ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

・万葉集(〃)

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3671遣新羅使,福岡,韓亭,望郷,枕詞

[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

奴婆多麻乃 欲和多流月尓 安良麻世婆 伊敝奈流伊毛尓 安比弖許麻之乎

ぬばたまの 夜渡る月に あらませば 家なる妹に 逢ひて来ましを 

[ぬばたまの] よわたるつきに あらませば いへなるいもに あひてこましを
・・・・・・・・・・・
夜空を明るく照らして渡る月になれるものなら 

わが家にいる妻に逢いに行き

顔を照らして来れるものを
・・・・・・・・・・・



3672遣新羅使,枕詞,羈旅,福岡,韓亭,叙景

[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

比左可多能 月者弖利多里 伊刀麻奈久 安麻能伊射里波 等毛之安敝里見由

ひさかたの 月は照りたり 暇なく 海人の漁りは 灯し合へり見ゆ 

[ひさかたの] つきはてりたり いとまなく あまのいざりは ともしあへりみゆ
・・・・・・・・・・・
大空に月は照りわたり

海には海人の漁火が

灯り行き交う

いい眺めよ
・・・・・・・・・・・



3673遣新羅使,福岡,韓亭,能許島,漂泊,波待ち


[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

可是布氣婆 於吉都思良奈美 可之故美等 能許能等麻里尓 安麻多欲曽奴流

風吹けば 沖つ白波 畏みと 能許の亭に あまた夜ぞ寝る 

かぜふけば おきつしらなみ かしこみと のこのとまりに あまたよぞぬる
・・・・・・・・・・・
風が吹くと沖の白波を畏れて

能古の浦の韓亭(からとまり)に

もう幾晩も過ごしている
・・・・・・・・・・・



3674遣新羅使,福岡,可也山,引津亭,望郷,漂泊,作者:壬生宇太麻呂

[題詞]引津亭舶泊之作歌七首

久左麻久良 多婢乎久流之美 故非乎礼婆 可也能山邊尓 草乎思香奈久毛

草枕 旅を苦しみ 恋ひ居れば 可也の山辺に さを鹿鳴くも 

[くさまくら] たびをくるしみ こひをれば かやのやまへに さをしかなくも
・・・・・・・・・・・
草を枕の旅がつらくて

家を恋しく思っていると

可也山の麓の牡鹿も

妻を求めて鳴いているようだ
・・・・・・・・・・・



3675遣新羅使,作者:壬生宇太麻呂,望郷,福岡,可也山,引津亭

[題詞](引津亭舶泊之作歌七首)

於吉都奈美 多可久多都日尓 安敝利伎等 美夜古能比等波 伎吉弖家牟可母

沖つ波 高く立つ日に あへりきと 都の人は 聞きてけむかも 

おきつなみ たかくたつひに あへりきと みやこのひとは ききてけむかも
・・・・・・・・・・・
沖の荒波が高く立つこの怖ろしさを

奈良の都の人は噂にも聞くだろうか
・・・・・・・・・・・



3676遣新羅使,望郷,枕詞,福岡,引津亭

[題詞](引津亭舶泊之作歌七首)

安麻等夫也 可里乎都可比尓 衣弖之可母 奈良能弥夜故尓 許登都ん夜良武

天飛ぶや 雁を使に 得てしかも 奈良の都に 言告げ遣らむ 

[あまとぶや] かりをつかひに えてしかも ならのみやこに ことつげやらむ
・・・・・・・・・・・
空を飛び使いをするという雁を

手に入れたいものだ

奈良の都への遣いにしてやろうものを
・・・・・・・・・・・



3677遣新羅使,漂泊,旅情,望郷,福岡,引津亭

[題詞](引津亭舶泊之作歌七首)

