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3551東歌,相聞,恋,女歌,序詞,浮気 [題詞] 阿遅可麻能 可多尓左久奈美 比良湍尓母 比毛登久毛能可 加奈思家乎於吉弖 [あぢかまの かたにさくなみ ひらせにも] ひもとくものか かなしけをおきて 川の流れがゆるやかで
* 「かなしけ」愛。〔形〕「かなし」の連体形「かなしき」の上代東国方言。いとしい(こと・もの)。波がたたない水面の平らな瀬でも 愛しい者を家に置いているのに 紐を解くことがあろうか いや 絶対に解かないぞ サ3552東歌,相聞,宮城県,福島県,うわさ,恋,女歌 [題詞] 麻都我宇良尓 佐和恵宇良太知 麻比<登>其等 於毛抱須奈母呂 和賀母抱乃須 [まつがうらに さわゑうらだち] まひとごと おもほすなもろ わがもほのすも ・・・・・・
* 「さわ・は」低地の沢・渓谷・谷川。松が浦に潮騒が群がり騒ぐように 人の噂はうるさいけれど きっとあの方は私のことを かわらずお思いになってくださっている 私があなたを愛しく思うように ・・・・・・ * 「ゑ」(間助)上代語。嘆息を表す。・・よ。 * 「さわゑ」騒いで。 * 「うらだち」群がり立って。 * 「うら」には、「群」・「末」・「浦」・「占」などの意がある。 * 「ま」接頭語。 * 「人言」は、人の言う言葉・うわさ・世間の評判など。 * 「おもほす」他サ四「思ふ」の未然形に上代の尊敬の助動詞「す」の付いた「おもはす」の転。「思う」の尊敬語。お思いになる。 * 「なも」推量の助動詞。(係助)上代語。強く指示する意を表す。他に対してのあつらえの意を表す・・して欲しい。 * 「ろ」上代間助として感動を表す。・・よ。 * 「なも‐ろ」 [連語]推量の助動詞「なも」+間投助詞「ろ」。上代東国方言》…ているだろうよ。 * 「吾が思ほのすも」 * 「のす」(接尾)上代東国方言。「似る」と同源。・・のように。 * 「も」詠嘆。 3553東歌,相聞,愛知県,序詞,うわさ,恋 [題詞] 安治可麻能 可家能水奈刀尓 伊流思保乃 許弖多受久毛可 伊里弖祢麻久母 [あぢかまの かけのみなとに いるしほの] こてたずくもが いりてねまくも あぢ鴨の棲む可家川の
http://blogs.yahoo.co.jp/kairouwait08/29762332.html入江に入る潮が緩やかなように ひとの噂がおさまったら あの子の寝床を訪れてかき抱こうものを 3554東歌,相聞,恋 [題詞] 伊毛我奴流 等許<能>安多理尓 伊波具久留 水都尓母我毛与 伊里弖祢末久母 いもがぬる とこのあたりに [いはぐくる] みづにもがもよ いりてねまくも あの娘が寝る床の周りは堅城鉄壁だが
岩をくぐる水になれれば部屋に潜り込めるだろう さっそく布団の中に入って大願成就なりさ みづにもがもよ みづにもがもよ 3555東歌,相聞,茨城県,古河,序詞,うわさ,恋 [題詞] 麻久良我乃 許我能和多利乃 可良加治乃 於<登>太可思母奈 宿莫敝兒由恵尓 [まくらがの] こがのわたりの からかぢの] おとだかしもな ねなへこゆゑに 麻久良我の許我の渡し場に響き渡る
韓楫の音の高さよ そのように噂が高い訳がわからない だってそうだろ 相手の女性とは なんの関わりもないのだから 3556東歌,相聞,枕詞,恋,うわさ [題詞] 思保夫祢能 於可礼婆可奈之 左宿都礼婆 比登其等思氣志 那乎杼可母思武 [しほぶねの] おかればかなし さねつれば ひとごとしげし なをどかもしむ 潮船に乗らねばわが恥 きみは悲しむ
潮船に乗られねば君の恥 わが苦しみ 潮船に二人で乗れば二人の恥 世間の餌食 君をなんとしよう 3557東歌,相聞,序詞,恋 [題詞] 奈夜麻思家 比登都麻可母与 許具布祢能 和須礼波勢奈那 伊夜母比麻須尓 [なやましけ ひとづまかもよ こぐふねの] わすれはせなな いやもひますに 悩ましげにするあの娘は人妻
