ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

・・万葉集(〃)

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3011 奈良,序詞

[題詞](寄物陳思)

吾妹兒尓  衣借香之  宜寸川  因毛有額  妹之目乎将見

吾妹子に 衣春日の 宜寸川 よしもあらぬか 妹が目を見む 

[わぎもこに ころもかすがの よしきがは] よしもあらぬか いもがめをみむ
・・・・・・・・・・・
あの娘に衣をかすがではないが

春日山に水源を持つ宜寸川のよしともいうように

あの娘に逢うなにかよい口実はないのだろうか
・・・・・・・・・・・



3012 序詞

[題詞](寄物陳思)

登能雲入  雨零川之  左射礼浪  間無毛君者  所念鴨

との曇り 雨布留川の さざれ波 間なくも君は 思ほゆるかも 

[とのぐもり あめふるかはの さざれなみ] まなくもきみは おもほゆるかも
・・・・・・・・・・・
空一面かき曇って降りしきる雨の布留川

川面に立つさざ波のように

あなたのことが胸に湧く

絶え間なくも君を思っているよ
・・・・・・・・・・・



サ3013 天理,奈良,序詞

[題詞](寄物陳思)

吾妹兒哉  安乎忘為莫  石上  袖振川之  将絶跡念倍也

吾妹子や 吾を忘らすな 石上 袖布留川の 絶えむと思へや 

わぎもこや あをわすらすな いそのかみ そでふるかはの たえむとおもへや
・・・・・・・・・・・
愛する妻よ

私を忘れるな

石上を巡る布留川ではないが

袖を振るというその名のように

私たちの仲が絶えることなど 

あるだろうか

いや そんなことはありはしないと思う
・・・・・・・・・・・
* 「や」(わぎもこ・や)、体言に付いて呼びかけの対象であることを示す。
* 「や」、(おもへ・や)、活用語の已然形に付き、反語「〜だろうか、いやそんなことはない」の意をあらわす。





サ3014 桜井,奈良,序詞

[題詞](寄物陳思)

神山之  山下響  逝水之  水尾不絶者  後毛吾妻

三輪山の 山下響み 行く水の 水脈し絶えずは 後も吾が妻 

[みわやまの やましたとよみ ゆくみづの] みをしたえずは のちもわがつま
・・・・・・・・・・・
三輪山の山麓を響き下る川の

その水脈が絶えない限り

後のちもおまえは吾が妻だ
・・・・・・・・・・・
* 「三輪山」は奈良の三輪にある山。
* 「響み」は、川音の響き。
* 「水脈」は、船が往来出来る深みの道筋。
* 「し」は、強意の副助詞。
* 「絶え」は、ヤ行下二段活用動詞「絶ゆ」の未然形。
* 「ず」は、打消の助動詞。



3015 序詞,女歌

[題詞](寄物陳思)

如神  所聞瀧之  白浪乃  面知君之  不所見比日

神のごと 聞こゆる瀧の 白波の 面知る君が 見えぬこのころ 

かみのごと きこゆるたきの [しらなみの] おもしるきみが みえぬこのころ
・・・・・・・・・・・
神の雷鳴か轟く滝のように

はっきりとわかる

顔も知っているあなたが

なぜか姿を見せないこのごろ

お天気のせいかしら
・・・・・・・・・・・



3016 人目,うわさ

[題詞](寄物陳思)

山川之  瀧尓益流  戀為登曽  人知尓来  無間念者

山川の 瀧にまされる 恋すとぞ 人知りにける 間なくし思へば 

やまがはの たきにまされる こひすとぞ ひとしりにける まなくしおもへば
・・・・・・・・・・・
山の滝よりも激しく恋をしてると

人に知られてしまった

あまりに絶えず思っていたからなあ
・・・・・・・・・・・



3017 枕詞,うわさ,序詞

[題詞](寄物陳思)

足桧木之  山川水之  音不出  人之子め  戀渡青頭鶏

あしひきの 山川水の 音に出でず 人の子ゆゑに 恋ひわたるかも 

[あしひきの] やまがはみづの おとにいでず] ひとのこゆゑに こひわたるかも
・・・・・・・・・・・
深山の みなもとも知られない清水のような

あの箱入り娘に わたしは恋し続けているのか
・・・・・・・・・・・



3018 奈良,近江,滋賀県,序詞

[題詞](寄物陳思)

高湍尓有  能登瀬乃川之  後将合  妹者吾者  今尓不有十万

高湍なる 能登瀬の川の 後も逢はむ 妹には我れは 今にあらずとも 

[たかせなる のとせのかはの のちもあはむ] いもにはわれは いまにあらずとも
・・・・・・・・・・・
たかせにある能登瀬川のその名のように

後に逢おう

愛しい妻との逢瀬は

いま叶わないが
・・・・・・・・・・・



3019 摂津,大阪,奈良,序詞

[題詞](寄物陳思)

