ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

・・万葉集(〃)

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3230 明日香,吉野,奈良,聖武天皇

[題詞]

帛○ 楢従出而 水蓼 穂積至 鳥網張 坂手乎過 石走 甘南備山丹 朝宮 仕奉而 吉野部登 入座見者 古所念

みてぐらを 奈良より出でて 水蓼 穂積に至り 鳥網張る 坂手を過ぎ 石走る 神なび山に 朝宮に 仕へ奉りて 吉野へと 入ります見れば いにしへ思ほゆ 

[みてぐらを] ならよりいでて [みづたで] ほづみにいたり [となみはる] さかてをすぎ いはばしる かむなびやまに あさみやに つかへまつりて よしのへと いりますみれば いにしへおもほゆ
・・・・・・・・・・・
幣奉る神の並びいます奈良の都を出て

紅さす穂の穂積に至り
 
鳥網張るという坂手を過ぎ

急流の石のきざはし登り

甘南備のかりみやでは

朝のまつりごとにお仕へ奉り

吉野のとつみや(離宮)へと 

元正天皇がお入りになりますさまを見ながら

天武・持統の昔のありさまを 

彷彿と思いだしておりました
・・・・・・・・・・・




3231 睥奈良,聖武天皇,宮廷讃美,寿歌

[題詞]反歌

月日  攝友  久經流  三諸之山  礪津宮地

月は日は 変らひぬとも 久に経る 三諸の山の 離宮ところ 

つきはひは かはらひぬとも ひさにふる みもろのやまの とつみやところ
・・・・・・・・・・・
月日は移り変わってゆくけれど

長い時を経ても変わらないとつ古き都

三諸の山のかりみや(行宮)である 
・・・・・・・・・・・
・神奈備山(かんなびやま):
奈良県高市郡明日香村の三諸山(みもろやま)
奈良県生駒郡斑鳩町の三室山(みむろやま)



3231S 蔑宮廷讃美,聖武天皇,寿歌

[題詞](反歌)右二首 但或本歌曰

故王都 跡津宮地

古き都の 離宮ところ 

ふるきみやこの 仮宮ところ
・・・・・・・・・・・
古き都の 行宮のところ
・・・・・・・・・・・



3232 奈良,川讃美

[題詞]

・・・・・・・・・・・
斧取而ー斧取りてーをのとりてー 斧を手に取り
丹生桧山ー丹生の桧山のーにふのひやまのー丹生の檜山の
木折来而ー木伐り来てーきこりきてー木を伐って
筏尓作ー筏に作りーいかだにつくりー筏を作り
○梶貫ー真楫貫きーまかぢぬきー左右に櫂を取りつけ
礒榜廻乍ー礒漕ぎ廻つつーいそこぎみつつー磯を漕ぎめぐり
嶋傳ー島伝ひーしまづたひー岸伝ひに
雖見不飽ー見れども飽かずーみれどもあかずー見飽きることのない
三吉野乃ーみ吉野のーみよしののー美しい吉野の
瀧動々ー瀧もとどろにーたきもとどろにー轟きおちる滝に
落白浪ー落つる白波ーおつるしらなみー白波が立ち昇る
・・・・・・・・・・・

  

3233 奈良,旋頭歌,土地讃美,望郷

[題詞]反歌

三芳野  瀧動々  落白浪  留西  妹見<西>巻  欲白浪

み吉野の 瀧もとどろに 落つる白波 留まりにし 妹に見せまく 欲しき白波 

みよしのの たきもとどろに おつるしらなみ とまりにし いもにみせまく ほしきしらなみ
・・・・・・・・・・・・
美しき吉野の轟き落ちる滝の白波

家に留まる妻に見せてやりたいものだ
・・・・・・・・・・・・



3234 三重県,枕詞,行幸従駕,宮廷讃美,土地讃美

[題詞]

