ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

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6 1056;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,久邇京,新都讃美

[題詞]((讃久邇新京歌二首[并短歌])反歌五首)

盛嬬等之 續麻繁云 鹿脊之山 時之徃<者> 京師跡成宿 (盛は、女+盛)

娘子らが 続麻懸くといふ 鹿背の山 時しゆければ 都となりぬ 

[をとめらが うみをかくといふ] かせのやま ときしゆければ みやことなりぬ

[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)

うぶな乙女らが麻糸に紡いで懸けておいたという桛(かせ)
その名のちなむ鹿背の山が
時移って今は盛りの都となった

* 「績麻」は、麻の枝皮を細く裂いて紡いだ麻糸。(つむいだ麻糸)
* 「とふ」は「といふ」。
* 「鹿背」は万葉仮名表記で、「桛」のこと。紡いだ糸を巻く道具。また、それに懸けた糸のこと。
〈乙女らが績麻懸くとふ〉が「鹿背」の序。
* 「時の往ければ」は、「時」名詞。
* 「往け」は、カ行四段活用動詞「往く」の已然形。
* 「れ」は、完了の助動詞「り」の已然形。「ば」は、単純接続助詞。
 (時が)経過すると。
* 「ぬ」は完了の助動詞。

6 1057;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,久邇京,新都讃美

[題詞]((讃久邇新京歌二首[并短歌])反歌五首)

鹿脊之山 樹立矣繁三 朝不去 寸鳴響為 鴬之音

鹿背の山 木立を茂み 朝さらず 来鳴き響もす 鴬の声 

かせのやま こだちをしげみ あささらず きなきとよもす うぐひすのこゑ

[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)

鹿背山の木立が深く生い茂っているので
日ごと朝を待ちかねたようにやって来て
鶯が鳴き声を響かせていることだ

* 「鹿背の山」は、京都相楽郡北東部にある山。
* 「繁」は形容詞語幹。
* 「み」理由。生い茂っているので
* 「去らず」は「去る」(季節や時間を表す語に付いて、「やって来る。〜になる」)の未然形「去ら」+打消「ず」で「朝がやってこない。朝にならない」の意だが、ここでは「あさを待ちかねて」くらいの意味とする。
* 「とよ(響)もす」は、音を響かせる 騒がせる
* 体言止。
6 1058;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,久邇京,新都讃美

[題詞]((讃久邇新京歌二首[并短歌])反歌五首)

狛山尓 鳴霍公鳥 泉河 渡乎遠見 此間尓不通 [一云 渡遠哉 不通<有>武]

狛山に 鳴く霍公鳥 泉川 渡りを遠み ここに通はず [一云 渡り遠みか通はずあるらむ] 

こまやまに なくほととぎす いづみがは わたりをとほみ ここにかよはず[わたりとほみか,かよはずあるらむ]

[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)

対岸の狛山に鳴くホトトギスは
泉川の川幅があまりに広いので
こちらには通ってこないことだなあ
6 1061;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,荒都歌,久邇京,京都

[題詞]((春日悲傷三香原荒墟作歌一首[并短歌])反歌二首)

[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)

