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最近久しぶりに再読しました。
新潮文庫発行で、上中下巻。お値段は上巻が629円、中巻が667円、下巻が743円(それぞれ税別)。
主人公は村田蔵六、のちの大村益次郎。
長州(周防)の村医者だった蔵六が、時代の流れに請われるままに長州軍の総司令官に
なり、倒幕の立役者となっていくものの、明治の世を迎えた後に非業の死を遂げます。
幕末の世に突然現れて「維新」という花を咲かせ、新しい時代の始まりと共に散ってしまった蔵六。
タイトルの「花神」は、中国の花咲爺の意味です。
しかし、現代に蔵六みたいな人がいたら・・・お友達にはなれないな〜と思われます。
幕末に登場する新選組の佐幕派、長州、薩摩、土佐の倒幕派の人物達の中でも
異彩を放っております。
作中頻繁に出てくるエピソードには、こんなことがあります。
とある夏の日。「今日は暑いですねえ」と蔵六に挨拶すると
「夏は暑いのは当たり前です」という、いかにも人を食ったような答えが・・・・。
愛想がないんですよね。そして、自分の人気とかにまったく興味がない。
どう思われようと知ったこっちゃない、という、とても真似できない性格の持ち主です。
これが、蔵六の死の要因の一つとなってしまうのは、何とも皮肉ですが。
蔵六は自分のことを「技術者」「機械」であると言っています。
政治にはまったく興味なし。ただ自分がやるべき仕事をするだけなんです。
そして、故郷・長州が好き。長州出身の桂小五郎から、長州藩に仕えないかと
オファーが来るんですが、その待遇はとても悪いもの(宇和島藩に仕えてます)。
しかし!ただ「故郷が好き」という理由からあっさり承諾しちゃうんですね。
蔵六の生涯の中で花を添える存在が、シーボルトの娘・イネさん。
決して男前な風貌ではない蔵六ですが、イネさんから変わらぬ愛を受け、蔵六も受け止めます。
この二人の恋愛が、またいいのです。
一方、妻であるお琴さんは・・・。癇癪もちだったりしてちょっとなあ・・・。
上記の蔵六の変な性格のため、薩摩の幹部から思いきり嫌われてしまうのですが
面白いのが、西郷隆盛の反乱・西南戦争を予言して戦いに備えていたという話。
当時、絶大な人気を誇った西郷さんですが、蔵六とは仲が悪かった模様。
8年先の事を予言していたんだから、結構凄いです。
坂本竜馬と中岡慎太郎も、ちょっとだけですが出てきます。
中岡とは仲が良かったらしいですね。
最後に余談ですが、『花神』は1977年に大河ドラマとして放送されております。
総集編をみたことがあるんですが、とても面白かったです。機会があれば是非とも。
<総評>
星・・・★★★★★
自信をもってお薦めします。
姉妹作ともいえる『世に棲む日日』と一緒に読めば、なお良し。
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