・・・・・・・・・・・・
八隅知之ー[やすみしし]ー八方を統べ治められる
和期大皇ー吾ご大君ーわごおほきみーわれらが天皇
高照ー高照らすー[たかてらす]ー高天照らしたまう
日之皇子之ー日の御子のーひのみこのー日の神の御子
聞食ーきこしをすー天皇の食料を
御食都國ー御食つ国ーみけつくにー献上する国
神風之ー神風のー[かむかぜの]ー神の威風の吹く
伊勢乃國者ー伊勢の国はーいせのくにはー伊勢の国
國見者之毛ー国見ればしもーくにみればしもー国の様子を見れば
山見者ー山見ればーやまみればー山は
高貴之ー高く貴しーたかくたふとしー高く貴く
河見者ー川見ればーかはみればー川は 
左夜氣久清之ーさやけく清しーさやけくきよしー爽快で清らかだ
水門成ー水門なすーみなとなすー瀬戸の水の出入りの湊
海毛廣之ー海もゆたけしーうみもゆたけしー海は広々とし
見渡ー見わたすーみわたすーはるかに見わたせる
嶋名高之ー島も名高しーしまもなたかしー島も神代より名高く
己許乎志毛ーここをしもーこれこそ ここをこそ
間細美香母ーまぐはしみかもー見事と言うのか 天晴れというべき
<挂>巻毛ーかけまくもー口の端に
文尓恐ーあやに畏きーあやにかしこきーのせるのも懼れおおい
山邊乃ー山辺のーやまのへのー山辺(やまのべ)にある
五十師乃原ー五十師の原にーいしのはらにーいし(五十師)の原に
尓内日刺ーうちひさすー[うちひさす]ー
大宮都可倍ー大宮仕へーおほみやつかへーかりみや(行宮)での大宮仕えは
朝日奈須ー朝日なすーあさひなすー朝日のように 
目細毛ーまぐはしもー晴れがましく
暮日奈須ー夕日なすーゆふひなすー夕日のように 
浦細毛ーうらぐはしもー心に沁みる
春山之ー春山のー[はるやまの]ー
四名比盛而ーしなひ栄えてーしなひさかえてー木々が萌えて生気に溢れ
秋山之ー秋山のー[あきやまの]ー
色名付思吉ー色なつかしきーいろなつかしきー紅葉の装いも美しい
百礒城之ー[ももしきの]ー
大宮人者ー大宮人はーおほみやひとはー大宮人達は
天地ーあめつちー天地
与日月共ー日月とともにーひつきとともにー日月の続くかぎり
万代尓母我ー万代にもがーよろづよにもがー万代に栄えあれ
・・・・・・・・・・・・
 


3235 三重県,井戸,土地讃美,行幸従駕

[題詞]反歌

山邊乃  五十師乃御井者  自然  成錦乎  張流山可母

山辺の 五十師の御井は おのづから 成れる錦を 張れる山かも 

やまのへの いしのみゐは おのづから なれるにしきを はれるやまかも
・・・・・・・・・・・・
山辺にある五十師の御井は

自然に織りなされた錦を

山じゅうに張り廻らしている
・・・・・・・・・・・・
* 錦は人が織ってつくるものですが、紅葉は自然にできることから、「おのづから成れる錦」と言っています。



3236 奈良,京都,土地讃美,安全祈願

[題詞]

・・・・・・・・・・・・
空見津ー[そらみつ]ー空まで治める
倭國ー大和の国ーやまとのくにー倭の国から
青丹吉ー[あをによし]ー青葉が照り輝き美しい
常山越而ー奈良山越えてーならやまこえてー奈良山を越えて
山代之ー山背のーやましろのー山代国の
管木之原ー管木の原ーつつきのはらー管木の原
血速舊ー[ちはやぶる]ー大山守命の伝説での「ちはやひと」の死んだ于遅乃渡ー宇治の渡りーうぢのわたりー宇治の渡りを渡り
瀧屋之ー瀧つ屋のーたぎつやのー滝つ屋の
阿後尼之原尾ー阿後尼の原をーあごねのはらをー阿後尼の原を過ぎて
千歳尓ー千年にーちとせにー千年もの
闕事無ー欠くることなくーかくることなくー永遠に欠けることなく
万歳尓ー万代にーよろづよにーこれからの万年も
有通将得ーあり通はむとーありがよはむとーこのように通うと
山科之ー山科のーやましなのー山科の
石田之社之ー石田の杜のーいはたのもりのー石田の杜にいらっしゃる
須馬神尓ーすめ神にーすめかみにー神に
奴左取向而ー幣取り向けてーぬさとりむけてー幣を取ってさし上げて
吾者越徃ー吾れは越え行くーわれはこえゆくー私は越えて行きます
相坂山遠ー逢坂山をーあふさかやまをー逢坂山を
・・・・・・・・・・・・

 
 


3237 奈良,京都,滋賀,琵琶湖,望郷

[題詞]或本歌曰

・・・・・・・・・・・・
緑丹吉ー[あをによし]ー麗しの 
平山過而ー奈良山過ぎてーならやますぎてー奈良山を過ぎ
物部之ー[もののふの]ー猛々しい 伝説の古戦場
氏川渡ー宇治川渡りーうぢかはわたりー宇治川を渡り
未通女等尓ー娘子らにー[をとめらに]ー乙女のように優しげな
相坂山丹ー逢坂山にーあふさかやまにー逢坂山にて
手向草ー手向け草ーたむけくさー手向けの
絲取置而ー幣取り置きてーぬさとりおきてー御幣(へい)もささげて
吾妹子尓ー吾妹子にーわぎもこにー妻にまた会えるよう
相海之海之ー近江の海のーあふみのうみのー琵琶湖の
奥浪ー沖つ波ーおきつなみー沖の波が
来因濱邊乎ー来寄る浜辺をーきよるはまへをー寄せる浜辺を
久礼々々登ーくれくれとーとぼとぼと 逢いたい逢いたいと
獨<曽>我来ーひとりぞ吾が来るーひとりぞわがくるー独り歩んで
妹之目乎欲ー妹が目を欲りーいもがめをほりー妻の面影を見たいものと
・・・・・・・・・・・・



