ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第十四巻

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3378 東歌,相聞,埼玉県,入間,序詞,恋,民謡,歌垣

[題詞]

伊利麻治能 於保屋我波良能 伊波為都良 比可婆奴流々々 和尓奈多要曽祢

入間道の 於保屋が原の いはゐつら 引かばぬるぬる 吾にな絶えそね 

[いりまぢの おほやがはらの いはゐつら] ひかばぬるぬる わになたえそね
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入間路の於保屋が原に生えているいはゐつらが

やさしく引っ張れば

ずるずるとなめらかに切れないように

私との間を絶やさないでくださいね
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* 「いはゐつら」は、「滑ひゆ」。スベリヒユ科の一年草。路傍・畑など日当たりのよい所に生える。茎は赤紫色を帯び、下部は地をはう。葉は厚い肉質で長円形、つやがある。夏、黄色の小花を開く。名前は,茹でるとぬめりが出ることに由来する。ということで,食べられる。
 真夏の暑い日差しにも,熱い地面にはいつくばるように広がっている。スベリヒユもポーチュラカの花を小さくしたような黄色い花をつける。
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* 「いるま」【入間】埼玉県南部の市。日光への脇道の宿場町として発展。
* 「ぬるぬる」(副詞)は、なめらかなさま。
* 「そ」(終助)は、副詞「な」と呼応し、動詞の連用形(カ変・サ変の場合は未然形)をな〜その間にはさみ、禁止の意を表す。・・するな。・・してくれるな。
* 「ね」は、人に優しく頼む詞で希望の終助詞。話しかける相手に対し「〜してほしい」という希望の意をあらわす。






3379 東歌,相聞,埼玉県,東京都,女歌,序詞

[題詞]

和我世故乎 安杼可母伊波武 牟射志野乃 宇家良我波奈乃 登吉奈伎母能乎

吾が背子を あどかも言はむ 武蔵野の うけらが花の 時なきものを 

[わがせこを あどかもいはむ むざしのの] うけらがはなの ときなきものを
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愛しいあの人をどう言い表せばいいのかしら
 
武蔵野のうけらの花の咲くように

何時と限った時ではなくて

いつも思う人ということね
・・・・・・・・・・・
* 「うけら」は、オケラの古名。日当たりのよい山野に自生する。




3380 東歌,相聞,埼玉県,行田,序詞,恋,女歌,民謡

[題詞]

佐吉多萬能 津尓乎流布祢乃 可是乎伊多美 都奈波多由登毛 許登奈多延曽祢

埼玉の 津に居る船の 風をいたみ 綱は絶ゆとも 言な絶えそね 

[さきたまの つにをるふねの かぜをいたみ] つなはたゆとも ことなたえそね
・・・・・・・・・・・
埼玉の船着き場に繋いだ船の

綱が強風に負けて切れてもさ

二人の便りは絶えはしないよ
・・・・・・・・・・・



3381 東歌,相聞,埼玉県,東京都,枕詞,序詞,恋

[題詞]

奈都蘇妣久 宇奈比乎左之弖 等夫登利乃 伊多良武等曽与 阿我之多波倍思

夏麻引く 宇奈比をさして 飛ぶ鳥の 至らむとぞよ 吾が下延へし 

[なつそびく] うなひをさして とぶとりの] いたらむとぞよ あがしたはへし
・・・・・・・・・・・
宇奈比に向かって鳥がいくように

私の心も思いつづけている

あなたに会いにいきたいと
 
じっとじっと慕いつづけましょう
・・・・・・・・・・・




3382 東歌,相聞,千葉県,木更津,恋,悲別

[題詞]

宇麻具多能 祢呂乃佐左葉能 都由思母能 奴礼弖和伎奈婆 汝者故布婆曽毛

馬来田の 嶺ろの笹葉の 露霜の 濡れて吾来なば 汝は恋ふばぞも 

[うまぐたの ねろのささはの つゆしもの] ぬれてわきなば なはこふばぞも
・・・・・・・・・・・
うまぐたの嶺の笹葉が露霜に濡れているように

長旅を露か涙か濡れながら

やっとここまでやってきたよ

おまえを恋い焦がれて

郷里に残したおまえに惹かれつつ
・・・・・・・・・・・
* 「ぞ‐も」係助詞「ぞ」+係助詞「も」。古くは「そも」とも。 文中にあって、その付く語を感動を込めて強く示す意を表す。



