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5 903;作者:山上憶良、仏教,儒教,老,嘆き,子供,天平5年6月3日,枕詞 [題詞]((老身重病經年辛苦及思兒等歌七首 [長一首短六首])反歌) [左注]天平五年六月丙申朔三日戊戌作
[去神龜二年作之 但以<類>故更載於茲]
倭<文>手纒 數母不在 身尓波在等 千年尓母<何>等 意母保由留加母[去る神龜二年之を作る。但し類を以ての故に更に茲に載す] [しつたまき] かずにもあらぬ みにはあれど ちとせにもがと おもほゆるかも 物の数にも入らないこの身ながら
やはり千年でも生きたいと思う * 「しつたまき」 倭文手巻。粗末な織物で作った手首の飾り。 「数にもあらぬ」や「いやしき」にかかる枕詞。 * 「あれ」は、ラ行変格活用断定の補助動詞「あり」の已然形。 * 「ど」は、逆接の接続助詞。 〜ではあるが。 * 「もが」は、終助詞。実現不可能な状態の願望を表す。〜であったらなあ。 * 「思ほゆ」は、ヤ行下二段活用動詞の連体形。(思ふ+ゆ)おのずと思われてくる。 * 「かも」は、詠嘆の終助詞。 /////////////////////// 【心に残る名言、和歌・俳句鑑賞】
しつたまき 数にもあらぬ 身にはあれど 千年にもがと 思ほゆるかも 山上憶良 https://blogs.yahoo.co.jp/sakuramitih15/40742150.html?vitality |
◎【万葉集再掲載】
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78;作者:元明,持統,古歌,転用,遷都,望郷,恋情,枕詞,愛惜 [題詞]和銅三年庚戌春二月従藤原宮遷于寧樂宮時御輿停長屋原<廻>望古郷<作歌> [一書云 太上天皇御製]和銅三年庚戌春二月、藤原宮から寧樂宮に遷都した時、御輿を長屋の原に停めて、古郷を顧みて作った歌(太上天皇御製ともいわれる) * これによれば、本歌は藤原の宮から奈良の平城京に遷都する時に、御輿を長屋の原(現在の奈良県天理市西井戸堂町・会場町のあたり)で停めて藤原京や飛鳥の里を振り返りながら詠んだ歌となる。 飛鳥 明日香能里乎 置而伊奈婆 君之當者 不所見香聞安良武 [一云 君之當乎 不見而香毛安良牟] [とぶとりの] あすかのさとを おきていなば きみがあたりは みえずかもあらむ[きみがあたりを みずてかもあらむ] ・・・・・・・・・・
明日香の里を後にして立ち去ったなら あなたのいる辺りは見えなくなってしまうだろうか [あなたのいる辺りを見ないでいることになろうか] ・・・・・・・・・・ 飛鳥ーとぶとりのー飛ぶ鳥のー明日香にかかる枕詞。 飛鳥 - Wikipedia 飛鳥(あすか)は、かつて大和国高市郡にあった地域である。現在の奈良県高市郡明日香村大字飛鳥周辺を指した。 上記の他に、河内国安宿郡に現在の大阪府羽曳野市及び太子町あたりを指した飛鳥という地名があり、両者を区別するために、河内国(大阪府)の飛鳥は「近つ飛鳥」「河内飛鳥」とよばれ、大和国(奈良県)の飛鳥は「遠つ飛鳥」「大和飛鳥」と呼ばれる。この場合の「近つ」「遠つ」はかつて都があった難波宮(大阪市中央区)からみて近いかと遠いかによるとする説もある(なお、遠つ飛鳥と近つ飛鳥を逆に解する説もある)。 現在では、単に「飛鳥」といった場合には、大阪府の飛鳥(河内飛鳥)ではなく奈良県の飛鳥(大和飛鳥)を指すのが一般的である。したがって、ここでは奈良県の飛鳥について記述している(大阪の飛鳥は「河内飛鳥」を参照)。 明日香能里乎ーあすかのさとをー明日香の里を 置而伊奈婆ーおきていなばー置きて去なばー後にして立ち去ったなら 一書にこの歌は持統天皇の作だとあり、それが事実なら平城遷都のはるか以前、飛鳥の浄御原宮から藤原京へ遷都したときの歌になり、この「君のいるあたり」は夫である亡くなった天武天皇の墓所ということになる。 君之當者ーきみがあたりはー君があたりはーこの歌を持統天皇作とみる立場からは、この「君」は亡き夫天武天皇を指すと思われる。 不所見香聞安良武ーみえずかもあらむー見えずかもあらむー見えなくなってしまうだろうか [一云 君之當乎 不見而香毛安良牟]ー君があたりを見ずてかもあらむー見ないでいることになろうか * 「かもあらむ」感動を込めた疑問の意。 「かも」係助詞《接続》体言や活用語の連体形などに付く。〔疑問〕…か(なあ)。…なのか。 推量・意思・勧誘。推量から発展して可能・当然・適当・仮定婉曲の意味にも。 * 《思いの内を一こま和歌の形にして表した。》 * 額田王の近江国(おふみのくに)に下りし時に作れる歌、井戸王(ゐのへのわふきみ)のすなはち和(こた)へたる歌に似合う。 故地への愛着、崇敬などを主観に置き換えると【歌の真意】が現れる仕掛けのようだ。 味酒(うまさけ) 三輪(みわ)の山 あをによし 奈良の山の 山際(ま)に い隠(かく)るまで 道の隈(くま) い積(つ)もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや 巻一(十七) 反歌:
三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなむ隠さふべしや
