ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第十六巻

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3701遣新羅使,長崎,対馬,望郷,作者:大伴三中

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

多可之伎能 母美知乎見礼婆 和藝毛故我 麻多牟等伊比之 等伎曽伎尓家流

竹敷の 黄葉を見れば 吾妹子が 待たむと言ひし 時ぞ来にける 

たかしきの もみちをみれば わぎもこが またむといひし ときぞきにける
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竹敷の木の葉が色づくのを見ると

妻が帰りを待っていると言った

その時がもうきてしまったのだ
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3702遣新羅使,長崎,対馬,叙景,作者:壬生宇太麻呂

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

多可思吉能 宇良<未>能毛美知 <和>礼由伎弖 可敝里久流末R 知里許須奈由米

竹敷の 浦廻の黄葉 吾れ行きて 帰り来るまで 散りこすなゆめ 

たかしきの うらみのもみち われゆきて かへりくるまで ちりこすなゆめ
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竹敷の浦のモミジ葉よ

新羅へ行って還って来るまで

けっして散ってしまうな
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3703遣新羅使,長崎,対馬,叙景,作者:大蔵麻呂

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

多可思吉能 宇敝可多山者 久礼奈為能 也之保能伊呂尓 奈里尓家流香聞

竹敷の 宇敝可多山は 紅の 八しほの色に なりにけるかも 

たかしきの うへかたやまは くれなゐの やしほのいろに なりにけるかも
・・・・・・・・・・・
竹敷の 宇敝可多山は

紅花で何度も染めた

八しほの色に色付いたことよ
・・・・・・・・・・・
* 「八しほの色」いく度も繰り返し染め汁に浸して染めた濃い色。
* 「ベニバナ 紅花」を水に浸して「黄」を溶かし出し、アクに浸すと紅色色素(カーサミン)が溶けて出る。
これに酢を加えると、カーサミンが沈殿する。
伝統的な口紅は、この沈殿したカーサミンからつくった。

紅花油を燃やして出る煤から紅花墨ができる。
舶来の呉藍(くれのあい)が訛ってクレナイ。

眉掃(まゆは)きを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花  芭蕉 




3704遣新羅使,長崎,対馬,遊行女婦,作者:玉槻,女歌

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

毛美知婆能 知良布山邊由 許具布祢能 尓保比尓米R弖 伊R弖伎尓家里

黄葉の 散らふ山辺ゆ 漕ぐ船の にほひにめでて 出でて来にけり 

もみちばの ちらふやまへゆ こぐふねの にほひにめでて いでてきにけり
・・・・・・・・・・・
黄葉が宙を散り流れる

山辺近くを漕ぐ船は

山が黄葉で染まるのを愛でるように

舟出して来たようです
・・・・・・・・・・・



3705遣新羅使,長崎,対馬,地名,遊行女婦,作者:玉槻,女歌

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

多可思吉能 多麻毛奈<婢>可之 己<藝>R奈牟 君我美布祢乎 伊都等可麻多牟

竹敷の 玉藻靡かし 漕ぎ出なむ 君がみ船を いつとか待たむ 

たかしきの たまもなびかし こぎでなむ きみがみふねを いつとかまたむ
・・・・・・・・・・・
竹敷の海の

美しい藻を靡せながら

貴方の乗る御船は漕ぎ出して行く

でも 教えて欲しい

お帰りをいつと思って

お待ちしたらいいかを
・・・・・・・・・・・



3706遣新羅使,土地讃美,長崎,対馬,作者:阿倍継麻呂

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

多麻之家流 伎欲吉奈藝佐乎 之保美弖婆 安可受和礼由久 可反流左尓見牟

玉敷ける 清き渚を 潮満てば 飽かず吾れ行く 帰るさに見む 

[たましける] きよきなぎさを しほみてば あかずわれゆく かへるさにみむ
・・・・・・・・・・・
玉を敷いたような清らかな渚に

潮が満ちて船出のときがきた

愛でて飽きない渚だが

また ここに還って来て見よう
・・・・・・・・・・・
* 



3707遣新羅使,土地讃美,長崎,対馬,作者:壬生宇太麻呂

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

安伎也麻能 毛美知乎可射之 和我乎礼婆 宇良之保美知久 伊麻太安可奈久尓

秋山の 黄葉をかざし 吾が居れば 浦潮満ち来 いまだ飽かなくに 

あきやまの もみちをかざし わがをれば うらしほみちく いまだあかなくに
・・・・・・・・・・・
秋山の黄葉を髪に挿して

私が楽しんで居る間に

浦に潮が満ちて来た

まだ飽きてはいないが

行かなければ
・・・・・・・・・・・



3708遣新羅使,望郷,長崎,対馬,作者:阿倍継麻呂

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

毛能毛布等 比等尓波美要<緇> 之多婢毛能 思多由故布流尓 都<奇>曽倍尓家流

物思ふと 人には見えじ 下紐の 下ゆ恋ふるに 月ぞ経にける 

ものもふと ひとにはみえじ [したびもの] したゆこふるに つきぞへにける
・・・・・・・・・・・
物思いに沈んでいると人には見えまいが

下袴の紐の郷の妻よ

心の中でひそかに恋い焦がれても

苦しく月日は経ていく
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3709遣新羅使,長崎,対馬,望郷,みやげ

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

伊敝豆刀尓 可比乎比里布等 於伎敝欲里 与世久流奈美尓 許呂毛弖奴礼奴

家づとに 貝を拾ふと 沖辺より 寄せ来る波に 衣手濡れぬ 

いへづとに かひをひりふと おきへより よせくるなみに ころもでぬれぬ
・・・・・・・・・・・
家への土産に貝を拾おうとして

沖から打ち寄せる波に

私の袖が濡れたよ

きみをしのぶ

こみ上げた涙で濡れたんだ
・・・・・・・・・・・



3710遣新羅使,対馬,長崎

[題詞](竹敷浦舶泊之時<各>陳心緒作歌十八首)

之保非奈<婆> 麻多母和礼許牟 伊射遊賀武 於伎都志保佐為 多可久多知伎奴

潮干なば またも吾れ来む いざ行かむ 沖つ潮騒 高く立ち来ぬ 

しほひなば またもわれこむ いざゆかむ おきつしほさゐ たかくたちきぬ
・・・・・・・・・・・
潮が干いたらまた 来ればいい

さあ 行こうか

沖から潮騒の音が

高く立って来たから

潮が干いたらまた来ればいい
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