・・・万葉集(〃)
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1924 春相聞 [題詞]贈蘰 大夫之 伏居嘆而 造有 四垂柳之 蘰為吾妹 ますらをの ふしゐなげきて つくりたる しだりやなぎの かづらせわぎも ・・・・・・・・・・
「ますらを」は立派な男子。ますらおのこの私が 不器用な手つきで 伏したり座ったり ため息をつきながら作ったんだ しだれ柳のこの髪飾りを つけてみてほしい 愛しい人よ ・・・・・・・・・・ 「かづら」ば蔓性の植物や花で作った髪飾り、頭髪を補うかつらの語源。 1925 春相聞 [題詞]<悲>別 朝戸出乃 君之儀乎 曲不見而 長春日乎 戀八九良三 あさとでの きみがすがたを よくみずて ながきはるひを こひやくらさむ ・・・・・・・・・・
* 「を」は持続する時間などを示す格助詞。明け方 戸を出て行くあなたのお姿をよく見ずに別れて 長い春の一日を恋いしく思いながら暮らすのだろうか ・・・・・・・・・・ * 「きぬ‐ぎぬ」【衣衣/後朝】 1 衣を重ねて掛けて共寝をした男女が、翌朝別れるときそれぞれ身につける、その衣。 2 男女が共寝をして過ごした翌朝。翌朝夜明け前の別れは時代の慣わし。 1926 春相聞,序詞 [題詞](問答) 春山之 馬酔花之 不悪 公尓波思恵也 所因友好 [はるやまの あしびのはなの あしからぬ] きみにはしゑや よそるともよし ・・・・・・・・・・
* 「し・ゑ・や」ええそうよ、ままよ、 ん よかたい、♪春山の馬酔木の花のように素敵なあなたになら靡き従いましょう ええそうよ 関係があるって噂されてもかまわないわ ・・・・・・・・・・ <どんな発音だったのだろう。聞いてみたいものだ。> 1927 春相聞,奈良 [題詞](問答) 石上 振乃神杉 神備<西> 吾八更々 戀尓相尓家留 [いそのかみ] ふるのかむすぎ かむびにし われやさらさら こひにあひにける ・・・・・・・・・・
* 「さらさらに」は、いまさらながら。石上の神木の杉のように神々しくはないが いまさらながら古びてしまった私が また改めて恋に出逢ったよ ・・・・・・・・・・ * 「石上」は、奈良県天理市の石上神宮周辺から西の広い地域をさす。 * 「杉」→「過ぎ」 1928 春相聞,問答 [題詞](問答) 狭野方波 實尓雖不成 花耳 開而所見社 戀之名草尓 さのかたは みにならずとも はなのみに さきてみえこそ こひのなぐさに ・・・・・・・・・・
* 「佐野方(さのかた)」は「あけび」山林に生え、周囲の樹木にからまって伸びる落葉性の蔓植物。花は4・5月、新葉とともに開花。佐野方は実にならなくても 花だけでも咲いて見せてほしい 恋に苦しむ心を慰めるために ・・・・・・・・・・ 1929 春相聞,問答 [題詞](問答) 狭野方波 實尓成西乎 今更 春雨零而 花将咲八方 さのかたは みになりにしを いまさらに はるさめふりて はなさかめやも ・・・・・・・・・・
佐野方は実になってしまっているものを いまさら春雨が降って花が咲くことがありましょうか ・・・・・・・・・・ 1930 春相聞,福岡県,問答 [題詞](問答) 梓弓 引津邊有 莫告藻之 花咲及二 不會君毳 [あづさゆみ] ひきつのへなる なのりその はなさくまでに あはぬきみかも ・・・・・・・・・・
