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2862 作者:柿本人麻呂歌集,序詞 [題詞](寄物陳思) 山川 水陰生 山草 不止妹 所念鴨 [やまがはの みづかげにおふる やますげの] やまずもいもは おもほゆるかも ・・・・・・・・・・
山川の水辺の山菅は いくら刈っても生えるつづけるように 私は貴女を慕っているのです ・・・・・・・・・・ 2863 作者:柿本人麻呂歌集,序詞,異伝 [題詞](寄物陳思) [あさはのに たちかむさぶる すがのねの] ねもころたがゆゑ あがこひなくに[たがはのに たちしなひたる] ・・・・・・・・・・
* 「惻隠」の意は「あわれみいたむこと」。浅葉野に神々しくさえ見える菅の根のように わたしはねんごろな恋をしたい それは誰でもない貴女との恋なのに 恋、、 愛 そのように愛する(した)ことができたろうか わたしに ・・・・・・・・・・ * 「菅根」は「菅の根の」の二つの「の」を省略したものなのか。 「菅」が「根」を修飾し、「菅根」が「惻隠」の修飾関係なのか。 連体格の「の」か連用格の「の」か。 序詞を受け、つなぎことばとして機能しているのか。 * 「ねもころ」[形動ナリ]「ねんごろ」の古形。「ねもごろ」とも。 * 当て字の真意に迫ることは難しい。 正述心緒 2864 女歌 [題詞]正述心緒 吾背子乎 且今々々跡 待居尓 夜更深去者 嘆鶴鴨 わがせこを いまかいまかと まちゐるに よのふけゆけば なげきつるかも ・・・・・・・・・・
夫が来るのをを今か今かと待ちわびているのに 夜は更けゆくばかりで嘆かわしいことです ・・・・・・・・・・ 2865 [題詞](正述心緒) 玉釼 巻宿妹母 有者許増 夜之長毛 歡有倍吉 たまくしろ まきぬるいもも あらばこそ よのながけくも うれしくあるべき ・・・・・・・・・・
* 「たま‐くしろ」玉釧。 [名]玉をつないで作った腕輪。 玉釧を巻いた腕枕で 一緒に寝る妻がいるからこそ いくら夜長でも嬉しいのだよ ・・・・・・・・・・ [枕]手に巻く意から、「まく」「手に取り持つ」にかかる。 2866 女歌,歌謡 [題詞](正述心緒) 人妻尓 言者誰事 酢衣乃 此紐解跡 言者孰言 ひとづまに いふはたがこと さごろもの このひもとけと いふはたがこと ・・・・・・・・・・
* 紐を結び合うのは愛の行為、「紐解け」は共寝をしようという誘いかけ。人妻に言い寄るなんて どなたのおことばでしょうね ましてや下着の紐を解いて 寝ようとは誰れのことばなのばなの ・・・・・・・・・・ * 拒んでいるのか、じらしているのか。 2867 未練 [題詞](正述心緒) 如是許 将戀物其跡 知者 其夜者由多尓 有益物乎 かくばかり こひむものぞと しらませば そのよはゆたに あらましものを ・・・・・・・・・・
恋がこんなに辛いものだと知っていたなら その夜は上の空でぼんやりしていればよかったのに ・・・・・・・・・・ 2868 [題詞](正述心緒) 戀乍毛 後将相跡 思許増 己命乎 長欲為礼 こひつつも のちもあはむと おもへこそ おのがいのちを ながくほりすれ ・・・・・・・・・・
恋しく思いながらも 時を経ても後には きっとお逢いできると思うからこそ こんな露のようにはかない命を 長くありたいと願っているのです ・・・・・・・・・・ 2869 [題詞](正述心緒) 今者吾者 将死与吾妹 不相而 念渡者 安毛無 いまはわは しなむよわぎも あはずして おもひわたれば やすけくもなし ・・・・・・・・・・
「死なむよ」は、「死なむ」に詠歎の助詞「よ」のついたもの。「死にましょう」となる。この詠歎の助詞には特別の響きがある。女が男に言う方がいい。大伴坂上郎女の、「今は吾は死なむよ吾背生けりとも吾に縁(よ)るべしと言ふといはなくに」や、「よしゑやし死なむよ吾妹生けりとも斯くのみこそ吾が恋ひ渡りなめ」(巻十三・三二九八)は類歌。もう私は死んでしまう方がましだよ あなたを恋続けて日も夜も心の休まることがないのだもの ・・・・・・・・・・ * 「死」の字は「恋」の歌に多く使われている。何故か。 2870 女歌,怨 [題詞](正述心緒) 我背子之 将来跡語之 夜者過去 思咲八更々 思許理来目八面 わがせこが こむとかたりし よはすぎぬ しゑやさらさら しこりこめやも ・・・・・・・・・・
* 「しこる」あやまつ、しそこなう。彼氏が今夜こそ会いに来ると言ってたのに もう夜は明けてしまうわ ままよ なにかで来られないんだ ・・・・・・・・・・ 2871 うわさ,枕詞 [題詞](正述心緒) 人言之 讒乎聞而 玉<桙>之 道毛不相常 云吾妹 ひとごとの よこしをききて [たまほこの] みちにもあはじと いへりしわぎも ・・・・・・・・・・
悪意の根も葉もない噂が流れた それを聞いて信じたのか 道で出会うのもいやだと彼女が言うんだよ ・・・・・・・・・・ 2872 うわさ [題詞](正述心緒) 不相毛 懈常念者 弥益二 人言繁 所聞来可聞 あはなくも うしとおもへば いやましに ひとごとしげく きこえくるかも ・・・・・・・・・・
会わなくなって憂鬱な上 噂にもてあそばされてると思うと 一層噂が増して聞こえてくるようだ ・・・・・・・・・・ |
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2010年08月15日
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