淳之介しか
思い浮かばない。稀なのである。






■ギャップゆえの苦悩と悦び (インタビューより一部抜粋)


「中学の時。修学旅行のしおりみたいなのを作ったんですけど、ただ作るだけ
 じゃつまんないと思って。ゲームブックみたいにしたんですよ。新幹線の
 中で先生達が次々と死ぬみたいな内容で、それを新幹線の中で読んだら
 面白いかなーって。印刷かけて全員に配る直前にストップがかかって
 回収騒ぎになったんです。」


「こんな言い方するのは偉そうなんですけど、『できない!』って壁を
 唯一感じたのが演劇だったんですよね。」


「高校時代、ウンコマンって役をやったんですけど、今までそんな
 イロモノみたいな役やったことがなくて大変でした。外から見れば
 滑ってたのかもしれないですけど、本番で『ウンコマーン!』って
 叫んではっちゃけた時になんか吹っ切れて ……(中略)……
 あれは達成感ありましたね。で、その後いつも真面目に内省して
 ヘコむんですけどね(笑)。あれで良かったのかなぁ?って。」


「騒動舎の新歓公演がホントに衝撃的で、終わった後で先輩といろいろ
 話したんですけど、その時俺が『最近観て面白かった芝居は…』って
 いって話したのがオペラ?だったかな?」


「騒動舎に入った時は新鮮でしたね。公演が終わった後に話題になるのは
 物語がどうだったかとかじゃなくて、誰が一番面白かったかだったりして。」


「(入舎当初…)けっこうギャグは滑ってたと思いますね。大変でした。」


「初めて作演した『犬みたいな格好』では、一成(※岩藤一成)なんて
 俺が書いたシーンを全部書き換えてきて、確か病院内で待ち合わせをする
 っていうシーンだったんですけど、何故かハチ公前でラッセンの絵を
 売りつけるショートコントに変わってて(笑) ……(中略)……
 もうむちゃくちゃ面白いって思ってましたね。よくやった!って。」







■イギリス演劇留学の衝撃 (インタビューより一部抜粋)


「現代演劇概論・演出術・シェイクスピアなんかの授業を履修したんですけど、
 授業で参考文献が何冊か指定されるんですよ。とりあえず、読んどけばなんとか
 大丈夫なんで1日10時間くらい英語読んでましたね。負けず嫌いなんで、半分
 意地になってました。ノイローゼ気味だったかも。あと、金もなかったから
 毎日1ポンド(約200円)で食費を切り詰めたり。」

「騒動舎とイギリスで、知的に苦しいのと精神的に苦しいのはわりと体験した。」

「これは鴻上(※鴻上尚史)が何かで言ってたことで、本当かどうかは
 わかんないんですけど、イギリスは演劇という文化を廃れさせないために
 テレビのチャンネルが4つしかないらしいんですよ。」

「イギリスではちょっと背伸びをして行く文化的娯楽に演劇があるんですよね。
 『芝居を観に行く』って言うと、『いいね羨ましい』ってなるんですよ。
 また、芝居は初日が明けると、翌日には全部の新聞に劇評が載るんです。」

「俳優として認められると、国から給料が出るんですよ。ライセンスみたいなの
 があってそれを取ると、生活保護みたいな形で生活していけるだけの給料が
 でるんですよ。」

「日本もこうなって欲しいなと思いましたけどね。でも、政府が政策を進めるには
 まず前提として国民が演劇を必要としないと。」






■ま・と・め


谷賢一の実態は、俺から見るとけっこうな苦労人であった。好きなことを
やっているし、体力があるせいで苦労が見えにくいだけだ。
脚本を書くべく、入念な下調べをする地道さがある。(精神病院の話を書こう
と思えば精神医療現場のレポートを読む。実にストレートで行動派である。)
また、毎日10時間も英語の専門書を読み続ける生活を1年送るのはなかなか難しい。

さらに、シーンを変えていきたいという志や、将来を見据えた上でのビジョン
を持っているのも驚異的であった。俺の周囲には歳の近い作演が5〜6人いるが、
そこまでのシーンに対する想いは感じない。俺も含めて、ただ己のゲージュツ
及びエンターテイメントをマイペースにやってるだけだ。


猫 「注目のカンパニーは?俺は ※アーノルドシュワルツェネッガーだけど。」
谷 「ないですね。」 (あっさり)


彼が読んだり観たり聴いたりして、心を動かし ※PLAYNOTE(個人ブログ)に
書きとめている芝居・映画・小説・コミックなども、彼の作品を磨くエッセンス
でしかないのかもしれない。だから、客観性をもって鑑賞ができるのだろう。
なるべく偏りなく国境線上を行き来するのだろう。出演者を固定せずに作品創りを
続けることができるのだろう。とんでもなく真摯で貪欲な演劇狂である。


谷賢一 = 「貪欲であるがゆえに結果として国境線上に立つことになった作演」


4時間話して俺が感じた現時点での結論である。単純だが深い。
DULL COLORED POPに出演することで、次回作に向けて多くの刺激・学びを
得ることができそうだ。

インタビューを終え、ZAZENBOYSのフロントマン ※向井秀徳のリリックを思い出す。
「危険を冒してでも欲する物があるっちゅうならやってみろ。
 理論なき行動は無。行動なき理論は死。」
そーいや、向井秀徳がかつて率いていたバンド NUMBERGIRLを愛好しているところは、
猫道と谷賢一の唯一の共通点である。






※DULL COLORED POP http://www.dcpop.org/

※騒動舎 http://sds.u-tokyo.com/

※文化プロジェクト http://www.meiji.ac.jp/koho/topics_news/topics050927.html

※動物電気 http://www.doubutsu-denki.com/

※青年団 http://www.seinendan.org/

※多田淳之介 http://www.specters.net/deathlock/member.html

※東京デスロック http://www.specters.net/deathlock/

※岩藤一成 http://mixi.jp/view_community.pl?id=425433

※鴻上尚史 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B4%BB%E4%B8%8A%E5%B0%9A%E5%8F%B2

※アーノルドシュワルツェネッガー http://www.arnold-union.net/index.html

※向井秀徳 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%91%E4%BA%95%E7%A7%80%E5%BE%B3

※PLAY NOTE(谷賢一氏のブログ。必読!) http://www.playnote.net/

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