浣衣  取替河之  <河>余杼能  不通牟心  思兼都母

洗ひ衣 取替川の 川淀の 淀まむ心 思ひかねつも 

[あらひきぬ とりかひがはの かはよどの] よどまむこころ おもひかねつも
・・・・・・・・・・・
取替川にも澱む所はあるけれど

わたしの心は澱みはしません

いつもあなたを

耐えかねるほど思っていますから
・・・・・・・・・・・



3020 奈良,序詞,うわさ

[題詞](寄物陳思)

斑鳩之  因可<乃>池之  宜毛  君乎不言者  念衣吾為流

斑鳩の 因可の池の よろしくも 君を言はねば 思ひぞ吾がする 

[いかるがの よるかのいけの よろしくも] きみをいはねば おもひぞわがする
・・・・・・・・・・・
よろしいかなと斑鳩の因可の池のように

誰もあなたをよい人だといわないので

私は気をもんでいます
・・・・・・・・・・・



3021 枕詞,うわさ,人目

[題詞](寄物陳思)

絶沼之  下従者将戀  市白久  人之可知  歎為米也母

隠り沼の 下ゆは恋ひむ いちしろく 人の知るべく 嘆きせめやも 

[こもりぬの] したゆはこひむ いちしろく ひとのしるべく なげきせめやも
・・・・・・・・・・・
水のはけ口が無くて淀んでいる隠り沼のように

心ふさいで恋しているが

皆が知って指さすようには

嘆き悲しみはすまい
・・・・・・・・・・・



3022 序詞

[題詞](寄物陳思)

去方無三  隠有小沼乃  下思尓  吾曽物念  頃者之間

ゆくへなみ 隠れる小沼の 下思に 我れぞ物思ふ このころの間 

[ゆくへなみ こもれるをぬの したもひに] われぞものもふ このころのあひだ
・・・・・・・・・・・
流れ出るところのない隠り沼のように

心の奥底で私は思っています

このころずっと
・・・・・・・・・・・


サ3000 異伝,障害

[題詞](寄物陳思)

霊合者  相宿物乎  小山田之  鹿猪田禁如  母之守為裳 [一云 母之守之師]

魂合へば 相寝るものを 小山田の 鹿猪田守るごと 母し守らすも [一云 母が守らしし] 

たまあへば あひぬるものを をやまだの ししだもるごと ははしもらすも,[ははがもらしし]
・・・・・・・・・・・・
魂が合えば共寝するのに

小山田を荒らす鹿猪田を見張るように

母が見張っているのよ  わたしを
・・・・・・・・・・・・
* 娘を守るのは母であった。
  また恋人同士の魂が合えば、離れていても共寝できると考えられていた。
* 「小山田の」は、山間にある水田=娘。
* 「鹿猪田禁(ししだも)るごと」は、田畑を荒らす野獣のような=男。 から娘を守るように。



サ3001 奈良,序詞,後悔

[題詞](寄物陳思)

春日野尓  照有暮日之  外耳  君乎相見而  今曽悔寸

春日野に 照れる夕日の 外のみに 君を相見て 今ぞ悔しき 

[かすがのに てれるゆふひの よそのみに] きみをあひみて いまぞくやしき
・・・・・・・・・・・・
遠くからそっとあなたを見るばかりで

何も伝えられなかった

もっと早くからこうなれたかもしれないのに

今となっては後悔している
・・・・・・・・・・・・
* 「あい・みる」相見る/逢い見る [動マ上一]
1 互いに相手を見る。対面する。 
2 男女が情を交わす。



3002 枕詞

[題詞](寄物陳思)

足日木乃  従山出流 月待登 人尓波言而 妹待吾乎

あしひきの 山より出づる 月待つと 人には言ひて 妹待つ我れを 

[あしひきの] やまよりいづる つきまつと ひとにはいひて いもまつわれを
・・・・・・・・・・・・
山から上る月を待っているのさと

人には言いつつ

恋人と逢う瀬の約束をした

その時を待つわたしなのだ
・・・・・・・・・・・・



3003 序詞

[題詞](寄物陳思)

夕月夜  五更闇之  不明  見之人故  戀渡鴨

夕月夜 暁闇の おほほしく 見し人ゆゑに 恋ひわたるかも 

[ゆふづくよ あかときやみの おほほしく] みしひとゆゑに こひわたるかも
・・・・・・・・・・・・
夕月夜の暁は暗闇でぼんやりとしか見えなかった 

その人を いつまでも恋い続けている
・・・・・・・・・・・・



3004 枕詞

[題詞](寄物陳思)

久堅之  天水虚尓  照<月>之  将失日社  吾戀止目

久方の 天つみ空に 照る月の 失せなむ日こそ 我が恋止まめ 

[ひさかたの] あまつみそらに てるつきの うせなむひこそ あがこひやまめ
・・・・・・・・・・・・
天空に照り映える月が 

消えてなくなる日がもし来たら

その日こそわたしの恋は終わるでしょう
・・・・・・・・・・・・



3005 序詞

[題詞](寄物陳思)

