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3183 女歌,遊行女婦,恋 [題詞](悲別歌) 京師邊 君者去之乎 孰解可 言紐緒乃 結手懈毛 みやこへに きみはいにしを たがとけか わがひものをの ゆふてたゆきも 朝になれば君は都の方に去ってゆく
あたしが結んだ下紐を どんな女が解くのかと思うと 紐を結ぶ手に力がはいらない 3184 枕詞,人目,うわさ,別れ,後悔,恋 [題詞](悲別歌) 草枕 <客>去君乎 人目多 袖不振為而 安萬田悔毛 くさまくら たびゆくきみを ひとめおほみ そでふらずして あまたくやしも 旅行くあなたを
* 「あまた」[副]。1 数量の多いさま。たくさん。多く。名詞的にも用いる。2 程度のはなはだしいさま。非常に。はなはだしく。人目が多いからと噂を気にして 袖を振れなかった それが悔しくて はなはだしくつらいのです 3185 序詞,恋,別れ [題詞](悲別歌) 白銅鏡 手二取持而 見常不足 君尓所贈而 生跡文無 [まそかがみ てにとりもちて みれどあかぬ] きみにおくれて いけりともなし 手に手を取っていつも楽しいあなた
独り家に残って生きて行けるのでしょうか 私はとても心が苦しいです 3186 女歌,恋 [題詞](悲別歌) 陰夜之 田時毛不知 山越而 徃座君者 何時将待 [くもりよの たどきもしらぬ やまこえて] いますきみをば いつとかまたむ 辺りの様子も暗くてわかりずらい
* 「たどき」〔たづき〕、「手(た)付(つ)き」の意。「たつき」とも夜の山路を越えて いつ帰っておいでかと待とう 1 生活の手段。生計。 2 事をなすためのよりどころ。たより。よるべ。 3 ようす。状態。また、それを知る手がかり。 * 「い‐ま・す」坐す/在す。「い」は接頭語、「ます」は尊敬語動詞。 [動サ四]「あり」「居(お)り」の尊敬語。いらっしゃる。おありになる。 サ3187 別離,恋 [題詞](悲別歌) <立>名付 青垣山之 隔者 數君乎 言不<問>可聞 [たたなづく あをかきやまの へなりなば] しばしばきみを こととはじかも 幾重にもうねり重なる山並みに
* 「たたな・づ・く」 (自カ四)幾重にもうねり重なる。その意から枕詞として「青垣」「青垣山」にかかる。隔てられていなければ 絶えずあなたをお訪ね出来るのに (絶えずあなたはお訪ね下さるでしょうに)<女うたなら> * 「隔なり・な・ば」「隔なる」の連用形+「なば」。隔てとなっていなければ・・隔てとなっているので。 「な」活用語(已然形・命令形に接続の場合)、普通、決断・希望をあらわす。完了の意も表わす。 「ば」は、順接の仮定条件を示す。「(もし)〜ならば」。 * 「しばしば」(副)たびたび、幾度も。 * 「を」目的格・対象格・修飾格等の格助詞。動作や心情などの対象であることを示す。 * 「言問はじ」、「言問ふ」は「尋ねる」。 「じ」は「む」の意の打消し、推量を表す。活用語の未然形につく。 * 「かも」終助詞「か」に、詠嘆の終助詞「も」のついたもの。疑問を含んだ詠嘆・感動に意を表す。で・・ ○ 尋ねないことなどあろうか。(おいでにならないはずはない) ・・・・・・・・ 「たたなづく 青垣・・・」は古事記にある倭健命が歌ったという 国偲び歌 やまとは 国の まほろば たたなづく 青垣 山隠れる やまと し 美し を連想する。この歌については、Yahooブログ[重陽の節句を祝う]の記事と、そのコメントにある(予知ダス)さんの記事にくわしい。 http://blogs.yahoo.co.jp/mizunoene17/39963845.html?type=folderlist <抜粋転載> <〜‘たた’の ‘た’ は、‘なづきの 田’ の ‘田’ なのではないか という風にも分かってきます。