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 詳細に関してはこちらを観ていただくとして……


 主人公アレックスが、雪の街に帰ってくるところから映画は始まります。
 全体に白い感じのする美しい映像が好みです(雪の街だから当然ですが)。
 冷たく美しいスペインのサンタ・イレーネ。
 しかし、なにより心を奪われたのは、天才ロボット学者である主人公(2041年の近未来の話なのです)が連れているガトー(猫)グリスです。
 グリスは、ただの猫ではありません。
 自律型(非合法だそうです)ロボットのプロトタイプとして彼がつくったロボット・ガトーなのです。
 雪の寒さをものともせず、優雅に気ままに、そして軽やかに金属性の体をくねらせて主人公のあとをついていくペット。


 アレックスは、ある事情から故郷スペインを捨て、長らくオーストラリアで暮らしていたものの、大学の恩師から、彼が大学を去る時に残していった自律型ロボットの研究案を実施する(人間らしい感情を作り出す)ために呼び戻されました。

 いったん大学に寄って、研究は自宅ですると宣言した彼は、科学者であった両親がなくなったあと空き家になっていた生家(すばらしく魅力的な半地下の研究室がある!)に帰ります。

 感心したのは、グリスが庭を横切る際に小さな墓に気づき、少し首を傾げて通り過ぎる演出です。
 その、いかにも子供が作ったような素朴な墓には「グリス」と書いてありました。
 家に入ると、暖炉の上の写真立てには、アレックスとダヴィッドらしき子供が猫を抱いている写真が……
 グリスは、アレックスが子供の時に飼っていた猫だったのですね。
 だから、彼は、自身の研究分野である自律型ロボット(自らの意志で気ままに動くロボット)のプロトタイプに猫を選んで、いつもつれて歩いているのです。
 この「死なない猫」、いつまでも気ままにわがままに側にいてくれる相棒、抱きしめても、その内部に命の砂時計が落ちる音を感じてしまって悲しくなる生身の猫とは違う安心感のある猫、この存在がわたしにはうれしかったのです。

 確かにその後に登場するタイトルの少女EVAも、わがままでコケティッシュで魅力的ですが、人間がコケットさで(グリスが雌であろうとなかろうと)猫にかなうはずもなく、どちらかを選べと言われたら、わたしは迷わず猫をとります。

 物語は、今や弟を超えてロボット研究の第一人者になった兄ダヴィッドと、かつての恋人ラナ、そしてその娘であることがわかったEVAを軸に進み……

 悲劇的に幕を閉じます。

 エンディングに、どことなくアシモフの「I,robot」の「うそつき」の影響を感じました。

 余談ながら、兄ダヴィッドの設計になる執事ロボット・マックスも魅力的です。
 弟は、天才的なセンスで未来の生物「自律型ロボット」を作ろうとし、一方、兄は実用的で堅実な執事ロボットを完成させていたのですね。

 あと、大学におけるロボット実験の描写も魅力的で、自立(自律ではなく!)ロボットを研究した学生時代を思い出しました。(もちろん、わたしの実験など児戯にも等しいものでしたが)
 わたしも、映画の中で使われた、ホログラムで空中投影されたクリスタルのようなニューロンブロックを組み合わせて神経プログラムをつくりたかった。

 スペイン映画は久しぶりに観ましたが、スペイン語の響きは美しくて良いですね。
 英語や日本語(それと少しドイツ語も)は会話と意思疎通の手段ですが、スペイン語はイタリア語に似て(実際似ていますが)、音楽的でいかにもガイコクゴという感じがして好みです。

予告編を張っておきます。

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