|
3821,雑歌,作者:兒部女王,尺度,大阪,坂門氏,嘲笑,伝承,戯笑,恋 [題詞]兒部女王嗤歌一首(児部女王の嗤ふ歌一首) [左注]右時有娘子 姓尺度氏也 此娘子不聴高姓美人之所誂應許下姓い士之所誂也 於是兒部女王裁作此歌嗤咲彼愚也(右は、ある時に娘子あり。姓尺度(さかと)氏なり。此の娘子(ほとめ)高き姓(かばね)の美人(うまひと)の誂(あと)ふるを聴(ゆる)さずして、下(ひく)き姓の霏士(しこを)の誂ふるを応許(ゆる)す。そこで児部女王(こべのおおきみ)、此の歌を裁作(つく)りて、その愚かなるを嗤咲(わら)った。) 美麗物 何所不飽矣 坂門等之 角乃布久礼尓 四具比相尓計六 うましもの いづくあかじを さかとらが つののふくれに しぐひあひにけむ ・・・・・・・・・・・・
あんなに美女はどんな男でも選べたろうに 尺度の娘は選りにもよってあんな太っちょと どうした因縁で結婚したんでしようか ・・・・・・・・・・・・ * 美麗物 = うましもの・くはしもの。上代語で、「細やかで美しい」「すぐれて美しい」の意。くはし女(美しい女性) 「うまし」(形シク)は、立派だ。美しい。 * 何所不飽矣 = 何所飽かじを・いづくか飽かじ<「いづく」は「どちら」の意。> * 坂門等之 = 尺度らが・さかとらし<「尺度」は「河内国(現在の羽曳野市周辺)」に本拠地を置く氏族。「坂戸物部(さかとののもののべ)」といわれる伴部系豪族である。>「ら」は、「ら」は複数ではなく、親しみの気持ちを表わし、ややそのものを低くみるもの。自称語に付く場合は謙譲の意を表す。 * 角のふくれ = 醜男の形容<「角」は名前。 「ふくれ」は「太ったもの」「デブ」の意。> * 「しぐひ・あふ」;「し」は接頭語か。男女がくっつきあう。かみあう。 * 「誂(あと)ふ」「誂ふ」は「結婚を申し込む」の意。 * 「けむ」は過去の推量を表す助動詞で「〜ただろう」の意。 身分の高い姿かたちのいい男と結婚できただろうに。 * 「児部女王の嗤ふ」は、人の外面をと、内面をとの、いずれをもみて「嗤ふ」ではなかろうか。[左注]の記事をそのまま受取れば、単に外面からの「嘲笑」歌でしかないが。 3822,雑歌,地名,明日香,奈良,古歌,伝承,誦詠,椎野長年,恋 [題詞]古歌曰 [左注]右歌椎野連長年脉曰 夫寺家之屋者不有俗人寝處 亦稱若冠女曰放髪<丱>矣 然則<腹>句已云放髪<丱>者 尾句不可重云著冠之辞哉 橘 寺之長屋尓 吾率宿之 童女波奈理波 髪上都良武可 たちばなの てらのながやに わがゐねし うなゐはなりは かみあげつらむか ・・・・・・・・・・・・
橘寺の長屋に引き込んで抱いた女の子は もう一人前の娘になり 髪を結ひ上げているだらうか ・・・・・・・・・・・・ * 童女 = うなゐ・八歳位の女の子の髪 放髪 = はなり・十四〜十五歳位の女の子のお下げ髪 「童女放髪」を一語として女の子 髪上げ = 成人した女が髪を結い上げること 3823,雑歌,推敲,異伝,伝承,宴席,転用,改作,恋 [題詞]决<曰> 橘之 光有長屋尓 吾率宿之 宇奈為放尓 髪擧都良武香 たちばなの てれるながやに わがゐねし うなゐはなりに かみあげつらむか ・・・・・・・・・・・・
橘も照れる長屋に引き込んで 抱いたあのお下げ髪の少女は 髪上げしてだれかと結婚しているだろうか ・・・・・・・・・・・・ 3824,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,伝承,誦詠 [題詞]長忌寸意吉麻呂歌八首 [左注]右一首傳云 一時衆<集>宴飲也 於<時>夜漏三更所聞狐聲 尓乃衆諸誘 奥麻呂曰 關此饌具雜器狐聲河橋等物但作歌者 即應聲作此歌也 刺名倍尓 湯和可世子等 櫟津乃 桧橋従来許武 狐尓安牟佐武 さしなべに ゆわかせこども いちひつの ひばしよりこむ きつねにあむさむ ・・・・・・・・・・・・