〜><〜たたなづく=延々と続く、青垣の「青」は国文学の解釈論では「やまと」に掛かる掛り詞であり、青々とした稲穂が、田だなづく、田んぼの稲穂となって延々と続いて、「垣」=やまとを取り囲む、山隠れる=倭健命は没するが、せめて、山隠れる地=大和三山と似た、朝廷所領の三重(亀山)の地で国を偲びて、やまと、し、美し=強調語の「し」を用いて、大和と倭健命の死=魂は、栄音に尊く、(称える英雄の死の姿であり)、やまとの稲穂がどこまでも、未来永劫に、山健命の死と引き換えに、永遠の実りある美しい姿であることを願って、この歌を英雄の死に捧げる。・・これが、実態でしょう。〜 > [題詞](悲別歌) 朝霞 蒙山乎 越而去者 吾波将戀奈 至于相日 あさがすみ たなびくやまを こえていなば あれはこひむな あはむひまでに 朝霞のたなびく山を越えて去るあなた
* 「まで‐に」、副助詞「まで」+格助詞「に」私は恋しくてならない 逢うことのできるような日まで 動作・作用の至り及ぶ限度・範囲を表す。…に至るまで。…まで 3189 異伝,枕詞,恋,女歌 [題詞](悲別歌) 足桧乃 山者百重 雖隠 妹者不忘 直相左右二 [一云 雖隠 君乎思苦 止時毛無] あしひきの やまはももへに かくすとも いもはわすれじ ただにあふまでに[かくせども きみをおもはく やむときもなし] 山は幾重にもあなたを隠すけど
私は忘れない また直接会うまでは ・・・・・ 山が幾重にもあなたを隠しても あなたへの思いは 止む時もない 3190 恋,別離 [題詞](悲別歌) 雲居<有> 海山超而 伊徃名者 吾者将戀名 後者相宿友 [くもゐなる] うみやまこえて いゆきなば あれはこひむな のちはあひぬとも 遥かな雲の彼方へ海山越えて行ってしまう
あなたが恋しくてならない もしかしたら 再びお目に掛かることはできないかもしれない 3191 別離,恋 [題詞](悲別歌) 不欲恵八<師> 不戀登為杼 木綿間山 越去之公之 所念良國 よしゑやし こひじとすれど ゆふまやま こえにしきみが おもほゆらくに どうなろうとも
* 「よしゑやし」よしえ‐やし縦ゑやし。副詞「よしゑ」+間投助詞「や」「し」。1 たとえ。かりに。 2 ええままよ。どうなろうとも。 もう恋はしまいと思うけど 木綿間山を越えて行くあなたを 思わずにはいられない 3192 枕詞,恋,女歌 [題詞](悲別歌) 草蔭之 荒藺之埼乃 笠嶋乎 見乍可君之 山道超良無 [一云 三坂越良牟] [くさかげの] あらゐのさきの かさしまを みつつかきみが やまぢこゆらむ[みさかこゆらむ] 荒藺の崎の笠島を
*、 「らむ」は、完了の助動詞「り」の未然形に、推量の助動詞「む」のついたもの。・・・ているであろう。君は眺めながら 山路を越えているのしょう 3193 異伝,女歌,恋 [題詞](悲別歌) 玉勝間 嶋熊山之 夕晩 獨可君之 山道将越 [一云 暮霧尓 長戀為乍 寐不勝可母] [たまかつま] しまくまやまの ゆふぐれに ひとりかきみが やまぢこゆらむ[ゆふぎりに ながこひしつつ いねかてぬかも] 島熊山の夕暮れどき
* 「たま‐かつま」 玉勝間 [名]かつまの美称。編み目の細かい竹籠。[枕]かつまの中子(なかご)と蓋。あなたはたったひとりで 山道を越えているのですね ・・・・・ 島熊山の夕暮れに 一人で君が山路を越えるのであろうか 一に言う、 夕霧につつまれて 長い間恋思いしながら 寝付かれないでしょうね |
・・万葉集(〃)
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3172 序詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 浦廻榜 <熊>野舟附 目頬志久 懸不思 月毛日毛無 [うらみこぐ くまのぶねつき めづらしく] かけておもはぬ つきもひもなし ・・・・・・・・・・・
入江を漕ぎ巡る熊野舟はいつ見てもめずらしいように 郷里の愛ずらしい妻を心に懸けて思わぬ月日はない ・・・・・・・・・・・ 3173 大阪,望郷,序詞,恋 [題詞](羇旅發思) 松浦舟 乱穿江之 水尾早 楫取間無 所念鴨 [まつらぶね さわくほりえの みをはやみ] かぢとるまなく おもほゆるかも ・・・・・・・・・・・