十五日  出之月乃  高々尓  君乎座而  何物乎加将念

十五日に 出でにし月の 高々に 君をいませて 何をか思はむ 

[もちのひに いでにしつきの たかたかに] きみをいませて なにをかおもはむ
・・・・・・・・・・・・
高々と爪先立つ思いの十五日の月のように

お待ちしたあなた様をお迎えし

もうなにも思い煩うことはございません
・・・・・・・・・・・・



3006 不安,占い

[題詞](寄物陳思)

月夜好  門尓出立  足占為而  徃時禁八  妹二不相有

月夜よみ 門に出で立ち 足占して 行く時さへや 妹に逢はずあらむ 

つくよよみ かどにいでたち あしうらして ゆくときさへや いもにあはずあらむ
・・・・・・・・・・・・
よい月夜なので門口に出てのそぞろ歩き

足占いをしてあなたに逢えると出たから来たのに

それでもやはり逢えないのでしょうか
・・・・・・・・・・・・
* 「あ‐うら」足占。  古代の占法の一。一歩一歩吉凶の言葉を交互に唱えながら進み、目標に達したときの言葉によって占ったとも、あるいは、足音の強弱で占ったともいう。あしうら。
* 「さへや」は、すでにある事実に、さらに他の事実が加わり「…までも」という意味。「や」は疑問の意味を表す係助詞で、全体で「までも…するのか」。



3007 枕詞,後朝,女歌

[題詞](寄物陳思)

野干玉  夜渡月之  清者  吉見而申尾  君之光儀乎

ぬばたまの 夜渡る月の さやけくは よく見てましを 君が姿を 

[ぬばたまの] よわたるつきの さやけくは よくみてましを きみがすがたを
・・・・・・・・・・・・
夜空を渡る月の光がもっと澄んでいたら

いつまでもあなたの姿が見えたでしょうに
・・・・・・・・・・・・



3008 枕詞,序詞,女歌

[題詞](寄物陳思)

足引之  山<呼>木高三  暮月乎  何時君乎  待之苦沙

あしひきの 山を木高み 夕月を いつかと君を 待つが苦しさ 

[あしひきの やまをこだかみ ゆふつきを] いつかときみを まつがくるしさ
・・・・・・・・・・・・
周りの山々が小高い里の

出の遅い夕月をいつかいつかと待つように

あなた様がいつお出でかと待つこの苦しさよ
・・・・・・・・・・・・



3009 枕詞,和歌山,序詞

[題詞](寄物陳思)

橡之  衣解洗  又打山  古人尓者  猶不如家利

橡の 衣解き洗ひ 真土山 本つ人には なほしかずけり 

[つるはみの] きぬときあらひ まつちやま もとつひとには なほしかずけり
・・・・・・・・・・・・
橡で染めた普段着の衣を洗い張りするという名があるそうな真土山

言っちゃ悪いが普段着みたいな古女房さん

橡の衣を解き洗う「本(もと)つ人」さん

おまえよりいい女なんてけっしていないのさ
・・・・・
ツルバミ染した衣の糸を解いて洗濯する
乾いたら再び縫製しなおす<打ち直す>という“真土山”
しかし だれがやってもうちの奥さんには
全くおよばないね
・・・・・・・・・・・・
* 「つるばみ」橡。
1 クヌギ、またはその実のどんぐりの古名。
2 実またはその(かさ)を煮た汁で染めた色。灰汁(あく)媒染して薄茶色、鉄媒染して焦げ茶色や黒色に染める。また、その色の衣服。
奈良時代、家人・奴婢(ぬひ)の着る衣服の色。
平安中期ごろから、四位以上の人の袍(ほう)の色。
藤衣(ふじごろも)の色。喪服の色。 (大辞泉)
* 「本(もと)つ人」昔からの女。




3010 奈良,序詞,女歌

[題詞](寄物陳思)

佐保川之  川浪不立  静雲  君二副而  明日兼欲得

佐保川の 川波立たず 静けくも 君にたぐひて 明日さへもがも 

[さほがはの かはなみたたず しづけくも] きみにたぐひて あすさへもがも
・・・・・・・・・・・・
佐保川は波も立たず静かに流れる

そんなふうにこのまま静かに朝を迎え

明日も寄り添っていたいわ
・・・・・・・・・・・・


サ2987 弓,枕詞

[題詞](寄物陳思)

梓弓  引而不<緩>  大夫哉  戀云物乎  忍不得牟

梓弓 引きて緩へぬ 大夫や 恋といふものを 忍びかねてむ 

[あづさゆみ] ひきてゆるへぬ ますらをや こひといふものを しのびかねてむ
・・・・・・
梓弓を引き緩めない勇士も

恋というものには

耐えることができないものなのか
・・・・・・
* 「梓弓」は、梓で作った弓。
* 「緩へぬ」は、緩めないで、矢を放つチャンスを窺っていること。
* 「丈夫」は、勇ましい男子。
* 「や」は疑問の係助詞だが、間助・詠嘆・接尾語とも。
* 「を」は、格助詞。
* 「忍び」は、バ行上二段活用動詞「忍ぶ」の連用形。
* 「かね」は、ナ行下二段型活用「かぬ」の連用形。 
* 「て」は、強意の助動詞「つ」の未然形。 
* 「む」は、推量の助動詞。 