3238 琵琶湖,地名,土地讃美,叙景

[題詞]反歌

相坂乎  打出而見者  淡海之海  白木綿花尓  浪立渡

逢坂を うち出でて見れば 近江の海 白木綿花に 波立ちわたる 

あふさかを うちいでてみれば あふみのうみ しらゆふばなに なみたちわたる
・・・・・・・・・・・・
逢坂をたち遙かに琵琶湖を見れば

浜木綿の白い花さながらに

波が立ち渡っているばかり
・・・・・・・・・・・・


サ3221 国見歌

冬<木>成  春去来者  朝尓波  白露置  夕尓波  霞多奈妣久  汗瑞能振  樹奴礼我之多尓  鴬鳴母

冬こもり 春さり来れば 朝には 白露置き 夕には 霞たなびく 汗瑞能振 木末が下に 鴬鳴くも  

[ふゆこもり] はるさりくれば あしたには しらつゆおき ゆふへには かすみたなびく **** こぬれがしたに うぐひすなくも
・・・・・・
冬は去り春がやって来ると

朝には白露がきらめき

夕方には霞が棚引く

日差しの強い昼間のこずえでは

ウグイスがさえずっている
・・・・・・
* 「籠る」こもる=内にあって表へ出ない、 活動を停止する。
 「冬」が主語 「籠る」が述語。
* 「冬籠り」=冬は過ぎ去った。次にくる活動的な「春」「張る」「晴る」を導入する。
* 「去り来れば」=やって来たら 
* 以下<国語篇(その七)<『万葉集』難訓歌解読試案>より転載>
『「汗瑞能振」を通常の万葉仮名の読み方に従い、「かずのふる」と訓むこととします。 「かずのふる」は「カ・ツヌフルフル」
KA-TUNUHURUHURU
(ka=take fire,be lighted,burn;tunuhuruhuru=do violence to,ill treat,offend,hasty)
「(太陽が)じりじりと強く・照りつける(木末)」
(「ツヌフルフル」の反復語尾が脱落して「ツヌフル」から「ズノフル」となった) の転訛と解します。
 したがってこの歌は、「長い冬が過ぎて春になると、朝には白露が置き、夕には霞がたなびく。太陽がじりじりと照りつける梢の木陰では鶯が鳴くよ」の意と解します。』



3222 

三諸者  人之守山  本邊者  馬酔木花開  末邊方  椿花開  浦妙  山曽  泣兒守山

みもろは 人の守る山 本辺は 馬酔木花咲き 末辺は 椿花咲く うらぐはし 山ぞ 泣く子守る山 

みもろは ひとのもるやま もとへは あしびはなさき すゑへは つばきはなさく うらぐはし やまぞ なくこもるやま
・・・・・・
神の降臨する神なび山は守り部のまもる山

山麓には アシビの花が群れ咲き

山頂には椿の花が咲く

繊細で美しい山だ

泣く子をいたわるように

人々が大切に守る山である
・・・・・・



3223 

・・・・・・
霹靂之ー[かむとけの]ー<『和名抄』に「霹靂」を「加美渡計」(大雷の意)と訓じている>
日香天之ー日香空のー**そらのー落雷で光る空。激しく怒り狂う(天) <原文「日」を「阿」の誤りとして「阿香」を「はたたく」と訓じた(「阿香」は雷の別称)>
九月乃ー九月のーながつきのー9月の
<鍾>礼乃落者ーしぐれの降ればーしぐれのふればー時雨が降っても
鴈音文ー雁がねもーかりがねもー雁も
未来鳴ーいまだ来鳴かぬーいまだきなかぬー未だに来て鳴きません
甘南備乃ー神なびのーかむなびのー神霊が鎮座まします
清三田屋乃ー清き御田屋のーきよきみたやのー清き御田を守り小屋を
垣津田乃ー垣つ田のーかきつたのー垣に取り巻く
池之堤<之>ー池の堤のーいけのつつみのー池の堤防の
百不足ー百足らずー[ももたらず]ー
<五十>槻枝丹ー斎槻の枝にーいつきのえだにー神聖なるケヤキの枝から水枝指ー瑞枝さすーみづえさすー若い枝が出て
秋赤葉ー秋の黄葉ーあきのもみちばー紅葉している
真割持ーまき持てるーまきもてるー手に巻いて持った
小鈴<文>由良尓ー小鈴もゆらにーをすずもゆらにー小さな鈴が鳴っています
手弱女尓ー手弱女にーたわやめにー 淑やかな女
吾者有友ー吾れはあれどもーわれはあれどもー
引攀而ー引き攀ぢてーひきよぢてーケヤキによじ登って
峯文十遠仁ー枝もとををにーえだもとををにー枝をどっさり<見栄えよく・延びている枝>
○手折ーふさ手折りーふさたをりー手折って 
吾者持而徃ー吾は持ちて行くーわはもちてゆくー持っていきます
公之頭刺荷ー君がかざしにーきみがかざしにーあなたの家の 座敷の飾りに
・・・・・・
* ここでの「かざし」は、髪飾りにするためのものではない。(どっさり手折って)持って行くことはないから。