梓弓 引津の辺なる なのりそも 花咲くまでに いも逢はぬかも あの引津のあたりのなのりその花よ 花をつけるまで 長い長い間 あなたは 逢ってはくれないんですね こんなにわたしを ひきつけたまま ・・・・・・・・・・ (歌経22) * 「なのりそ」は海藻ホンダワラ。ホンダワラには花は咲かない。 なのりそ 莫告藻/神馬藻 ホンダワラの古名。和歌では「な告(の)りそ」の意に掛けて用いられたり、「名告る」を導く序詞を構成したりする。 1931 春相聞,序詞,問答 [題詞](問答) 川上之 伊都藻之花乃 何時々々 来座吾背子 時自異目八方 [かはのうへの いつものはなの いつもいつも] きませわがせこ ときじけめやも ・・・・・・・・・・
川の上のゆつ岩群に草生さず常にもがもな常処女にて 川のほとりのいつ藻の花よ いつもいつも来てください あなた 季節はずれなどありませんから ・・・・・・・・・・ (万葉 22 吹黄刀自) 川の上のいつ藻の花のいつもいつも来ませ我が背子時じけめやも (万葉491 吹黄刀自) * いつ藻:藻の美称。上古、藻は水中植物の総称。 上二句は「いつも」を導く序詞。「いつ藻」の「いつ」は藻を讃美して言う。 「川上のいつ藻の花の」から「いつもいつも」を導く。 1932 春相聞,問答 [題詞](問答) 春雨之 不止零々 吾戀 人之目尚矣 不令相見 はるさめの やまずふるふる あがこふる ひとのめすらを あひみせなくに ・・・・・・・・・・
春雨が止むことなく降り続いています まるで恋しいあの方に 一目も会わせないようにしているかのように ・・・・・・・・・・ 1933 春相聞,問答 [題詞](問答) 吾妹子尓 戀乍居者 春雨之 彼毛知如 不止零乍 わぎもこに こひつつをれば はるさめの それもしるごと やまずふりつつ ・・・・・・・・・・
あの娘に会いたいと恋しく想っていると 春雨がそれを知っているかのように 止むことなく降り続いています ・・・・・・・・・・ 1934 春相聞,問答 [題詞](問答) 相不念 妹哉本名 菅根乃 長春日乎 念晩牟 あひおもはぬ いもをやもとな [すがのねの] ながきはるひを おもひくらさむ ・・・・・・・・・・
もと‐な [副]《「もと」は根本の意。「な」は形容詞「無し」の語幹》 わけもなく。みだりに。お互いに心を通わせているわけでもないのに あの娘のことをわけもなく愛しみながら 長くなったこの春の一日を 思い過ごしていくのだろうか ・・・・・・・・・・ 1935 春相聞,問答 [題詞](問答) 春去者 先鳴鳥乃 鴬之 事先立之 君乎之将待 はるされば まづなくとりの うぐひすの ことさきだちし きみをしまたむ ・・・・・・・・・・
(鶯…啼く) 鶯は春の最初に鳴く鳥。鶯は春の最初に鳴く鳥だけれど それより早く君に逢いたい 私は君をこそ待っているんだよ ・・・・・・・・・・ (郭公…語らふ) 郭公はその初声が夏への推移をつげ、死出の山の彼方から訪れる鳥。 1936 春相聞,問答 [題詞](問答) 相不念 将有兒故 玉緒 長春日乎 念晩久 あひおもはず あるらむこゆゑ [たまのをの] ながきはるひを おもひくらさく ・・・・・・・・・・
* 「たまのお‐の 玉の緒の」 [枕]1 玉を通す緒の意で、その長短から「長し」「短し」、乱れたり切れたりすることから「思ひ乱る」「絶ゆ」「継ぐ」、玉が並んでいるようすから「間(あひだ)もおかず」などにかかる。あの娘とはお互いに心を通わせているわけではないからこそ 長い春の一日を思つめながら暮らしてしまうのだよ ・・・・・・・・・・ |
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1914 春相聞 [題詞](寄霞) 戀乍毛 今日者暮都 霞立 明日之春日乎 如何将晩 こひつつも けふはくらしつ かすみたつ あすのはるひを いかにくらさむ ・・・・・・・・