松浦の舟が波音も激しい堀江の潮の流れの速さに難航している それとも郷里に残した妻を楫を取る間もなく想ってか ・・・・・・・・・・・ 3174 序詞,恋,遊行女婦 [題詞](羇旅發思) 射去為 海部之楫音 湯<按>干 妹心 乗来鴨 [いざりする あまのかぢおと ゆくらかに] いもはこころに のりにけるかも ・・・・・・・・・・・
* 「ゆくら‐ゆくら」[形動ナリ]揺れ動くさま。ゆらりゆらり。漁をする漁師の舟の楫の音が ゆらりゆらり揺れるように聞こえる あの女が乗り移ったかのように ・・・・・・・・・・・ 3175 和歌山,異伝,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 若乃浦尓 袖左倍<沾>而 忘貝 拾杼妹者 不所忘尓 わかのうらに そでさへぬれて わすれがひ ひりへどいもは わすらえなくに[わすれかねつも] ・・・・・・・・・・・
和歌の浦で袖までぬらして 恋人を忘れるために 忘れ貝をさがして拾ったが どうしても忘れることができない ・・・・・・・・・・・ 3175S 異伝,恋,望郷 [題詞](羇旅發思)[或本歌末句云] [忘可祢都母] [わすれかねつも] ・・・・・・・・・・・
忘れられない ・・・・・・・・・・・ 3176 枕詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 草枕 羈西居者 苅薦之 擾妹尓 不戀日者無 [くさまくら] たびにしをれば かりこもの] みだれていもに こひぬひはなし ・・・・・・・・・・・
旅の草枕に束ねたり床に散らす その刈り薦の積まれ乱れる中で 妻を恋い乱れない日はないことよ ・・・・・・・・・・・ 3177 福岡,序詞,女歌,遊行女婦 [題詞](羇旅發思) 然海部之 礒尓苅干 名告藻之 名者告手師乎 如何相難寸 [しかのあまの いそにかりほす なのりその] なはのりてしを なにかあひかたき ・・・・・・・・・・・
なのりそ=ホンダワラ志賀島の漁師が磯で刈り取って干す海草 その“なのりそ”の掟を破って 私は名を告げたのに あの男はなかなか会ってくれなくなった やはり 秘密にしておいたほうがいいのね ・・・・・・・・・・・ 3178 女歌,旅立ち,恋 [題詞](羇旅發思) 國遠見 念勿和備曽 風之共 雲之行如 言者将通 くにとほみ おもひなわびそ かぜのむた くものゆくごと ことはかよはむ ・・・・・・・・・・・
* 「むた」与/共国が遠いって心配しないでね 風に乗って雲が行くように 私の言葉はあなたに通うはずです ・・・・・・・・・・・ 名詞または代名詞に格助詞「の」「が」が付いた形に接続して、 …とともに、…のままに、の意の副詞句をつくる。 3179 序詞,和歌山,吉野,奈良,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 留西 人乎念尓 蜒野 居白雲 止時無 [とまりにし ひとをおもふに あきづのに] ゐるしらくもの] やむときもなし ・・・・・・・・・・・
家に残してきた妻への思いは 秋津野にかかっている白雲のように 絶える時がない恋しさであることよ ・・・・・・・・・・・ 悲別歌 3180 恋,後朝,旅立ち,女歌,別れ [題詞]悲別歌 浦毛無 去之君故 朝旦 本名焉戀 相跡者無杼 うらもなく いにしきみゆゑ あさなさな もとなぞこふる あふとはなけど ・・・・・・・・・・・
恨みつらみもなくただ旅立った君が 朝になればむやみに恋しい お帰りになる後姿を思い出して もう逢うこともないのに ・・・・・・・・・・・ 3181 枕詞,女歌,恋,別れ [題詞](悲別歌) 白細之 君之下紐 吾<左>倍尓 今日結而名 将相日之為 [しろたへの] きみがしたびも われさへに けふむすびてな あはむひのため ・・・・・・・・・・・
