◎【万葉集再掲載】
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<再掲載> サ28;作者:持統天皇,飛鳥,枕詞 [題詞]藤原宮御宇天皇代[高天原廣野姫天皇 元年丁亥十一年譲位軽太子 <尊>号曰太上天皇] / 天皇御製歌 春過而 夏来良之 白妙能 衣乾有 天之香来山 はるすぎて なつきたるらし [しろたへの] ころもほしたり あめのかぐやま ・・・・・・・・・・・
春過而ーはるすぎてー春過ぎてー春は過ぎ去って、 春は過ぎ去って 夏がやって来たらしい 白い衣が乾してある 天の香具山に ・・・・・・・・・・・ 夏来良之ーなつきたるらしー夏来るらしー夏がやって来たらしい。 白妙能ーしろたへのー白栲のー白い布でつくった、栲(たえ)で織りあげた白布で製った衣。栲は楮(こうぞ)などの樹皮から採った繊維。挽歌にも使われる語句。 衣乾有ーころもほしたりー衣干したりー衣が乾してある。 天之香来山ーあめのかぐやまー天の香具山ー奈良県橿原市南浦町。大和三山の一つ。天から降ってきた山であるとの伝承があり(伊予国風土記逸文)、それゆえ「天の」が付いた。 * 「らし」は推定の助動詞。 * 「たり」は存続の助動詞。 サ29;作者:柿本人麻呂,荒都歌,大津,鎮魂,枕詞,滋賀 [題詞]過近江荒都時柿本朝臣人麻呂作歌 玉手次ー玉たすきー[たまたすき]
畝火之山乃ー畝傍の山のーうねびのやまのー畝傍の山の(橿原市大和三山の一) 橿原乃ー橿原のーかしはらのー橿原の 日知之御世従ーひじりの御代ゆーひじりのみよゆー聖天子の御代から。 「日知(ひじ)り」とは、神武天皇の事を指す。 [或云 自宮]ー[或云 宮ゆ]ー[みやゆ]ー聖天子の宮から 阿礼座師ー生れまししーあれまししー御即位になられた 神之<盡>ー神のことごとーかみのことごとー歴代の天子(=天皇)は 樛木乃ー栂の木のー[つがのきの] 弥継嗣尓ーいや継ぎ継ぎにーいやつぎつぎにー次々と 天下ー天の下ーあめのしたー尊くも天下を 所知食之乎ー知らしめししをーしらしめししをー治めてこられた [或云 食来]ー[或云 めしける] (ここまでは、近江遷都までの段。) 天尓満ー[そらにみつ] 倭乎置而ー大和を置きてーやまとをおきてー大和を置いて 青丹吉ー[あをによし] 平山乎超ー奈良山を越えーならやまをこえー奈良山を越え [或云 虚見 倭乎置 青丹吉 平山越而]ー[或云 そらみつ 大和を置き あをによし 奈良山越えて]ー[そらみつ やまとをおき あをによし ならやまこえて]ーその大和を置いて、奈良山を越え 何方ーいかさまにーなぜか どのように 御念食可ー思ほしめせかーおもほしめせかーお考えになったのだろう [或云 所念計米可]ー[或云 思ほしけめか]ー[おもほしけめか] 天離ー天離るーあまざかるー遠方の地 夷者雖有ー鄙にはあれどーひなにはあれどー「夷」は、都の対極。 石走ー石走るー[いはばしる] 淡海國乃ー近江の国のーあふみのくにのー近江の國 樂浪乃ー楽浪のー[ささなみの] 大津宮尓ー大津の宮にーおほつのみやにー天智天皇近江大津宮に 天下ー天の下ーあめのしたー天下を 所知食兼ー知らしめしけむーしらしめしけむー治められた (以上天智天皇の近江遷都の段) 天皇之ー天皇のーすめろきのー天皇の 神之御言能ー神の命のーかみのみことのー神のみことの 大宮者ー大宮はーおほみやはー皇居は 此間等雖聞ーここと聞けどもーここときけどもーここと聞くが 大殿者ー大殿はーおほとのはー御殿は 此間等雖云ーここと言へどもーここといへどもーここと言うが 春草之ー春草のーはるくさのー今は春の草が 茂生有ー茂く生ひたるーしげくおひたるー生い茂り 霞立ー霞立つーかすみたつー霞む 春日之霧流ー春日の霧れるーはるひのきれるー春の日に霧が立っている [或云 霞立 春日香霧流 夏草香 繁成奴留]ー[或云 霞立つ 春日か霧れる 夏草か 茂くなりぬる]ー[かすみたつ はるひかきれる なつくさか しげくなりぬる] 百礒城之ー[ももしきの] 大宮處ー大宮ところーおほみやところー大宮どころの跡 見者悲<毛>ー見れば悲しもーみればかなしもー見ると心うたれる [或云 見者左夫思毛]ー[或云 見れば寂しも]ー[みればさぶしも] サ30;作者:柿本人麻呂,荒都歌,大津,鎮魂,滋賀 [題詞](過近江荒都時柿本朝臣人麻呂作歌)反歌 樂浪之 思賀乃辛碕 雖幸有 大宮人之 船麻知兼津 ささなみの しがのからさき さきくあれど おほみやひとの ふねまちかねつ ・・・・・・・・・・・・・
志賀の辛崎は その名のように幸(さき)く 無事平穏であるけれど 大宮人の船はいくら待っても もう来ない ・・・・・・・・・・・・・ |
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<再掲載> サ1884 春雑歌,移ろい,問答 [題詞]歎舊 寒過 暖来者 年月者 雖新有 人者舊去 ふゆすぎて はるしきたれば としつきは あらたなれども ひとはふりゆく
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* 「来ぬれば」;来ると。冬が過ぎて春がやってくると 年月は新しくなるけれども 人は古くなっていくことよ ・・・・・・・・・・・・・ 「来」カ行変格活用動詞連用形。 「ぬれ」完了助動詞「ぬ」の已然形。 「ば」恒常条件の接続助詞。 *「ども」は接続助詞・逆接(〜けれども)。 |
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<再掲載> サ1883 春雑歌,野遊び,枕詞 [題詞](野遊) 百礒城之 大宮人者 暇有也 梅乎挿頭而 此間集有 [ももしきの] おほみやひとは いとまあれや うめをかざして ここにつどへる ・・・・・・・・・・・・・
* 『新古今集』に山部赤人の歌として、下の句を変えて、宮仕えの大宮人は 今日は暇であるらしい 楽しげに梅の髪飾をりして 春日の野に集っている ・・・・・・・・・・・・・ 「ももしきの 大宮人は暇あれや 桜かざして 今日も暮らしつ」(104)。 * 「百敷の」は「都」や「大宮」を言い出す枕詞。「大宮人」は「宮中にお仕えする人」。 * 「暇あるや」は、暇があると、暇があれば。 |
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<再掲載> サ1844 春雑歌,奈良 [題詞](詠霞) 寒過 暖来良思 朝烏指 滓鹿能山尓 霞軽引 ふゆすぎて はるきたるらし [あさひさす] かすがのやまに かすみたなびく ・・・・・・・・・
* 立春から春になるとした。長かった冬が過ぎ やっと春が来たようです 朝日をいち早く受ける春日の山に はやくも春霞がたなびいています ・・・・・・・・・ * 「朝日さす」は枕詞で「豊」、「春日」にかかる。 * 「時候の挨拶」的な歌。 |


