介護教員介護福祉士の日々

介護職の社会的地位の向上を目指して!!

全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

95年からホームレス問題に関わってきた。
当時は「(ホームレスは)好きでやっているんだから、放っておけばいい」と言われ続けていたが、
だんだん「他人事じゃないね」というようになってきた。

近年日本の絶対的貧困率が初めて公表され、15.7%だとわかった。
この数字は、日本の全世帯数5000万世帯のうちの、750万世帯で、2000万人近くになる。

こうなってくると、一番影響が大きいのは、貧困の連鎖。
子どもの教育に差が出てくる。もともとの条件が違うわけだから。
つまり、お金のない子は、塾に通えるなどのお金のある子の2倍、3倍の努力をしないといけない。
だからもう少し是正しなければいけないのでないか。

その理由は、ひとつは、人道的理由−子どもがかわいそう。
ユニセフ調査によると、子どもが回答したうち、日本の子どもは、
「さびしい」が3割、「居場所がない」が18%と、世界的にダントツ。
15歳の子がこう思うのはやはり変。社会として考えなければいけないのではないか。
よく「資本主義社会だから、グローバル社会だから、ある程度の格差は仕方ない」と言われるが、
この調査で他に並んでいる国々も、同じ先進資本主義国だから、その理由にならない。


今後、人口が減り高齢者が増える、すなわち現役世代が減るということ。
そのときにこの国はどう対応するか。稲栽培に例えると、
ひとつの考え方は品種改良。穂の数が少ない生産性が低いものは改良していく、これは優生保護思想につながる。
2つ目が外来種。つまり外国人労働者の受け入れ、これも今の日本社会にそのような考えが定着していない。
とすると、最後の3つ目のやり方しかない。
品種改良しないので様々な稲が育つ。その中には、たくさん実をつけるのもあれば、
3割できて7割できないのもある。その時に「おまえは3割しかできない」と切り捨てず、
3割が大事だと思える社会、
できた3割を捨てる余裕は私たちの社会にはないという、合理的理由から変えたい。
3割分の役割を果たしてくれることは、その人にとっても社会にとっても役立ち、
その3割が4割になったら尚良い、という発想になったらいい。

障害者は全部施設にぶち込んじゃえの論だと、一生社会保障の受け手でしかない。
たしかに、エリートと同じような生産性は持ってないかもしれない。
でも、その人のできる範囲で生産性を果たすことで、社会に役に立っているとその人たちが思えるようになるためにも、社会にとってもいいのでは。

地方都市の商店街はどこも疲弊している。ただ最近立て続けに同じ光景を見た。
商店街の中に障害者の作業所があることで、その友人や家族も客としてやって来て集うことで、
商店街全体が活性化するという、まさに福祉による町作りを見た。

だから、できることはたった3割だからと切っていてはもったいない。
これは、高齢者、失業者でも同じことが言える。
できない方に注目するのではなく、できる方に注目する。

だけど日本社会はこれに対応できていない。
日本社会はこれまで3つの傘でやってきた。
国はずっと産業育成支援をやって、企業に広く傘の中に入れてかけてきた。
そしてその企業は正社員を、そして一家全員が食っていける生活費の面倒をみてきた。
そのかわり正社員は転勤、出向、配置転換、サービス残業もいとわず受け入れて働いてきた。

この日本型の形は経済成長期にはよかったが、90年代になると、
他の経済新興国に追われる立場で、国にも余裕がなく、護送船団方式をやり玉に挙げられ、遅い船は切り落とされてきた。
国、企業の傘も絞り込まれていく中で、福利厚生は縮小され、新規社員も採らない。
傘がしぼむと雨に濡れる人たち増えてきた。

貧困の相談にやってくる人たちはどんどん多様化していった。
はじめは中高年で独り身の男性だったが、そのうち、若い人、女性、高齢者、
家族のいる一家の大黒柱の人と、2003年4月頃から、誰が来ても驚かなくなってきた。

