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時々、ホント時々ですが。
タイにまつわる書籍を紹介してますが 今回はハードボイルド小説です。 スコールのソイを走るトゥクトゥクの装丁写真と
タイトルだけで購入した、所謂「ジャケ買い」本です。
新書で出たのが2009年の3月、 文庫本になったのが今年の4月なので
まだ比較的新しい本ですよ。
タイトルは 『アンダードッグ』
著者は海野碧(うみのあお)
タイトルの意味は「負け犬」だそうです。
いかにもハードボイルド小説らしいw
ご覧のとおり、タイが舞台です。
まずは出だしの「あらすじ」をご紹介。
* * * * * * * * * * * * * *
女絡みの不祥事で警察をクビになった元刑事
井出亮二はそれが元で妻とも離婚し、
原因となった女が経営していた喫茶店に転がり込む。
女が死んだ後は何となくその店の経営を引き継ぎ
ひっそりと平凡な暮らしをしていた。
そんなある日、
新宿でバッタリ古い友人に出くわす。
タイ日ハーフの春雄という男だ。
中国人の若い女性秘書レジーナに
車椅子を押させている。来日は仕事だと言う。
春雄との出会いは17年前のバンコク。
当時、井出は大学生で
現地で知り合った日本人貧乏旅行仲間と
中華街そばの安宿に滞在している時に知り合った。
日本に帰り、卒業後は警察官となった井出はその後、
当時の仲間とこれと言って連絡を取る事もなかったのだか
再会を喜ぶ春雄が提案する
バンコクでつるんだ仲間の
「同窓会」の幹事を引き受ける羽目になる。
気乗りせず引き受けた「同窓会」、
今はもうそれぞれに社会人生活を送る当時の仲間と
話すうちにある事が話題になる。
17年前、貧乏旅行の総仕上げに
安宿の仲間と一緒にマレーシアまで
寝台列車の旅をする事になった。
国境に着いた時、仲間のひとり川上が
列車から転落して死亡していたのだ。
現地警察とタイ語でやり取り出来るのはハーフの春雄だけ。
処理を任せて旅を続け、その後日本に帰国した。
仲間と言っても同宿の一時的な付き合いである川上の死は
時間と共に忘れ去ってしまっていたのだが、
思い出話をするうちに、元刑事の井出は不自然な感覚を覚える。
そして「同窓会」の後、
再会を楽しんでいた春雄も
ホテルの窓から飛び降りて死んでしまうのだ。
遺体を確認する秘書レジーナと
ビジネスパートナーのタイ人、ドゥシット。
事件性を疑うタイ警察のソムチャイ刑事。
春雄の自殺以来、井出の身の回りで起こる小さな事件。
17年前の事故の真相を探るため
また自分の気持ちに決着をつけるため
井出はひとりバンコクに飛ぶ。。。
* * * * * * * * * * * * * *
ここまでが冒頭の設定。
タイに限らず海外が舞台の小説や映画というのは
著者がよほどその国に精通していないと
表面的でステレオタイプな設定になりがちです。
何だか観光ガイドみたいだったり。
これは日本を舞台にして
外国人が作った映画なんかを観ても同じですね。
本作の良いところは タイの描写にさほど違和感がないところ。
バンコクや国境近くの田舎の風景
登場人物が体感するタイの気候、食べ物などに
「取材旅行はツアーで行ったの?」というお粗末感はなく、
ああ、この著者は若い頃
主人公みたいにバックパッカーでもやっていたのかしらね〜
と、思わせるものです。
実際、あとがきを見ると
海野碧という人は60歳を過ぎた女性なのですが、
若い頃にインドやネパール、東南アジアを旅していた
元バックパッカーなんだそうです。
文体のせいかも知れませんが
ひと通り読み終わっても、
解説を寄せている池上冬樹が
「彼女」という人称を使っているのを見て初めて
著者が女性だと知るくらい男臭い題材とディテールです。
タイを舞台にした小説としては この国の雰囲気も伝わるので
割と出来の良い部類ではないかと思うのですが
ハードボイルド小説としては
佳作かなぁと言った読後感です。
著者を調べるために眺めた ネットのブックレビューでは皆さん一様に
独特の行ったり来たりするストーリーが
もたもたした印象を与えると不評です。
唐突に場面が変わって戸惑っていると
後から徐々に事情説明があるといった展開が多いので
好き嫌いが思いっきり分かれそうですね。
飄々として熱のない主人公のキャラクターもあって
どこで盛り上がったのかよく分からないまま
思いの外スッキリ話が終わってしまいます。
ハードボイルド小説らしいストーリーの疾走感や
謎解きが始まって読むのを止められない!
