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6 915;雑歌,作者:車持千年、吉野,行幸,従駕,宮廷讃美,羈旅,養老7年5月,或本歌,異伝,枕詞,序詞 [題詞](車持朝臣千年作歌一首[并短歌])或本反歌曰 千鳥鳴 三吉野川之 <川音> 止時梨二 所思<公> [ちどりなく] みよしのかはの かはおとの] やむときなしに おもほゆるきみ [左注](右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作) 千鳥が鳴き
美しい吉野川の川音が やむ時がないように 恋しい君を 想いつづけている * 「おもほ・ゆ」 【思ほゆ】自動詞ヤ行下二段活用
活用{え/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ} (自然に)思われる。 |
万葉集索引第六巻
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6 916;雑歌,作者:車持千年、吉野,行幸,従駕,讃美,羈旅,養老7年5月,或本歌,異伝,枕詞,恋情 [題詞]((車持朝臣千年作歌一首[并短歌])或本反歌曰) 茜刺 日不並二 吾戀 吉野之河乃 霧丹立乍 [あかねさす] ひならべなくに あがこひは よしののかはの きりにたちつつ [左注]右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作 あかねさす
美しい日々を重ねたわけはないが 私の恋は 吉野川に立ち上る霧とともに 心に湧き上がってくることだ ☆ [あかねさす]【茜さす】枕詞 赤い色がさして、美しく照り輝くことから「日」「昼」「紫」「君」などにかかる。 * 「日並(ひなら)べなくに」は多くの日数がたったわけでもないのに」
* 「なく‐に」 [連語]《打消しの助動詞「ず」のク語法「なく」+格助詞「に」 用語の語尾に「く(らく)」が付いて、全体が名詞化される語法。 「言はく」「語らく」「老ゆらく」「悲しけく」「散らまく」など。→く(接尾) →らく(接尾) ・詠嘆的に打消し、逆接的に接続する意を表す。…ないことなのに。 ・詠嘆的な打消しのみをを表す場合。…ないことだなあ。 * 「に」 [格助詞] [原因・理由] 〜によって・〜により〔接続〕体言、連体形につく。 * 「つつ」…は動作の反復・継起・継続などの意をあらわす接続助詞。和歌では末尾に置かれることが多く、断定を避けて詠嘆を籠めるはたらきをしたり、余情をかもす効果をもったりする場合もある。 「つつ」は継続の接続助詞で、言いさしの表現となり、余韻・余情を残して」止めという。 |
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6 922;雑歌,作者:笠金村、吉野,行幸,宮廷讃美,神亀2年5月,序詞 [題詞]((神龜二年乙丑夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])反歌二首) 人皆乃 壽毛吾母 三<吉>野乃 多吉能床磐乃 常有沼鴨 みなひとの いのちもわれも みよしのの たきのときはの つねならぬかも 皆々の人の命も
私の命も 吉野の滝の激流に打たれても なお不動の岩のように 永久に不変であってくれないものか * 「常磐」は〔「とこいは」の転〕で、「永久不変」の意。 * 「ぬかも」;「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形。 「か」疑問係助詞。 「も」詠嘆終助詞、願望の意を表す。 「〜ないかなあ。〜であってほしいなあ」。 ・・・・・・・・・・ 笠金村 かさのかなむら 生没年未詳 奈良時代の歌人。姓は朝臣であるが、出自等については不明である。 『万葉集』に45首を残し、そのうち作歌の年次がわかるものは715年(霊亀元年)の志貴皇子に対する挽歌から、733年(天平5年)の「贈入唐使歌」までの前後19年にわたるものである。 特に神亀年間(724年 - 729年)に長歌6首を詠み、車持千年(くりまもちのちとせ)・山部赤人と並んで歌人として活躍している。 『万葉集』の巻6は天武天皇朝を神代と詠う笠金村の歌を冒頭に据えている。 養老七年(723)五月の元正天皇の吉野離宮行幸、 神亀元年(724)十月の聖武天皇の紀伊行幸、 同二年三月の三香原行幸、 同年五月の吉野行幸、 同年十月の難波宮行幸、 同三年九月の播磨国行幸に従駕して歌を詠む。 以上はほぼ長歌に反歌二首を添えた整然たる形をとる。
万葉集には計三十首が載る(うち長歌八首)。 ほかに「笠朝臣金村歌集」出典の歌も見られる。 |
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6 924;雑歌,作者:山部赤人、吉野,行幸,宮廷讃美 [題詞](山部宿祢赤人作歌二首[并短歌])反歌二首 三吉野乃 象山際乃 木末尓波 許毛散和口 鳥之聲可聞 みよしのの きさやまのまの こぬれには ここだもさわく とりのこゑかも み吉野の象山の
山のあい間の梢には こんなにも数多く鳥がいて 鳴き声の騒がしいことだなあ * 「際の」は、谷間の。
* 「ここだ」数多く。 |
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6 925;雑歌,作者:山部赤人、吉野,行幸,宮廷讃美,叙景 [題詞]((山部宿祢赤人作歌二首[并短歌])反歌二首) 烏玉之 夜之深去者 久木生留 清河原尓 知鳥數鳴 [ぬばたまの] よのふけゆけば ひさぎおふる きよきかはらに ちどりしばなく 夜が更けてゆくにつれ
久木の生える清らかな川原で 千鳥がしきりに鳴いている * 「ぬばたまの」【射干玉の】(枕詞) 「黒」にかかる。 「黒」に関係深いものとして,「夜」「夕」「こよひ」「昨夜(きそ)」「髪」にかかる。 「夜」「(黒)髪」に関係深いものとして,「夢」「月」「妹」にかかる。 * 枕詞は、具体的な事物を表わさない。「ぬばたま」は、「ヒオウギの実」という意味ではない。 * 「ぬばたまの」でいったん切って、あとにかかる言葉との意味の連続性はないことを示し、それから「夜の更けゆけば」と詠ってゆく。 絶望や喪失感、心細く、わけがわからなくなってゆく感慨を表した、感慨の表出が枕詞になった。(出典・HIROMITI)http://d.hatena.ne.jp/HIROMITI/20130712 ・・・・・・・・・・ 山−春の花−しくしく(重々) 川−秋の霧−絶ゆることなく そして反歌二首はそれぞれ山・川を詠む。 【主な派生歌】 ひさぎおふる 小野の浅茅に おく霜の しろきをみれば 夜やふけぬらむ
(藤原基俊)
夜ぐたちに 千鳥しば鳴く 楸生ふる 清き川原に 風や吹くらむ
(藤原顕季)
ひさぎおふる あその川原の 川おろしに たぐふ千鳥の 声のさやけさ
(藤原清輔)
ひさぎおふる 佐保の河原に たつ千鳥 空さへ清き 月になくなり(藤原家隆) 風さむみ 夜のふけゆけば 妹が島 かたみの浦に 千鳥鳴くなり (実朝[新勅撰]) うちなびき 春さりくれば 楸おふる 片山かげに 鶯ぞ鳴く (実朝[玉葉]) 楸おふる かげをやおのが 友ちどり 月の氷も 清き川原に (後柏原院) |