2988 弓,枕詞

[題詞](寄物陳思)

梓弓  末中一伏三起  不通有之  君者會奴  嗟羽将息

梓弓 末の中ごろ 淀めりし 君には逢ひぬ 嘆きはやめむ 

[あづさゆみ] すゑのなかごろ よどめりし きみにはあひぬ なげきはやめむ
・・・・・・
久しぶりに遠ざかっていた君に逢った

もう嘆くことはない
・・・・・・
* 「一伏三起」を「ころ」と読ませる。
* 「不通有」を「たゆめり」と読ませる。
<同類>
四伏ーー ソ あるいは ミョ
三伏一向 ト あるいは ツク
二伏二向 ケ
四向 ユート
子子子子子子子子子子子子 猫の子、子猫、獅子の子、子獅子
無悪善 さが無くてよからん




2989 弓,枕詞

[題詞](寄物陳思)

今更  何壮鹿将念  梓弓  引見縦見  縁西鬼乎

今さらに 何をか思はむ 梓弓 引きみ緩へみ 寄りにしものを 

いまさらに なにをかおもはむ [あづさゆみ] ひきみゆるへみ よりにしものを
・・・・・・
今更優柔不断にも

何をくよくよ思い悩むことがありましょう

身も心もすっかり靡(なび)いていて

寄り添ってさえいるのに
・・・・・・



2990 序詞,麻

[題詞](寄物陳思)

嬬等之  <續>麻之多<田>有  打麻<懸>  續時無<三>  戀度鴨

娘子らが 績み麻のたたり 打ち麻懸け うむ時なしに 恋ひわたるかも 

[をとめらが うみをのたたり うちそかけ] うむときなしに こひわたるかも
・・・・・・
娘子らが精魂込めて織成す衣

作業も出来栄えも見飽きることはありません 

そのように恋い続けているのです
・・・・・・
* 「そ」衣  きぬ。「うち」−「かけ」。
* 「たたり」絡  糸のもつれを防ぐ道具。方形の台に柱を立てて綛糸(かせいと)をかけるもの。
* 麻は、糸を紡ぐ(つむぐ・縒(よ)りをかけて糸にする)のではなく、績み(うむ)。それは、細く裂いた繊維を糸にする、作りの方法を体験すれば一目瞭然。1本1本つないでいくという表現になる。まさに、績む作業なのである。それを麻績み(おうみ)という。
* 「うみ‐お」【績麻/績苧】
紡いだ麻糸。細く裂いて糸として縒(よ)った麻糸。うみそ。
* 「う・む」績む  [動マ五(四)]麻・苧(からむし)などの繊維を細く長くより合わせる。紡ぐ。
* 上布というのは、手績み(麻を細かく裂いて紡ぎ、撚り合わせる)した細い糸を、産地独特な技法で織り上げ、加工した高級な麻布のこと。
* お〔を〕麻/苧 《「緒」と同語源か》
1 麻の古名。〈和名抄〉
2 麻または苧(からむし)の茎の繊維から作った糸。



サ2991 枕詞,繭,戯書

[題詞](寄物陳思)

垂乳根之  母我養蚕乃  眉隠  馬聲蜂音石花蜘○荒鹿  異母二不相而

たらちねの 母が飼ふ蚕の 繭隠り いぶせくもあるか 妹に逢はずして 

[たらちねの ははがかふこの まよごもり] いぶせくもあるか いもにあはずして
・・・・・・
母が飼っている蚕が繭にこもっているように

胸苦しく息が詰まるのではないだろうか

あのこに逢うこともなくて
・・・・・・
* 「足ら・霊(ち)・根」は、満ち足りた生命の根源、母にかかる枕詞。
* 「繭隠り」は、蚕が繭の中に隠れること。
* 「いぶせく」は、形容詞「いぶせし」の連用形。思いが叶わず、胸がつまる心情。また、ようすがわからず、気が休まらない
* 「も」は間助。
* 「か」は疑問の終助。
* 「逢は」は、ハ行四段活用動詞「逢ふ」の未然形。
* 「ず」は、打消の助動詞。
* 「て」は原因・理由を表す。  逢うこともなくて。



2992 襷,枕詞

[題詞](寄物陳思)

玉手次  不懸者辛苦  懸垂者  續手見巻之  欲寸君可毛

玉たすき 懸けねば苦し 懸けたれば 継ぎて見まくの 欲しき君かも 

[たまたすき] かけねばくるし かけたれば つぎてみまくの ほしききみかも
・・・・・・
そばにいないと辛いし

こうして一緒にいれば

もう離れてなんかいられない

どうすればいいのかしら
・・・・・・
* 「たすき」襷   和服の袖やたもとがじゃまにならないようにたくし上げるためのひも。背中で斜め十文字に交差させ両肩にまわして結ぶ。
または、 一方の肩から他方の腰のあたりに斜めにかける、輪にした細長いひも。