<chi**kokkk>さん。さし鍋にお湯を沸かせ みなの者よ 櫟津の桧橋をコンと来る狐に 湯を浴びせかけてやろうぞ ・・・・・・・・・・・・ https://blogs.yahoo.co.jp/chiyokokkk/28452515.html?type=folderlist 歌の題材をかけて、即座に詠むことを、楽しむことが、持統朝の頃からあった。 志斐の嫗の「強い語り」を楽しんだのも、持統女帝でした。 即興歌の名人、長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)も、持統朝の人。 ある時、大勢が集まって酒盛りをした。真夜中頃、狐の鳴き声が聞こえた。 皆が、意吉麻呂をけしかけて、こう言った。 「ここにある饌具(せんぐ)・雑器(ぞうき)・狐声(こせい)・河橋(かきょう)にかけて、一首詠め。」と。 そこで、意吉麻呂は、間髪を容れずに、この歌を作った。 ♪さし鍋に 湯沸かせ子ども 櫟津(いちひつ)の檜橋より来む 狐に浴むさむ(万葉集・巻16・3824) (さし鍋の中に 湯を沸かせよ、ご一同。櫟津の 檜橋を渡って、コムコムとやって来る 狐めにあびせてやるのだ) 「さし鍋」は、つぎ口と柄のある鍋。←<饌具> 「櫟津」は、狐の渡って来た橋のある場所の名。←<櫃は、雑器> 「檜橋」は、檜で作った上等な橋←<河橋> 「来む」は、狐の鳴き声コム←<狐声> 立派な檜の橋を、狐めが、大威張りに渡って来るとは、けしからん。 大いに熱湯を沸かして、狐ねにぶっかけろ。とうたう。 専門歌人は、讃歌・挽歌ばかりでなく、こんな裏技も使えてこそ、世間の脚光を浴びるんですね。 意吉麻呂は、宴会部長みたい。 人気者だったでしょう。 意吉麻呂に逢ってみたい。(*^▽゜ *)ゞ^ ヾ☆<了> 3885,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠 [題詞]詠行騰蔓菁食薦屋梁歌 食薦敷 蔓菁煮将来 屋梁尓 行騰懸而 息此公 すごもしき あをなにてこむ うつはりに むかばきかけて やすむこのきみ ・・・・・・・・・・・・
すごもを敷いて青菜を煮て持って来い 梁にむかばきを懸けて あそこで寝ている奴に ・・・・・・・・・・・・ * 「むかばき」は、山野を歩く時、足に着けるもの。 * ブログ[重陽の節句を祝う] http://blogs.yahoo.co.jp/mizunoene17/29738263.html?type=folderlist 3826,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠 [題詞]詠荷葉歌 蓮葉者 如是許曽有物 意吉麻呂之 家在物者 <宇>毛乃葉尓有之 はちすばは かくこそあるもの おきまろが いへなるものは うものはにあらし ・・・・・・・・・・・・
蓮の葉に乗る仏像は貴いのでしょう 蓮の葉に乗る料理も立派だ わが意吉麻呂家にある仏像も上さんも 里芋の葉に乗ったようなものですよ ・・・・・・・・・・・・ * 蓮の葉は宴席の美女、芋の葉は自分の妻の譬。 <chi**kokkk>さん。 https://blogs.yahoo.co.jp/chiyokokkk/28482976.html?type=folderlist 先々週、カンボジアに行った。 ホテル前の池の蓮の花が咲いた。 ピンク。 アンコールワットに出発する朝に咲いた。 水面から、すらりとのびた茎に咲く蓮花に気品がある。 空中に、浮かぶ蓮花は、神秘的でもある。 神様・仏様のお座布団になれたのも、なるほどしかり。 