恋の思いに苦しみながらも今日は暮らしましたが 霞立つ明日の春の日を どうやって暮らせばいいのでしょう ・・・・・・・・ 1915 春相聞 [題詞]寄雨 吾背子尓 戀而為便莫 春雨之 零別不知 出而来可聞 わがせこに こひてすべなみ はるさめの ふるわきしらず いでてこしかも ・・・・・・・・
* 男の来訪を待つだけが風習の当時の女が、春雨も顧みず、自ら家を出て逢いに行こうとするのは、よほどの恋しさゆえだろう。逢えただろうか。引き返しただろうか。あなたに恋焦がれてどうしようもなかった 春雨が降っていることも考えず 私は外に出てしまったのです ・・・・・・・・ 1916 春相聞 [題詞](寄雨) 今更 君者伊不徃 春雨之 情乎人之 不知有名國 いまさらに きみはいゆかじ はるさめの こころをひとの しらずあらなくに ・・・・・・・・
春雨の降る中を あなたはお帰りになりませんね 春雨ってなんと心無いものでしょう ・・・・・・・・ 1917 春相聞,雨隠り [題詞](寄雨) 春雨尓 衣甚 将通哉 七日四零者 七<日>不来哉 はるさめに ころもはいたく とほらめや なぬかしふらば なぬかこじとや ・・・・・・・・
* すねて怒るのも、弱い立場におかれた時代の、女性の悲しい媚態なのであろうか。春雨なんかで衣はひどく濡れ通すでしょうか もし七日降り続いたら 七日来ないおつもりですか ・・・・・・・・ 1918 春相聞,雨隠り [題詞](寄雨) 梅花 令散春雨 多零 客尓也君之 廬入西留良武 うめのはな ちらすはるさめ いたくふる たびにやきみが いほりせるらむ ・・・・・・・・
梅の花を散らしてしまうほど激しく春雨が降っている 旅の途中であなたは どんな庵でこの雨風をしのいでいるのでしょうか ・・・・・・・・ 1919 春相聞,吉野 [題詞]寄草 國栖等之 春菜将採 司馬乃野之 數君麻 思比日 くにすらが はるなつむらむ [しまののの] しばしばきみを おもふこのころ ・・・・・・・・
*「司馬の野」は「国栖」の西対岸にあたる地域かとも言われる。国栖の人たちが春菜を積むという司馬の野に しばしば貴方を思うこのごろです ・・・・・・・・ 1920 春相聞 [題詞](寄草) 春草之 繁吾戀 大海 方徃浪之 千重積 [はるくさの] しげきあがこひ おほうみの へにゆくなみの ちへにつもりぬ ・・・・・・・・
* 「しげ・る」 私の恋は激しくせきたて求める 大海原から寄せる波が 千重にも積み重なるように ・・・・・・・・ [動ラ四]男女が情を交わす。しげ・る【茂る/繁る】 [動ラ五(四)]草木が生長して、枝葉がたくさん生え出る。盛んに生える 1921 春相聞 [題詞](寄草) 不明 公乎相見而 菅根乃 長春日乎 孤<悲>渡鴨 おほほしく きみをあひみて [すがのねの] ながきはるひを こひわたるかも ・・・・・・・・
ぼんやりとなる君との逢瀬は 長いはずの春の一日も 恋の間には短いことよ ・・・・・・・・ 1922 [題詞]寄松 梅花 咲而落去者 吾妹乎 将来香不来香跡 吾待乃木曽 うめのはな さきてちりなば わぎもこを こむかこじかと わがまつのきぞ ・・・・・・・・
梅の花はもう咲いて散ってしまった 私の愛しいひとが いつ来てくれるのか まだ来ないのかと 私はマツの木になってしまったよ ・・・・・・・・ 1923 春相聞,枕詞,序詞 [題詞]寄雲 白檀弓 今春山尓 去雲之 逝哉将別 戀敷物乎 [しらまゆみ] いまはるやまに ゆくくもの] ゆきやわかれむ こほしきものを ・・・・・・・・