秋野乎 尓保波須波疑波 佐家礼杼母 見流之留思奈之 多婢尓師安礼婆

秋の野を にほはす萩は 咲けれども 見る験なし 旅にしあれば 

あきののを にほはすはぎは さけれども みるしるしなし たびにしあれば
・・・・・・・・・・・
秋の野一面を

飾る萩の花は咲いているが

見ても感じないなあ

旅の途中で妻がいないからか
・・・・・・・・・・・



3678遣新羅使,望郷,福岡,引津亭

[題詞](引津亭舶泊之作歌七首)

伊毛乎於毛比 伊能祢良延奴尓 安伎乃野尓 草乎思香奈伎都 追麻於毛比可祢弖

妹を思ひ 寐の寝らえぬに 秋の野に さを鹿鳴きつ 妻思ひかねて 

いもをおもひ いのねらえぬに あきののに さをしかなきつ つまおもひかねて
・・・・・・・・・・・
妻を想い眠れぬ夜なのに

秋の野は牡鹿も鳴く

妻恋しさに堪えかねるように
・・・・・・・・・・・



3679遣新羅使,福岡,引津亭

[題詞](引津亭舶泊之作歌七首)

於保夫祢尓 真可治之自奴伎 等吉麻都等 和礼波於毛倍杼 月曽倍尓家流

大船に 真楫しじ貫き 時待つと 吾れは思へど 月ぞ経にける 

おほぶねに まかぢしじぬき ときまつと われはおもへど つきぞへにける
・・・・・・・・・・・
大船の官船に櫂を並べて

漕ぎ出す時を待ち続けているが

月日だけが過ぎていく

壱岐 対馬 新羅  遥か
・・・・・・・・・・・



3680遣新羅使,福岡,引津亭,枕詞,望郷

[題詞](引津亭舶泊之作歌七首)

欲乎奈我美 伊能年良延奴尓 安之比奇能 山妣故等余米 佐乎思賀奈君母

夜を長み 寐の寝らえぬに あしひきの 山彦響め さを鹿鳴くも 

よをながみ いのねらえぬに [あしひきの] やまびことよめ さをしかなくも
・・・・・・・・・・・
夜は長く

寝るにも寝られない

いっそもっと響かせよ山彦

妻恋しさに鳴く牡鹿の叫びを
・・・・・・・・・・・


3661遣新羅使,福岡,叙景,異伝

[題詞](海邊望月作九首)

可是能牟多 与世久流奈美尓 伊射里須流 安麻乎等女良我 毛能須素奴礼奴

風の共 寄せ来る波に 漁りする 海人娘子らが 裳の裾濡れぬ 

かぜのむた よせくるなみに いざりする あまをとめらが ものすそぬれぬ
・・・・・・・・・・
風と共に寄せて来る波間で漁りする

海人娘子たちの裳の裾が濡れている
・・・・・・・・・・



3661S遣新羅使,福岡,叙景,異伝

[題詞](海邊望月作九首)一云

安麻乃乎等賣我 毛能須蘇奴礼<濃>

海人の娘子が 裳の裾濡れぬ 

あまのをとめが ものすそぬれぬ
・・・・・・・・・・
海人娘子の 裳の裾が濡れている
・・・・・・・・・・



3662遣新羅使,旋頭歌,孤独,恋,望郷,福岡

[題詞](海邊望月作九首)

安麻能波良 布里佐氣見礼婆 欲曽布氣尓家流 与之恵也之 比<等>里奴流欲波
安氣婆安氣奴等母

天の原 振り放け見れば 夜ぞ更けにける よしゑやし ひとり寝る夜は 明けば明けぬとも 

あまのはら ふりさけみれば よぞふけにける よしゑやし ひとりぬるよは あけばあけぬとも
・・・・・・・・・・
天の原を仰ぎ見ながら夜を更かす

えいままよ 一人寝る夜は

このまま明けてもしかたがない
・・・・・・・・・・



3663遣新羅使,福岡,望郷,漂泊

[題詞](海邊望月作九首)

