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サ3378 東歌,相聞,埼玉県,入間,序詞,恋,民謡,歌垣 [題詞] 伊利麻治能 於保屋我波良能 伊波為都良 比可婆奴流々々 和尓奈多要曽祢 [いりまぢの おほやがはらの いはゐつら] ひかばぬるぬる わになたえそね ・・・・・・・・・・・
* 「いはゐつら」は、「滑ひゆ」。スベリヒユ科の一年草。路傍・畑など日当たりのよい所に生える。茎は赤紫色を帯び、下部は地をはう。葉は厚い肉質で長円形、つやがある。夏、黄色の小花を開く。名前は,茹でるとぬめりが出ることに由来する。ということで,食べられる。入間路の於保屋が原に生えているいはゐつらが やさしく引っ張れば ずるずるとなめらかに切れないように 私との間を絶やさないでくださいね ・・・・・・・・・・・ 真夏の暑い日差しにも,熱い地面にはいつくばるように広がっている。スベリヒユもポーチュラカの花を小さくしたような黄色い花をつける。 ・・・・・・・・ * 「いるま」【入間】埼玉県南部の市。日光への脇道の宿場町として発展。 * 「ぬるぬる」(副詞)は、なめらかなさま。 * 「そ」(終助)は、副詞「な」と呼応し、動詞の連用形(カ変・サ変の場合は未然形)をな〜その間にはさみ、禁止の意を表す。・・するな。・・してくれるな。 * 「ね」は、人に優しく頼む詞で希望の終助詞。話しかける相手に対し「〜してほしい」という希望の意をあらわす。 3379 東歌,相聞,埼玉県,東京都,女歌,序詞 [題詞] 和我世故乎 安杼可母伊波武 牟射志野乃 宇家良我波奈乃 登吉奈伎母能乎 [わがせこを あどかもいはむ むざしのの] うけらがはなの ときなきものを ・・・・・・・・・・・
* 「うけら」は、オケラの古名。日当たりのよい山野に自生する。愛しいあの人をどう言い表せばいいのかしら 武蔵野のうけらの花の咲くように 何時と限った時ではなくて いつも思う人ということね ・・・・・・・・・・・ 3380 東歌,相聞,埼玉県,行田,序詞,恋,女歌,民謡 [題詞] 佐吉多萬能 津尓乎流布祢乃 可是乎伊多美 都奈波多由登毛 許登奈多延曽祢 [さきたまの つにをるふねの かぜをいたみ] つなはたゆとも ことなたえそね ・・・・・・・・・・・
埼玉の船着き場に繋いだ船の 綱が強風に負けて切れてもさ 二人の便りは絶えはしないよ ・・・・・・・・・・・ 3381 東歌,相聞,埼玉県,東京都,枕詞,序詞,恋 [題詞] 奈都蘇妣久 宇奈比乎左之弖 等夫登利乃 伊多良武等曽与 阿我之多波倍思 [なつそびく] うなひをさして とぶとりの] いたらむとぞよ あがしたはへし ・・・・・・・・・・・
宇奈比に向かって鳥がいくように 私の心も思いつづけている あなたに会いにいきたいと じっとじっと慕いつづけましょう ・・・・・・・・・・・ 3382 東歌,相聞,千葉県,木更津,恋,悲別 [題詞] 宇麻具多能 祢呂乃佐左葉能 都由思母能 奴礼弖和伎奈婆 汝者故布婆曽毛 [うまぐたの ねろのささはの つゆしもの] ぬれてわきなば なはこふばぞも ・・・・・・・・・・・