3224 

獨耳  見者戀染  神名火乃  山黄葉  手折来君

ひとりのみ 見れば恋しみ 神なびの 山の黄葉 手折り来り君 

ひとりのみ みればこほしみ かむなびの やまのもみちば たをりけりきみ
・・・・・・
一人であなたの姿を見ていると恋しくなって

神霊が鎮座まします山の黄葉を手折り 

あなたに見てもらおうと

お持ちいたしました
・・・・・・



3225 

・・・・・・
天雲之ー天雲のーあまくものー天の雲の
影<塞>所見ー影さへ見ゆるーかげさへみゆるー影さえ映す
隠来<矣>ー[こもりくの]ー山かげの
長谷之河者ー泊瀬の川はーはつせのかははー初瀬の川は
浦無蚊ー浦なみかーうらなみかー浦がないから
船之依不来ー舟の寄り来ぬーふねのよりこぬー船が寄って来ない
礒無蚊ー礒なみかーいそなみかーよい磯がないから 
海部之釣不為ー海人の釣せぬーあまのつりせぬー海人が釣りをしないのか
吉咲八師ーよしゑやしーたとえ 
浦者無友ー浦はなくともーうらはなくともー良い浦はなくても
吉畫矢寺ーよしゑやしーたとえ 
礒者無友ー礒はなくともーいそはなくともー良い磯はなくても
奥津浪ー沖つ波ーおきつなみー沖の波が
諍榜入来ー競ひ漕入り来ーきほひこぎりこー競い寄って来なさい
白水郎之釣船ー海人の釣舟ーあまのつりぶねー海人の釣船よ 
・・・・・・
 


3226 

沙邪礼浪  浮而流  長谷河  可依礒之  無蚊不怜也

さざれ波 浮きて流るる 泊瀬川 寄るべき礒の なきが寂しさ 

さざれなみ うきてながるる はつせがは よるべきいその なきがさぶしさ
・・・・・・
さざ波を水面に浮べて流れる初瀬川

だが釣り舟を寄せられそうな磯のないのが

何とも 寂く物足りない
・・・・・・



3227 明日香,奈良,寿歌,神祭り,賀歌,新婚,永遠,婚礼

・・・・・・
葦原笶ー葦原のー[あしはらの]ー
水穂之國丹ー瑞穂の国にー[みづほのくにに]ー穀物の恵み豊かな日本の国に
手向為跡ー手向けすとーたむけすとー供物をささげるべく
天降座兼ー天降りましけむーあもりましけむー天より降臨した
五百万ー五百万ーいほよろづー500万
千万神之ー千万神のーちよろづかみのー1000万の神が
神代従ー神代よりーかむよよりー神話時から
云續来在ー言ひ継ぎ来るーいひつぎきたるー言い伝えられた
甘南備乃ー神なびのーかむなびのー神霊の鎮座まします
三諸山者ーみもろの山はーみもろのやまはー三諸の山は
春去者ー春さればーはるさればー春になれば
春霞立ー春霞立つーはるかすみたつー春の霞が立ちこめる
秋徃者ー秋行けばーあきゆけばー秋がくれば
紅丹穂經ー紅にほふーくれなゐにほふーベニバナの匂いが立ち込める
<甘>甞備乃ー神なびのーかむなびのー神なびの
三諸乃神之ーみもろの神のーみもろのかみのー三諸の神の
帶為ー帯ばせるーおばせるーめぐる
明日香之河之ー明日香の川のーあすかのかはのー明日香川の
水尾速ー水脈早みーみをはやみー流れが速いので
生多米難ー生しためかたきーむしためかたきー苔がつきにくいのだが
石枕ー石枕ーいしまくらー旅寝の岩の枕
蘿生左右二ー苔生すまでにーこけむすまでにー苔が生えるまでに
新夜乃ー新夜のーあらたよのー 新しき時代の
好去通牟ー幸く通はむーさきくかよはむー幸せな
事計ー事計りーことはかりー計画を
夢尓令見社ー夢に見せこそーいめにみせこそー夢にみせてくれ
劔刀ー剣太刀ー[つるぎたち]ー
齊祭ー斎ひ祭れるーいはひまつれるー神聖なる神として
神二師座者ー神にしませばーかみにしませばー崇め奉りたいものだ
・・・・・・



