ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

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3588遣新羅使,天平8年,悲別,出発,恋,難波,大阪

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

波呂波呂尓 於<毛>保由流可母 之可礼杼毛 異情乎 安我毛波奈久尓

はろはろに 思ほゆるかも しかれども 異しき心を 吾が思はなくに 

はろはろに おもほゆるかも しかれども けしきこころを あがもはなくに
・・・・・・・・・・・
遥か新羅に旅立つことになり

君との別れが辛いと思われることです

しかしながら

わたしは 貴女だけをいつも

思い続けることに変わりはありません
・・・・・・・・・・・
* 「はろはろに」(副) はるかに。はるばると。
* 「しかれ‐ども」〔接続〕逆態の確定条件。そうであるが。しかしながら。されども。
* 「異しき心」 あだしごころ。浮気心。



3589遣新羅使,天平8年,作者:秦間満,奈良,難波,大阪,出発,恋

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

由布佐礼婆 比具良之伎奈久 伊故麻山 古延弖曽安我久流 伊毛我目乎保里

夕されば ひぐらし来鳴く 生駒山 越えてぞ吾が来る 妹が目を欲り 

ゆふされば ひぐらしきなく いこまやま こえてぞあがくる いもがめをほり
・・・・・・・・・・・
夕暮れになると

ひぐらしが来て鳴く生駒山を

私は越えてきた

妻に少しでも早く逢いたくて
・・・・・・・・・・・



3590遣新羅使,天平8年,奈良,難波,大阪,出発,恋

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

伊毛尓安波受 安良婆須敝奈美 伊波祢布牟 伊故麻乃山乎 故延弖曽安我久流

妹に逢はず あらばすべなみ 岩根踏む 生駒の山を 越えてぞ吾が来る 

いもにあはず あらばすべなみ いはねふむ いこまのやまを こえてぞあがくる
・・・・・・・・・・・
出帆前に今一度

君に会わないではいられなくて

険しい生駒の岩根を踏み越えて

わたしは戻ってきたんだよ
・・・・・・・・・・・



3591遣新羅使,天平8年,悲別,恋情,出発,難波,大阪

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

妹等安里之 時者安礼杼毛 和可礼弖波 許呂母弖佐牟伎 母能尓曽安里家流

妹とありし 時はあれども 別れては 衣手寒き ものにぞありける 

いもとありし ときはあれども わかれては ころもでさむき ものにぞありける
・・・・・・・・・・・
妻と一緒だった時はともかく

別れてからは

いつも衣の袖は心寒いものだな
・・・・・・・・・・・



サ3592遣新羅使,天平8年,悲別,出発,難波,大阪,恋

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

海原尓 宇伎祢世武夜者 於伎都風 伊多久奈布吉曽 妹毛安良奈久尓

海原に 浮き寝せむ夜は 沖つ風 いたくな吹きそ 妹もあらなくに 

うなはらに うきねせむよは おきつかぜ いたくなふきそ いももあらなくに
・・・・・・・・・・・
海原に浮いて寝る夜は

沖の風よそんなに強く吹くな

寒さを忘れさせる

愛しい妻がいないのだから
・・・・・・・・・・・
* 「せむ」は、サ行変格動詞「す」の未然形「せ」に、婉曲の助動詞「む」の連体形で、〜するような
* 「うき‐ね」1 水鳥が水に浮いたまま寝ること。2 人が船の中で寝ること。3 心が落ち着かないで、安眠できず横になっていること。 



3593遣新羅使,天平8年,出発,難波,大阪

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

大伴能 美津尓布奈能里 許藝出而者 伊都礼乃思麻尓 伊保里世武和礼

大伴の 御津に船乗り 漕ぎ出ては いづれの島に 廬りせむ吾れ 

おほともの みつにふなのり こぎでては いづれのしまに いほりせむわれ
・・・・・・・・・・・
大伴の御津から船に乗り

漕ぎ出して さて

次はどこにの島に停泊しようか

われわれは
・・・・・・・・・・・
* 「せむ」は、サ変動詞「す」の未然形「せ」に、推量の助動詞「む」が付いたもの、と解した。



3594遣新羅使,天平8年,悲別,恋,難波,大阪

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

之保麻都等 安里家流布祢乎 思良受之弖 久夜之久妹乎 和可礼伎尓家利

潮待つと ありける船を 知らずして 悔しく妹を 別れ来にけり 

しほまつと ありけるふねを しらずして くやしくいもを わかれきにけり
・・・・・・・・・・・
船出に良い潮時を待って

停船しているとも知らないで

残念なことに あわただしく

貴女と別れて来てしまった
・・・・・・・・・・・



3595遣新羅使,天平8年,兵庫県,武庫川,出発,叙景,難波,大阪

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

安佐妣良伎 許藝弖天久礼婆 牟故能宇良能 之保非能可多尓 多豆我許恵須毛

朝開き 漕ぎ出て来れば 武庫の浦の 潮干の潟に 鶴が声すも 

あさびらき こぎでてくれば むこのうらの しほひのかたに たづがこゑすも
・・・・・・・・・・・
朝明けで

船を漕ぎ出てくると

武庫の浦の潮の干潟で

妻呼ぶ鶴の声がする
・・・・・・・・・・・



3596遣新羅使,天平8年,悲別,望郷,加古川,兵庫

[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

和伎母故我 可多美尓見牟乎 印南都麻 之良奈美多加弥 与曽尓可母美牟

吾妹子が 形見に見むを 印南都麻 白波高み 外にかも見む 

わぎもこが かたみにみむを いなみつま しらなみたかみ よそにかもみむ
・・・・・・・・・・・
いとしい妻を形見に偲ぼうと

都麻(つま)の名のある 

印南都麻を近くから見たかったが

白波が高くて

遠くからしか見られないようだ

おぼろげながら

沖合からいつまでも見ていこう
・・・・・・・・・・・



3597遣新羅使,天平8年,叙景,兵庫


[題詞](遣新羅使人等悲別贈答及海路慟情陳思并當所誦之古歌)

和多都美能 於伎津之良奈美 多知久良思 安麻乎等女等母 思麻我久<流>見由

わたつみの 沖つ白波 立ち来らし 海人娘子ども 島隠る見ゆ 

[わたつみの] おきつしらなみ たちくらし あまをとめども しまがくるみゆ
・・・・・・・・・・・
沖から白波が立って来るらしい

海人の娘たちが乗った船も

島影に隠れて行くのが見える
・・・・・・・・・・・



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