* 「ぞ‐も」係助詞「ぞ」+係助詞「も」。古くは「そも」とも。 文中にあって、その付く語を感動を込めて強く示す意を表す。うまぐたの嶺の笹葉が露霜に濡れているように 長旅を露か涙か濡れながら やっとここまでやってきたよ おまえを恋い焦がれて 郷里に残したおまえに惹かれつつ ・・・・・・・・・・・ 3383 東歌,相聞,千葉県,木更津,恋,望郷 [題詞] 宇麻具多能 祢呂尓可久里為 可久太尓毛 久尓乃登保可婆 奈我目保里勢牟 うまぐたの ねろにかくりゐ かくだにも くにのとほかば ながめほりせむ ・・・・・・・・・・・
馬来田の峰にふるさとが隠れたら こんなにも遠くに感じるものか おまえに会いたくてたまらない ・・・・・・・・・・・ 3384 東歌,相聞,千葉県,伝説,恋,民謡 [題詞] 可都思加能 麻末能手兒奈乎 麻許登可聞 和礼尓余須等布 麻末乃弖胡奈乎 かづしかの ままのてごなを まことかも われによすとふ ままのてごなを ・・・・・・・・・・・
葛飾の真間の手児奈が 気があるなんて冗談だろう 私に心を寄せているなどと あの真間の手児奈が ・・・・・・・・・・・ 3385 東歌,相聞,千葉県,葛飾,伝説,市川 [題詞] 可豆思賀能 麻萬能手兒奈我 安里之<可婆> 麻末乃於須比尓 奈美毛登杼呂尓 かづしかの ままのてごなが ありしかば ままのおすひに なみもとどろに ・・・・・・・・・・・
* 「おす‐ひ」【磯辺】「いそべ」の上代東国方言。おしへ。葛飾の真間の手児名がさ そんな可愛い子が今いたならば 真間の磯辺の波が轟くように 男たちが通って来ることだろう ・・・・・・・・・・・ 3386 東歌,相聞,千葉県,葛飾,新嘗,祭り,恋,女歌 [題詞] 尓保杼里能 可豆思加和世乎 尓倍須登毛 曽能可奈之伎乎 刀尓多弖米也母 [にほどりの] かづしかわせを にへすとも そのかなしきを とにたてめやも ・・・・・・・・・・・
* 「新嘗」は、新穂を神にささげる神事。処女が執り行い、家族も中に入れない。とはいえ、訪れた恋人を屋内に入れずにはおかないという歌。 カイツブリのごとく交いつぶる葛飾の 早稲の新穂を神にささぐ新嘗の夜だって あの愛しいお方を 閉め出したりできるものか 閉め出してなるものですか 鳰鳥のごとく 交いつぶりますとも 葛飾の早稲を神に供える新嘗祭の夜は 乙女として心身ともに清浄でなければいけない とはいえ 恋人がきたら 外に立せたままなんてできるかしら あの愛しい人を ・・・・・・・・・・・ * 鳰鳥は「にほ」は、カイツブリ。 3387 東歌,相聞,千葉県,葛飾,市川,恋 [題詞] 安能於登世受 由可牟古馬母我 可豆思加乃 麻末乃都藝波思 夜麻受可欲波牟 あのおとせず ゆかむこまもが かづしかの ままのつぎはし やまずかよはむ ・・・・・・・・・・・
* 「継ぎ橋」は、杭を所々に打ち立て、その上に橋板を継ぎかけた橋。足音をさせずに走る駒がほしいなあ そうすれば葛飾の真間の継橋を通って 止むことなく恋人のもとに行くものを ・・・・・・・・・・・ 3388 東歌,相聞,茨城県,筑波山,女歌,歌垣,勧誘,恋 [題詞] 筑波祢乃 祢呂尓可須美為 須宜可提尓 伊伎豆久伎美乎 為祢弖夜良佐祢 [つくはねの ねろにかすみゐ すぎかてに] いきづくきみを ゐねてやらさね ・・・・・・・・・・・
筑波山の峰の霞が深いので 山道を通りにくそうにしている 生きのよさそうな男だから 連れ帰って霞が晴れまで お休みなさいと誘って 一緒に寝てから帰ってもらおうかな ・・・・・・・・・・・ |
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