3228 

神名備能  三諸之山丹  隠蔵杉  思将過哉  蘿生左右

神なびの 三諸の山に 斎ふ杉 思ひ過ぎめや 苔生すまでに 

[かむなびの みもろのやまに いはふすぎ] おもひすぎめや こけむすまでに
・・・・・・
神霊が鎮座まします三諸の山の

斎う杉ではないが

思いが過ぎるなどありえようか

苔が生すまで
・・・・・・



3229 

五十串立  神酒座奉  神主部之  雲聚<玉>蔭  見者乏文

斎串立て 神酒据ゑ奉る 祝部が うずの玉かげ 見ればともしも 

いぐしたて みわすゑまつる はふりへが うずのたまかげ みればともしも
・・・・・・
玉串を立て

御酒の甕を据え奉る

神官達の髪飾りの ひかげの葛を見ると

心がひき込まれゆかしく見える

今日の祝いに幸あれかし
・・・・・・


3230 

帛○ 楢従出而 水蓼 穂積至 鳥網張 坂手乎過 石走 甘南備山丹 朝宮 仕奉而 吉野部登 入座見者 古所念

みてぐらを 奈良より出でて 水蓼 穂積に至り 鳥網張る 坂手を過ぎ 石走る 神なび山に 朝宮に 仕へ奉りて 吉野へと 入ります見れば いにしへ思ほゆ 

[みてぐらを] ならよりいでて [みづたで] ほづみにいたり [となみはる] さかてをすぎ いはばしる かむなびやまに あさみやに つかへまつりて よしのへと いりますみれば いにしへおもほゆ
・・・・・・
幣奉る神の並びいます奈良の都を出て

紅さす穂の穂積に至り
 
鳥網張るという坂手を過ぎ

急流の石のきざはし登り

甘南備のかりみやでは

朝のまつりごとにお仕へ奉り

吉野のとつみや(離宮)へと 

元正天皇がお入りになりますさまを見ながら

天武・持統の昔のありさまを 

彷彿と思いだしておりました
・・・・・・



3231 

月日  攝友  久經流  三諸之山  礪津宮地

月は日は 変らひぬとも 久に経る 三諸の山の 離宮ところ 

つきはひは かはらひぬとも ひさにふる みもろのやまの とつみやところ
・・・・・・
月日は移り変わってゆくけれど

長い時を経ても変わらないとつ古き都

三諸の山のかりみや(行宮)である
・・・・・・ 



3231S 

故王都 跡津宮地

古き都の 離宮ところ 

ふるきみやこの 仮宮ところ
・・・・・・
古き都の 行宮のところ
・・・・・・



  
3217 福岡,手向け,出発,遊行女婦,送別,恋

[題詞](問答歌)

荒津海  吾幣奉  将齊  早<還>座  面變不為

荒津の海 吾れ幣奉り 斎ひてむ 早帰りませ 面変りせず 

あらつのうみ われぬさまつり いはひてむ はやかへりませ おもがはりせず
・・・・・・・・・・・
荒津の海の神に 幣を奉り潔斎して 

あなたの海路がご無事ご健在であれよと

お祈り申し上げます

早くお帰りくださいませ
・・・・・・・・・・・


3218 羈旅,恋,福岡

[題詞](問答歌)

<旦>々  筑紫乃方乎  出見乍  哭耳吾泣  痛毛為便無三

朝な朝な 筑紫の方を 出で見つつ 音のみぞ吾が泣く いたもすべなみ 

あさなさな つくしのかたを いでみつつ ねのみぞあがなく いたもすべなみ
・・・・・・・・・・・
朝になれば船の上に出て

遠ざかる筑紫の方を望み見つつ

辺りもかまわず声をあげて俺は泣く

忘れられない女なんだ

別れの悲しみに堪えるすべはないのか
・・・・・・・・・・・



3219 福岡,北九州市,恋,望郷

[題詞](問答歌)

豊國乃  聞之長濱  去晩  日之昏去者  妹食序念

豊国の 企救の長浜 行き暮らし 日の暮れゆけば 妹をしぞ思ふ 

とよくにの きくのながはま ゆきくらし ひのくれゆけば いもをしぞおもふ
・・・・・・・・・・・
豊国小倉の長い浜を一日歩きとおした

日暮れを迎えると

私の帰りを待つ妻のことを想いだして 

疲れを忘れるのだ
・・・・・・・・・・・



3220 北九州市,序詞,遊行女婦,羈旅

[題詞](問答歌)

豊國能  聞乃高濱  高々二  君待夜等者  左夜深来

豊国の 企救の高浜 高々に 君待つ夜らは さ夜更けにけり 

とよくにの きくのたかはま たかたかに きみまつよらは さよふけにけり
・・・・・・・・・・・
豊国の企玖の浜辺は高々と砂丘の続く浜

高々と伸び上がってあなたを待っていたのに 

もう夜は更けてしまった
・・・・・・・・・・・
* 「高々と」 今か今かと


3206 女歌,羈旅

[題詞](悲別歌)

筑紫道之  荒礒乃玉藻  苅鴨  君久  待不来

筑紫道の 荒礒の玉藻 刈るとかも 君が久しく 待てど来まさぬ 

[つくしぢの ありそのたまも かるとかも] きみがひさしく まてどきまさぬ
・・・・・・・・・・
筑紫道の荒礒の玉藻を

いくら刈っているからって 

ずいぶん久しくあなたは来てくれない

いくら待っても 待っても
・・・・・・・・・・
* 「とか」 格助詞「と」+副助詞「か」。はっきりしない事柄を指示する意を表す。



3207 序詞,枕詞,女歌,別離,遊行女婦

[題詞](悲別歌)

荒玉乃  年緒永  照月  不○君八  明日別南

あらたまの 年の緒長く 照る月の 飽かざる君や 明日別れなむ 

[あらたまの としのをながく てるつきの] あかざるきみや あすわかれなむ
・・・・・・・・・・
長い年月を飽くことなく愛し合ったあなた

明日は旅立ちもうお別れなんですね
・・・・・・・・・・



3208 枕詞,旅立ち,女歌,不安,恋

[題詞](悲別歌)