和多都美能 於伎都奈波能里 久流等伎登 伊毛我麻都良牟 月者倍尓都追

わたつみの 沖つ縄海苔 来る時と 妹が待つらむ 月は経につつ 

[わたつみの] おきつなはのり くるときと いもがまつらむ つきはへにつつ
・・・・・・・・・・
沖の縄海苔を繰り取る時のように

貴女は私のくる時を待つのでしょう

その月日は空しく過ぎるばかりです
・・・・・・・・・・



3664遣新羅使,志賀島,叙景,福岡

[題詞](海邊望月作九首)

之可能宇良尓 伊射里須流安麻 安氣久礼婆 宇良未許具良之 可治能於等伎許由

志賀の浦に 漁りする海人 明け来れば 浦廻漕ぐらし 楫の音聞こ 

しかのうらに いざりするあま あけくれば うらみこぐらし かぢのおときこゆ
・・・・・・・・・・
志賀の浦で漁をする海人が

夜が明けて来ると

湊に帰るために舟を漕ぐらしい

楫の音が聞こえる
・・・・・・・・・・



3665遣新羅使,望郷,福岡


[題詞](海邊望月作九首)

伊母乎於毛比 伊能祢良延奴尓 安可等吉能 安左宜理其問理 可里我祢曽奈久

妹を思ひ 寐の寝らえぬに 暁の 朝霧隠り 雁がねぞ鳴く 

いもをおもひ いのねらえぬに あかときの あさぎりごもり かりがねぞなく
・・・・・・・・・・
貴女を想い寝るに寝られないままいると

暁の朝霧に隠れて鳴いています 

雁でしょうか
・・・・・・・・・・



3666遣新羅使,福岡,望郷,漂泊

[題詞](海邊望月作九首)

由布佐礼婆 安伎可是左牟思 和伎母故我 等伎安良比其呂母 由伎弖波也伎牟

夕されば 秋風寒し 吾妹子が 解き洗ひ衣 行きて早着む 

ゆふされば あきかぜさむし わぎもこが ときあらひごろも(「ぎぬ」とも)」 ゆきてはやきむ
・・・・・・・・・・
夕方になると秋風が寒いです

愛しい貴女が洗ったすがしい衣を

帰って早く着たいことよ
・・・・・・・・・・
* 「去れ」は「やって来る。〜になる」。
* 「解き洗ひ衣は「衣服を解きほどいて洗い張りたもの」。



3667遣新羅使,福岡,望郷,漂泊

[題詞](海邊望月作九首)

和我多妣波 比左思久安良思 許能安我家流 伊毛我許呂母能 阿可都久見礼婆

吾が旅は 久しくあらし この吾が着る 妹が衣の 垢つく見れば 

わがたびは ひさしくあらし このあがける いもがころもの あかつくみれば
・・・・・・・・・・
私の旅は久しくなったようだ

この私が着ている

貴女の形見の衣に付いた垢を見ると
・・・・・・・・・・



3668遣新羅使,作者:阿倍継麻呂,恋,望郷,福岡,韓亭

[題詞]到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首

於保伎美能 等保能美可度登 於毛敝礼杼 氣奈我久之安礼婆 古非尓家流可母

大君の 遠の朝廷と 思へれど 日長くしあれば 恋ひにけるかも 

おほきみの とほのみかどと おもへれど けながくしあれば こひにけるかも
・・・・・・・・・・
ここ韓亭(からとまり)は

大王が治める奈良の京と同じ遠の朝廷であるが

留まる日々が長くなると

郷や貴女への恋しい気持がつのります
・・・・・・・・・・



3669遣新羅使,作者:壬生宇太麻呂,望郷,恋,福岡,韓亭

[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

多妣尓安礼杼 欲流波火等毛之 乎流和礼乎 也未尓也伊毛我 古非都追安流良牟

旅にあれど 夜は火灯し 居る吾れを 闇にや妹が 恋ひつつあるらむ 

たびにあれど よるはひともし をるわれを やみにやいもが こひつつあるらむ
・・・・・・・・・・
旅路にいても夜は灯を燭しているが

家に残る妻は暗闇の中で

私を恋しく想っているのでしょう
・・・・・・・・・・



3670遣新羅使,福岡,韓亭,能許島,恋,望郷

[題詞](到筑前國志麻郡之韓亭舶泊經三日於時夜月之光皎々流照奄對此<華>旅情悽噎各陳心緒聊以裁歌六首)