* 「さへに」は、副助詞「さへ」に「に」のついたもの。・・までも。あなたの肌着の紐を 私式に結んでおきます また逢える日まで 貴方の心が変わらない様に ・・・・・・・・・・・ 3182 枕詞,別れ,恋 [題詞](悲別歌) 白妙之 袖之別者 雖<惜> 思乱而 赦鶴鴨 [しろたへの] そでのわかれは をしけども おもひみだれて ゆるしつるかも ・・・・・・・・・・・
愛するあまりに 失うことが忍びないのに 心が平静さを失い混乱したまま 別れを許してしまいました ・・・・・・・・・・・ |
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3148 枕詞,恋,望郷,臨場表現 [題詞](羇旅發思) 玉釼 巻寝志妹乎 月毛不經 置而八将越 此山岫 [たまくしろ] まきねしいもを つきもへず おきてやこえむ このやまのさき ・・・・・・・・・・
* 「玉釧」:玉をつないで作った腕輪。「手に巻く」の意味から、「まく」「手に取り持つ」にかかる枕詞。「“玉釧”(腕にしたまま)眠る妻と(結ばれてから)まだ日も経っていないのに。(妻を古里に)置いて、この山あいを超えてきた」 ・・・・・・・・・・ * 「玉」 すばらしいものにつく接頭語…魂…命…玉。 3149 枕詞,女歌,遊行女婦 [題詞](羇旅發思) 梓弓 末者不知杼 愛美 君尓副而 山道越来奴 [あづさゆみ] すゑはしらねど うるはしみ きみにたぐひて やまぢこえきぬ ・・・・・・・・・・
「“梓弓”(この恋の行く)末は知らないわ。惚れた男が手繰り寄せられるように、(あたしの許まで)山道を越えてやってきたの ・・・・・・・・・・ 3150 恋 [題詞](羇旅發思) 霞立 春長日乎 奥香無 不知山道乎 戀乍可将来 [かすみたつ] はるのながひを おくかなく しらぬやまぢを こひつつかこむ ・・・・・・・・・・
* 「奥処なく」 どこまで続くか分からない。3150 霞が立つ春の長い日を、奥深く知らない山道を、(古里を)恋しく思いつつ歩を進めるんです 霞(かすみ)の立(た)つ春の長い一日を、どこまで続くか分からない山道を、(家のことを)恋しく思いながら行くのです ・・・・・・・・・・ 3151 枕詞,遊行女婦,恋 [題詞](羇旅發思) 外耳 君乎相見而 木綿牒 手向乃山乎 明日香越将去 よそのみに きみをあひみて [ゆふたたみ] たむけのやまを あすかこえいなむ ・・・・・・・・・・
* 「外のみに 君を相見て」人に知られないように、無表情に見て。遠くから、きみ(のこと)を見ていた。“木綿畳”峠のある山を、明日にでも越えて(きみの住むまちから)去ってゆく ・・・・・・・・・・ * 「木綿畳」[名]木綿(ゆう)をたたむこと。また、たたんだもの。神事に用いる。 [枕]神に手向(たむ)ける意で、「たむけ」に、また「た」を含む地名「たなかみ」にかかる。 [題詞](羇旅發思) 玉勝間 安倍嶋山之 暮露尓 旅宿得為也 長此夜乎 [たまかつま] あへしまやまの ゆふつゆに たびねえせめや ながきこのよを ・・・・・・・・・・
* 「玉勝間」:(たまは美称)[名]かつまの美称。編み目の細かい竹籠。あへ島山におりる夕露の下で 旅の野宿せねばなるまいか この秋の夜長を ・・・・・・・・・・ [枕]かつまの中子(なかご)と蓋(ふた)が合い、その編み目が締まっている意から、「あふ」「しま」にかかる。 3153 石川,富山,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 三雪零 越乃大山 行過而 何日可 我里乎将見 みゆきふる こしのおほやま ゆきすぎて いづれのひにか わがさとをみむ ・・・・・・・・・・
* 「越(越国)」:北陸道(若狭、越前、加賀、能登、越中、越後、佐渡) 福井県敦賀市〜山形県庄内地方の一部。降り積もる深い雪 北陸道の大山を行き過ぎて いつの日にかまた 吾が郷里を見るのだろうか ・・・・・・・・・・ 3154 和歌山,望郷,恋 [題詞](羇旅發思) 乞吾駒 早去欲 亦打山 将待妹乎 去而速見牟 いであがこま はやくゆきこそ [まつちやま] まつらむいもを ゆきてはやみむ ・・・・・・・・・・
