ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第十巻

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1871 春雑歌

[題詞](詠花)

春去者  散巻惜  梅花  片時者不咲  含而毛欲得

春されば 散らまく惜しき 梅の花 しましは咲かず ふふみてもがも 

はるされば ちらまくをしき うめのはな しましはさかず ふふみてもがも
・・・・・・・・・・・
春になると花が咲くことよりも

散ることが惜しまれる梅よ

しばらくは咲かないで蕾のままでいてほしい

可愛いあの子よ 
・・・・・・・・・・・
* 「まく」は推量の助動詞「む」のク語法。・・だろうこと。・・たりすること。活用語の未然形につく。体言化接尾語「く」がついたものとする説もある。


1872 春雑歌,奈良

[題詞](詠花)

見渡者  春日之野邊尓  霞立  開艶者  櫻花鴨

見わたせば 春日の野辺に 霞立ち 咲きにほへるは 桜花かも 

みわたせば かすがののへに かすみたち さきにほへるは さくらばなかも
・・・・・・・・・・・
はるかに見渡せば

春日の野辺に霞が立つように

美しい色に咲き誇っているのは

あれは桜の花であるなあ
・・・・・・・・・・・

<タ>http://blogs.yahoo.co.jp/chiyokokkk/24019239.html?type=folderlist
桜は、しばしば霞と見間違えられたり、雲のようにみられる。

♪見渡せば 春日の野辺に 霞立ち 咲きにほへるは 桜花かな       (万葉集・巻10・1872)
 (見渡すと 春日の野辺に 霞が立ち 咲き輝いているあれは 桜花だろうなあ)

桜〜、桜〜、やよいに匂う、見渡すかぎり〜、霞か〜、雲か〜♪(*^▽゜ *)ゞ^ ヾ☆



1873 春雑歌

[題詞](詠花)

何時鴨  此夜乃将明  鴬之  木傳落  <梅>花将見

いつしかも この夜の明けむ 鴬の 木伝ひ散らす 梅の花見む 

いつしかも このよのあけむ うぐひすの こづたひちらす うめのはなみむ

・・・・・・・・・・・
いつになったらこの夜は明けるのであろうか

鴬が枝から枝へと飛び交っては散らしている

梅の花のありさまを早く見たいものだ
・・・・・・・・・・・



1874 春雑歌,奈良,高円

[題詞]詠月

春霞  田菜引今日之  暮三伏一向夜  不穢照良武  高松之野尓

春霞 たなびく今日の 夕月夜 清く照るらむ 高松の野に 

はるかすみ たなびくけふの ゆふづくよ きよくてるらむ たかまつののに
・・・・・・・・・・・
春霞がたなびいて今宵の月ははっきり見えないが

清らかに照らしているだろう高松の野の辺りでは
・・・・・・・・・・・



1875 春雑歌,異伝

[題詞](詠月)

春去者  紀之許能暮之  夕月夜  欝束無裳  山陰尓指天 [一云 春去者 木陰多 暮月夜]

春されば 木の暗多み 夕月夜 おほつかなしも 山蔭にして [一云 春されば木蔭を多み夕月夜]  

はるされば このくれおほみ ゆふづくよ おほつかなしも やまかげにして[はるされば こかげをおほみ ゆふづくよ]
・・・・・・・・・・・
春の夕月夜なのに木蔭が多くて暗い

はっきりしない山かげの道であることよ
・・・・・
春になると木の下闇が多くなるので

せっかくの宵の月も すっきりと姿を現してくれない

こんな山蔭にいると
・・・・・・・・・・・
* 「おほつかなし」(形)[文]ク おぼつかな・し
確かでなくはっきりしない。ぼんやりしている。


1876 春雑歌

[題詞](詠月)

朝霞  春日之晩者  従木間  移歴月乎  何時可将待

朝霞 春日の暮は 木の間より 移ろふ月を いつとか待たむ 

[あさかすみ] はるひのくれは このまより うつろふつきを いつとかまたむ
・・・・・・・・・・・
春の一日がようやく暮れて

木の間から姿を現す月が

待ち遠しことであるよ
・・・・・・・・・・・



1877 春雑歌

[題詞]詠雨

春之雨尓  有来物乎  立隠  妹之家道尓  此日晩都

春の雨に ありけるものを 立ち隠り 妹が家道に この日暮らしつ 

はるのあめに ありけるものを たちかくり いもがいへぢに このひくらしつ
・・・・・・・・・・・
春のやさしい雨なのに雨宿りして

あの娘の家に行く途中で日が暮れてしまった
・・・・・・・・・・・



1878 春雑歌,飛鳥

[題詞]詠河

今徃而  聞物尓毛我  明日香川  春雨零而  瀧津湍音乎

今行きて 聞くものにもが 明日香川 春雨降りて たぎつ瀬の音を 

いまゆきて きくものにもが あすかがは はるさめふりて たぎつせのおとを
・・・・・・・・・・・
今(今日)行って聞きたいものだ

(明日)香川に春雨が降って

たぎり高鳴る瀬音を
・・・・・・・・・・・
* 「もが」は、仮想的な願望をあらわす終助詞。
この陰鬱な気分が吹き飛ぶことだろうなあ。



1879 春雑歌,奈良,野遊び

[題詞]詠煙

春日野尓  煙立所見  ○嬬等四  春野之菟芽子  採而煮良思文

春日野に 煙立つ見ゆ 娘子らし 春野のうはぎ 摘みて煮らしも 

かすがのに けぶりたつみゆ をとめらし はるののうはぎ つみてにらしも
・・・・・・・・・・・
春日野にすっと立ち昇る煙が見える

春の野遊びに娘達がヨメナを摘んで

煮ている煙だろうよ
・・・・・・・・・・・
* 「ウハギ」はヨメナのこと。若葉をゆでて食べる、美味な食用野菜。
* 「の‐あそび」【野遊び】
1 野に出て、草を摘んだり会食をしたりして遊ぶこと。《季 春》
2 貴族や武士が野に出て狩猟をすること。 


1880 春雑歌,奈良,野遊び

[題詞]野遊

春日野之  淺茅之上尓  念共  遊今日  忘目八方

春日野の 浅茅が上に 思ふどち 遊ぶ今日の日 忘らえめやも 

かすがのの あさぢがうへに おもふどち あそぶけふのひ わすらえめやも
・・・・・・・・・・・
春日野の春浅いちがやの上で

親しい仲間がつどって

野遊びする今日の楽しさは

いつまでも忘れられないだろう
・・・・・・・・・・・



1881 春雑歌,奈良,宴席,野遊び

[題詞](野遊)

春霞  立春日野乎  徃還  吾者相見  弥年之黄土

春霞 立つ春日野を 行き返り 我れは相見む いや年のはに 

はるかすみ たつかすがのを ゆきかへり われはあひみむ いやとしのはに
・・・・・・・・・・・
春霞立つこの春日野を

みなさんと一緒に逍遙しましょう

くる年もいついつまでも
・・・・・・・・・・・

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