可良等麻里 能<許>乃宇良奈美 多々奴日者 安礼杼母伊敝尓 古非奴日者奈之

韓亭 能許の浦波 立たぬ日は あれども家に 恋ひぬ日はなし 

からとまり のこのうらなみ たたぬひは あれどもいへに こひぬひはなし
・・・・・・・・・・
韓亭(からとまり)の

能許の浦に波が立たない日はあっても

家に残す貴女を

恋しく思わない日はありません
・・・・・・・・・・


3651遣新羅使,旋頭歌,枕詞,大分,中津市,望郷

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

奴波多麻能 欲和多流月者 波夜毛伊弖奴香文 宇奈波良能 夜蘇之麻能宇倍由 伊毛我安多里見牟 [旋頭歌也]

ぬばたまの 夜渡る月は 早も出でぬかも 海原の 八十島の上ゆ 妹があたり見む 

[ぬばたまの] よわたるつきは はやもいでぬかも うなはらの やそしまのうへゆ いもがあたりみむ
・・・・・・・・・・・・
ぬばたまの闇夜を渡る月よ

早くでないか

海原の多くの島々の先から

妻の住むあたりを見届けたい
・・・・・・・・・・・・



3652

[題詞]至筑紫舘遥望本郷悽愴作歌四首

之賀能安麻能 一日毛於知受 也久之保能 可良伎孤悲乎母 安礼波須流香母

志賀の海人の 一日もおちず 焼く塩の からき恋をも 吾れはするかも 

しかのあまの ひとひもおちず やくしほの からきこひをも あれはするかも
・・・・・・・・・・・・
志賀島の海人が

一日も欠かさず焼く塩のような

そんな辛い恋を

私はするのでしょうか
・・・・・・・・・・・・



3653遣新羅使,福岡,志賀島,叙景,望郷


[題詞](至筑紫舘遥望本郷悽愴作歌四首)

思可能宇良尓 伊射里須流安麻 伊敝<妣>等能 麻知古布良牟尓 安可思都流宇乎

志賀の浦に 漁りする海人 家人の 待ち恋ふらむに 明かし釣る魚 

しかのうらに いざりするあま いへびとの まちこふらむに あかしつるうを
・・・・・・・・・・・・
志賀の浦で漁りする海人よ

家族が待っているだろうに

夜が明けるまで魚を釣っているのか
・・・・・・・・・・・・



3654遣新羅使,福岡,志賀島,叙景,望郷

[題詞](至筑紫舘遥望本郷悽愴作歌四首)

可之布江尓 多豆奈吉和多流 之可能宇良尓 於枳都之良奈美 多知之久良思母

可之布江に 鶴鳴き渡る 志賀の浦に 沖つ白波 立ちし来らしも 

かしふえに たづなきわたる しかのうらに おきつしらなみ たちしくらしも
・・・・・・・・・・・・
可之布の入江で鶴が鳴きながら渡って行く

志賀の浦に

沖の白波が立って来るらしい
・・・・・・・・・・・・



3654S

[題詞](至筑紫舘遥望本郷悽愴作歌四首)一云

美知之伎奴良思

満ちし来ぬらし 

みちしきぬらし
・・・・・・・・・・・・
満ちて来るらしい 
・・・・・・・・・・・・



3655遣新羅使,異伝,福岡,志賀島,叙景

[題詞](至筑紫舘遥望本郷悽愴作歌四首)