2993 序詞

[題詞](寄物陳思)


紫  綵色之蘰  花八香尓  今日見人尓  後将戀鴨

紫の まだらのかづら 花やかに 今日見し人に 後恋ひむかも 

[むらさきの まだらのかづら はなやかに] けふみしひとに のちこひむかも
・・・・・・
紫の濃淡の髪飾りが華やかだった

今日つい見かけた女だったが

あとから恋をしてしまうかも

いや すでに落ちたか
・・・・・・



2994 枕詞

[題詞](寄物陳思)

玉蘰  不懸時無  戀<友>  何如妹尓  相時毛名寸

玉葛 懸けぬ時なく 恋ふれども 何しか妹に 逢ふ時もなき 

[たまかづら] かけぬときなく こふれども なにしかいもに あふときもなき
・・・・・・
心にかけていつだって君だけを恋してるのに

どうしてなんだよ

逢う時がないなんて
・・・・・・



2995 比喩

[題詞](寄物陳思)

相因之  出来左右者  疊薦  重編數  夢西将見

逢ふよしの 出でくるまでは 畳薦 隔て編む数 夢にし見えむ 

あふよしの いでくるまでは [たたみこも] へだてあむかず いめにしみえむ
・・・・・・
逢ふ術が見つかるまでは 

数多い夜に  

ただ夢にでも見れればいいとでも思うのか
・・・・・・
* 「たたみ‐こも」畳薦 [名]畳にする薦。 [枕]薦を幾重にも重ねるところから、「重(へ)」の音に掛る。「へ」音をもつ地名「平群(へぐり)」にかかる。



2996 枕詞,怨

[題詞](寄物陳思)

白香付  木綿者花物  事社者  何時之真枝毛  常不所忘

しらかつく 木綿は花もの 言こそば いつのまえだも 常忘らえね 

[しらかつく] ゆふははなもの ことこそば いつのまえだも つねわすらえね
・・・・・・
白い木綿の実は

花のように美しくはかないもの

あの人の美しい言葉だけは

いつどんな時も忘れられません
・・・・・・
イメージ 1
* 木綿の実
* [しらかつく] は、「扇尾鳩を(榊の枝に)取り付ける」ということが「ゆふ(木綿)」を取り付けることとともに御幣の重要な形式であったこと、この鳥は人と神の交流の使者と考えられることが判明する。<[国語篇(その八)]より転載。>




サ2997 枕詞,序詞,天理,奈良県

[題詞](寄物陳思)

石上  振之高橋  高々尓  妹之将待  夜曽深去家留

石上 布留の高橋 高々に 妹が待つらむ 夜ぞ更けにける 

[いそのかみ ふるのたかはし たかたかに] いもがまつらむ よぞふけにける
・・・・・
石上の布留の川に掛かる高い橋ではないが

高く背伸びして今か今かと

愛する女が私の妻問いを待っているのに

おかまいなしに夜は更けてゆく
・・・・・・
* 「石上布留」は天理市布留。
* 「高橋」は「橋桁の高い橋」。
* 「高高」は副詞で、足をつま立てて待ち望むさま。
* 「らむ」は、現在推量の助動詞。
* 「ぞ」は強調の係助詞。
* 「更け」は、カ行下二段活用動詞「更く」の連用形。
* 「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形。
* 「ける」は、過去の助動詞「けり」の連体形。「ぞ」の結び。



2998 序詞

[題詞](寄物陳思)

湊入之  葦別小船  障多  今来吾乎  不通跡念莫

港入りの 葦別け小舟 障り多み 今来む我れを 淀むと思ふな 

[みなといりの あしわけをぶね さはりおほみ] いまこむわれを よどむとおもふな
・・・・・・
漁を終えて葦が生い茂った中を入港する小舟に支障が多いように

差し障りが多くて

今そちらへ向かっている私の行くのが遅れても

二人の仲が途絶えるなどと思わないでください
・・・・・・・
* 「葦別け小舟」は、海岸に生えている葦を分けて入っていく小舟。



2998S 異伝,女歌

[題詞](寄物陳思)或本歌曰

湊入尓  蘆別小船  障多  君尓不相而  年曽經来

港入りに 葦別け小舟 障り多み 君に逢はずて 年ぞ経にける 

[みなといりに あしわけをぶね さはりおほみ] きみにあはずて としぞへにける
・・・・・・
湊へ入る葦わけ小舟に故障が多くて

君に逢えないまま

年が経ってしまった
・・・・・・



2999 比喩,怨

[題詞](寄物陳思)

水乎多  上尓種蒔  比要乎多  擇擢之業曽  吾獨宿

水を多み 上田に種蒔き 稗を多み 選らえし業ぞ 吾がひとり寝る 

みづをおほみ あげにたねまき ひえをおほみ えらえしわざぞ わがひとりぬる
・・・・・・
水が豊富なので高台にある水田に稲の種を蒔く

稗が多いのでそれを選り抜くのも仕事

それが終わって 抜いた稗を枕に

俺は一人で眠りに付くのさ

恨むぜ
・・・・・・


2976 紐,序詞

[題詞](寄物陳思)

