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 アントン・ブルックナー 交響曲第三番 第一楽章 I. Mehr langsam, misterioso
      http://www.youtube.com/watch?v=sAqtdkhUhos&feature=related



 緑をたたえた山々は、西日によって次第に金色に輝きだした。その山腹の洞窟の巨大な出入口より、金星の救援隊第一班の母船が静かに外へと出ていった。
 この状況をクレオたちは、船内の控室のテレビで見ていた。クレオたち第七班は最後の発進ということになっているが、第一班の母船の一機は、外へ出ると基地の上空へと昇り、そこで待機した。やがて、一班のもう一機の母船もその場所へ上昇して行くと、二機は、そろって北の水色の空にオレンジの雲がある上空へとさらに上昇していった。
 続いて第二、第三、第四班のそれぞれの母船たちが離陸していった‥‥‥‥‥。
そして、いよいよクレオたちのグループの番である。船内は、モーターの快い静隠な唸り音が聞こえているが、出航し始めても体の揺れは何も感じられない。母船はあくまで静かで基地からゆっくりと離れて行き、窓ごしに見える地平線と二つのデオニシウス火口の山峰の背後にある太陽が、一日のさよならを告げる夕焼けになりつつあった。
 基地が次第に遠ざかっていった。第七班である別の一機の大型母船が麓のトンネルから出て来るのが眼下に見える。
 一機の大型母船が上って来るまで、クレオたちを乗せた超大型母船は高度三千メートル程で待機することになった。やがてもう一機が上昇して同じ高さまでくると、二機は平行して北の空へと、さらに上昇して地球へとめざした。
 大型と超大型の母船の数は総勢で二十機にのぼった。編隊をなして月の対流圏、成層圏、熱圏を後にすると暗国の宇宙空間に出た。地球は以前よりも弱冠黄色がかった青紫に見え、後にした月は巨大な半月でそれは金色に輝いていた。他の星はほとんど姿を現していなかった。地表であれほど見えていた星がほとんど見えないのである。それは大気がレンズの役割をしていたから眺めることが出来たのであったが、これは地球についても同じことがいえた。
 少しばかりの不安と、ある種の期待というものを抱いた者たちを乗せた宇宙船は、フォースフィールドによって光輝き、暗国の宇宙を音を立てずに地球へとめざして行った。

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