伊麻欲理波 安伎豆吉奴良之 安思比奇能 夜麻末都可氣尓 日具良之奈伎奴

今よりは 秋づきぬらし あしひきの 山松蔭に ひぐらし鳴きぬ 

いまよりは あきづきぬらし [あしひきの] やままつかげに ひぐらしなきぬ
・・・・・・・・・・・・
今日からは秋の気配をご披露かな

山の松の蔭に

ひぐらしが鳴いているよ
・・・・・・・・・・・・



3656遣新羅使,七夕,宴席,望郷,恋,福岡

[題詞]七夕仰觀天漢各陳所思作歌三首

安伎波疑尓 々保敝流和我母 奴礼奴等母 伎美我美布祢能 都奈之等理弖婆

秋萩に にほへる吾が裳 濡れぬとも 君が御船の 綱し取りてば 

[あきはぎに] にほへるわがも ぬれぬとも きみがみふねの つなしとりてば
・・・・・・・・・・・・
秋萩が咲いているような私の裳裾が

たとえ濡れてもかまわない

貴方の乗っている船の

その引き綱を手に取りたい

わたしの 彦星よ
・・・・・・・・・・・・



3657遣新羅使,七夕,宴席,望郷,恋,福岡


[題詞](七夕仰觀天漢各陳所思作歌三首)

等之尓安里弖 比等欲伊母尓安布 比故保思母 和礼尓麻佐里弖 於毛布良米也母

年にありて 一夜妹に逢ふ 彦星も 吾れにまさりて 思ふらめやも 

としにありて ひとよいもにあふ ひこほしも われにまさりて おもふらめやも
・・・・・・・・・・・・
一年にたった一夜だけ

恋人に逢う彦星の君も

私以上に想ってくれているかしら
・・・・・・・・・・・・



3658遣新羅使,七夕,宴席,望郷,恋,福岡


[題詞](七夕仰觀天漢各陳所思作歌三首)

由布豆久欲 可氣多知与里安比 安麻能我波 許具布奈妣等乎 見流我等母之佐

夕月夜 影立ち寄り合ひ 天の川 漕ぐ船人を 見るが羨しさ 

ゆふづくよ かげたちよりあひ あまのがは こぐふなびとを みるがともしさ
・・・・・・・・・・・・
夕月に照らされる夜空

天の川を漕ぐ舟人の

人影が寄り添う

羨ましく見えるよ

とこしえに幸あれ
・・・・・・・・・・・・



3659遣新羅使,福岡,望郷

[題詞]海邊望月作九首

安伎可是波 比尓家尓布伎奴 和伎毛故波 伊都登<加>和礼乎 伊波比麻都良牟

秋風は 日に異に吹きぬ 吾妹子は いつとか吾れを 斎ひ待つらむ 

あきかぜは ひにけにふきぬ わぎもこは いつとかわれを いはひまつらむ
・・・・・・・・・・・・
やっと秋風だろうかなあ

日に日に吹きつのってくる

私の愛しい妻は

何時還って来るのかと

無事を託した神に

斎い祭りながら

一心に待っているだろう
・・・・・・・・・・・・



3660遣新羅使,福岡,望郷,枕詞,作者:土師稲足,恋

[題詞](海邊望月作九首)

可牟佐夫流 安良都能左伎尓 与須流奈美 麻奈久也伊毛尓 故非和多里奈牟

神さぶる 荒津の崎に 寄する波 間なくや妹に 恋ひわたりなむ 

[かむさぶる] あらつのさきに よするなみ] まなくやいもに こひわたりなむ
・・・・・・・・・・・・
神々しい荒津の崎に

絶え間なく寄せる波のように

妻を想うわが心に寄せる情けの波 

私は貴女にかけがえのない

恋をしています
・・・・・・・・・・・・


3641遣新羅使,山口,上関町,望郷,叙景

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)