3383 東歌,相聞,千葉県,木更津,恋,望郷

[題詞]

宇麻具多能 祢呂尓可久里為 可久太尓毛 久尓乃登保可婆 奈我目保里勢牟

馬来田の 嶺ろに隠り居 かくだにも 国の遠かば 汝が目欲りせむ 

うまぐたの ねろにかくりゐ かくだにも くにのとほかば ながめほりせむ
・・・・・・・・・・・
馬来田の峰にふるさとが隠れたら

こんなにも遠くに感じるものか

おまえに会いたくてたまらない
・・・・・・・・・・・


3384 東歌,相聞,千葉県,伝説,恋,民謡

[題詞]

可都思加能 麻末能手兒奈乎 麻許登可聞 和礼尓余須等布 麻末乃弖胡奈乎

葛飾の 真間の手児名を まことかも 吾れに寄すとふ 真間の手児名を 

かづしかの ままのてごなを まことかも われによすとふ ままのてごなを
・・・・・・・・・・・
葛飾の真間の手児奈が

気があるなんて冗談だろう

私に心を寄せているなどと

あの真間の手児奈が
・・・・・・・・・・・



3385 東歌,相聞,千葉県,葛飾,伝説,市川

[題詞]

可豆思賀能 麻萬能手兒奈我 安里之<可婆> 麻末乃於須比尓 奈美毛登杼呂尓

葛飾の 真間の手児名が ありしかば 真間のおすひに 波もとどろに 

かづしかの ままのてごなが ありしかば ままのおすひに なみもとどろに
・・・・・・・・・・・
葛飾の真間の手児名がさ 

そんな可愛い子が今いたならば

真間の磯辺の波が轟くように

男たちが通って来ることだろう
・・・・・・・・・・・
* 「おす‐ひ」【磯辺】「いそべ」の上代東国方言。おしへ。



3386 東歌,相聞,千葉県,葛飾,新嘗,祭り,恋,女歌

[題詞]

尓保杼里能 可豆思加和世乎 尓倍須登毛 曽能可奈之伎乎 刀尓多弖米也母

にほ鳥の 葛飾早稲を にへすとも その愛しきを 外に立てめやも 

[にほどりの] かづしかわせを にへすとも そのかなしきを とにたてめやも
・・・・・・・・・・・
カイツブリのごとく交いつぶる葛飾の

早稲の新穂を神にささぐ新嘗の夜だって

あの愛しいお方を 閉め出したりできるものか

閉め出してなるものですか

鳰鳥のごとく 交いつぶりますとも


葛飾の早稲を神に供える新嘗祭の夜は

乙女として心身ともに清浄でなければいけない

とはいえ 恋人がきたら

外に立せたままなんてできるかしら

あの愛しい人を
・・・・・・・・・・・
* 「新嘗」は、新穂を神にささげる神事。処女が執り行い、家族も中に入れない。とはいえ、訪れた恋人を屋内に入れずにはおかないという歌。
* 鳰鳥は「にほ」は、カイツブリ。




3387 東歌,相聞,千葉県,葛飾,市川,恋

[題詞]

安能於登世受 由可牟古馬母我 可豆思加乃 麻末乃都藝波思 夜麻受可欲波牟

足の音せず 行かむ駒もが 葛飾の 真間の継橋 やまず通はむ 

あのおとせず ゆかむこまもが かづしかの ままのつぎはし やまずかよはむ
・・・・・・・・・・・
足音をさせずに走る駒がほしいなあ

そうすれば葛飾の真間の継橋を通って

止むことなく恋人のもとに行くものを
・・・・・・・・・・・
* 「継ぎ橋」は、杭を所々に打ち立て、その上に橋板を継ぎかけた橋。




3388 東歌,相聞,茨城県,筑波山,女歌,歌垣,勧誘,恋

[題詞]

筑波祢乃 祢呂尓可須美為 須宜可提尓 伊伎豆久伎美乎 為祢弖夜良佐祢

筑波嶺の 嶺ろに霞居 過ぎかてに 息づく君を 率寝て遣らさね 

[つくはねの ねろにかすみゐ すぎかてに] いきづくきみを ゐねてやらさね
・・・・・・・・・・・
筑波山の峰の霞が深いので

山道を通りにくそうにしている

生きのよさそうな男だから

連れ帰って霞が晴れまで

お休みなさいと誘って

一緒に寝てから帰ってもらおうかな
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2016/6/25(土) 午後 5:59 [ ニキタマの万葉集 ]


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