ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

全体表示

[ リスト ]

3831雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠
[題詞]詠白鷺啄木飛歌

池神 力土N可母 白鷺乃 桙啄持而 飛渡良武

池神の 力士舞かも 白鷺の 桙啄ひ持ちて 飛び渡るらむ 

いけがみの りきじまひかも しらさぎの ほこくひもちて とびわたるらむ
・・・・・・・・・・・・
池神の寺で演ずる男女の力士舞なのだろうか

白鷺が桙で切り落としたものをくわえて飛び渡っていくように

女が男を外へ連れ出しているよ
・・・・・・・・・・・・
* 力士舞の力士とは金剛力士のこととされ、その力士舞とは美女の呉女を襲う外道の崑崙(こんろん)退治して、その男根を金剛力士が鉾で切り落とし舞う、伎楽の一つ。<竹取翁と万葉集のお勉強より>



サ3832雑歌,作者:忌部首,物名,宴席,戯笑,誦詠,即興

[題詞]忌部首詠數種物歌一首 [名忘失也]

枳 蕀原苅除曽氣 倉将立 屎遠麻礼 櫛造刀自

からたちと 茨刈り除け 倉建てむ 屎遠くまれ 櫛造る刀自 

からたちと うばらかりそけ くらたてむ くそとほくまれ くしつくるとじ
・・・・・・・・・・・・
枳の茨の原を刈り除いて

倉を建てるぞ

尿は遠くでしてくれ

櫛を造るおかみさん方よ
・・・・・・・・・・・・
* 「まれ」は「まる」の命令形で「クソをする」という意味の動詞。
* 「うばら」とはイバラ/バラの古い別名
* 「茨(うばら)」=「まんだ」
【茨田】大阪府(河内国)の旧郡名。明治二九年(一八九六)讚良・交野の二郡と合併して北河内郡の一部となる。また、上代、茨田郡に置かれていた古郷名。
* 倉、屎、櫛はいずれも音韻が「く」で揃っている物名歌。
* 「うばらの野」に生えているノイバラ、その偽果は、(営実)という瀉下薬となるから、屎と通ずる「うばら」も物名の中に含まれる。薬とする棘のあるノイバラの実を取っている女を見て茶化した歌である。
* 「刀自」広く未婚婦女子を表す呼称。本来刀貝(とばい)で、女陰を象徴した原始性器信仰の名残を持つ。



3833雑歌,作者:境部王,物名,宴席,即興,穂積王,誦詠

[題詞]境部王詠數種物歌一首 [穂積親王之子也]

虎尓乗 古屋乎越而 青淵尓 鮫龍取将来 劒刀毛我

虎に乗り 古屋を越えて 青淵に 蛟龍捕り来む 剣太刀もが 

とらにのり ふるやをこえて あをふちに みつちとりこむ つるぎたちもが
・・・・・・・・・・・・
虎にうち乗り古家の屋根を飛び越え

青々とした水の深淵に棲んでいる

蛟龍を退治できるような剣太刀が欲しいものだな
・・・・・・・・・・・・
* 虎、古い家、青淵、蛟龍、剣太刀など畏ろしい物名を詠みこんだ歌。




3834雑歌,物名,宴席,誦詠,戯笑,譬喩,掛詞,序詞

[題詞]作主未詳歌一首

成棗 寸三二粟嗣 延田葛乃 後毛将相跡 葵花咲

梨棗 黍に粟つぎ 延ふ葛の 後も逢はむと 葵花咲く 

なしなつめ きみにあはつぎ はふくずの のちもあはむと あふひはなさく
・・・・・・・・・・・・
梨 棗(なつめ)と続いてあなたに会いたい

葛のつるが別れてまたつながるようにあなたに会いたい

あなたに逢う日を知らせる葵の花よ早く咲け
・・・・・・・・・・・・
* 黍に粟つぎ × 君に逢はつぎ
  葵(あふひ) × 逢う日



3835雑歌,伝承,新田部皇子,奈良,物名,戯笑,宴席

[題詞]獻新田部親王歌一首 [未詳]