安可等伎能 伊敝胡悲之伎尓 宇良<未>欲理 可治乃於等須流波 安麻乎等女可母

暁の 家恋しきに 浦廻より 楫の音するは 海人娘子かも 

あかときの いへごひしきに うらみより かぢのおとするは あまをとめかも
・・・・・・・・・・・・
家が恋しくなる夜明けの暁に

入りくんだ海岸の方から楫の音がする

海人娘子なのだろうか
・・・・・・・・・・・・



3642遣新羅使,山口,上関町,叙景

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)

於枳敝欲理 之保美知久良之 可良能宇良尓 安佐里須流多豆 奈伎弖佐和伎奴

沖辺より 潮満ち来らし 可良の浦に あさりする鶴 鳴きて騒きぬ 

おきへより しほみちくらし からのうらに あさりするたづ なきてさわきぬ
・・・・・・・・・・・・
沖の方から潮が満ちてくるらしい

可良の浦で餌をあさっている鶴が

鳴いて騒いでいるのが聞こえる
・・・・・・・・・・・・



3643遣新羅使,山口,上関町,望郷,異伝

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)

於吉敝欲里 布奈妣等能煩流 与妣与勢弖 伊射都氣也良牟 多婢能也登里乎

沖辺より 船人上る 呼び寄せて いざ告げ遣らむ 旅の宿りを 

おきへより ふなびとのぼる よびよせて いざつげやらむ たびのやどりを
・・・・・・・・・・・・
沖の船の旅人が都へ上る

その船をこちらへ呼び寄せて

さあ 都の妻へ告げてもらおう

今までのわが旅の宿りなどを書いて
・・・・・・・・・・・・



3643S遣新羅使,異伝,山口,上関町,望郷

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)一云

多妣能夜杼里乎 伊射都氣夜良奈

旅の宿りを いざ告げ遣らな 

たびのやどりを いざつげやらな
・・・・・・・・・・・・
旅の宿りなどを書いて

さあ 都の妻へ告げてもらおう
・・・・・・・・・・・・



3644遣新羅使,大分,中津市,作者:雪宅麻呂,不安

[題詞]佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首

於保伎美能 美許等可之故美 於保<夫>祢能 由伎能麻尓末<尓> 夜杼里須流可母

大君の 命畏み 大船の 行きのまにまに 宿りするかも 

おほきみの みことかしこみ おほぶねの ゆきのまにまに やどりするかも
・・・・・・・・・・・・
大王の御命令のままに

大船の進行にまかせて

浮き寝の宿りをする日々よ
・・・・・・・・・・・・



3645遣新羅使,大分,中津市,望郷,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

和伎毛故波 伴也母許奴可登 麻都良牟乎 於伎尓也須麻牟 伊敝都可受之弖

吾妹子は 早も来ぬかと 待つらむを 沖にや住まむ 家つかずして 

わぎもこは はやもこぬかと まつらむを おきにやすまむ いへつかずして
・・・・・・・・・・・・
愛しい妻は早く帰って来ないかと

わたしを待っているでしょう

沖海の船で漂う身で

海上に休む家もありません
・・・・・・・・・・・・



3646遣新羅使,大分,中津市,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

宇良<未>欲里 許藝許之布祢乎 風波夜美 於伎都美宇良尓 夜杼里須流可毛

浦廻より 漕ぎ来し船を 風早み 沖つみ浦に 宿りするかも 

うらみより こぎこしふねを かぜはやみ おきつみうらに やどりするかも
・・・・・・・・・・・・
沖を避けて浦伝いに漕いで来たが

風の烈しさに入江に逃げ込めないで

遠い沖合で浮き寝をするはめになった
・・・・・・・・・・・・



3647遣新羅使,大分,中津市,望郷,枕詞,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

和伎毛故我 伊可尓於毛倍可 奴婆多末能 比登欲毛於知受 伊米尓之美由流