紫  吾下紐乃  色尓不出  戀可毛将痩  <相>因乎無見

紫の 吾が下紐の 色に出でず 恋ひかも痩せむ 逢ふよしをなみ 

[むらさきの わがしたひもの いろにいでず] こひかもやせむ あふよしをなみ
・・・・・・・・・・
あなたの紫ですよ

その美しい私の下着の紐は

外からは分かりません

なのに

私は痩せてしまうほど恋しているのに

会える手立てもないままなんて
・・・・・・・・・・
* 万葉の「紐」。
○相手を拘束する、利用する、などの「現代的なヒモ」の意は見当たらない。
・「紐が自然に解ける」は、相手の想いが傍に来て、結んだ紐を解こうとしている=相手から想われているということであろう。
・「紐を解く」は、性関係を表す。 
・「紐を見る」は、相手が自分を思うことを願う。
・紐を結んだ相手以外の人に紐を解かせることは浮気を意味する。 
・紐を結んだまま操を守っていれば再会するいう俗信があった。




2977 紐,枕詞

[題詞](寄物陳思)

何故可  不思将有  紐緒之  心尓入而  戀布物乎

何ゆゑか 思はずあらむ 紐の緒の 心に入りて 恋しきものを 

なにゆゑか おもはずあらむ [ひものをの] こころにいりて こほしきものを
・・・・・・・・・・
理屈ではどうあれ

こんなにあなたを思わずにすむものを

恋の緒をちゃんと結んでくださいな
・・・・・・・・・・
* 「ひものお‐の」紐の緒の。  [枕]一方の輪に他を入れて紐を結ぶ意から、「入る」「いつがる」にかかる。



2978 枕詞,女歌,鏡

[題詞](寄物陳思)

真十鏡  見座吾背子  吾形見  将持辰尓  将不相哉

まそ鏡 見ませ吾が背子 吾が形見 待てらむ時に 逢はざらめやも 

[まそかがみ] みませわがせこ わがかたみ まてらむときに あはざらめやも
・・・・・・・・・・
鏡を見てくださいな あなた 

形見の吾が姿見を持ちながら

会えないことなどあるでしょうか
・・・・・・・・・・



2979 鏡,女歌,枕詞

[題詞](寄物陳思)

真十鏡  直目尓君乎  見者許増  命對  吾戀止

まそ鏡 直目に君を 見てばこそ 命に向ふ 吾が恋やまめ 

[まそかがみ] ただめにきみを みてばこそ いのちにむかふ あがこひやまめ
・・・・・・・・・・
直接あなたさまのお姿を見て

生命を輝かせるような恋を知りました

命の極限まで恋して

そしていつか私の恋はやむのでしょう
・・・・・・・・・・



2980 鏡,枕詞

[題詞](寄物陳思)

犬馬鏡  見不飽妹尓  不相而  月之經去者  生友名師

まそ鏡 見飽かぬ妹に 逢はずして 月の経ゆけば 生けりともなし 

\まそかがみ] みあかぬいもに あはずして つきのへゆけば いけりともなし
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一緒にいればこそ命も輝くのに

逢えなくなってどれほど長い月日が過ぎたろう

生きた心地もなく徘徊するだけの日々よ
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2981 鏡,序詞

[題詞](寄物陳思)

祝部等之  齊三諸乃  犬馬鏡  懸而偲  相人毎

祝部らが 斎くみもろの まそ鏡 懸けて偲ひつ 逢ふ人ごとに 

[はふりらが いつくみもろの] まそかがみ] かけてしのひつ あふひとごとに
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祝部らが 斎くみもろの まそ鏡ではないが

心に懸けて恋い慕ったことであるよ

あの人を

逢ふ人ごとにあの人ではないかと
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* 「祝部」は古代の下級神職。「はふり」は罪穢(けがれ)を放(はふ)る意。
* 「いつく」心身の汚れを去り神に仕える。
* 「みもろ」御諸 「もろ」は「もり」と同じく神の降下してくる場所の意 神をまつる樹木 鏡や木綿をかけて神をまつる神座。




2982 針,紐

[題詞](寄物陳思)

針者有杼  妹之無者  将著哉跡  吾乎令煩  絶紐之緒

針はあれど 妹しなければ 付けめやと 吾れを悩まし 絶ゆる紐の緒 

はりはあれど いもしなければ つけめやと われをなやまし たゆるひものを
・・・・・・・・・・
針はあるけれど愛しい妻がいないから

縫い付けられないだろうと

私を困らせるように切れてしまった紐の緒よ
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2983 枕詞,女歌,剣

[題詞](寄物陳思)