勝間田之 池者我知 蓮無 然言君之 鬚無如之

勝間田の 池は吾れ知る 蓮なし しか言ふ君が 鬚なきごとし 

かつまたの いけはわれしる はちすなし しかいふきみが ひげなきごとし
・・・・・・・・・・・・
勝間田の池を私はよく知っています

蓮はありません

そう言う吾が君にお髭がないように
・・・・・・・・・・・・

[左注]
右或有人聞之曰 右は或る人が聞いた
新田部親王出遊于堵裏御見勝間田之池感緒御心之中 新田部親王が都の中にお出ましになり、勝間田の池を御覧になって、御心に感じるところがあった
還自彼池不任怜愛 その池から帰った後も感動に耐えなかった
於時語婦人曰 そこで、婦人に語って云うには
今日遊行見勝<間>田池  今日出かけていって、勝田の池を見ると
水影涛々蓮花 灼々 水面は煌きながら揺れ動き、蓮の花は赤々と照り映えていた
○怜断腸不可得言 美しさは腹に沁みを言葉に出来ない
尓乃婦人作此戯歌專輙吟詠也 そこで婦人が、この戯れの歌を作って、もっぱら、口ずさんだ
浮気は見え見えよ と




3836雑歌,作者:消奈行文,嘲笑,戯笑,宴席,奈良

[題詞]謗<侫>人歌一首

奈良山乃 兒手柏之 兩面尓 左毛右毛 <侫>人之友

奈良山の 児手柏の 両面に かにもかくにも 侫人の伴 

ならやまの このてかしはの ふたおもに かにもかくにも こびひとがとも
・・・・・・・・・・・・
奈良山の児手柏のように

裏表がはっきりしない

ああもこうも云う

心根の定まらない貴方よ
・・・・・・・・・・・・
* 「侫人(こびひと)」は、心のひねくれた人。
* 「児手柏」針葉樹で、葉を見ても表か裏か分からない。
* 児手柏の葉っぱのように裏だか表だか分かりゃしない。あっちにもこっちにもいい顔して、それが侫人(こびひと)て奴だよ。




3837雑歌,枕詞,宴席,誦詠,物名,即興,伝承

[題詞]

久堅之 雨毛落奴可 蓮荷尓 渟在水乃 玉似<有将>見

ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む 

[ひさかたの] あめもふらぬか はちすばに たまれるみづの たまににたるみむ
・・・・・・・・・・・・
雨もふらないのか

蓮の葉に溜まる水が

水玉になるのを見ようものを
・・・・・・・・・・・・

[左注]右歌一首傳云 右の歌一首伝えて云うには
有右兵衛[姓名未詳] 右の兵衛府にある人物がいた[姓名未詳]
多能歌作之藝也 多才で歌を作る能があった
于時府家備設酒食  ある時兵衛府役所で酒食を用意して
饗宴府官人等  兵衛府の役人達が
於是饌食盛之皆用荷葉 食べ物は盛り付けるに全て蓮の葉を使用した
聲作斯歌也諸人酒酣歌○駱驛 人々は酒宴に興じて次ぎ次ぎと歌い踊った 
乃誘兵衛云 兵衛を誘って誰かが云うには
<關>其荷葉而作<歌>者 その荷葉を開いて歌を作れ
登時應 すぐにその声に応えて作ったと云う




3838雑歌,作者:安倍子祖父,舎人親王,即興,宴席,報償,伝承,誦詠

[題詞]無心所著歌二首

吾妹兒之 額尓生<流> 雙六乃 事負乃牛之 倉上之瘡

吾妹子が 額に生ふる 双六の こと負の牛の 鞍の上の瘡 

わぎもこが ひたひにおふる すぐろくの ことひのうしの くらのうへのかさ
・・・・・・・・・・・・
わが妻の丘に生えている毛の

茂みの逞しい造りの中央の

女陰の上の腰巻
・・・・・・・・・・・・
* 「こと負(ひ)の牛」は、牡牛(おすうし)のこと。
[左注](右歌者舎人親王令侍座曰 或有作無所由之歌人者賜以錢帛 于時大舎人 安倍朝臣子祖父乃作斯歌獻上 登時以所募物錢二千文給之也)
* <出典・転載[万葉集難解歌の解読]より>




