ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

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サ6 1059;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,荒都歌,久邇京,京都

[題詞]春日悲傷三香原荒墟作歌一首[并短歌]

[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)

↓[原文]ー[訓読]ー[仮名]ー
三香原ー三香の原ーみかのはらー三香の原の 
久邇乃京師者ー久迩の都はーくにのみやこはー久邇の都は
山高ー山高みーやまたかみー山高く 
河之瀬清ー川の瀬清みーかはのせきよみー川の瀬は清らかで
在吉迹ー住みよしとーすみよしとー住みよい処だと 
人者雖云ー人は言へどもーひとはいへどもー人は言うが
在吉跡ーありよしとー居よい所だと 
吾者雖念ー我れは思へどーわれはおもへどーわたしは思うが
故去之ー古りにしーふりにしー今では廃都となった
里尓四有者ー里にしあればーさとにしあればー里であるので
國見跡ー国見れどーくにみれどー見渡すかぎり 
人毛不通ー人も通はずーひともかよはずー人の往来もなく
里見者ー里見ればーさとみればー里を見ても 
家裳荒有ー家も荒れたりーいへもあれたりー家も荒れ果てている
波之異耶ーはしけやしーああ せつない
如此在家留可ーかくありけるかーかくありけるかーなんと儚い定めだったのか
三諸著ー[みもろつく]ー神の祭壇であるみもろの社の
鹿脊山際尓ー鹿背山の際にーかせやまのまにー鹿背山のあたりに
開花之ー咲く花のーさくはなのー咲く花の 
色目列敷ー色めづらしくーいろめづらしくー珍しさに心ひかれ
百鳥之ー百鳥のーももとりのーさまざまの鳥の
音名束敷ー声なつかしくーこゑなつかしくー鳴き声が心にしみて
在<杲>石ーありが欲しー「ありがほし」ーいつまでも
住吉里乃ー住みよき里のーすみよきさとのー住みたいと思えるこの佳き里の
荒樂苦惜哭ー荒るらく惜しもーあるらくをしもーさびれるのが惜しまれる
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サ6 1060;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,荒都歌,久邇京,京都

[題詞](春日悲傷三香原荒墟作歌一首[并短歌])反歌二首

三香原  久邇乃京者  荒去家里  大宮人乃  遷去礼者

三香の原 久迩の都は 荒れにけり 大宮人の うつろひぬれば 

みかのはら くにのみやこは あれにけり おほみやひとの うつろひぬれば
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三香の原の久邇の都は荒れ果ててしまった

大宮人たちが移り去ってしまったから
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[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)
* 天平12年(740年)、聖武天皇は京都南部・木津川あたりに恭仁宮(久邇宮)の造営に着手、和銅3年から30年余り続いた平城の都からの、唐突な遷都だった。その理由は諸説あるが、大仏建立のための適地を求めた天皇の意思と、自らの勢力圏に都を移したい右大臣・橘諸兄の思惑が一致したからともいわれる。計画では平城京をしのぐ大規模な京域を設定していたらしいが、途中で中止された。
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サ6 1061;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,荒都歌,久邇京,京都

[題詞]((春日悲傷三香原荒墟作歌一首[并短歌])反歌二首)

咲花乃  色者不易  百石城乃  大宮人叙  立易<奚>流

咲く花の 色は変らず ももしきの 大宮人ぞ たち変りける 

さくはなの いろはかはらず ももしきの おほみやひとぞ たちかはりける
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咲く花の色は昔にかわらない

ここを行き来した大宮人の姿は今はない

大宮人の心のうつろいやすさよ
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[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)
* 政治の中心地が明日香(飛鳥)にあったことから、飛鳥時代と名づけた。最近は、飛鳥板蓋宮一帯を飛鳥京と呼ぶらしい。しかし、飛鳥時代のおよそ100年余に、何度も飛鳥の地を離れている。孝徳天皇は難波に遷都、天智天皇は大津宮、持統天皇は藤原京を造営した。
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サ6 1062;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,難波,新都讃美

[題詞]難波宮作歌一首[并短歌]
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↓[原文]ー[訓読]ー[仮名]ー   []は枕詞。
安見知之ー[やすみしし]ー
吾大王乃ー我が大君のーわがおほきみのー我らの大君が
在通ーあり通ふーありがよふーいつもお通いになる
名庭乃宮者ー難波の宮はーなにはのみやはー難波の宮は
不知魚取ー鯨魚取りー[いさなとり]ー
海片就而ー海片付きてーうみかたづきてー海に面していて
玉拾ー玉拾ふーたまひりふー玉を拾う
濱邊乎近見ー浜辺を清みーはまへをきよみー浜辺が清いので
朝羽振ー朝羽振るーあさはふるー朝には鳥が羽を振るわせるように
浪之聲せー波の音騒きーなみのおとさわくー波の音が騒ぎ
夕薙丹ー夕なぎにーゆふなぎにー夕凪には
櫂合之聲所聆ー楫の音聞こゆーかぢのおときこゆー船の楫の音が聞える
暁之ー暁のーあかときのー暁の
寐覺尓聞者ー寝覚に聞けばーねざめにきけばー寝覚に耳を澄ませれば
海石之ー海石のーいくりのー暗礁が
塩干乃共ー潮干の共ーしほひのむたー引潮と共に現れる
<*>渚尓波ー浦洲にはーうらすにはーその浦洲で
千鳥妻呼ー千鳥妻呼びーちどりつまよびー千鳥が妻を呼んで鳴き
葭部尓波ー葦辺にはーあしへにはー葦の生える岸辺では
鶴鳴動ー鶴が音響むーたづがねとよむー鶴が鳴き声を響かせる
視人乃ー見る人のーみるひとのー見る人が
語丹為者ー語りにすればーかたりにすればー語り草にすると
聞人之ー聞く人のーきくひとのー聞く人も
視巻欲為ー見まく欲りするーみまくほりするー見たくなる
御食向ー御食向ふー[みけむかふ]ー
味原宮者ー味経の宮はーあぢふのみやはーこの味経の宮は
雖見不飽香聞ー見れど飽かぬかもーみれどあかぬかもーいくら見ても飽きることがないことよ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)
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サ6 1063;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,難波,新都讃美

[題詞](難波宮作歌一首[并短歌])反歌二首

有通  難波乃宮者  海近見 <漁> 童女等之  乗船所見

あり通ふ 難波の宮は 海近み 海人娘子らが 乗れる舟見ゆ 

ありがよふ なにはのみやは うみちかみ あまをとめらが のれるふねみゆ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大君のいつも通われる難波宮は

海が近いので海人の娘たちの乗る船が見える
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)
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サ6 1064;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,難波,新都讃美

[題詞]((難波宮作歌一首[并短歌])反歌二首)

塩干者  葦邊尓せ  白鶴乃  妻呼音者  宮毛動響二

潮干れば 葦辺に騒く 白鶴の 妻呼ぶ声は 宮もとどろに 

しほふれば あしへにさわく しらたづの つまよぶこゑは みやもとどろに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
潮が引いたので葦の茂る岸辺に

白鶴がつれあいを呼ぶ声で

大宮も鳴り響くばかりだ
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[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)
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