久将在  君念尓  久堅乃  清月夜毛  闇夜耳見

久にあらむ 君を思ふに ひさかたの 清き月夜も 闇の夜に見ゆ 

ひさにあらむ きみをおもふに [ひさかたの] きよきつくよも やみのよにみゆ
・・・・・・・・・・
都に赴任されてから久しいあなたを思うと

清らかな月夜も闇の夜に見えてしまう
・・・・・・・・・・



3209 奈良,女歌

[題詞](悲別歌)

春日在  三笠乃山尓  居雲乎  出見毎  君乎之曽念

春日なる 御笠の山に 居る雲を 出で見るごとに 君をしぞ思ふ 

かすがなる みかさのやまに ゐるくもを いでみるごとに きみをしぞおもふ
・・・・・・・・・・
春日の三笠山に留まる雲を

出て見る度に

あなたを思わずにはいられません
・・・・・・・・・・




3210 枕詞,序詞,旅立ち,恋,女歌

[題詞](悲別歌)

足桧木乃  片山雉  立徃牟  君尓後而  打四鶏目八方

あしひきの 片山雉 立ち行かむ 君に後れて うつしけめやも 

[あしひきの] かたやまきぎし たちゆかむ きみにおくれて うつしけめやも
・・・・・・・・・・
人里離れた山の雉が急に飛び立つように

慌ただしく旅立っていかれるあなたに

一人残される私が どうして

正気でなんかいられましょうか
・・・・・・・・・・
* 「かたやま」片山。 山の片側。また、一方が傾斜面になっている山。  一つだけ孤立した山、人里離れた山。
* 「うつしけめやも」 平気でなんかいられましょうか



問答歌




3211 枕詞,出発,女歌,恋

[題詞]問答<歌>

玉緒乃  <徙>心哉  八十梶懸  水手出牟船尓  後而将居

玉の緒の 現し心や 八十楫懸け 漕ぎ出む船に 後れて居らむ 

[たまのをの] うつしこころや やそかかけ こぎでむふねに おくれてをらむ
・・・・・・・・・・
いざ 出発

多くのかじで漕ぎ出してゆく舟の夫に

ここに留まるわたしの

切れない確かな想いのテープを投げよう

無事を祈って待っているよと
・・・・・・・・・・
* 「うつしごころ」 確かな心。理性のある心。正気。平気。
* 「やそか」八十楫。 多くのかじ。



3212 船出,袖振り,出発,恋

[題詞](問答歌)

八十梶懸  嶋隠去者  吾妹兒之  留登将振  袖不所見可聞

八十楫懸け 島隠りなば 吾妹子が 留まれと振らむ 袖見えじかも 

やそかかけ しまがくりなば わぎもこが とまれとふらむ そでみえじかも
・・・・・・・・・・
八十楫懸けたこの大舟も

島蔭に隠れたらもう見えなくなるなあ

わが愛しの妻が

行かないでと必死に袖を振る姿が
・・・・・・・・・・



サ3213 女歌,恋

[題詞](問答歌)

十月  鍾礼乃雨丹  <沾>乍哉  君之行疑  宿可借疑

十月 しぐれの雨に 濡れつつか 君が行くらむ 宿か借るらむ 

かむなづき しぐれのあめに ぬれつつか きみがゆくらむ やどかかるらむ
・・・・・・・・・・
十月のしぐれの雨に多分濡れながら

君は旅路を急いでいるでしょう

宿を借りているでしょうか
・・・・・・・・・・



サ3214

[題詞](問答歌)

