ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

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7 1074;雑歌、春日山,奈良,慕情

[題詞](詠月)



春日山 おして照らせる この月は 妹が庭にも さやけくありけり 

かすがやま おしててらせる このつきは いもがにはにも さやけくありけり

春日山の一面すみずみまで
照り渡るこの月の光は
私の恋人の庭にも
さやかに差し込んでいたことだよ

* 「春日山」は奈良市東部にある山。
* 「おし‐て・る」【押し照る】 [動ラ四]一面に照る。照り渡る。 [枕]一面に照り光る難波(なにわ)の海の意から、地名「難波」にかかる。
* 「おして照らせる」すみずみまで行き渡らせる。
7 1075;雑歌

[題詞](詠月)

海原之 道遠鴨 月讀 明少 夜者更下乍

海原の 道遠みかも 月読の 光少き 夜は更けにつつ 

うなはらの みちとほみかも つくよみの ひかりすくなき よはふけにつつ

海原の道があまりにはるかなためか
差し込む月光はかすかに
夜は次第に深くなっていく
7 1076;雑歌

[題詞](詠月)

百師木之 大宮人之 退出而 遊今夜之 月清左

ももしきの 大宮人の 罷り出て 遊ぶ今夜の 月のさやけさ 

[ももしきの] おほみやひとの まかりでて あそぶこよひの つきのさやけさ

大宮人も勤めを終えて罷りでて遊ぶ
今宵の月の清々しいことであることよ
7 1077;雑歌

[題詞](詠月)

夜干玉之 夜渡月乎 将留尓 西山邊尓 <塞>毛有粳毛

ぬばたまの 夜渡る月を 留めむに 西の山辺に 関もあらぬかも 

[ぬばたまの] よわたるつきを とどめむに にしのやまへに せきもあらぬかも

夜空を渡る美しい月を押しとどめるために
西の山辺に関所でもないものだろうか
7 1078;雑歌

[題詞](詠月)

此月之 此間来者 且今跡香毛 妹之出立 待乍将有

この月の ここに来たれば 今とかも 妹が出で立ち 待ちつつあるらむ 

このつきの ここにきたれば いまとかも いもがいでたち まちつつあるらむ

月がここまで出てきているから
妻は門口に出て今か今かと
私が来るのを待っているだろうなあ

* 「とか」(連語) 〔格助詞「と」に副助詞「か」の付いたもの〕
  不確かな想像や伝聞などを表す場合に用いられる。
* 「らむ」
[助動][○|○|らむ(らん)|らむ(らん)|らめ|○]
《動詞「あり」の未然形「あら」に推量の助動詞「む」の付いた「あらむ」の音変化とも》活用語の終止形、ラ変型活用語の連体形に付く。
1 直接見ていない現在起こっている事象の推量を表す。…ているだろう。
2 現在起こっている事象から、その原因・理由や背景などを推量する意を表す。

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