吾妹子が いかに思へか ぬばたまの 一夜もおちず 夢にし見ゆる 

わぎもこが いかにおもへか [ぬばたまの] ひとよもおちず いめにしみゆる
・・・・・・・・・・・・
妻がどんなに強く思ってくれているからか 

一夜も欠けることなく

貴女を夢に見ています
・・・・・・・・・・・・



3648遣新羅使,大分,中津市,望郷

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

宇奈波良能 於伎敝尓等毛之 伊射流火波 安可之弖登母世 夜麻登思麻見無

海原の 沖辺に灯し 漁る火は 明かして灯せ 大和島見む 

うなはらの おきへにともし いざるひは あかしてともせ やまとしまみむ
・・・・・・・・・・・・
海原の沖合に灯す漁火は

もっと明るくともせ

懐かしの大和島を見よう
・・・・・・・・・・・・



3649遣新羅使,大分,中津市,漂泊,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

可母自毛能 宇伎祢乎須礼婆 美奈能和多 可具呂伎可美尓 都由曽於伎尓家類

鴨じもの 浮寝をすれば 蜷の腸 か黒き髪に 露ぞ置きにける 

かもじもの うきねをすれば [みなのわた] かぐろきかみに つゆぞおきにける
・・・・・・・・・・・・
鴨のように波のまにまに浮寝をすると

黒々としている髪に

飛沫の露が降りている
・・・・・・・・・・・・



3650遣新羅使,枕詞,大分,中津市,望郷,恋

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

比左可多能 安麻弖流月波 見都礼杼母 安我母布伊毛尓 安波奴許呂可毛

[ひさかたの] 天照る月は 見つれども 吾が思ふ妹に 逢はぬころかも 

ひさかたの あまてるつきは みつれども あがもふいもに あはぬころかも
・・・・・・・・・・・・
遥かな彼方に住む恋人よ

天空の月を見るように

どうしても逢えないこのつらさ
・・・・・・・・・・・・


3641遣新羅使,山口,上関町,望郷,叙景

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)

安可等伎能 伊敝胡悲之伎尓 宇良<未>欲理 可治乃於等須流波 安麻乎等女可母

暁の 家恋しきに 浦廻より 楫の音するは 海人娘子かも 

あかときの いへごひしきに うらみより かぢのおとするは あまをとめかも
・・・・・・・・・・・・
家が恋しくなる夜明けの暁に

入りくんだ海岸の方から楫の音がする

海人娘子なのだろうか
・・・・・・・・・・・・



3642遣新羅使,山口,上関町,叙景

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)

於枳敝欲理 之保美知久良之 可良能宇良尓 安佐里須流多豆 奈伎弖佐和伎奴

沖辺より 潮満ち来らし 可良の浦に あさりする鶴 鳴きて騒きぬ 

おきへより しほみちくらし からのうらに あさりするたづ なきてさわきぬ
・・・・・・・・・・・・
沖の方から潮が満ちてくるらしい

可良の浦で餌をあさっている鶴が

鳴いて騒いでいるのが聞こえる
・・・・・・・・・・・・



3643遣新羅使,山口,上関町,望郷,異伝

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)

於吉敝欲里 布奈妣等能煩流 与妣与勢弖 伊射都氣也良牟 多婢能也登里乎

沖辺より 船人上る 呼び寄せて いざ告げ遣らむ 旅の宿りを 

おきへより ふなびとのぼる よびよせて いざつげやらむ たびのやどりを
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沖の船の旅人が都へ上る

その船をこちらへ呼び寄せて

さあ 都の妻へ告げてもらおう

今までのわが旅の宿りなどを書いて
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3643S遣新羅使,異伝,山口,上関町,望郷