十月  <雨>間毛不置  零尓西者  誰里<之>  宿可借益

十月 雨間も置かず 降りにせば いづれの里の 宿か借らまし 

かむなづき あままもおかず ふりにせば いづれのさとの やどかからまし
・・・・・・・・・・
十月かんなづきは時雨月

止んでも間なくまた降りだす

どこぞの里で宿借りするだろうか
・・・・・
心配するほど

たいした降りじゃないから

大丈夫 

宿借りすることもないと思う
・・・・・・・・・・
* 「かむなづき」神無月 (枕)時雨
神の月、水無月と同様「の」を表す格助詞説
雷無(かみなし)月
新穀を神に奉る神嘗(かんなめ)月
新酒醸成(かみなん)月
縁結びの会議を開くために出雲に日本中の神が集まり、その他の土地は神が不在になるから、出雲だけ神在(かみあり)月
出雲〜神無月〜時雨 
・・・・・・・
出雲・神無月・神在月の一般に定着したのはいつか。
<[民族学伝承ひろいあげ辞典]より転載>
http://blogs.yahoo.co.jp/kawakatu_1205/51079664.html?type=folderlist
◎結論として、旧暦十月に出雲に全国の神が集まると言われ始めたのは平安時代以後、醍醐天皇までの間となるだろう。つまり怨霊思想まっさかりの時代なのだ。
ということは、推して知るべしで、やられた出雲神の祟りが起きぬように、そうしようということに徐々になっていった・・・と考えられるのだ。だから神無月はもともと「神の月」=神を祭る月であったが、出雲に気を使ってか、あるいは出雲自身のアイデアか、神が出雲に集まって全国にいなくなる月=神無月に変化したのだということになるだろう。
◎神がスサノオからオオクニヌシに変わったのはもちろん記紀成立以降だと言える。出雲=葦原中津国がもともとは天孫の祖先のものだったから返上させたという虚偽を言いたいからだろう。
・・・・・・・
* 時雨月は陰暦十月の異称。時雨は晩秋から初冬にかけて、降ったりやんだり定めない雨。
* 「雨間」(名)雨のはれ間。あまあい。
* 「置く」(他カ四)へだてる。除く。
* 「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形。
* 「せ」過去の助動詞「き」の未然形。常に接続助詞「ば」を伴って、
 「せば」の形で用いられ、事実に反する仮想の条件を表す。もし・・であったならば。 反実仮想の助動詞「まし」と呼応して、その仮想条件の句となる。
* 「いづれ」不定称指示代名詞。不定の時・所など。
* 「里」人家が集まっているところ。人里。
* 「の」は、共に連体修飾語をつくる格助詞。
* 「宿」 雨宿りできるような家など。旅などで泊まること。所。
* 「か」(係助)疑い・疑問・反語の意を表す。・・か、・・だろうか。
* 「まし」反実仮想の助動詞と呼ばれる。話し手の仮想の中で、現実にはあり得ないようなことを望んだり、事実と反対のことを想像したりする場合に用いられる。多くの場合、「〜せば」などの条件節を伴う。(もし〜だったら)〜するだろう。
* 降ったり止んだりの定めない時雨。本降りだったら宿借りも必要だろうが。



3215 福岡,出発,惜別,恋

[題詞](問答歌)

白妙乃  袖之別乎  難見為而  荒津之濱  屋取為鴨

白栲の 袖の別れを 難みして 荒津の浜に 宿りするかも 

[しろたへの] そでのわかれを かたみして あらつのはまに やどりするかも
・・・・・・・・・・
一夜を共に過ごしたうかれめの袖

別れ難くて明日の船出まで

荒津の浜辺で今ひとたびの宿を重ねよう
・・・・・・・・・・



3216 福岡,枕詞,送別,恋,惜別,女歌,遊行女婦

[題詞](問答歌)

草枕  羈行君乎  荒津左右  送来  <飽>不足社

草枕 旅行く君を 荒津まで 送りぞ来ぬる 飽き足らねこそ 

[くさまくら] たびゆくきみを あらつまで おくりぞきぬる あきだらねこそ
・・・・・・・・・・
旅に出るあなたを

太宰府の街から外港の荒津まで

送って来てしまったあたし

別れなければならないのに

あなたのそばから離れられない
・・・・・・・・・・


3194 枕詞,女歌,恋

[題詞](悲別歌)

氣緒尓  吾念君者  鶏鳴  東方重坂乎  今日可越覧

息の緒に 吾が思ふ君は 鶏が鳴く 東の坂を 今日か越ゆらむ 

[いきのをに] あがおもふきみは [とりがなく] あづまのさかを けふかこゆらむ
・・・・・・・・・・・
命のかぎり私が愛する君は

東国の坂道を今日にでも越えるでしょうか
・・・・・・・・・・・
*、「息」が細く長く続くことを「緒(いのち)」
東にあるのは坂道。息が続く限り坂を越えようとしている様子。闇に覆われ魔が差す“禍”を“直”に転換させる役割を担ったのが鶏。うるさいぐらいに鳴け。



3195 静岡県,女歌,恋

[題詞](悲別歌)

磐城山  直越来益  礒埼  許奴美乃濱尓  吾立将待

磐城山 直越え来ませ 礒崎の 許奴美の浜に 吾れ立ち待たむ 

いはきやま ただこえきませ いそさきの こぬみのはまに われたちまたむ
・・・・・・・・・・・
磐城山をまっすぐに越えておいでください

来ぬ人を見るという磯崎の許奴美の浜で

わたしは佇ち待ちましょう
・・・・・・・・・・・



3196 奈良,恋,女歌,歌垣

[題詞](悲別歌)

春日野之  淺茅之原尓  後居而  時其友無  吾戀良苦者

春日野の 浅茅が原に 遅れ居て 時ぞともなし 吾が恋ふらくは 

かすがのの あさぢがはらに おくれゐて ときぞともなし あがこふらくは
・・・・・・・・・・・
春日野の浅茅ヶ原に独り残されて

年中時も間もなく私は恋焦がれています

ア  そーか そーか
・・・・・・・・・・・



3197 大阪,序詞,兵庫,淡路,恋

[題詞](悲別歌)

住吉乃  崖尓向有  淡路嶋  ○怜登君乎  不言日者无

住吉の 岸に向へる 淡路島 あはれと君を 言はぬ日はなし 

[すみのえの きしにむかへる あはぢしま] あはれときみを いはぬひはなし
・・・・・・・・・・・
住吉の岸の向こうの淡路島

淡路ではないが愛わし君を

思わぬ日はない
・・・・・・・・・・・



3198 加古川,兵庫,序詞,女歌,不安,恋

[題詞](悲別歌)

