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2953 枕詞,不安 [題詞](正述心緒) 戀君 吾哭<涕> 白妙 袖兼所漬 為便母奈之 きみにこひ わがなくなみた [しろたへの] そでさへひちて せむすべもなし ・・・・・・・・・・・
あなたに恋い焦がれて泣く涙は 袖さえぐっしょりと濡れ通って どうしようもありません ・・・・・・・・・・・ 2954 枕詞,不安 [題詞](正述心緒) 従今者 不相跡為也 白妙之 我衣袖之 干時毛奈吉 いまよりは あはじとすれや [しろたへの] わがころもでの ひるときもなき ・・・・・・・・・・・
今からは一切逢わないと 決めているわけでもないのでしょうが 逢えないと不安で 着物の袖はあなた恋しの涙で 乾くひまもありません ・・・・・・・・・・・ 2955 女歌 [題詞](正述心緒) 夢可登 情班 月數<多> 干西君之 事之通者 いめかと こころまどひぬ つきまねく かれにしきみが ことのかよへば ・・・・・・・・・・・
夢でないかと心が戸惑いました 幾月も離れて通ってこないあなたの便りに ・・・・・・・・・・・ 2956 枕詞,女歌 [題詞](正述心緒) 未玉之 年月兼而 烏玉乃 夢尓所見 君之容儀者 [あらたまの] としつきかねて [ぬばたまの] いめにみえけり きみがすがたは ・・・・・・・・・・・
新年を迎えて新たに思うの 恋に生きた長い年月 望みが続くように祈ったら 夢に見えましたあなたのお姿 ・・・・・・・・・・・ 2957 [題詞](正述心緒) 従今者 雖戀妹尓 将相<哉>母 床邊不離 夢<尓>所見乞 いまよりは こふともいもに あはめやも とこのへさらず いめにみえこそ ・・・・・・・・・・・
今からはいくら恋いしくても おまえに逢えはしない せめてわたしの枕辺にいつもいてくれ 思うだけの愛しい恋人よ ・・・・・・・・・・・ 2958 異伝,人目,うわさ [題詞](正述心緒) 人見而 言害目不為 夢谷 不止見与 我戀将息 ひとのみて こととがめせぬ いめにだに やまずみえこそ あがこひやまむ ・・・・・・・・・・・
人が見ても咎め立てはされない 夢のなかに 絶えず姿を見せてくれ わたしの恋の苦しみも それで少しはおさまるだろうから ・・・・・・・・・・・ 2958S 異伝,人目,うわさ [題詞](正述心緒)或本歌頭云 人目多 直者不相 ひとめおほみ ただにはあはず,,, ・・・・・・・・・・・
人目が多すぎる いまは逢いには行けない ・・・・・・・・・・・ 2959 [題詞](正述心緒) 現者 言絶有 夢谷 嗣而所見与 直相左右二 うつつには こともたえたり いめにだに つぎてみえこそ ただにあふまでに ・・・・・・・・・・・
現実には連絡も途絶えて噂さえ聞かない 夢にだけでも絶えずお顔を見せてよ じかに逢うまで ・・・・・・・・・・・ 2960 [題詞](正述心緒) 虚蝉之 宇都思情毛 吾者無 妹乎不相見而 年之經去者 うつせみの うつしごころも われはなし いもをあひみずて としのへぬれば ・・・・・・・・・・・
自分がこの世に生きているという気がしない 妻と会えぬままこんなに年月が経ってしまっては ・・・・・・・・・・・ サ2961 [題詞](正述心緒) 虚蝉之 常辞登 雖念 継而之聞者 心遮焉 [うつせみの] つねのことばと おもへども つぎてしきけば こころまどひぬ ・・・・・・・・・・・
* 「ことば」は、万葉時代「こと」と云う方が多い。空蝉言とわかっていても 好きです・愛してますなんて 何度も聞かされると 変に心がとまどう ・・・・・・・・・・・ * 「空蝉の言葉」は、ありきたりの内容の無い言葉。=「つねのことば」。 * 「つねの」は、並みの。 * 「と」引用。決まり文句。 * 「ども」「ど・ども」 接続助詞 逆接既定条件。活用語の已然形に付いて、逆接の既定条件を示す。「〜けれど」「〜けれども」「〜であっても」などの意。「ど」と「ども」の意味は全く同じ。 * 「継ぎて」何度も何度も。 * 「し」 副助詞。種々の語を承け、それを強く指示して強調する。 * 「聞け」動詞「聞く」の已然形。 * 「ば」は仮定条件(もし〜ならば)・既定条件(すでに〜なので)の両方に用いられる。 * 「遮」は、「まどひぬ」惑う。いぶせ・し=いとわしい、うっとうしい。 * 「焉・ぬ」は強調の助辞。 2962 枕詞 [題詞](正述心緒) 白<細>之 袖不數而<宿> 烏玉之 今夜者<早毛> 明<者>将開 [しろたへの] そでかれてぬる [ぬばたまの] こよひははやも あけばあけなむ ・・・・・・・・・・・
袖を交わして寝られない 独り寝の夜など 早く明けてしまえばいい 恋しいあの子と離れて独り寝する夜は ・・・・・・・・・・・ 2963 枕詞 [題詞](正述心緒) 白細之 手本寛久 人之宿 味宿者不寐哉 戀将渡 [しろたへの] たもとゆたけく ひとのぬる うまいはねずや こひわたりなむ ・・・・・・・・・・・
人は手枕を交わしあって幸せに寝ているのに わたしは独り寝の恋に悩みながら過ごすか ・・・・・・・・・・・ |
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