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1871 春雑歌 [題詞](詠花) 春去者 散巻惜 梅花 片時者不咲 含而毛欲得 はるされば ちらまくをしき うめのはな しましはさかず ふふみてもがも ・・・・・・・・・・・
* 「まく」は推量の助動詞「む」のク語法。・・だろうこと。・・たりすること。活用語の未然形につく。体言化接尾語「く」がついたものとする説もある。春になると花が咲くことよりも 散ることが惜しまれる梅よ しばらくは咲かないで蕾のままでいてほしい 可愛いあの子よ ・・・・・・・・・・・ 1872 春雑歌,奈良 [題詞](詠花) 見渡者 春日之野邊尓 霞立 開艶者 櫻花鴨 みわたせば かすがののへに かすみたち さきにほへるは さくらばなかも ・・・・・・・・・・・
はるかに見渡せば 春日の野辺に霞が立つように 美しい色に咲き誇っているのは あれは桜の花であるなあ ・・・・・・・・・・・ ♪見渡せば 春日の野辺に 霞立ち 咲きにほへるは 桜花かな (万葉集・巻10・1872) (見渡すと 春日の野辺に 霞が立ち 咲き輝いているあれは 桜花だろうなあ)
桜〜、桜〜、やよいに匂う、見渡すかぎり〜、霞か〜、雲か〜♪(*^▽゜ *)ゞ^ ヾ☆
1873 春雑歌[題詞](詠花) 何時鴨 此夜乃将明 鴬之 木傳落 <梅>花将見 いつしかも このよのあけむ うぐひすの こづたひちらす うめのはなみむ ・・・・・・・・・・・
いつになったらこの夜は明けるのであろうか 鴬が枝から枝へと飛び交っては散らしている 梅の花のありさまを早く見たいものだ ・・・・・・・・・・・ 1874 春雑歌,奈良,高円 [題詞]詠月 春霞 田菜引今日之 暮三伏一向夜 不穢照良武 高松之野尓 はるかすみ たなびくけふの ゆふづくよ きよくてるらむ たかまつののに ・・・・・・・・・・・
春霞がたなびいて今宵の月ははっきり見えないが 清らかに照らしているだろう高松の野の辺りでは ・・・・・・・・・・・ 1875 春雑歌,異伝 [題詞](詠月) 春去者 紀之許能暮之 夕月夜 欝束無裳 山陰尓指天 [一云 春去者 木陰多 暮月夜] はるされば このくれおほみ ゆふづくよ おほつかなしも やまかげにして[はるされば こかげをおほみ ゆふづくよ] ・・・・・・・・・・・
* 「おほつかなし」(形)[文]ク おぼつかな・し春の夕月夜なのに木蔭が多くて暗い はっきりしない山かげの道であることよ ・・・・・ 春になると木の下闇が多くなるので せっかくの宵の月も すっきりと姿を現してくれない こんな山蔭にいると ・・・・・・・・・・・ 確かでなくはっきりしない。ぼんやりしている。 1876 春雑歌 [題詞](詠月) 朝霞 春日之晩者 従木間 移歴月乎 何時可将待 [あさかすみ] はるひのくれは このまより うつろふつきを いつとかまたむ ・・・・・・・・・・・
春の一日がようやく暮れて 木の間から姿を現す月が 待ち遠しことであるよ ・・・・・・・・・・・ 1877 春雑歌 [題詞]詠雨 春之雨尓 有来物乎 立隠 妹之家道尓 此日晩都 はるのあめに ありけるものを たちかくり いもがいへぢに このひくらしつ ・・・・・・・・・・・
春のやさしい雨なのに雨宿りして あの娘の家に行く途中で日が暮れてしまった ・・・・・・・・・・・ 1878 春雑歌,飛鳥 [題詞]詠河 今徃而 聞物尓毛我 明日香川 春雨零而 瀧津湍音乎 いまゆきて きくものにもが あすかがは はるさめふりて たぎつせのおとを ・・・・・・・・・・・
* 「もが」は、仮想的な願望をあらわす終助詞。今(今日)行って聞きたいものだ (明日)香川に春雨が降って たぎり高鳴る瀬音を ・・・・・・・・・・・ この陰鬱な気分が吹き飛ぶことだろうなあ。 1879 春雑歌,奈良,野遊び [題詞]詠煙 春日野尓 煙立所見 ○嬬等四 春野之菟芽子 採而煮良思文 かすがのに けぶりたつみゆ をとめらし はるののうはぎ つみてにらしも ・・・・・・・・・・・
* 「ウハギ」はヨメナのこと。若葉をゆでて食べる、美味な食用野菜。春日野にすっと立ち昇る煙が見える 春の野遊びに娘達がヨメナを摘んで 煮ている煙だろうよ ・・・・・・・・・・・ * 「の‐あそび」【野遊び】 1 野に出て、草を摘んだり会食をしたりして遊ぶこと。《季 春》 2 貴族や武士が野に出て狩猟をすること。 1880 春雑歌,奈良,野遊び [題詞]野遊 春日野之 淺茅之上尓 念共 遊今日 忘目八方 かすがのの あさぢがうへに おもふどち あそぶけふのひ わすらえめやも ・・・・・・・・・・・
春日野の春浅いちがやの上で 親しい仲間がつどって 野遊びする今日の楽しさは いつまでも忘れられないだろう ・・・・・・・・・・・ 1881 春雑歌,奈良,宴席,野遊び [題詞](野遊) 春霞 立春日野乎 徃還 吾者相見 弥年之黄土 はるかすみ たつかすがのを ゆきかへり われはあひみむ いやとしのはに
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春霞立つこの春日野を みなさんと一緒に逍遙しましょう くる年もいついつまでも ・・・・・・・・・・・ |
万葉集索引第十巻
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