3839雑歌,作者:安倍子祖父,舎人親王,即興,宴席,報償,伝承,誦詠,吉野,奈良

[題詞](無心所著歌二首)

吾兄子之 犢鼻尓為流 都夫礼石之 吉野乃山尓 氷魚曽懸有 [懸有反云 佐<我>礼流]

吾が背子が 犢鼻にする つぶれ石の 吉野の山に 氷魚ぞ下がれる 
[懸有反云 佐<我>礼流]

わがせこが たふさきにする つぶれいしの よしののやまに ひをぞさがれる
・・・・・・・・・・・・
私の亭主がフンドシにする

ピンク色の布の裂け目の広がりから

陽物が垂れ下がっている
・・・・・・・・・・・・
* <出典・転載[万葉集難解歌の解読]より>

[左注]
右歌者舎人親王令侍座曰 右の歌は舎人親王が侍者に命じて云う
或有作無所由之歌人者賜以錢帛 由の有って無い歌を作る者に銭や帛をやろう
于時大舎人 大舎人の
安倍朝臣子祖父乃作斯歌獻上 安倍朝臣子祖父がすぐこの歌を作り献上した
登時以所募物錢二千文給之也 そこで褒賞として銭二千文を授けた

<出典・以下[万葉集遊楽]より抜粋転載>
犢鼻(たふさき):犢鼻褌の略でいわゆる三尺ふんどし 
円石(つぶれいし) :角の取れた丸い小石

親王いわく「 さっぱり意味が分らんが面白い歌だのう。しかもよく考えて作っている。よし、合格!褒美をとらす 」 一同どっと拍手。

この歌の面白味はどこにあるのでしょうか?
東 光治氏は次のように解説されています。 ( 万葉動物考 ) 

 非常に矛盾したことを幾重にも繰り返している点重視すべきである。
    ÷紘(たふさき) と 円石(つぶれいし)
     「 平たくて薄いふんどし」を「重くて丸い石」といい、
  ◆  崑腓い吉野山」を「小さな丸い石」と言っている。さらに
    「川の氷魚」が「山にぶらさがっている」 おり、しかも
   琵琶湖にしかいない魚が吉野にいる。
   これがあるがためこの歌は一層価値付けられる。奇想の連発。
・・・・・・・




3840雑歌,作者:池田真枚,大神奥守,嘲笑,戯笑,誦詠

[題詞]池田朝臣嗤大神朝臣奥守歌一首 [池田朝臣名忘失也]
やせっぽの奥守を男餓鬼に譬えて池田朝臣が之を嗤(わら)った歌


寺々之 女餓鬼申久 大神乃 男餓鬼被給而 其子将播

寺々の 女餓鬼申さく 大神の 男餓鬼賜りて その子産まはむ 

てらてらの めがきまをさく おほかみの をがきたばりて そのこうまはむ
・・・・・・・・・・・・
あちこちの寺の淫欲で嫉妬深い女餓鬼が言ってるよ

大神寺にある男餓鬼の仏像を頂いて

その係累の仏像を世の中に広めましょう

そいつの子供をどんどんつくりたい とな
・・・・・・・・・・・・



3841雑歌,作者:大神奥守,池田真枚,嘲笑,戯笑,誦詠

[題詞]大神朝臣奥守報嗤歌一首

佛造 真朱不足者 水渟 池田乃阿曽我 鼻上乎穿礼

仏造る ま朱足らずは 水溜まる池田の朝臣が 鼻の上を掘れ 

ほとけつくる まそほたらずは みづたまる いけだのあそが はなのうへをほれ
・・・・・・・・・・・・
仏様を造るのに必要な

いい朱が足りなければ

水の溜まる池

その池田のおやじの赤鼻の上を掘ればいい
・・・・・・・・・・・・


この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事