と、言った高揚感があまりない…。
多分、普段からこの手のミステリーや
ハードボイルド物を沢山読んでいる人には
正直先が読める話です。
途中で結末の「候補」を2〜3挙げられると言うか。
新宿の真ん中で大量に死者が出る銃撃戦が起こるとか
タイ政府と日本政府が秘密裏に企てた巨大な陰謀だったとか、
そんな大袈裟な事が起こらない分、
ある意味リアルと言うか、実際に
タイならありそうかも〜と思わせる話です。
タイに居て、タイの気候を感じながら
ローカルな食堂でラープをつまみに
シンハービールをチビチビしつつ読むには
良いんじゃないでしょうか。
問題は。 装丁の写真をもう一回ご覧ください。
この文庫本に巻かれた帯。
「特上のタイ料理を食べた気分だ。
辛味のなかに香気と官能が息づく」
だってさ。
何ですかね、この特上のタイ料理を食べた気分って。 えー、全然この小説に合ってないんですけども (-ε-)ブーブー
この小説の中に出てくるタイ料理は
パッタイや目玉焼きの乗ったぶっ掛けご飯くらいです。
めっちゃローカルでジャンク。
それもスラム街の食堂や
国境のひなびた安ホテルのもので、
その辺りがこの小説のテイストを表していると思うのですが。
そもそも特上っていうか、高級タイ料理をイメージさせる
タイ人ハイソや高級ホテルすら登場しないし
期待しても官能的なシーンもほとんどないよw
この土ボコリ臭い小説を読んで
どうしてこんな文言を思い付いたんだろうかねぇ?
日本のタイ料理屋さんみたいに
ソンタム一皿1000円もする店で大して辛くもない
日本人向けタイ料理を食べたことを思い出して
タイと言えばこんな感じだろうと
依頼された帯書きの仕事を
「やっつけ」で書いたとしか思えないなぁ。
それとも、
この著者に対して
「ピリッとしたところがなくて、あんまり面白くなかったんだもん」
と言う、正直過ぎる感想をぶっちゃけた?
だとしたらそれはそれで面白いけどけど (´∀`)ヤルー
Kahoneyの読後感をこの帯に則って書くなら、
「裏路地のタイ料理を食べた気分だ。
熱気のなかで汗と食べ物の腐臭と辛さにぼんやり」
って感じかなー。
佳作。
そんな感じw
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タイの暮らし
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紀伊国屋で買われたんですか? 日本の活字が恋しくなりますよね。
2012/8/31(金) 午前 1:39 [ gur*gur*man*5 ]
>gur*gur*man*5さん
そうです、これは紀伊国屋ですねw
バンコクは日本語フリーペーパーや古本屋さんが沢山あるので
読む者には不自由しなくていいですよ(^o^)
2012/8/31(金) 午前 10:13
なんかこういう風に紹介されると興味が無くても読んでみたくなる。
本屋にでも行ってきます。
2012/8/31(金) 午後 9:22 [ リボン ]
>リボンさん
傑作です!って感じではないのですが( ゚∀゚ )
読んでると小説の中に出てきた場所に行ってみたくなりますよw
2012/9/1(土) 午前 10:16