ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第十五巻

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3661遣新羅使,福岡,叙景,異伝

[題詞](海邊望月作九首)

可是能牟多 与世久流奈美尓 伊射里須流 安麻乎等女良我 毛能須素奴礼奴

風の共 寄せ来る波に 漁りする 海人娘子らが 裳の裾濡れぬ 

かぜのむた よせくるなみに いざりする あまをとめらが ものすそぬれぬ
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風と共に寄せて来る波間で漁りする

海人娘子たちの裳の裾が濡れている
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3661S遣新羅使,福岡,叙景,異伝

[題詞](海邊望月作九首)一云

安麻乃乎等賣我 毛能須蘇奴礼<濃>

海人の娘子が 裳の裾濡れぬ 

あまのをとめが ものすそぬれぬ
・・・・・・・・・・
海人娘子の 裳の裾が濡れている
・・・・・・・・・・



3662遣新羅使,旋頭歌,孤独,恋,望郷,福岡

[題詞](海邊望月作九首)

安麻能波良 布里佐氣見礼婆 欲曽布氣尓家流 与之恵也之 比<等>里奴流欲波
安氣婆安氣奴等母

天の原 振り放け見れば 夜ぞ更けにける よしゑやし ひとり寝る夜は 明けば明けぬとも 

あまのはら ふりさけみれば よぞふけにける よしゑやし ひとりぬるよは あけばあけぬとも
・・・・・・・・・・
天の原を仰ぎ見ながら夜を更かす

えいままよ 一人寝る夜は

このまま明けてもしかたがない
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3663遣新羅使,福岡,望郷,漂泊

[題詞](海邊望月作九首)

和多都美能 於伎都奈波能里 久流等伎登 伊毛我麻都良牟 月者倍尓都追

わたつみの 沖つ縄海苔 来る時と 妹が待つらむ 月は経につつ 

[わたつみの] おきつなはのり くるときと いもがまつらむ つきはへにつつ
・・・・・・・・・・
沖の縄海苔を繰り取る時のように

貴女は私のくる時を待つのでしょう

その月日は空しく過ぎるばかりです
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3664遣新羅使,志賀島,叙景,福岡

[題詞](海邊望月作九首)

之可能宇良尓 伊射里須流安麻 安氣久礼婆 宇良未許具良之 可治能於等伎許由

志賀の浦に 漁りする海人 明け来れば 浦廻漕ぐらし 楫の音聞こ 

しかのうらに いざりするあま あけくれば うらみこぐらし かぢのおときこゆ
・・・・・・・・・・
志賀の浦で漁をする海人が

夜が明けて来ると

湊に帰るために舟を漕ぐらしい

楫の音が聞こえる
・・・・・・・・・・



3665遣新羅使,望郷,福岡


[題詞](海邊望月作九首)

伊母乎於毛比 伊能祢良延奴尓 安可等吉能 安左宜理其問理 可里我祢曽奈久

妹を思ひ 寐の寝らえぬに 暁の 朝霧隠り 雁がねぞ鳴く 

いもをおもひ いのねらえぬに あかときの あさぎりごもり かりがねぞなく
・・・・・・・・・・
貴女を想い寝るに寝られないままいると

暁の朝霧に隠れて鳴いています 

雁でしょうか
・・・・・・・・・・



3666遣新羅使,福岡,望郷,漂泊

[題詞](海邊望月作九首)

由布佐礼婆 安伎可是左牟思 和伎母故我 等伎安良比其呂母 由伎弖波也伎牟

夕されば 秋風寒し 吾妹子が 解き洗ひ衣 行きて早着む 

ゆふされば あきかぜさむし わぎもこが ときあらひごろも(「ぎぬ」とも)」 ゆきてはやきむ
・・・・・・・・・・
夕方になると秋風が寒いです

愛しい貴女が洗ったすがしい衣を

帰って早く着たいことよ
・・・・・・・・・・
* 「去れ」は「やって来る。〜になる」。
* 「解き洗ひ衣は「衣服を解きほどいて洗い張りたもの」。



3667遣新羅使,福岡,望郷,漂泊

[題詞](海邊望月作九首)

和我多妣波 比左思久安良思 許能安我家流 伊毛我許呂母能 阿可都久見礼婆

吾が旅は 久しくあらし この吾が着る 妹が衣の 垢つく見れば 

わがたびは ひさしくあらし このあがける いもがころもの あかつくみれば
・・・・・・・・・・
私の旅は久しくなったようだ

この私が着ている

貴女の形見の衣に付いた垢を見ると
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3668遣新羅使,作者:阿倍継麻呂,恋,望郷,福岡,韓亭

[題詞]到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首

於保伎美能 等保能美可度登 於毛敝礼杼 氣奈我久之安礼婆 古非尓家流可母

大君の 遠の朝廷と 思へれど 日長くしあれば 恋ひにけるかも 

おほきみの とほのみかどと おもへれど けながくしあれば こひにけるかも
・・・・・・・・・・
ここ韓亭(からとまり)は

大王が治める奈良の京と同じ遠の朝廷であるが

留まる日々が長くなると

郷や貴女への恋しい気持がつのります
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3669遣新羅使,作者:壬生宇太麻呂,望郷,恋,福岡,韓亭

[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

多妣尓安礼杼 欲流波火等毛之 乎流和礼乎 也未尓也伊毛我 古非都追安流良牟

旅にあれど 夜は火灯し 居る吾れを 闇にや妹が 恋ひつつあるらむ 

たびにあれど よるはひともし をるわれを やみにやいもが こひつつあるらむ
・・・・・・・・・・
旅路にいても夜は灯を燭しているが

家に残る妻は暗闇の中で

私を恋しく想っているのでしょう
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3670遣新羅使,福岡,韓亭,能許島,恋,望郷

[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

可良等麻里 能<許>乃宇良奈美 多々奴日者 安礼杼母伊敝尓 古非奴日者奈之

韓亭 能許の浦波 立たぬ日は あれども家に 恋ひぬ日はなし 

からとまり のこのうらなみ たたぬひは あれどもいへに こひぬひはなし
・・・・・・・・・・
韓亭(からとまり)の

能許の浦に波が立たない日はあっても

家に残す貴女を

恋しく思わない日はありません
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