高麗劔  己之景迹故  外耳  見乍哉君乎  戀渡奈牟

高麗剣 吾が心から 外のみに 見つつや君を 恋ひわたりなむ 

[こまつるぎ] わがこころから よそのみに みつつやきみを こひわたりなむ
・・・・・・・・・・
すべて私の心持ちから起こったことなのです

外ながらにだけ遠目に見て恋い慕っていよう
・・・・・・・・・・
* 「こま‐つるぎ」高麗剣/狛剣  [名]高麗ふうの剣。環頭大刀(かんとうのたち)。[枕]高麗剣は柄頭に環(わ)があるところから、「わ」にかかる。




2984 剣,枕詞,人目,うわさ

[題詞](寄物陳思)

劔大刀  名之惜毛  吾者無  比来之間  戀之繁尓

剣大刀 名の惜しけくも 吾れはなし このころの間の 恋の繁きに 

[つるぎたち] なのをしけくも われはなし このころのまの こひのしげきに
・・・・・・・・・・
もう名を惜しむことも私には無い

恋のつらさ狂おしさに耐えかねるこの日々よ

もう名など惜しくはない
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2985 枕詞,弓

[題詞](寄物陳思)

梓弓  末者師不知  雖然  真坂者<君>尓  縁西物乎

梓弓 末はし知らず しかれども まさかは君に 寄りにしものを 

[あづさゆみ] すゑはししらず しかれども まさかはきみに よりにしものを
・・・・・・・・・・
先のことはわからない

そうだけれども今更に何を思いましょう

今現在の私の心は

すっかりあなたに靡き寄ってしまっているというのに
・・・・・・・・・・
* 「まさか」は今まのあたり、現在。



2985S 弓,枕詞,女歌,異伝

[題詞](寄物陳思)一本歌曰

梓弓  末乃多頭吉波  雖不知  心者君尓  因之物乎

梓弓 末のたづきは 知らねども 心は君に 寄りにしものを 

[あづさゆみ] すゑのたづきは しらねども こころはきみに よりにしものを
・・・・・・・・・・
これから先のことはどうしていいのか

それはわからないけれども

今私の心は

すっかりあなたに靡き寄っている
・・・・・・・・・・
* 「たづき」 語源は《手付き》という。手段、手がかり。中世には「たつき」とも。



2986 弓,枕詞

[題詞](寄物陳思)

梓弓  引見<緩>見  思見而  既心齒  因尓思物乎

梓弓 引きみ緩へみ 思ひみて すでに心は 寄りにしものを 

[あづさゆみ] ひきみゆるへみ おもひみて すでにこころは よりにしものを
・・・・・・・・・・
あづさゆみを引いたり緩めたりするように

あれこれ思うばかりになって

もうすっかり私の心はあなたに寄り添ってしまったことですよ
・・・・・・・・・・


寄物陳思



2964 女歌,衣

[題詞]寄物陳思

如是耳  在家流君乎  衣尓有者  下毛将著跡  <吾>念有家留

かくのみに ありける君を 衣にあらば 下にも着むと 吾が思へりける 

かくのみに ありけるきみを きぬにあらば したにもきむと わがおもへりける
・・・・・・・・・・・
このようにお慕いするあなた

好きで好きでたまらないから

人目につかないように  あなたを

いつも大事な赤絹下着にして

着ているでしょう わたしは
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2965 女歌,怨,序詞,衣

[題詞](寄物陳思)

橡之  袷衣  裏尓為者  吾将強八方  君之不来座

橡の 袷の衣 裏にせば 我れ強ひめやも 君が来まさぬ 

[つるはみの あはせのころも うらにせば] われしひめやも きみがきまさぬ
・・・・・・・・・・・
橡染めの袷の着物を裏返すようですね

もう無理に逢いたいとは言いません

愛情が失せて来ないのなら
・・・・・・・・・・・



サ2966 衣,序詞

[題詞](寄物陳思)

紅  薄染衣  淺尓  相見之人尓  戀比日可聞

紅の 薄染め衣 浅らかに 相見し人に 恋ふるころかも 

[くれなゐの うすそめころも あさらかに] あひみしひとに こふるころかも
・・・・・・・・・・・
紅に染めた衣の色が薄いように

ほんの行きずりに遊んだ女だが

なぜか恋しく思われる今日このごろであるよ
・・・・・・・・・・・
* 「薄染め」は、染め色の名。
* 「浅らか」は、形容動詞連用形。 薄いさま。浅いさま。
* 「し」は過去の助動詞「き」の連体形。
* 「かも」は詠嘆の終助詞。



2967 形見,衣

[題詞](寄物陳思)

年之經者  見管偲登  妹之言思  衣乃<縫>目  見者哀裳

年の経ば 見つつ偲へと 妹が言ひし 衣の縫目 見れば悲しも 

としのへば みつつしのへと いもがいひし ころものぬひめ みればかなしも
・・・・・・・・・・・
年を経て再び見れば懐かしいでしょうと言った妻

古着の縫い目を見れば亡き妻が偲ばれて悲しい
・・・・・・・・・・・



2968 衣,序詞

[題詞](寄物陳思)