* 「真土山」 奈良県五條市と和歌山県橋本市との境にある山。吉野川(紀ノ川)北岸にある。[枕]同音の「待つ」にかかる。さあ吾が馬よ早く走れ 帰りを待つ妻の元に 早く行って会いたい ・・・・・・・・・・ 3155 福岡県,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 悪木山 木<末>悉 明日従者 靡有社 妹之當将見 [あしきやま] こぬれことごと あすよりは なびきてありこそ いもがあたりみむ ・・・・・・・・・・
意地悪く遮る蘆城山よ 木々の梢までが邪魔をしている 明日からは靡き伏しておれ 妻が住む家の辺りを見るから ・・・・・・・・・・ 3156 三重県,恋 [題詞](羇旅發思) 鈴鹿河 八十瀬渡而 誰故加 夜越尓将越 妻毛不在君 [すずかがは やそせわたりて たがゆゑか] よごえにこえむ つまもあらなくに ・・・・・・・・・・
鈴鹿川の多くの渡り瀬を 誰のために夜中に越えて行こうか 待っていてくれる妻もいないのに ・・・・・・・・・・ 3157 滋賀,序詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 吾妹兒尓 又毛相海之 安河 安寐毛不宿尓 戀度鴨 [わぎもこに またもあふみの やすのかは] やすいもねずに こひわたるかも ・・・・・・・・・・
* 「安寝(やすい)」安眠、独り寝。対語「味寝(うまい)」男女の共寝。つれあいにまた会うという近江の野洲の川か 安眠など出来ないで ただ妻恋をし続けるだけだよ ・・・・・・・・・・ 3158 遊行女婦,鬱屈,恋 [題詞](羇旅發思) 客尓有而 物乎曽念 白浪乃 邊毛奥毛 依者無尓 たびにありて ものをぞおもふ [しらなみの] へにもおきにも よるとはなしに ・・・・・・・・・・
旅に出てあれこれと思い悩むのは 白波が沖に浜に寄せては返す そのようなものであるよ ・・・・・・・・・・ 3159 遊行女婦,序詞,恋 [題詞](羇旅發思) <湖>轉尓 満来塩能 弥益二 戀者雖剰 不所忘鴨 [みなとみに みちくるしほの いやましに] こひはまされど わすらえぬかも ・・・・・・・・・・
船だまりの港に満潮が高まるように 一夜の相手に恋が増して忘れられない ・・・・・・・・・・ |
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3136 恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 客在而 戀者辛苦 何時毛 京行而 君之目乎将見 たびにありて こふればくるし いつしかも みやこにゆきて きみがめをみむ ・・・・・・・・
* 「いつしかも」何時しかも;いつになったら。代名詞「いつ」に、強めの副助詞「し」、疑問の係助詞「か」+「も」。 過去・未来の不定の時を表す。どの時かに。旅にいてあなたを思う恋は苦しいものです 早く都に帰ってあなたの瞳を見たいのです ・・・・・・・・ 3137 恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 遠有者 光儀者不所見 如常 妹之咲者 面影為而 とほくあれば すがたはみえず つねのごと いもがゑまひは おもかげにして ・・・・・・・・
* 「常のごと」; いつものように、いつもいつも。遠くにいるので姿は見えないが いつもいつも妻の微笑む面影が浮かぶ ・・・・・・・・ * 「にして」;断定の助動詞「なり」の連用形+接続助詞「して」。 …であって。 3138 恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 年毛不歴 反来甞跡 朝影尓 将待妹之 面影所見 としもへず かへりこなむと [あさかげに] まつらむいもし おもかげにみゆ ・・・・・・・・