明日従者  将行乃河之  出去者  留吾者  戀乍也将有

明日よりは いなむの川の 出でて去なば 留まれる吾れは 恋ひつつやあらむ 

[あすよりは いなむのかはの いでていなば] とまれるあれは こひつつやあらむ
・・・・・・・・・・・
明日からは印南の川を下ってイナ(去)れると

ここに留まる私は

ただあなたを恋焦がれて過ごすことになる
・・・・・・・・・・・



3199 女歌,不安

[題詞](悲別歌)

海之底  奥者恐  礒廻従  <水>手運徃為  月者雖經過

海の底 沖は畏し 礒廻より 漕ぎ廻みいませ 月は経ぬとも 

[わたのそこ] おきはかしこし いそみより こぎたみいませ つきはへぬとも
・・・・・・・・・・・
海底の深い沖は恐ろしい

沖へは出ないで磯伝いに漕ぎめぐってください

多少月日がかかろうとも
・・・・・・・・・・・



3200 淡路,兵庫,序詞,恋,望郷

[題詞](悲別歌)

飼飯乃浦尓  依流白浪  敷布二  妹之容儀者  所念香毛

飼飯の浦に 寄する白波 しくしくに 妹が姿は 思ほゆるかも 

[けひのうらに よするしらなみ しくしくに] いもがすがたは おもほゆるかも
・・・・・・・・・・・
慶野の浦に絶え間なく寄せる白波のように

しきりに妻の姿を思い出す

ああ しくしくと思いだす
・・・・・・・・・・・
* 「飼飯の浦」:兵庫県南あわじ市(淡路島)
*、 「しくしく」;[副]動詞「し(頻)く」を重ねたものから、
  絶え間なく。しきりに。



3201 枕詞,大阪,岬町深日,恋,望郷,手向け

[題詞](悲別歌)

時風  吹飯乃濱尓  出居乍  贖命者  妹之為社

時つ風 吹飯の浜に 出で居つつ 贖ふ命は 妹がためこそ 

[ときつかぜ] ふけひのはまに いでゐつつ あかふいのちは いもがためこそ
・・・・・・・・・・・
引き潮を呼ぶ時つ風に海路の無事を

深日の浜に出て海神に幣を捧げ祈る

何よりも妻の為のこの命の安全を
・・・・・・・・・・・
*、「あかう」贖ふ。[動ハ四]「あがなう」の古形。「あがう」とも。
  金品などを提供して罪などを償う。




3202 松山,愛媛県,女歌

[題詞](悲別歌)

柔田津尓  舟乗<将>為跡  聞之苗  如何毛君之  所見不来将<有>

熟田津に 舟乗りせむと 聞きしなへ 何ぞも君が 見え来ずあるらむ 

にきたつに ふなのりせむと ききしなへ なにぞもきみが みえこずあるらむ
・・・・・・・・・・・
熟田津の湊から舟出したと人は言うのに

あの方はどうして帰ってこないのか

どうか あなた 無事でいてください
・・・・・・・・・・・
*、「熟田津」:愛媛県松山市。道後温泉付近にあった船着き場。



3203 別離,出発,遊行女婦

[題詞](悲別歌)

三沙呉居  渚尓居舟之  榜出去者  裏戀監  後者會宿友

みさご居る 洲に居る舟の 漕ぎ出なば うら恋しけむ 後は逢ひぬとも 

[みさごゐる] すにゐるふねの こぎでなば うらごほしけむ のちはあひぬとも
・・・・・・・・・・・
みさごが生息する州に留めていた舟を漕ぎ出すと

なぜか分からないがあの女が恋しい

後で再び会えればよいが
・・・・・・・・・・・



3204 枕詞,恋,女歌

[題詞](悲別歌)

玉葛  無<恙>行核  山菅乃  思乱而  戀乍将待

玉葛 幸くいまさね 山菅の 思ひ乱れて 恋ひつつ待たむ 

[たまかづら] さきくいまさね [やますげの] おもひみだれて こひつつまたむ
・・・・・・・・・・・
またお会いできるまで無事でいらしてください

山菅のように思い乱れて

恋してお待ちしています
・・・・・・・・・・・
*、葛は分かれてもまた交わるように伸びることから、また会える意に。 



3205 静岡,遊行女婦,女歌,恋

[題詞](悲別歌)

後居而  戀乍不有者  田籠之浦乃  海部有申尾  珠藻苅々

後れ居て 恋ひつつあらずは 田子の浦の 海人ならましを 玉藻刈る刈る 

おくれゐて こひつつあらずは たごのうらの あまならましを たまもかるかる
・・・・・・・・・・・
あたし一人あとに残されてもう会えないなら

こんなに恋いしく思うこともなく

田子の浦の漁師になろうか

美しい藻を刈ってあなたを忘れられるかも
・・・・・・・・・・・



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