* 「白真弓」は、真弓の白木で作った弓。春山を行く雲のように 離れてゆくのか こんなに恋しいのに ・・・・・・・・ ま‐ゆみ【檀/真弓】 ニシキギ科の落葉低木。山野に生え、葉は楕円形で、対生。雌雄異株。初夏、緑白色の小花が集まって咲き、果実はほぼ四角形で、熟すと四つに裂けて赤い種子が現れる。古くは材で弓を作った。 |
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サ1892 春相聞,作者:柿本人麻呂歌集 [題詞] 春山 霧惑在 鴬 我益 物念哉 はるやまの きりにまとへる うぐひすも われにまさりて ものもはめやも ・・・・・・・・・・
* 「まど・う」惑う [動ワ五(ハ四)]上代は「まとう」春山の深い霧に包まれて行き先にまよう鶯も われにもまして物思いにふけるだろうか ・・・・・・・・・・ 1 どうしたらよいか判断に苦しむ。 2 道や方向がわからなくなる。まよう。 * 「もの‐も・う」物思ふ [動ハ四]物を思う。物思いにふける。 * 「めや‐も 」は、反語の意の「めや」に、詠嘆の終助詞「も」を添えたもの。 …だろうか、いや、そうではないなあ。 [題詞] 出見 向岡 本繁 開在花 不成不止 いでてみる むかひのをかに もとしげく さきたるはなの ならずはやまじ ・・・・・・・・・・
門を出れば見る向かいの丘に咲く花乙女 しげく言葉をかけて この恋を成就させねばすまぬぞ ・・・・・・・・・・ 1894 春相聞,作者:柿本人麻呂歌集 [題詞] 霞發 春永日 戀暮 夜深去 妹相鴨 かすみたつ はるのながひを こひくらし よもふけゆくに いももあはぬかも ・・・・・・・・・・
霞立つ春の長い一日を恋しく思いながら暮らし そしてまた夜が更ける なんとかあの娘と逢えないものかなあ ・・・・・ 昼間は春霞のようにぼうっと戀思いで暮らし 夜になったら妹にあえるぞ ・・・・・・・・・・ サ1895 春相聞,作者:柿本人麻呂歌集 [題詞] 春去 先三枝 幸命在 後相 莫戀吾妹 [はるされば まづさきくさの] さきくあらば のちにもあはむ なこひそわぎも ・・・・・・・・・・
<以下転載記事>春が来るとまず咲き出す三枝(さきくさ)のように 無事でいたなら後に逢えるのだから そんなに恋しがらないでおくれ わが妻よ ・・・・・・・・・・ 万葉集と東歌や防人の歌 http://blogs.yahoo.co.jp/dokatakayo/13491555.html * 人麻呂の初期の歌に次のような歌があります。これは、おおむね天智九年から十年頃の作品と思われます。 集歌1895 春去 先三枝 幸命在 後相 莫戀吾妹 春さればまづ三枝の幸くあらば後にも逢はむな恋ひそ吾妹 何の変哲の無い歌のように思えますが、「三枝」とは何でしょうか。三椏(みつまた)のことではないかとする解説もありますが、人麻呂は飛鳥時代の大和の氏族階級の人間であることを前提に考えると、「三枝」は「三枝(さいくさ)」であって、「三椏(みつまた)」ではありません。そして、「三枝」を「三枝(さいくさ)」と詠むと、「後相」の詠みは一義的「後相(ゆりに逢はむ)」と決まります。つまり、集歌1895の書き下し文は次のようにも詠めるのです。 春去(ゆ)けばまづ三枝(さいくさ)の幸く命(みこと)あらば後(ゆり)にも逢はむな恋ひそ吾妹 1896 春相聞,作者:柿本人麻呂歌集 [題詞] 春去 為垂柳 十緒 妹心 乗在鴨 [はるされば しだりやなぎの とををにも] いもはこころに のりにけるかも ・・・・・・・・・・