問われるのは、この人たちに誰が傘を差すのか?
無理をしているのは誰か? それは家族。家族が相当支え、抱え込んでいる。
08年のリーマンショックで、30万人が切られた。一部は「派遣村」に来たが、それは切られた人の全体のわずか。
ほとんどの人は、実家から生活していたので、「住む場所だけはあって良かったね」ってだけで、そこに課題がある。

フリーターは80年代から言われていて、その時20代の人は今40代、その親は70、80代。
実家に帰っても国民年金で細々と暮らし、家族の中で抱えられている。
「ホームレス、ネットカフェ難民は、都会の問題でしょ、田舎にはいない」と言われる。
それは、家の中で抱えられているから。
メンタルで働けない →親は認めないから「働け」と精神論を言うだけ →会いたくない
→引きこもり →親が抱える、家の中でグズグズ煮詰まらない関係・生活、があるだけ。
だから、貧困の問題の可視化が必要。

偏見の問題もある。生活ができなくなっちゃう人は、ちゃんと働かない怠け者、というイメージ。
こうした偏見には、客観的なデータと統計で反論するしかない。
OECDの調査によると、日本の貧困層の最大の特徴は、「働いている」ということ。
そのうち4割以上は、家族のうちの2人以上が働いている。つまり女性の社会的地位が低いということ。

福祉から就労へという流れが定着してきている。
支えているのは家族、他方で社会からは見えない。守りもするけど社会から切り離している。
そこからいかにスムーズに社会参加を果たしていくか。

女性の就業率は(30、40代がくぼむ)M字型カーブを描いている。
つまり子育て、家事、介護を一手に背負っている。
就労できる環境を整えていく。保育・介護を社会的に整備していく。
人口減少社会の中で働く気力も能力もあるのに働けないのは、純粋に社会的に損失。

全員参加型社会を作っていかないと、これからの社会はもたないのでは。
その時に人どんどん切り捨てていく余裕はない。
3割の人が4割になることを支援したり、喜べる社会にしていくべき。

根気よくつきあっていく、気づかい、「今日は顔色悪いね」と声を掛け合うような、
「気づかい人」の機能が今までは家族が担っていたが、パーソナルサポートが必要。
集中して支援する時期、一定の距離を置いて見守る時期、色々な人がいるから、
色々な関わりをしていく必要がある。

そのために社会的に様々なものを整備していくべき。
ただそれだけでは解決しないので諸制度も必要だし、大きくいうと、
「私たちがどういう社会を作っていくか」という社会の選択が今求められている。





この記事に

閉じる コメント(5)

人の能力にボーダーラインなど作らず、その能力を更に伸ばしていく
援助が国には必要ですね。
格差社会になると国に未来はないと思います。

2010/7/29(木) 午後 11:09 iki**akusa 返信する

本当に良く調べて居らっしゃいますね。
貧困って言葉は本当に最近多くなって来ましたね。
明日は我身って思って当たり前ですね。
政治と企業が余りにも密着しているのも日本の
特徴ですよね。

2010/7/29(木) 午後 11:59 - 返信する

湯浅氏は、政治家や官僚よりも、貧困者のために活動してますよね。今は誰しもが、ちょっとしたきっかけで貧困層に墜ちる社会です。自分が、そこに至らないと、失業者は決して怠けているのではないと、気が付かないのが、国民の大半のようです

2010/7/30(金) 午後 8:43 [ 傘お化け ] 返信する

顔アイコン

今回の記事はとてもためになりました。
貧困など目に見えない問題の洗い出しが引き続き必要ですね。

2010/8/2(月) 午後 11:34 お気軽ブログ 返信する

顔アイコン

イチさん。いかに格差を少なく小さくしていくか、そういった国作りに本当に期待したいと思います。

iesusamafishさん。今の時代、貧困は誰にでもくるかもしれないリスクなんです。

傘お化けさん。湯浅さんが社会的にも評価が高いと思われるのは、やはり常に現場の立ち位置を大事にしているからかなと思います。

お気軽ブログさん。目に見えないところから恐ろしい現実が引き起こされていきますので、そのあたりの予防策が重要かと思います。

2010/8/11(水) 午後 10:57 かいごむら 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事