* 「悩ましけ」は「悩ましき」の東国訛り。人妻との恋は禁忌なんだ いけないんだよ 漕ぐ舟が去るように消えてくれ 思いをつのらせる困った女よ * 「かもよ」は、助詞「かも」・「よ」が結び付き、詠嘆の意をあらわす。 * 「よ」は強調の終助詞 「や」と同じく元来は掛け声に由来する語であろうか。のち間投助詞としてはたらくようになり、文末にも用いられるようになった。意を強めるはたらきをする。 聞き手に対し、同意を求めたり念を押したりする気持をあらわす。のち、詠嘆的な用法にも使われる。現代口語で「〜だよ」などと言う時の「よ」、女言葉の「〜よ」に繋がっている。 * 「よ」は、格助詞、上代語。動作・作用の時間的・空間的な起点を表す。・・から。 経過する場所を示して、・・を通って。 比較の基準、・・より。 手段・方法、・・で。 体言・活用語の連体形につく。 1.詠嘆・感動。 2.呼びかけ。 3.命令の意志を確かめる。 4.強く指示する。 5.告示の気持ちを表す。 3558東歌,相聞,茨城県,古河,遊行女婦,女歌 [題詞] 安波受之弖 由加婆乎思家牟 麻久良我能 許賀己具布祢尓 伎美毛安波奴可毛 あはずして ゆかばをしけむ [まくらがの] こがこぐふねに きみもあはぬかも 会わないまま都に行かせるのは惜しい
古河を漕ぐ船の中ででも会えないものか 3559東歌,相聞,序詞,うわさ,恋 [題詞] 於保夫祢乎 倍由毛登母由毛 可多米提之 許曽能左刀妣等 阿良波左米可母 [おほぶねを へゆもともゆも かためてし] こそのさとびと あらはさめかも 大船を舳先も艫も綱で固く結んだように
固く契った二人のことは 許曽の里人も顕にすることはないでしょう 3560東歌,相聞,奈良,吉野,岐阜,序詞,うわさ,恋 [題詞] 麻可祢布久 尓布能麻曽保乃 伊呂尓R<弖> 伊波奈久能未曽 安我古布良久波 まかねふく にふのまそほの いろにでて いはなくのみぞ あがこふらくは 鉄を精錬する炎のように
水銀の湧く赤土のように 顔色に出して言わないだけだ 私の恋する思いは 3561東歌,相聞,序詞,恋,女歌 [題詞] 可奈刀田乎 安良我伎麻由美 比賀刀礼婆 阿米乎万刀能須 伎美乎等麻刀母 [かなとだを あらがきまゆみ] ひがとれば あめをまとのす きみをとまとも 門のそばの田の荒垣を慎み清めて
* 「かなと‐だ」金門田〔名〕金門(かなと)の近くにある田。門のそばの田。門田(かどた)。日が照れば雨を待つように 貴方をお待ちしていますとも * 「のす」(接尾) 上代東国方言。・・のように。 3562東歌,相聞,序詞,恋,孤独 [題詞] 安里蘇夜尓 於布流多麻母乃 宇知奈婢伎 比登里夜宿良牟 安乎麻知可祢弖 [ありそやに おふるたまもの うちなびき] ひとりやぬらむ あをまちかねて 荒礒に生える藻が波に靡くように
黒髪を床に靡かせて独り寝しているだろうなあ 私を待ちかねながら 3563東歌,相聞,茨城県,序詞,恋 [題詞] 比多我多能 伊蘇乃和可米乃 多知美太要 和乎可麻都那毛 伎曽毛己余必母 [ひたがたの いそのわかめの たちみだえ] わをかまつなも きぞもこよひも 比多潟の磯のわかめが立ち揺らぐように
思い乱れて私を待っているだろうか ゆうべも今夜も 3564東歌,相聞,東京都,小菅町,恋 [題詞] 古須氣呂乃 宇良布久可是能 安騰須酒香 可奈之家兒呂乎 於毛比須吾左牟 こすげろの うらふくかぜの あどすすか かなしけころを おもひすごさむ 古須気の
* 「あど」上代東国方言。なんと・如何に。浦吹く風でも なんとしても わが愛しい娘への思いを 吹き流せはしない * 「すす」上代東国方言。しつつ、しながら。(サ変「す」の終止形を重ねたもの。) * 「こ‐ろ」子等。 「ろ」は接尾語。上代東国方言。「こら(子等)」に同じ。 3565東歌,相聞,長野県,恋 [題詞] 可能古呂等 宿受夜奈里奈牟 波太須酒伎 宇良野乃夜麻尓 都久可多与留母 かのころと ねずやなりなむ はだすすき うらののやまに つくかたよるも あの娘と今夜は寝られないかも
はだ薄の揺れている宇良野の山に もう月が傾いてしまった 3566東歌,相聞,恋 [題詞] 和伎毛古尓 安我古非思奈婆 曽和敝可毛 加未尓於保世牟 己許呂思良受弖 わぎもこに あがこひしなば そわへかも かみにおほせむ こころしらずて 妻に恋い焦がれておれが死んだら
死神は運命だと言うだろう そのむくいを心なしな 神様におわそう だれもおれの心は知らない |
・万葉集(〃)
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