[題詞](熊毛浦舶泊之夜作歌四首)一云

多妣能夜杼里乎 伊射都氣夜良奈

旅の宿りを いざ告げ遣らな 

たびのやどりを いざつげやらな
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旅の宿りなどを書いて

さあ 都の妻へ告げてもらおう
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3644遣新羅使,大分,中津市,作者:雪宅麻呂,不安

[題詞]佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首

於保伎美能 美許等可之故美 於保<夫>祢能 由伎能麻尓末<尓> 夜杼里須流可母

大君の 命畏み 大船の 行きのまにまに 宿りするかも 

おほきみの みことかしこみ おほぶねの ゆきのまにまに やどりするかも
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大王の御命令のままに

大船の進行にまかせて

浮き寝の宿りをする日々よ
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3645遣新羅使,大分,中津市,望郷,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

和伎毛故波 伴也母許奴可登 麻都良牟乎 於伎尓也須麻牟 伊敝都可受之弖

吾妹子は 早も来ぬかと 待つらむを 沖にや住まむ 家つかずして 

わぎもこは はやもこぬかと まつらむを おきにやすまむ いへつかずして
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愛しい妻は早く帰って来ないかと

わたしを待っているでしょう

沖海の船で漂う身で

海上に休む家もありません
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3646遣新羅使,大分,中津市,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

宇良<未>欲里 許藝許之布祢乎 風波夜美 於伎都美宇良尓 夜杼里須流可毛

浦廻より 漕ぎ来し船を 風早み 沖つみ浦に 宿りするかも 

うらみより こぎこしふねを かぜはやみ おきつみうらに やどりするかも
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沖を避けて浦伝いに漕いで来たが

風の烈しさに入江に逃げ込めないで

遠い沖合で浮き寝をするはめになった
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3647遣新羅使,大分,中津市,望郷,枕詞,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

和伎毛故我 伊可尓於毛倍可 奴婆多末能 比登欲毛於知受 伊米尓之美由流

吾妹子が いかに思へか ぬばたまの 一夜もおちず 夢にし見ゆる 

わぎもこが いかにおもへか [ぬばたまの] ひとよもおちず いめにしみゆる
・・・・・・・・・・・・
妻がどんなに強く思ってくれているからか 

一夜も欠けることなく

貴女を夢に見ています
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3648遣新羅使,大分,中津市,望郷

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

宇奈波良能 於伎敝尓等毛之 伊射流火波 安可之弖登母世 夜麻登思麻見無

海原の 沖辺に灯し 漁る火は 明かして灯せ 大和島見む 

うなはらの おきへにともし いざるひは あかしてともせ やまとしまみむ
・・・・・・・・・・・・
海原の沖合に灯す漁火は

もっと明るくともせ

懐かしの大和島を見よう
・・・・・・・・・・・・



3649遣新羅使,大分,中津市,漂泊,不安

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

可母自毛能 宇伎祢乎須礼婆 美奈能和多 可具呂伎可美尓 都由曽於伎尓家類

鴨じもの 浮寝をすれば 蜷の腸 か黒き髪に 露ぞ置きにける 

かもじもの うきねをすれば [みなのわた] かぐろきかみに つゆぞおきにける
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鴨のように波のまにまに浮寝をすると

黒々としている髪に

飛沫の露が降りている
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3650遣新羅使,枕詞,大分,中津市,望郷,恋

[題詞](佐婆海中忽遭逆風漲浪漂流經宿而後幸得順風到著豊前國下毛郡分間浦 於是追怛艱難悽惆作八首)

比左可多能 安麻弖流月波 見都礼杼母 安我母布伊毛尓 安波奴許呂可毛

[ひさかたの] 天照る月は 見つれども 吾が思ふ妹に 逢はぬころかも 

ひさかたの あまてるつきは みつれども あがもふいもに あはぬころかも
・・・・・・・・・・・・
遥かな彼方に住む恋人よ

天空の月を見るように

どうしても逢えないこのつらさ
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