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3389 東歌,相聞,茨城県,筑波山,苦役別離,恋 [題詞] 伊毛我可度 伊夜等保曽吉奴 都久波夜麻 可久礼奴保刀尓 蘇提婆布利弖奈 いもがかど いやとほそきぬ つくはやま かくれぬほとに そではふりてな ・・・・・・・・・・・・
* 常陸の国(今の茨城県)。妻の住む家がだんだん遠ざかる 筑波山が見えている間は 袖を振りつづけよう 妻よさらば 幸せであれよ ・・・・・・・・・・・・ * 下二段活用(隠れ-隠れ-隠る-隠るる-隠るれ-隠れよ) 3390 東歌,相聞,茨城県,筑波山,序詞,恋,別離 [題詞] 筑波祢尓 可加奈久和之能 祢乃未乎可 奈伎和多里南牟 安布登波奈思尓 [つくはねに かかなくわしの] ねのみをか なきわたりなむ あふとはなしに ・・・・・・・・・・・・
* 「かか鳴く」は、けたたましく鳴く。筑波嶺でけたたましく鳴きたてる鷲のように わたしも泣こう 山々にこだまするように もうあの人に逢うことができないのだから ・・・・・・・・・・・・ * 「のみ」 副助詞。種々の語に付き、そのことだけに限定する意をあらわす。「〜だけ」「〜ばかり」。強調の意ともなる。 「のみ-を」と格助詞の上に付いた古形で、平安時代以降は「を-のみ」格助詞の下に付くようになった。 * 「か」は、多くの場合、詠嘆か自問自答の反語的表現となる。体言または活用語の連体形を承ける。 3391 東歌,相聞,茨城県,筑波山,足尾山,序詞,恋 [題詞] 筑波祢尓 曽我比尓美由流 安之保夜麻 安志可流登我毛 左祢見延奈久尓 [つくはねに そがひにみゆる あしほやま] あしかるとがも さねみえなくに ・・・・・・・・・・・・
筑波山を振り向けば見える葦穂山よ その名のような悪いところなど 全く見当たらなかったのに 二人は別れてしまった ・・・・・・・・・・・・ サ3392 東歌,相聞,茨城県,筑波山,序詞,恋 [題詞] 筑波祢乃 伊波毛等杼呂尓 於都流美豆 代尓毛多由良尓 和我於毛波奈久尓 [つくはねの いはもとどろに おつるみづ] よにもたゆらに わがおもはなくに ・・・・・・・・・・・・
* 「筑波嶺」は筑波山の古名。筑波嶺の 滝壺の岩に轟き落ちる水のように 高鳴るあなたを思う気持ちは 決して変わりはしないものを (貴方の便りがなくてわたしは砕けそう) ・・・・・・・・・・・・ * 「の」は、主格・修飾格の格助詞 * 「とどろ」【轟】[副]多く「に」「と」を伴って用いる。音の力強く鳴り響くさまをいう語。 * 「に」は原因を示す格助詞。 * 「おつ」は、高所から落下する。 * 「る」は存続の助動詞「り」の連体形。 * 「代(世)にも」は、あとに打消しの語を伴って、「決して」。 * 「たゆら」たよら。形動ナリ。いいかげんで定まらないさま。気が進まないこと。ゆらり。 * 「に」は、原因を示す格助詞。 * 「吾が思はなくに」私の心が変わったわけではないものを。 * 「なく」は、打消しの助動詞「ず」のク語、法・・ないこと。 * 「に」は、接続助詞。 「なくに」ないのに。ないものを。 3393 東歌,相聞,茨城県,筑波山,女歌,恋 [題詞] 筑波祢乃 乎弖毛許能母尓 毛利敝須恵 波播已毛礼杼母 多麻曽阿比尓家留 つくはねの をてもこのもに もりへすゑ ははいもれども たまぞあひにける ・・・・・・・・・・・・
* 「い」は強調を表す副助詞。筑波嶺のあちらこちらに 見張り人をすえて 母はわたしを見張っていたけれど 私たち二人の魂はいつも逢ってしまいましたね ・・・・・・・・・・・・ 3394 東歌,相聞,茨城県,筑波山,別離,恋 [題詞] 左其呂毛能 乎豆久波祢呂能 夜麻乃佐吉 和須<良>許婆古曽 那乎可家奈波賣 [さごろもの] をづくはねろの やまのさき わすらこばこそ なをかけなはめ ・・・・・・・・・・・・
茜さすさ衣筑波の稜線を どうして忘れえようか いつも汝が名を口の端に掛けている ・・・・・・・・・・・・ 3395 東歌,相聞,茨城県,筑波山,序詞,恋 [題詞] 乎豆久波乃 祢呂尓都久多思 安比太欲波 佐波<太>奈利努乎 萬多祢天武可聞 をづくはの ねろにつくたし あひだよは さはだなりぬを またねてむかも ・・・・・・・・・・・・
小筑波の峰に月が出て 随分と会えない闇夜が続いたけれど また二人で寝ることができるね しばらくお預けだったけど ・・・・・・・・・・・・ 3396 東歌,相聞,茨城県,筑波山,恋,別離 [題詞] 乎都久波乃 之氣吉許能麻欲 多都登利能 目由可汝乎見牟 左祢射良奈久尓 をづくはの しげきこのまよ たつとりの めゆかなをみむ さねざらなくに ・・・・・・・・・・・・
筑波山の茂る木の間を 飛び去る鳥のように おまえは目で見るだけのひと 二人抱き合った仲だったというのに もう他人のようだ ・・・・・・・・・・・・ 3397 東歌,相聞,茨城県,北浦,恋 [題詞] 比多知奈流 奈左可能宇美乃 多麻毛許曽 比氣波多延須礼 阿杼可多延世武 ひたちなる なさかのうみの たまもこそ ひけばたえすれ あどかたえせむ ・・・・・・・・・・・・
* 「浪逆の海」は、霞ヶ浦の一部。常陸の浪逆の海に生える玉藻は 引っ張ると切れてしまう でも二人の慕いあう想いは 途切れて絶えることはありません ・・・・・・・・・・・・ 3398 東歌,相聞,長野県,埴科,伝説,恋 [題詞] 比等未奈乃 許等波多由登毛 波尓思奈能 伊思井乃手兒我 許<登>奈多延曽祢 ひとみなの ことはたゆとも はにしなの いしゐのてごが ことなたえそね ・・・・・・・・・・・・
* 「石井の手児」は伝説上の美女。世の人との交わりが絶えようとも 埴科の石井の手児といわれる 可愛い吾が乙女よ 便りを絶やさないでおくれ ・・・・・・・・・・・・ * 信濃国(今の長野県)。 3399 東歌,相聞,長野県,女歌,木曽路,恋 [題詞] 信濃道者 伊麻能波里美知 可里婆祢尓 安思布麻之<奈牟> 久都波氣和我世 しなぬぢは いまのはりみち かりばねに あしふましなむ くつはけわがせ ・・・・・・・・・・・・
信濃路は今切り開いたばかりの道 樹木や竹の切り株に足を踏みつけないよう 沓をおはきなさい あなた ・・・・・・・・・・・・ |
・万葉集(〃)
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