後で思ったことだけど、ツアーの安全を予祝して、咲いてくれたのかも・・・ だって、アンコールワットは、ロマンかと思ってたら、体育系だった。 ぐっしょり、疲れた。(#´ο`#) さて、蓮葉。 意吉麻呂が、蓮観賞の宴に参加してうたう。 ♪蓮葉(はちすば)は かくこそあるもの 意吉麻呂が 家にあるものは 芋(うも)の葉にあるらし (万葉集・巻16・3826) (蓮の葉というのは、まあ何とこういう姿のものであったのか。してみると、意吉麻呂の家にあるもの なんかは、どうやら里芋の葉っぱだな) 宴会のおごちそうのお皿に、蓮の葉が使われていたのかも・・・ 宴の主人の庭の蓮葉に、自宅の蓮葉と比べて、卑下してうたう。 自分の名を自分で呼ぶのは、謙遜した言い方らしい。 憶良も「憶良らは 今はまからむ・・・」とうたってる。 気高い蓮の葉に、高貴で美しい女性(女主人)を譬え、蓮に似てるけど卑近な芋の葉を、自分の妻に譬えている。 芋(うも)→妹(いも) 自分の妻を、わざと、おとしめて、相手(宴の主人)を褒めたたえている。 やんや、やんや。宴会が盛り上がったこと、間違いなし!<了> 3827,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠 [題詞]詠雙六頭歌 一二之目 耳不有 五六三 四佐倍有<来> 雙六乃佐叡 いちにのめ のみにはあらず ごろくさむ しさへありけり すぐろくのさえ ・・・・・・・・・・・・
一二の目だけではない 五六 三四もある 双六の目の冴えは人には読めん ・・・・・・・・・・・・ 3828,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠 [題詞]詠香塔厠<屎>鮒奴歌 香塗流 塔尓莫依 川隈乃 屎鮒喫有 痛女奴 かうぬれる たふになよりそ かはくまの くそふなはめる いたきめやつこ ・・・・・・・・・・・・
香を塗りつけたように匂う 仏塔に近寄ってはいけない 厠のある川の屎を餌に育った鮒を食べる 汚い女召使がいると思え ・・・・・・・・・・・・ 3829,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠 [題詞]詠酢醤蒜鯛水ク歌 醤酢尓 蒜都伎合而 鯛願 吾尓勿所見 水ク乃煮物 ひしほすに ひるつきかてて たひねがふ われになみえそ なぎのあつもの ・・・・・・・・・・・・
醤と酢でのびるを混ぜ合わせ 鯛に添えて和え物を作って食べようと ちょうど想っているのに 私にそんなものを見せるな 水葱の煮物など ・・・・・・・・・・・・ 3830,雑歌,物名,宴席,作者:長意吉麻呂,戯笑,即興,誦詠 [題詞]詠玉掃鎌天木香棗歌 玉掃 苅来鎌麻呂 室乃樹 與棗本 可吉将掃為 たまばはき かりこかままろ むろのきと なつめがもとと かきはかむため ・・・・・・・・・・・・
玉掃の草をを刈って来なさい そこの鎌麻呂さんよ 庭のむろの木と棗の木の下を掃除をしたいから ・・・・・・・・・・・・ * 「鎌麻呂」は鎌の擬人化。 <以下出典[たのしい万葉集]より転載>
* 「玉掃(たまははき/たまばはき)」は、キク科コウヤボウキ属の落葉小高木の高野箒(こうやぼうき)、またそれで作った箒のことです。山野・丘陵地に見られ、10〜11月頃に枝先に白い花を咲かせます。昔は、この枝を束ねて、儀式などに使う箒を作ったようです。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- ジャズ




http://blogs.yahoo.co.jp/kairouwait08/30172946.html
2016/6/23(木) 午後 7:56 [ ニキタマの万葉集 ]