橡之  一重衣  裏毛無  将有兒故  戀渡可聞

橡の 一重の衣 うらもなく あるらむ子ゆゑ 恋ひわたるかも 

[つるはみの ひとへのころも うらもなく] あるらむこゆゑ こひわたるかも
・・・・・・・・・・・
橡染の一重の衣に裏地がないように

あの娘の心も純真だから

よけいに恋しい
・・・・・・・・・・・



2969 衣,枕詞

[題詞](寄物陳思)

解衣之  念乱而  雖戀  何之故其跡  問人毛無

解き衣の 思ひ乱れて 恋ふれども 何のゆゑぞと 問ふ人もなし 

[とききぬの] おもひみだれて こふれども なにのゆゑぞと とふひともなし
・・・・・・・・・・・
解き衣のように私の心は思いに乱れる

恋しても恋しても

どうしても私の元に通う人はいない
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サ2970 衣,序詞

[題詞](寄物陳思)

桃花褐  淺等乃衣  淺尓  念而妹尓  将相物香裳

桃染めの 浅らの衣 浅らかに 思ひて妹に 逢はむものかも 

[ももそめの あさらのころも あさらかに] おもひていもに あはむものかも
・・・・・・・・・・・
桃色に染めた淡色の衣のような

そんな軽い気持ちだけで

あなたに逢っているのではありません
・・・・・・・・・・・
* 「桃染め」は、うすい紅色。
* 「浅ら」は名詞。色の淡いさま。
* 「浅らかに」は、形容動詞で思慮の足りないさま。 
* 「む」は意志の助動詞。
* 「ものかも」は、形式名詞「もの」に詠嘆の終助詞「かも」付いたもので、疑問ないし反語の意味を表す。




サ2971 枕詞,序詞,衣

[題詞](寄物陳思)

大王之  塩焼海部乃  藤衣  穢者雖為  弥希将見毛

大君の 塩焼く海人の 藤衣 なれはすれども いやめづらしも 

[おほきみの しほやくあまの [ふぢころも] なれはすれども いやめづらしも
・・・・・・・・・・・
天皇に献上する塩を焼く海女の藤布の衣

着慣れればよいものなのだろう
・・・・・
着慣れた藤衣のような古女房は 少し強いけれども良いものなのさ
・・・・・・・・・・・
* 「ふぢ‐ごろも」藤衣
・藤づるの皮の繊維で織った粗末な衣服。
・序詞として用いて、織り目が粗い意から「間遠に」に、衣のなれる意から「馴れる」に、衣を織るの同音から「折れる」にそれぞれかかる。
* 「いやめづらしも」ひとしお心ひかれる、面白い。



2972 衣,序詞,女歌,不安

[題詞](寄物陳思)

赤帛之  純裏衣  長欲  我念君之  不所見比者鴨

赤絹の 純裏の衣 長く欲り 我が思ふ君が 見えぬころかも 

[あかきぬの ひたうらのきぬ ながくほり] あがおもふきみが みえぬころかも
・・・・・・・・・・・
光沢豊かな赤絹(モミ)のついた胴裏の衣みたいに

長い間いつも欲しいと願う

そのように思い慕うあなた様はいらっしゃいません この頃
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2973 枕詞,後朝,紐

[題詞](寄物陳思)

真玉就  越乞兼而  結鶴  言下紐之  <所>解日有米也

真玉つく をちこち兼ねて 結びつる 吾が下紐の 解くる日あらめや 

[またまつく] をちこちかねて むすびつる わがしたびもの とくるひあらめや
・・・・・・・・・・・
将来と現在を結びつけるように

私の下着の紐が解ける日があるのでしょうか

こうして今朝は結び合っても
・・・・・・・・・・・



2974 帯

[題詞](寄物陳思)

紫  帶之結毛  解毛不見  本名也妹尓  戀度南

紫の 帯の結びも 解きもみず もとなや妹に 恋ひわたりなむ 

むらさきの おびのむすびも ときもみず もとなやいもに こひわたりなむ
・・・・・・・・・・・
紫染めの帯の結び目を解くこともなく

みだりにあの娘に片思いするだけだなあ
・・・・・
むらさき染めの帯の結び目さえ解くこともなく

ただ  いたずらにあの子に恋ひ焦がれることになるのか
・・・・・・・・・・・



サ2975 紐

[題詞](寄物陳思)

高麗錦  紐之結毛  解不放  齊而待杼  驗無可聞

高麗錦 紐の結びも 解き放けず 斎ひて待てど 験なきかも 

[こまにしき] ひものむすびも ときさけず いはひてまてど しるしなきかも
・・・・・・・・・・・
貞操を守り紐の結び目を解かずに

斎って待っているのに

夫が私の元に来る験はない 

どうなっているのかしら  あなた
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* 「高麗錦」 高麗の錦で作った紐。高麗風の高級で美しい紐。
紐の結び目を解かずに固く操を守り待っているのに「験なきかも」と、その効果が無いことを悲しんでいる女の歌。



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