ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

◎【万葉集再掲載】

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<個別再掲載>

サ2678 枕詞,女歌,怨

[題詞](寄物陳思)

級子八師  不吹風故  玉匣  開而左宿之  吾其悔寸

はしきやし 吹かぬ風ゆゑ 玉櫛笥 開けてさ寝にし 我れぞ悔しき 

[はしきやし] ふかぬかぜゆゑ [たまくしげ] あけてさねにし あれぞくやしき
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幾夜も来てくれる風もなく

悶々と過ごして

もう待つのはやめようと思いながらも

ひょっとしてと戸の鍵を開けておいたのに

やはり彼はこなかった

未練たらしい自分に腹立たしく悔しい
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* 「さ」は接頭語。
* 「寝にし」は、(悶々と)横になっていた。
* 「に」は、時の修飾格。
* 「し」は、強く指示して強調する。
* 「愛しきやし」は、自分を哀れんで嘆息する。
* 「玉櫛笥 開けて」は「大切な戸じまりをしないで」の掛詞。
* はしきやし(級寸八師)・しなこやし(級子八師) 
http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/kokugo10.htm#544はしきやし(級寸八師)

イメージ 1

<個別再掲載>

・ ナデシコ(撫子)ナデシコ科  http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/
 別名:ヤマトナデシコ(大和撫子),カワラナデシコ(河原撫子) 花期:夏〜秋

 別名は「大和撫子」ですが,「唐撫子」とも呼ばれるセキチク(石竹)と比べてみると,なるほどと思いますか?
 秋の七草の一つです。またの別名をカワラナデシコ(河原撫子)ともいうように本来は日当たりのよい河原や山野にありますが,最近では園芸品種も多いようです。やはり日本人好みなのでしょうか。

 花言葉は「いつも愛して」「思慕」だそうです。
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サ3 408;譬喩歌,作者:大伴家持

[題詞]大伴宿祢家持贈同坂上家之大嬢歌一首

石竹之  其花尓毛我  朝旦  手取持而  不戀日将無

なでしこが その花にもが 朝な朝な 手に取り持ちて 恋ひぬ日なけむ 
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あなたは撫子の花であってほしい

そうすれば私は朝な朝な手に取って

毎日愛(め)でいとしまない日とてないだろう
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* 「なでしこ」は大嬢を比喩。
* 「之」は「ガ」とも「ノ」とも訓める。
* 「その」は対象を強く指示する用法。
「三諸のその山なみに」(巻七-一〇九三)、「九月のその初雁の」(巻八-一六一四)など。
* 「花にもが」のモガは、強い願望をあらわす。
* 「もが」 願望の終助詞。 「〜がほしい」「〜でありたい」という願望をあらわす。奈良時代以前に用いられた。
  「その撫子の花、それはあなた。その花であってほしいあなた」。
* 「恋ひぬ日なけむ」の「ナケム」は、「ナシ」に推量の助詞「ム」がついたもの。
  「毎朝毎朝、手に取っては愛(め)でない日はないだろうに」。
* 「手に取り持ちて」の句と呼応する花の名は「撫で」。
* 「恋}はその場にいる相手に対しても、気をくばり、思いやり、いとおしむ心。 本来は、時間的、空間的、心理的に離れている対象への思いに、心ひかれて嘆き悲しむ意。

家持が大嬢を正妻として家に迎える以前の作と思われる天平十一、二年前後か、家持は二十二、三歳ということになる。
坂上大嬢は大伴坂上郎女の長女。家持にとっては妻である以前に従妹であった。
同じ頃家持が大嬢に贈ったと思われる歌(巻四-七二七)の題詞の脚注には「離絶数年、復会相聞往来」とあり関係が途絶えていた時期もあったことがわかる。
その理由は定かではないが、幼馴染みの恋は決して順風満帆というわけにはいかなかったのだろう。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%B0%8F
<個別再掲載>

サ2919 羈旅

[題詞](正述心緒)

二為而  結之紐乎  一為而  吾者解不見  直相及者

ふたりして 結びし紐を ひとりして 吾れは解きみじ 直に逢ふまでは 

ふたりして むすびしひもを ひとりして あれはときみじ ただにあふまでは

・・・・・・・・・・
一夜を共にあかし 翌朝二人で結んだ下着の紐は

一人の時にわたしは勝手に解きはしない

またじかに逢うその時まで
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* 「して」は、サ変動「為(す)」の連用形「し」に、接助「て」が付いたもの。使役の助動詞と共に用い、そのことをする人を指す。また、行う人の数などをあらわす。
* 「じ」は、「む」の意の打消し、推量を表す。活用語の未然形につく。ここでは「見」。「べし」に対する「まじ」に似るが、確信性は「まじ」より劣る。
<個別再掲載>

