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 もともとは、漢大猿(おとこおおざる=キングコング 髑髏島の巨神)、ひるね姫について先に書くつもりだったのですが、友人に感想を聞かれたために、「Ghost in the Shell」(以下G.I.S)を繰り上げて書くことにしました。


 まず、彼の一番の心配ゴトについて回答しておきましょう。

 すべての登場人物が英語を話す中、ただひとり日本語で押し通すビートたけしの会話は、案の定「よく聞き取れません」でした。

 なまじ日本語だからというので、それまで字幕がついていたのに、たけしの言葉だけ字幕がないのです(ついでだから、たけしの台詞にも字幕をつけてくれたらよいのに)。

 とはいえ、言語は多少不明瞭でも、原作の、軍諜報部出身のインテリジェンスさとはまるで違うワイルドなたけしの荒巻は、ルバート・サンダース監督がたけしに惚れ込んでいるだけに、それなりに魅力的でした。「その男凶暴につき」的な雰囲気とでもいいましょうか。

 「オオカミを狩るのにウサギをよこすな」

ですよ

 たけしだけが日本語なのも、彼が「俺は英語が苦手だから日本語で」というから、「スポンサーの反対を押し切って」監督が日本語にしたということのようです。


 さて、映画本編ですが……

 始まって、最初の印象は、「スカーレット・ヨハンソン、太くね?」でした。

 アベンジャーズのブラック・ウィドウの頃に比べて、ずんぐりむっくりな感じがする。

 ありていに言えば、肌色の着ぐるみを着て演技をしているので、その分太って見える、ということだと思うのですが………(あるいは、ヨハンソンがトレーニングを怠ったか)。

 まあ、ドリフターズの「八時だよ〜」でキャンディーズが相撲取りの着ぐるみをきて、コントしていたようなものですかね。

 擬体として上から吊られつつメンテナンスを受けている時は、肩も胴回りもすっきりとしているので、これは、おそらく膨張色の着ぐるみのせいなのでしょう。


 映画本体の構成としては、押井、神山版のストーリーを合成して辻褄(つじつま)を合わせ、日本人の草薙素子が、なぜ外国人のヨハンソン顔なのかを強引に納得させるために、この手の作品にありがちな「記憶操作を行っていた」とし、それがヒロインの「謎」ということになっています。


 つまり、(たぶん)生粋の日本人草薙素子が、格差の広がる社会の下、サイボーグ化推進の大手企業ハンカ・ロボティクスに反抗する活動?で恋人クゼヒデオとともに命を落とし、ともにサイボーグ企業によって全身擬体化されるも、手術が成功し記憶を消された彼女は、日本の公安9課に配属され、クゼヒデオ(これも外人顔になっている)は、野に下って反ハンカ社の人々の意志を束ねるハブ電脳となり、やがて二人は敵として相まみえることになる、というわけです。


 そもそも、押井版G.I.Sは草薙素子が人形遣いに出会って電脳世界に去っていく世界で、神山版Stand Alone Complex(以下S.A.C.)→Solid State Societyは、素子が人形遣いには出会わず9課に残るというパラレルワールドという設定なので、S.A.C.の第二弾2ndGIGで登場する、草薙素子の幼なじみにして初恋の男、ともに幼くして全身擬体になったクゼヒデオが、G.I.Sと地続きに出てくることには、多少の違和感を感じますが、すべての攻殻機動隊シリーズに対する、サンダース監督の並々ならぬ、あふれんばかりの愛を感じて、これはこれで吉!と思わず断言してしまいます。

 タイトルにあるように、たとえゴチャゴチャになっても、好きなものは全部入れるのだ、という気持ちが却ってうれしいのです。

 なぜならば………
 「どんな形ででも、この作品を世界の人に知って欲しい!」
 ルバート・サンダース監督の言葉です。

 実際、映像は太めのヨハンソンを覗けば頑張っています。

 冒頭に登場するゲイシャロボットの出来は、うるさ型のファンでも、そう文句はないのではないでしょうか。
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 バトーもまるでアニメから出てきたように似ています。
 最初に彼が出てきた時は、「普通の眼」だったので、がっかりしたのですが、後に怪我を経て、レンジャー・アイになってからは、すっかり感情移入ですよ。
 さすがに、「モットッコー」は、ありませんが。

 トグサは……まあいいでしょう。


 なにより、ラスト近く、人形遣い(この映画ではハブ電脳であるクゼヒデオ)と会話するために、絶望的に戦力差のあるスパイダータンク(と英語では言っていましたね)と戦い、ハッチの上に飛び乗って、全身の筋繊維をブチブチと切りながら蓋をこじ開けるシーンは、生きている間に実写でこれを観ることができるとは……ナンマンダブナンマンダブ……と手を合わせるような出来ばえでした。

 さすがに、ヨハンソン=素子を気づかせるために、桃井かおりを出演させる必要はなかったような気がしますが……(ちなみに彼女は英語を話している!) 


 都市の画的なイメージは、攻殻機動隊というより、どちらかといえば、イノセンスに出てくるロシア付近のイメージ(あるいはブレードランナー的な)で、3DCGで作られた、巨大な立体看板がビルの間に林立する映像は、ちょっと独特な感じで、初めは違和感を感じますが、しばらくすると慣れます(広告塔の一つに、さりげなくロゴもそのままに「イノセンス」の文字があるのもご愛敬でしょう)。

 と、だいたいにおいて、肯定的な意見を書きましたが、この映画は、Ghost in the Shellと呼ぶには、致命的な欠点があります。

 それは二時間の尺で描くためには仕方がないとは思うのですが、攻殻機動隊を「攻殻機動隊」となさしめている最大の要素のひとつ、電脳世界のバトルがほとんど描かれていない点です。

 攻殻機動隊(公安9課)といえば、サイボーグ擬体で物理的にハデに戦うハードアクションと、ネットにもぐり、防壁を使いサブプログラムを忍ばせて戦う電脳戦がその戦闘の二本柱です。


 しかし、今回の映画は、擬体化された世界を描くだけで精一杯で、電脳バトルには、ほぼノータッチです。


 もっとも、個人的には、あまりに電脳世界の発達に重きを置くようになった原作(アニメ)は、ネット経由で幻視を見せたり、人を遠隔操作したり、脳を焼いて殺したり、人の思考をまとめたり、と、ネットの操作力が魔法じみて、なんでもありで節度がなくなりそうな気がしていたので、この映画の設定、これはこれで、少し寂しくはありますが「アリ」のような気がしています。


 ともかく、実写版「Ghost in the Shell」、大あわてで書いたので、誤字や記憶の間違いなどあるかもしれませんが、以上が、この映画に関する、とりあえずのわたしの感想です。


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