咲花乃 色者不易 百石城乃 大宮人叙 立易<奚>流

咲く花の 色は変はらず ももしきの 大宮人ぞ たち変りける 

さくはなの いろはかはらず [ももしきの] おほみやひとぞ たちかはりける

咲く花の色こそ昔にかわらないが
大宮人は新しい都へ移ってしまい
ここに姿はもうない
大宮人こそかわってしまったよ

* 「ぞ」は強意の係助詞で結びは詠嘆の助動詞「けり」の連体形「ける」。
ぞ [係助詞] [強調] 〜が・〜を 〔接続〕種々の助詞などにつき、 その事柄を取り立てて強調する。結びは連体形になる。古くは清音(そ)であった。
*吉野なる 夏実の川の 川淀に 鴨ぞ鳴くなる 山影にして
 (万葉集、湯原王)375
人はいさ 心もしらず ふるさとは 花ぞむかしの 香ににほひける
 (古今集、紀貫之)
【補足】
元来は終助詞であったが、強調のため倒置されて係助詞となったと見られている。上に引用した湯原王詠を例にとれば、「鴨ぞ鳴くなる」は「鳴くなる鴨ぞ」という文に直すことができるが、これが倒置の形をとっていることにより「鴨」という語が強調されていることになる。
* 「ぞ〜ける」おほみやひとぞ たちかはりける (連体止め)
]体止め(=連体形止め)
*係助詞を用いずに、活用語の連体形で文を終えるもの。
「すずめの子を犬君が逃がしつる。」
*「つる」は、完了の助動詞「つ」の連体形。
体言止め
*体言(=名詞)で文を終えるもの。
浦の苫屋の秋の夕暮
*「夕暮」は名詞。言い切った形にしないために余情・余韻がはたらく。
いずれも、感動・詠嘆・強調などのはたらきがある。
* ついでに「連用中止法」について
読点をつけるなどして文を途中で一旦中止し、さらに次の文節に続けていく用法。
天高く、馬肥ゆる秋。
(「高く」の部分が連用中止法。「高く」は形容詞ク活用の連用形。)
* 「こそ〜已然形」〜だ、しかしなあ・・・。
<ついでに;終了。>

* 政治の中心地が明日香(飛鳥)にあったことから、飛鳥時代といわれた。
しかし、飛鳥時代のおよそ100年余に、何度も飛鳥の地を離れている。
孝徳天皇は難波に遷都、天智天皇は大津宮、持統天皇は藤原京を造営した。
* 「ももしきの」は大宮人の枕詞。

万葉集6 1062

6 1062;雑歌,作者:田辺福麻呂歌集,難波,新都讃美

[題詞]難波宮作歌一首[并短歌]

[左注](右廿一首田邊福麻呂之歌集中出也)

↓[原文]ー[訓読]ー[仮名]ー   []は枕詞。
安見知之ー[やすみしし]ー
吾大王乃ー我が大君のーわがおほきみのー我らの大君が
在通ーあり通ふーありがよふーいつもお通いになる
名庭乃宮者ー難波の宮はーなにはのみやはー難波の宮は
不知魚取ー鯨魚取りー[いさなとり]ー
海片就而ー海片付きてーうみかたづきてー海に面していて
玉拾ー玉拾ふーたまひりふー玉を拾う
濱邊乎近見ー浜辺を清みーはまへをきよみー浜辺が清いので
朝羽振ー朝羽振るーあさはふるー朝には鳥が羽を振るわせるように
浪之聲せー波の音騒きーなみのおとさわくー波の音が騒ぎ
夕薙丹ー夕なぎにーゆふなぎにー夕凪には
櫂合之聲所聆ー楫の音聞こゆーかぢのおときこゆー船の楫の音が聞える
暁之ー暁のーあかときのー暁の
寐覺尓聞者ー寝覚に聞けばーねざめにきけばー寝覚に耳を澄ませれば
海石之ー海石のーいくりのー暗礁が
塩干乃共ー潮干の共ーしほひのむたー引潮と共に現れる
<*>渚尓波ー浦洲にはーうらすにはーその浦洲で
千鳥妻呼ー千鳥妻呼びーちどりつまよびー千鳥が妻を呼んで鳴き
葭部尓波ー葦辺にはーあしへにはー葦の生える岸辺では
鶴鳴動ー鶴が音響むーたづがねとよむー鶴が鳴き声を響かせる
視人乃ー見る人のーみるひとのー見る人が
語丹為者ー語りにすればーかたりにすればー語り草にすると
聞人之ー聞く人のーきくひとのー聞く人も
視巻欲為ー見まく欲りするーみまくほりするー見たくなる
御食向ー御食向ふー[みけむかふ]ー
味原宮者ー味経の宮はーあぢふのみやはーこの味経の宮は
雖見不飽香聞ー見れど飽かぬかもーみれどあかぬかもーいくら見ても飽きることがないことよ

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