* 春が来て芽吹いたしだれ柳が たわわに枝を垂らすように 愛しいあの娘が私の心に生えこんで 心がいっぱいなんだよ ・・・・・・・・・・ 「とをを」(形動ナリ)は、「たわわ」の転。しなうさま、たわむさま。 サ1897 春相聞 [題詞]寄鳥 春之在者 伯勞鳥之草具吉 雖不所見 吾者見<将遣> 君之當<乎>婆 はるされば もずのくさぐき みえずとも われはみやらむ きみがあたりをば ・・・・・・・・・・
* 「もずの草ぐき」とは、もずが草の茂みに隠れること。春になると山に戻って人目に触れにくくなる。 春になってもずが草の中に隠れてしまって見えなくなっても 私はあなたの家の方を見てますよ ・・・・・・・・・・ * 「去れ」は季節や時が近づく・来る意。(春に)なると。 * 「去れ」は、ラ行四段活用動詞「去る」の已然形。 * 「ば」は、順接確定条件の続助詞・=。 * 「百舌」は鳥の名。 * 「草くき」は「草潜き」で、「鳥などが草の中に隠れて見えないこと」。* 「む」は意志の助動詞。 * 「が」は所有の格助詞(「の」)。 * 「君が辺りをば」は倒置法。 1898 春相聞 [題詞](寄鳥) 容鳥之 間無數鳴 春野之 草根乃繁 戀毛為鴨 かほどりの まなくしばなく はるののの くさねのしげき こひもするかも ・・・・・・・・・・
* 「かほどり」は「カッコウ」に対して呼ばれたらしいが、後に美しい姿の鳥、即ち、「カヲヨドリ」までもカホドリと呼ぶようになりカワセミや雉などもカホドリの仲間入りをした。何を指したのか不可解な鳥名となっている。貎鳥がしきりに鳴いている春の野は 草もびっしりと茂っています 私もその草のように そして貌鳥のように絶え間なく あなたを呼び続け 恋い慕い続けているのです ・・・・・・・・・・ 1899 春相聞 [題詞]寄花 春去者 宇乃花具多思 吾越之 妹我垣間者 荒来鴨 はるされば うのはなぐたし わがこえし いもがかきまは あれにけるかも ・・・・・・・・・・
* 「に」→「ける」春がめぐりくれば思い出す 垣根の卯の花を傷めながら越えて逢った あの娘が居た家 今ではすっかり荒れ果ててしまったなあ ・・・・・・・・・・ * 「かも」は終助詞「か」に、終助詞「も」のついたもの。詠嘆・感動の意を表す。 * 「ける」は助動詞「けり」の連体形。回想していう。・・・・たのであった。 1900 春相聞 [題詞](寄花) 梅花 咲散苑尓 吾将去 君之使乎 片待香花光 うめのはな さきちるそのに われゆかむ きみがつかひを かたまちがてり ・・・・・・・・・・
* 「片待つ」(他タ四)「かた」は一部分、一事の意。それだけを待つ意。梅の花が咲いては散る園に私はまいります あなたからの使いをお待ちして ・・・・・・・・・・ ひたすら待つ、一方がその相手を待つ意とも。 * 「がてり」は、(接助)他の動作をかねて行う意を表す。・・しつつ。 1901 春相聞,忍び恋 [題詞](寄花) 藤浪 咲春野尓 蔓葛 下夜之戀者 久雲在 ふぢなみの さくはるののに はふくずの したよしこひば ひさしくもあらむ ・・・・・・・・・・
* 「下よし恋ひば」密かに恋していたら藤が豊かに咲く春の野に 這うように延びる葛のように 人目をさけて密かに恋していたら 想いが伝わるにはずいぶん時が経つだろう ・・・・・・・・・・ * 「ば」は(接助)順接の仮定条件を表す。・・たら、・・なら。 (順接の確定条件の場合は、原因・理由を表す。)・・ので。 1902 春相聞 [題詞](寄花) 春野尓 霞棚引 咲花乃 如是成二手尓 不逢君可母 はるののに かすみたなびき さくはなの かくなるまでに あはぬきみかも ・・・・・・・・・・
春の野に霞がたなびいて 咲いている花がこんなになるまでも 逢ってくださらない あなた ・・・・・・・・・・ |



