ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

キーワード・備忘サ行

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ぞ  そ

そ 終助詞 禁止

【主な機能】

動詞の連用形(カ変・サ変では未然形「こ」「せ」)に付き、禁止の意をあらわす。終助詞「な」よりも丁寧な、あるいは婉曲な言い方になる。「〜してくれるな」「〜なさるな」。
•副詞「な」を伴い、「な〜そ」の形で禁止をあらわす。

ありつつも見(め)したまはむぞ大殿のこのもとほりの雪な踏みそね(万葉集、三方沙弥)
きりぎりすいたくな鳴きそ秋の夜のながき思ひは我ぞまされる(古今集、藤原忠房)

•平安後期から「そ」だけでも禁止の意をあらわすようになったが、和歌での用例は少ない。

牛の子に踏まるな庭のかたつぶり角のあるとて身をば頼みそ(寂蓮集、寂蓮)

そこともいわぬ^^^どことも決めないで。





ぞ 係助詞

【主な機能】

種々の語に付き、その事柄を取り立てて強調する。結びは連体形になる。古くは清音(そ)であった。

吉野なる夏実の川の川淀に鴨ぞ鳴くなる山影にして(万葉集、湯原王)
人はいさ心もしらずふるさとは花ぞむかしの香ににほひける(古今集、紀貫之)

【補足】

元来は終助詞であったが、強調のため倒置されて係助詞となったと見られている(大野晋『係り結びの研究』など)。上に引用した湯原王詠を例にとれば、「鴨ぞ鳴くなる」は「鳴くなる鴨ぞ」という文に直すことができるが、これが倒置の形をとっていることにより「鴨」という語が強調されていることになる。

【助詞との結合例】

「ぞ」はしばしば格助詞や副助詞、接続助詞などの後に付き、その意を強めるはたらきをする。

•格助詞に付く例

心をぞわりなき物と思ひぬる見るものからや恋しかるべき(古今集、清原深養父)
畝傍山昼は雲と居夕されば風吹かむとそ木の葉さやげる(古事記、伊須気余理比売)
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(古今集、藤原敏行)
桜色に染めし袂をぬぎかへて山ほととぎす今日よりぞ待つ(後拾遺集、和泉式部)


•副助詞に付く例

橘の花散る里の霍公鳥片恋しつつ鳴く日しぞ多き(万葉集、大伴旅人)
春過ぎて散りはてにける梅の花ただ香ばかりぞ枝にのこれる(拾遺集、藤原高光)


•接続助詞に付く例

法華経を我が得しことは薪こりなづみ水くみ仕へてぞ得し(拾遺集、行基)
あはれさらば忘れてみばやあやにくに我がしたへばぞ人は思はぬ(風雅集、進子内親王)


•係助詞に付く例

うつろはでしばし信田の杜を見よかへりもぞする葛のうら風(新古今集、赤染衛門)



ぞ 終助詞 指定

【主な機能】

「〜だ」「〜である」と強く指示・指定する。奈良時代以前は「そ」と発音することが多かったが、次第に濁音化したものらしい。

…国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎かまめ立ち立つ うまし国ぞ あきづ島 大和の国は(万葉集、舒明天皇)
わが恋はゆくへもしらず果てもなし逢ふを限りと思ふばかりぞ(古今集、凡河内躬恒)

【他の機能】

係助詞としてもはたらく。

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