サ6 965;雑歌,作者:児島,遊行女婦,大伴旅人、太宰府,別離,恋情,天平2年12月,餞別,宴席

[題詞]冬十二月<大>宰帥大伴卿上京<時>娘子作歌二首

凡有者  左毛右毛将為乎  恐跡  振痛袖乎  忍而有香聞

おほならば かもかもせむを 畏みと 振りたき袖を 忍びてあるかも 

おほならば かもかもせむを かしこみと ふりたきそでを しのびてあるかも

[左注](右大宰帥<大>伴卿兼任大納言向京上道 此日馬駐水城顧望府家 于時送卿府吏之中有遊行女婦 其字曰兒嶋也 於是娘子傷此易別嘆彼難會 拭涕自吟振袖之歌)
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旅人が大宰府から京に帰る出立の朝
見送る官人などに交じって遊女の児島がいた
別れを悲しんで涙を拭きつつも
畏れ多いとして
目立たないように堪えていたが 
旅人が馬を止めて振り返った時に
堪えきれずにこの歌を口ずさみ
袖を振ったという
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・・・・・・・・・・・・・・
遠い帰路を 

旅立ってしまわれる

普通のお方なら

ああもしてあげたい こうもしてあげたいのに

貴方は畏れ多いお人 

身分をわきまえず

せめてこの袖が千切れるほど振りたてたい 
・・・・・・・・・・・・・・・
* 「凡(おほ)」は、ふつう。
* 「かもかも」は、かもかくも。ああもこうも、どうにでも。
* 「たき}願望。動詞・助動詞の連用形に付く「たし」の連体形。
* 「かも」は、助詞「か」に詠嘆の助詞「も」が付いたもの。体言または活用語の連体形を承ける。詠嘆を含んだ疑問(あるいは疑問を含んだ詠嘆)をあらわす。「〜だろうか」「〜なのかなあ」。
<個別再掲載>

サ1467夏雑歌,作者:弓削皇子

[題詞]弓削皇子御歌一首

霍公鳥  無流國尓毛  去而師香  其鳴音手  間者辛苦母

霍公鳥 なかる国にも 行きてしか その鳴く声を 聞けば苦しも 

ほととぎす なかるくににも ゆきてしか そのなくこゑを きけばくるしも
・・・・・・・・・・・
ほととぎすのいない国にいきたい

その鳴く声を聞くとつらいことだ
・・・・・・・・・・・
* 「しか」は、過去の助動詞「し」と終助詞「か」の結び付いたもの。完了の助動詞「つ」の連用形「て」に付き、「てしか」の形で多く用いられる。「〜したい」という願望を表す。
* 「も」は、終助詞、詠嘆を表す。
* 「通はく」はク語法、体言止めに似て儀礼的ながら詠嘆がこもり感動を表わす。

古に 恋ふる鳥かも 弓絃葉の 御井の上より 鳴き渡り行く  弓削皇子
古に 恋ふらむ鳥は 霍公鳥 けだしや鳴きし わが念へる如  額田王
<と、やさしく霍公鳥は古を恋う鳥だと理解を示しつつ>

み吉野の 玉松が枝は 愛しきかも 君が御言を 持ちて通はく 額田王
<贈られた松が枝については、ただ「愛しきかも」とそっけない。>

この時の歌は額田王の「長寿」を、弓削皇子が苔生した「玉松が枝」に添えて慰め贈ったものとされる。が、言わずもがなで、「玉松が枝」のみを贈って、上の二首とは無関係とも見られるが、どうだろう、判らないことである。

 額田王は最愛の中臣朝臣大嶋を亡くしたばかりであった。

ホトトギスは古に、冥界へすら行き来する鳥とされる。
弓削皇子は額田王の夫だった天武天皇を意識して作歌し額田王に贈ったといわれるが、この時の天皇は持統天皇である。やはり夫は天武天皇であった。

苔生した「玉松が枝」は額田王の「長寿」を願うものと受け取られただろうか。そのように見えるが、この歌が持統天皇の知るものと察知すれば、苔生した「敗残の松が枝よあなた」と見抜いたであろう。

この歌は、老いたりといえども、毅然と凛たる額田王を前に、弓削皇子後悔の一首ではなかったろうか。

例えば蜀国亡国の杜宇の故事に「鳴く声を 聞けば苦しも」と詠っている風景は感じられない。
ほととぎす の別名のうち、「杜宇」「蜀魂」「不如帰」は、中国の伝説にもとづく。古代の蜀国の帝王だった杜宇は、ある事情で故郷を離れたが、さまよううちにその魂が変化してホトトギスになった。そのため、ホトトギスは今も「不如帰(帰るにしかず)」と鳴いている、という。

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