巻一(十八)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 新古今巻第十896に元明天皇御歌 飛ぶ鳥の 明日香の里を 置きて往なば 君があたりは 見えずかもあらん この歌の作者ははっきりしない。万葉集の題詞は(訓読すると)「和銅三年庚戌(かのえいぬ)春三月、藤原の宮より寧樂の宮に遷りませる時、長屋の原に御輿(みこし)停めて古郷を廻望(かへりみ)したまひてよみたまへる御歌」とあるので、平城京遷都の際の天皇、元明天皇の御製とする説もある。ここでは『万葉集略解』の本居宣長説に従い、題詞は誤伝と見て、持統天皇の御製としておいた。「宣長云、此の歌を一書には持統天皇の御時に飛鳥より藤原へうつり給へる時の御製とするなるべし、然るを太上天皇といへるは、文武天皇の御代の人の書る詞也。又和銅云々の詞につきていはゞ、和銅のころは持統天皇既に崩り賜へば、文武の御時に申しならへるまゝに太上天皇と書る也。此歌のさまをおもふに、まことに飛鳥より藤原の宮へうつり賜ふ時の御歌なるべし。然るを和銅三年云々といへるは、傳への誤なるべしといへり」(『万葉集略解』)。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
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308;雑歌,作者:博通法師,羈旅,和歌山 [題詞](博通法師徃紀伊國見三穂石室作歌三首) 常磐成 石室者今毛 安里家礼騰 住家類人曽 常無里家留 ときはなす いはやはいまも ありけれど すみけるひとぞ つねなかりける ・・・・・・・・・・・
今も変わらずそのままだが この石室を家として住みなれていた人はもはや無く 厳しいこの世のうつろいが感じられる ・・・・・・・・・・・ * 「常盤・なす」「常盤」は常に変わらない岩。 「なす」は、・・のように。 * 「あり」 《ラ行変格活用、有り(あり)・居り(をり)・侍り(はべり)・いまそかり は、尊敬語で「いらっしゃります」「お出でになります」》 * 「ありけれ」動詞「あり」の連用形に助動詞「けり」の已然形が付いている。 「あり」あら/あり/あり/ある/あれ/あれ ラ行変格活用 事物・事柄の存在が認められる意 「けれ」 けら/○/けり/ける/けれ/○ 過去の助動詞「き」が直接経験をいうのに対し「けり」は伝聞的過去をいう * 「ど」接続助詞 逆接既定条件。活用語の已然形に付いて、逆接の既定条件を示す。「〜けれど」「〜けれども」「〜であっても」などの意。「ど」と「ども」の意味は全く同じ。 * 「ぞ〜ける」。「けり」〔過去〕…た。…たそうだ。 …たということだ。 過去の事柄を他から伝え聞いたこととして述べる。 * 常盤なす 岩室は今も ありけれど すみける人ぞ 常なかりける 博通法師 https://blogs.yahoo.co.jp/sakuramitih15/40726251.html?vitality |
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6 944;雑歌,作者:山部赤人、羈旅,望郷,兵庫 [題詞]((過辛荷嶋時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌])反歌三首) 嶋隠 吾榜来者 乏毳 倭邊上 真熊野之船 しまがくり わがこぎくれば ともしかも やまとへのぼる まくまののふね 大波を避け
島陰に隠ながらわがふねを漕いで来ると 羨ましいことだ 「真熊野の船」が雄祐と 大和の方へ上って行く * 島隠り【文語】ラ行四段活用の動詞「島隠る」の連用形、あるいは連用形が名詞化したもの。 * 「かも」 終助詞「か」に、詠嘆の終助詞「も」のついたもの。 疑問を含んだ詠嘆・感動に意を表す。体言または活用語の連体形を承ける。 「〜だろうか」「〜なのかなあ」。 疑問を含まない単なる詠嘆(感動)をあらわす。「〜なのだなあ」「〜ことだ」。 平安時代には「かな」が多くなるが、和歌では「かも」も使われ続け、ことに万葉調歌人には好まれた。 * 「真熊野の船」は熊野地方で造られた船。
熊野は伊豆などと共に良船の産地だった。 |
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3455 東歌,相聞,女歌,恋 [題詞]相聞 古非思家婆 伎麻世和我勢古 可伎都楊疑 宇礼都美可良思 和礼多知麻多牟 こひしけば きませわがせこ かきつやぎ うれつみからし われたちまたむ ・・・・・・・・・・
恋しいとおっしゃるなら 会いに来てくださいな 愛しいあなた 来る 来ない 垣根の柳の若芽を摘み枯らすまで 私は立ち続けてお待ちしています ・・・・・・・・・・ * 「ば」接続助詞 《接続》活用語の未然形、已然形に付く。 未然形に付く場合。〔順接の仮定条件〕…たら。…なら。…ならば。 已然形に付く場合。〔順接の確定条件、原因・理由〕…ので。…から。 〔順接の確定条件、偶然の条件〕…と。…たところ。 〔順接の恒常条件〕…と決まって。…ときはいつも。 〔二つの事柄を並列・対照〕…と、一方では。 室町時代後期以降、「未然形+ば」の形が少なくなり、次第に、「已然形+ば」の形で順接の仮定条件を表すようになる。これが現代語の「仮定形+ば」につながる。 * 「け」上代のク活用形容詞の未然形活用語尾。 上代のク活用形容詞の已然形活用語尾。 け 【消】、・・・ |