一年も経たずに 赴任先から帰るはずなのにと 朝蔭のように痩せ細って 私の帰郷を待つ妻の姿が目に浮かぶ ・・・・・・・・ 3139 枕詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 玉桙之 道尓出立 別来之 日従于念 忘時無 [たまほこの] みちにいでたち わかれこし ひよりおもふに わするときなし ・・・・・・・・
都への旅装束で道に出て 古里の妻と別れて来た その日から毎日妻を思い 忘れる時はない ・・・・・・・・ 3140 恋,遊行女婦,望郷 [題詞](羇旅發思) 波之寸八師 志賀在戀尓毛 有之鴨 君所遺而 戀敷念者 はしきやし しかあるこひに ありしかも きみにおくれて こほしきおもへば ・・・・・・・・
いとおしいなんて 恋だなんていえないことなのに あなたが旅立ってしまってから 恋しいなんて思う 割り切れなくてどうかしてるわ ・・・・・・・・ 3141 枕詞,恋,遊行女婦 [題詞](羇旅發思) 草枕 客之悲 有苗尓 妹乎相見而 後将戀可聞 [くさまくら] たびのかなしく あるなへに いもをあひみて のちこひむかも ・・・・・・・・
一人旅が空しくもあるのは 行きずりの出会いで一夜を過ごし また旅に出て恋に気づくからだ ・・・・・・・・ 3142 恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 國遠 直不相 夢谷 吾尓所見社 相日左右二 くにとほみ ただにはあはず いめにだに われにみえこそ あはむひまでに ・・・・・・・・
故郷は遠く もう直には逢えない せめて夢に見たい 再び逢うだろう日まで ・・・・・・・・ 3143 恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 如是将戀 物跡知者 吾妹兒尓 言問麻思乎 今之悔毛 かくこひむ ものとしりせば わぎもこに こととはましを いましくやしも ・・・・・・・・
* 「問はましものを"」の 「まし」は反実仮想の助動詞「まし」の連体形。こんなに恋していたのなら 何故もっと話をしておかなかったのか そうしたら この旅空もこんなに辛くはなかったろうに ・・・・・・・・ 様子を尋ねもするだろうに 3144 枕詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 客夜之 久成者 左丹頬合 紐開不離 戀流比日 たびのよの ひさしくなれば [さにつらふ] ひもときさけず こふるこのころ ・・・・・・・・
旅の夜が長くなれば 行きずりのひとに 衣の紐を解くわけにもいかず 郷里の妻が恋しくてならないこの頃であるよ ・・・・・・・・ 3145 枕詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 吾妹兒之 阿<乎>偲良志 草枕 旅之丸寐尓 下紐解 わぎもこし あをしのふらし [くさまくら] たびのまろねに したびもとけぬ ・・・・・・・・
* 「まろ寝」 衣服は昼の格好のまま眠ること。妻が家で私を偲んでいるらしい 旅で丸寝をしていると 下着の紐がほどけてしまう ・・・・・・・・ 3146 枕詞,恋,望郷 [題詞](羇旅發思) 草枕 旅之衣 紐解 所念鴨 此年比者 [くさまくら] たびのころもの ひもとけて おもほゆるかも このとしころは ・・・・・・・・
旅装束の下着の紐が解ける 郷里の妻が私に会いたがっているからだ この頃は特に妻を思う ・・・・・・・・ 3147 枕詞,望郷,恋 [題詞](羇旅發思) 草枕 客之紐解 家之妹志 吾乎待不得而 歎良霜 [くさまくら] たびのひもとく いへのいもし わをまちかねて なげかふらしも ・・・・・・・・
旅装束の紐がほどけるのは 郷里の妻が私の帰郷を待ちかねて 泣き嘆いているからに違いない ・・・・・・・・ |



